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死人使い

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第一章

                死人使い
 パキスタンカラチ近郊のある村で恐ろしい事件が起こっていた、その事件のことは公にはされていなかった。
 しかしその事件のことは知る者は知っていた、それでだった。
 パキスタン政府のある者が日本の京都を訪れてだ、そのうえでだった。
 その街で探偵業を営んでいる本郷忠と役清明の探偵事務所に来てだ、流暢な日本語でこう言ってきた。
「急にお邪魔して済まないが」
「ああ、何でもですね」
 本郷の方から彼に答えた。精悍な顔立ちの青年で髪の毛は短く刈っている。服装はラフでそこから筋肉質の体格が浮き出ている。
「死んだ人がですよね」
「知っているのか」
「俺達の世界では噂になってますよ」
 本郷は微笑んでパキスタン政府の高官に答えた。
「それでその死んだ人が生きている人と襲って」
「そうだ、そしてだ」
「その襲われた人も」
 今度は本郷の隣に座っている役が言ってきた。
 少し茶色がかった髪の毛をセンターに分けていて地味な色のスーツを着ている。すらしとした長身であり顔は端整である。その彼が高官に言ってきたのだ。
「死人になり」
「それでもう村がな」
「村全体が死人の村になっているのですね」
「その通りだ、それでだ」
「俺達にですね」
 本郷が高官にだ、その目を鋭くさせて言った。
「その事件の解決を」
「頼めるか、報酬はだ」
 高官は懐から小切手を出してそこの数字を書いた、そのうえで彼にこう言った。
「これだけだ」
「凄いですね、五十万ドルですか」
「これが前金でだ」
 さらにあるというのだ。
「無事に仕事を果たしてくれればだ」
「その時は」
「もう百万ドルだけ出す」
「随分気前がいいですね」
「それだけ我々も困っているのだ」
 パキスタン政府としても、というのだ。
「事情が事情だ」
「村全部が死人の村になっているからですね」
「しかも今はその村だけだがな」
「やがては、ですね」
「そうなるからな」
 それでだというのだ。
「今は村を完全に封鎖しているがな」
「若し何らかの手違いで死人が村から出てですね」
「他の場所に広まればな」
「厄介だからですね」
「君達にはすぐにその村に行ってもらいだ」 
 パキスタンのその村にというのだ。
「事態を解決してもらいたい」
「契約し、次第ですね」
「今ここで契約してくれればな」
 高官は彼のペースで二人に話していく。
「すぐに来てもらう」
「その契約金は」
 役は小切手に書いたそれを見つつ高官に問うた。
「すぐにですね」
「君達の口座に振り込ませてもらう」
 契約し次第というのだ。
「我々としても真剣だ、そのことも約束させてもらう」
「では」
 役はここまで聞いてだ、そうしてだった。
 本郷と少し話をしてそしてだった。
 契約をした、するとすぐにだった。
 二人は高官に案内されてパキスタンまで飛行機まで行った、着いたのはカラチだった。高官はカラチに着くとすぐにだった。 
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