| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

機神呼嵐デモンベイン

作者:ハイド
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二部『The OMEN ~魔神降臨!大導師、マスターテリオン登場だゾ!~』
  第5話「人生とは理不尽の連続なのかもしれない」

 
前書き
どうも、ハイドです。
今回から第二部がスタート。色々とネタが盛りだくさんな上に思いっきりキャラが崩壊しちゃってる人がいっぱいです。
それではどうぞ~。 

 
 これは神の意思なのか?はたまた悪魔の悪戯なのか?その答えはまだ彼の内に眠れども。
 さぁ、時は満ちた。野原神之介、お前の物語の始まりだ。野原しんのすけ、お前は恐れる事無く突き進み、立ちふさがる邪悪を討ち滅ぼし、愛する人々に笑顔をもたらし、正義の光で異形の闇を照らすのだ。
 野原しんのすけ、我々はお前の覚醒(メザメ)を待っている・・・。

第二部『The OMEN ~魔神降臨!大導師、マスターテリオン登場だゾ!~』

Side 神之介

 どうしてこうなった。
 今のオラの心境がそれだ。・・・只、魔導書を探すだけの依頼だったはずなのに・・・。
 それなのに、ブラックロッジには追われるわ、見つけた魔導書が自分勝手な傲慢少女だったり、無理やり魔術師にさせられたり、挙句の果てには巨大ロボに乗せられて戦う羽目になったり・・・。
 本当にどうしてこうなった。・・・イヤ、ホントマジで。この世に神様がいるのなら、オラが何をしたのか?と問いかけたい。つーか、一発ぶん殴りたいゾ。
 ・・・つまり何が言いたいのかって言うと・・・。
「野原さん、これは一体どういう事なのでしょうか?」
 こういう事なんです。はい。破壊ロボを倒した後、ひつじさんの指示に従って、格納庫へ移動。そこに待っていたのは怒り心頭の姫ちゃんとその後ろに控えているひつじさんだったり。
「あー、いやその・・・ふかーい訳がありましてね」
「納得のいく説明が出来なかったら・・・それなりの対応は覚悟しておいてくださいね」
 姫ちゃんの目がヤバイ。これはアレか?嘘とかついたら社会的に抹殺しますよってか!?・・・まぁ、とりあえず依頼の品を手に入れたことを報告しておくか。
「あ、これご依頼の品です」
「にゃ?」
 そういって、アルの首根っこを掴んで姫ちゃんに引き渡す。アルが猫のような声を出したが、一向に無視。あ、ちなみにデモンベインから降りた後、姿は元に戻ってある。アルも同様だ。
「・・・野原さん、馬鹿にしてますの?」
「神之介、にゃにをする!妾は猫ではないぞ!」
 物凄いイイ笑顔をオラに向けながらいう姫ちゃん。オラの手ではアルがじたばたと暴れている。
「あ~、違うんですよ。これ女の子に見えますけど魔導書ですから、れっきとした魔導書ですから。これで依頼は完了って事で」
「そういうことだ。苦しゅうないぞ」
 姫ちゃん達、沈黙。物凄い顔が引きつっております。
「大変、野原さん先ほどの戦いで頭を強く打ったみたい。ウィンフィールド、早く救急車を」
「オラとしちゃ、本当に頭がおかしくなってればいくらかラクだったんだけどね・・・、アル。証拠をみせてやれ」
 オラの言葉に了解だ。とアルが頷く。途端にアルの半身がページとなり、宙を舞う。その光景を見て姫ちゃんとひつじさんは案の定ギョッとしたような表情になっていた。
「わが名はアル・アジフ!アブドゥル・アルハザードに記された世界最強の魔導書なり!汝のような惰弱な想像力の小娘には理解できぬと思うが、魔導書とは必ずしも本の形を取る必要はないのだ」
「こ・・・小娘!?どっちが小娘ですか!!!?」
 アルの言葉に、カチンと来たのか姫ちゃんが反論する。対するアルは鼻で笑ってこう言った。
「ふん、見た目でばかりに振り回されおって。だから惰弱な想像力だと言ったのだ、妾はこう見えても、千年もの悠久の時を生きておる」
「何ですって・・・この・・・!」
-ぐにゃあ~・・・。
 にらみ合うアルと姫ちゃん。殺気がぶつかりまくって空気が歪んで見えるんだけど、何かもう某グラップラー漫画のような感じになってますけど。
「デモンベインが起動したと言う事実は、彼女の話が真実だと言うことを示しています。・・・野原様、詳しくその時の状況をお話願えませんか?」
「ナイス、ひつじさん。こんまんまだと話が全然進まないからね」
「ひつじではなくて執事です。野原様」
 そんなアルと姫ちゃんの間を割って入りたずねてきたひつじさんに賛辞をおくる。何かツッコまれたけど気にしない気にしない。
「そうとも言う。んじゃあ順番に説明するゾ。かくかくしかじか」
「ふにふにうまうま・・・と。なるほど。簡単に説明しますと、魔導書を探していたら、この魔導書の精霊と出会い、そこでブラックロッジと交戦。そして、破壊ロボが出てきたから逃げていたらここに来て、なりゆきでデモンベインを動かしたと」
「ただ、『かくかくしかじか』だけで何で分かるんですのッ!!?」
 オラとひつじさんの会話にツッコミを入れる姫ちゃん。
