三人の魔女
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第八章
エレインは洞窟に向かった、ガウェインは竜の相手をした。竜は二人に息が効かないのにいささか驚いたがそれでもだった。
その他の武器でガウェインに襲い掛かる、爪に牙に。
足も使えば尾も使う、魔法までだ。
だがその全てをだ、ガウェインは巧みな動きでかわし。
剣で牽制する、盾は使えなかったがだ。
動きでかわしている。そうして竜の魔法は気力で跳ね返していた。そのうえで竜を完全に足止めしていた。
その間にだ、エレインは洞窟に入りだった。
その中を探してだ、そして。
遂に紫の壺、蓋をしているそれを見つけた。洞窟の中にはそれ以外に壺はなかった。全て金銀や宝石やそういったものだ。
これしかなかった、それでだった。
直感的にこれこそが妙薬とわかった、そしてその妙薬を手に取って。
即座に洞窟から出た、そのうえで竜と闘っているガウェインに言った。
「ガウェイン卿、手に入れました」
「その手にある壺がだな」
「はい、これです」
まさにだ、その壺こそがというのだ。
「妙薬です、後はこれをキャメロットまで持って帰りましょう」
「そうだな、それではな」
ガウェインもエレインの言葉に頷いた、そしてだった。
ガウェインは竜の攻撃をかわしながら退きにかかった。その彼にだった。
竜がだ、こう言ってきた。人間の言葉で。
「取ったのは薬か」
「そうだが」
「それは何の為に使う」
「知れたこと。その調合を調べ万民の病を癒す為に使う」
「その為にここまで来たのだな」
「そうだ、キャメロットからな」
「あの城からか」
竜はキャメロットと聞いてこう言った。
「わざわざここまで来たのか」
「それがどうかしたのか」
「ここに来るまでに三人の老婆、魔女と会ったな」
「そうだ」
その通りだとだ、こう答えたガウェインだった。
「あの老婆達の助けを借りてここまで来てだ」
「薬を手に入れたか」
「薬は貰う。いいか」
「構わない。持って行け」
竜は意外な言葉をガウェインに告げた。
「あの薬の作り方はもう知っている、わしにとって惜しいものではない」
「また作るだけか」
「その通りだ、では持って行け」
「信じられない話だな」
「あえてここまで来て竜であるわしに向かって来た卿等への敬意だ」
それでだというのだ。
「特別に持って行くことを許す。それに」
「それに?」
「あの魔女達にも応えなければな」
竜は老婆達についても言及したのだった。
「そうしなければならないからな」
「あの老婆達と知り合いなのか」
「多少だがな」
「それでなのか」
「あの老婆達が力を貸した者達なら問題はない」
ガウェイン、そして彼の後ろに来ていたエレインを見ての言葉だ。
「持っていくがいい」
「ではその言葉に甘えて」
「うむ、達者でな」
竜はガウェイン達にこうまで言ってだった、彼等を無事に帰らせたのだった。そうして二人は老婆達のところを巡り礼を述べ借りたものを返しながら森を出た。そのうえで主であるアーサーにその妙薬を差し出したのだった。
妙薬の調合方法はすぐにマーリンに調べられわかった。こうして妙薬は人間達の間でも作ることが出来る様になり多くの民を救うことになった。
だが、だ。その話を聞いてだった。三人の老婆達は森の入口の洞窟、黒い老婆がいたそこで話していた。
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