「まぁいいじゃんいいじゃん。『クレヨンしんちゃん』と『デモンベイン』のコラボなんだからさ」
「おいィィィィィィィィィィィィィィ!!!さりげなくメタ発言禁止ィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!つか、それ関係無いッ!」
「神之介。汝、ツッコミとボケの両方出来るんじゃなぁ」
「まぁ、本来のオラのキャラってボケがメインだからね」
 オラのメタ発言にツッコミまくりな姫ちゃんを他所にアルはンな一言を。そこへひつじさんが咳払いをして割り込む。
「ゴホン、話がそれてしまいましたが、野原様がこの魔導書・・・彼女の所有者と言う訳ですか?」
「そういう事よの。神之介と妾の波長は合うようでな。魔術師としてはからっきしだが、妾はこやつを気に入った」
 ひつじさんの問いかけにアルは答える。
「オラは全く認めちゃいねーがな」
「汝も諦めが悪いものよの」
 オラの言葉にやれやれと肩をすくめながら言うアル。
「やれやれはオラのセリフなんだけどね。・・・っと、話は変わるけど・・・」
 そんなアルにオラは言いながら、先ほどまで乗っていたデモンベインを見上げる。破壊ロボから受けた攻撃のキズは全く見当たらずオラ達が乗った時同様に輝いていた。
「このロボットってデモンベインなんだよな。・・・って事はつまり」
「はい、野原様のお察しの通りです。コレこそ大旦那様の造りしブラックロッジの対抗手段。覇道財閥の総力を持って結集させた最強のロボットです」
 やっぱかよ・・・。最強・・・確かにコイツは最強だ。
 あの警察でさえ歯が立たなかったブラックロッジの破壊ロボをいともたやすく圧倒するあの力・・・。そして、あの必滅の一撃。思い出しただけでゾっと来るゾ。
「鬼械神と呼ぶには少々不完全すぎるが、人間が作ったものにしては中々の出来だ。・・・と言う訳でデモンベインは我が鬼械神として存分に使ってやろうと思う。光栄に思うが良い」
 ンな事を平然と言い放つアルに姫ちゃんの額にでっかい青筋が。
「貴女ッ!?何を勝手に決めているのです!!!デモンベインはお爺様の形見であり覇道財閥の所有物なのですよ!!!貴女のような魔女に渡すつもりはありません!!!」
 そんな姫ちゃんの一喝にアルは何処吹く風。
「あっそう。で?それが何か問題?では小娘よ。こやつをこのまま後生大事に飾っておくつもりか?鬼械神とは本来戦う為にあるもの。デモンベインもそれは例外ではなかろう。なればこそ彼奴も、最強の魔導書たる妾と一緒に戦いたいと願うだろうさ。分かるか?デモンベインは汝の玩具ではないぞ」
「よ、よくもまぁぬけぬけと・・・!あんな戦い方をして壊されたら元も子もありません!!!」
「戦い方は術者の神之介が未熟なだけだ。妾の責任ではない」
 ・・・ちょいマテや、この古本娘。
「おい、ふざけんなよ。丸投げかい。煽るだけ煽っといてそりゃねーゾ。それと姫ちゃんもオラを睨むんじゃねーよ。オラ被害者なんだけど、この最強の魔導書(笑)に無理やり乗せられただけなんだけど」
「さりげに何(笑)つけておるッ!!!」
 姫ちゃんがオラを睨んだため、弁解。アルからきつい目で見られたがまぁ、気にしないでおこう。
「ま、お目当ての品が見つかったんだし。依頼達成って事で・・・」
「認めると思いまして?」
 なん・・・だと・・・?
「オイ、ふざけんじゃねーよ。オラ、もう魔術と関わるのイヤなんだけど。もうコイツで良いじゃん」
「ダメです!こんな下品な魔導書ではなくてもう少し上品な魔導書をお願いしますわ!」
「ちょっとぐれー我慢しろ!餓鬼じゃあるめーし、我儘抜かすんじゃねぇ!」
 オラの言葉にアルもそうだそうだ!と相槌を打つ。
「我儘も大概にするのだ!デモンベインは妾と神之介のものぞ!!!」
「どっちが我儘ですか!貴方達!!!」
 まぁ、どっちもどっちだな。・・・アルの言葉にさりげなくとんでもない事が混じってたが気にしないでおく。
「とにかく・・・野原さん!」
「何だよ・・・」
「事と次第によってはデモンベインを無断で動かした責任を追及させていただきます・・・。それがイヤでしたら、早急に別の魔導書をお願いしますわ」
 それって脅しっすか姫ちゃん。断れば何らかの制裁は確実・・・っ。だが、あえてオラははっきりと言おうッ!
「だが断る」
 NOであるとッ!
「この野原神之介が最も好きな事の一つは、自分が強いと思った奴に『NO』と言ってやる事だ。つまり、もうコイツでいいじゃんって事・・・」
 そう言い掛けて、姫ちゃんの様子がおかしい事に気づく。・・・何か髪の毛が逆立ってる?アレ?それに何か金髪になってね?
「初めてですわ・・・ここまでコケにされたのは・・・」
 ゆっくりと顔を上げる姫ちゃん。その瞳の色は緑・・・ってこれスーパーサ○ヤ人じゃん!?
「許さんぞ、虫けら共!じわりじわりとなぶり殺してやる!!!」
「それ何処のフリ○ザ様ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!?」
 格納庫でオラのツッコミのシャウトが響いたのであった。

-帰り道・・・。

「・・・はぁ、疲れた・・・」
 疲れた体を引きずりながら、オラは呟く。あの後、結局新しい魔導書を探さなければならない羽目になった。一刻も早く魔術からおさらばしたいオラにとっては拷問にも等しい。
「ったく、冗談じゃねーよ。・・・もうアルでいいじゃん。魔導書に上品もクソもあるかってんだ」
「全くよの。あの小娘の我儘にはほとほと呆れるわ」
「そうだよな~。・・・ん?」
 聞き覚えのある声に振り向くとそこには先ほど別れたばかりの銀髪古本娘が。
「・・・何でお前いんの?」
「何故って、汝は妾の主なのだから一緒に居るのは当然であろう」
「オラは認めてねーゾってずっと前から言ってんだけど?」
「契約したではないかとずっと前から言っておるが?」
 そうやってアルとにらみ合いをする。・・・そして・・・、
「自由への逃走ッ!!!オラが簡単に泣き寝入りすると思うなよ!!!!」
 全力疾走ッ!逃げるんだよォー!退けー!野次馬共ーッ!
「あ、コラ!待たぬか、神之介ェーーーーーーー!!!!」

-何でも屋逃走中・・・。

「何とか撒いたか?」
 息を切らしながら、オラは辺りを見回す。アルの姿はいないようだ。
「やれやれ、あんな戦いに何回も巻き込まれたら命が幾つあってもたりねーっつの」
 ガキの頃に何度かそんな戦いに巻き込まれたりはしたが・・・まぁ、こまけぇこたぁいいんだよ。ドアを開け中に入る。
「ただいま○ものおきて~」
「おお、お帰り」
 あれ?何で返事が・・・。って、
「何でここにいらっしゃるんですか?アルさんコノヤロー」
「アレだ、汝の魔力のにおいを嗅いでココまでやってきた」
「お前、警察犬か何かかよ?ってか、なに人のジュース飲んでんのォォォォォォォォォォォォォ!!!?」
 ずかずか人んちに上がりこんだ挙句、覇道からの依頼料で買ったジュースを飲んでやがりますよ!
「喉が渇いたからな。・・・ふむ、この菓子つまみにちょうどいいかもな」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!!!!それしんさんのチョコビィ!!楽しみにしてたのに!!!!」
 今度はチョコビにまで手を出しやがった・・・。帰ってから食べようと思ってたのに・・・。
「ほうほう、美味いの。このチョコビとやら・・・。ま、何にせよ。汝は妾から逃れられんよ。妾と契約した以上一蓮托生だ。汝がいくら戦いを否定しようとも、戦いはいずれ汝の所にやってくるさ」
「つーか、そもそも戦いって何なんだよ。そういや、お前前にもブラックロッジと戦う理由があるって言ってたな」
「うむ、その事について汝にそれを初めから説明せねばなるまい」
 コホン、とアルは咳払いをしながらいい、説明を始めた。
「妾には敵が居る。・・・否、全世界の敵というべきだな」
「何かスケールでかくなったな」
「そもそも、何故アブドゥル・アルハザードが妾を書き記したか?総てはそこにある・・・。つまりだ、妾は外なる世界から邪神達の存在を世界に警告する為に生を受けたのだ」
 邪神っておいおい、なんとも荒唐無稽な話だ。・・・そんなオラの心中を察してかアルはオラに言う。
「今、馬鹿馬鹿しいと考えておったな野原神之介よ。だが、少なくとも魔術を齧っていた汝なら知ってるはずだ。魔術というのは異界の神々から力を得る外道の知識だというのをな」
「・・・言われてみりゃそうだな」
 確かに魔術ってのはそんなもんだし。アルの言葉に頷く。
「あヤツらは今こそ沈黙しておるが、世界の闇から忍び寄り、人々の邪念に漬け込んで邪悪な力を与える。いつの世も外道の知識の誘惑に負けてしまう奴は後を断たん・・・例えば」
「ブラックロッジだな」
「そういう事だ。奴等の中には稀に邪神をよみがえらせる程の力を持つものもいる。それを察知し、打ち滅ぼすのが妾の役目だ。そう、主と認めた人間に力を与え、鬼械神を駆り下僕共を狩る。そんなものだ」
「ふぅん・・・。そういやお前、デモンベインを自分のものにするとか言ってたが・・・」
 『デウスマキナ』って単語で思い出しアルに問いかける。
「妾の本来の鬼械神であるアイオーンは敵との戦闘で破壊された。・・・元々、術者が居なかったから勝てる見込みは無かったが・・・仕方なかったのだ。だからアイオーンを失った今、新しい鬼械神がどうしても必要なのだ」
「破壊されたって・・・そのアイオーンもデモンベイン並みのロボットなのか?」
「いや、少し違うな。アイオーンは純粋な鬼械神であるから混血児(マザリモノ)であるデモンベインと比べるとアイオーンの方が性能的に上だ」
 ・・・ちょい待て、アレほどの力を持っているデモンベインよりも上?・・・それをぶっ壊したってなると・・・。
「どんだけやべーんだ、敵ってのは?」
「敵もまた鬼械神を駆る魔術師だ」
「・・・はァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!?」
 オラは素っ頓狂な声を上げた。デモンベインよりも強いロボットを操る奴が敵・・・そいつらと戦わねばならんのか!?
「それマジで言ってんのか?そいつ等と戦えって」
「うむ、いずれ斃さねばならぬからな」
 淡々とした口調で話すアル。・・・マジで何考えてんだ!?
「ざけんじゃねーぞ。オラ普通の人間なんだけど、普通の何でも屋なんだけど。流石にドワオ!で石○賢も真っ青な規格外な超決戦は別のところでやってくんね?オラそういうのパスだから」
「そうは言っても先ほどの戦いは中々だったぞ。汝はきっと戦う為にこの世に生を受けたに違いない。運命だ。異論は認めん、断じて認めん、妾が法だ黙して従え」
「何処のコズミック変質者だ!?・・・ってかちったぁ人の話聞けよ。アレか?1000年も生きてるから耳が遠いのか?」
「・・・あ?」

-只今凄惨な事態になっていますので暫くお待ち下さい。

「・・・前が見えねェ・・・」
「自業自得だ」
 魔力を込めた拳でボコボコに殴られ、顔面が腫れ上がってしまった。お陰で目の前真っ暗ですよオラ。
「さて、話を元に戻そう。・・・今の妾達では『敵』には勝てぬ」
「何でさ?」
「『敵』との戦いに敗れこの町に落ちた際、ページの何割かを落としてしまったのだ。それがない限り、妾も汝もデモンベインも本来の力を取り戻す事は出来ぬ」
 ページをねぇ・・・難儀なもんだ。
「だが、オラはやんないゾ」
「だからまず、この地に散らばった妾の断片を回収してもらうぞ。明日それを行うつもりだが、何か質問は?」
「拒否権ってのはある?」
「ない」
「さいでっか」
 即答である。・・・まぁ、分かってたけど・・・不幸だ。
「そうと決まれば、明日に備えて寝るが・・・。何処で寝ればいいのだ?」
「オラはいつもこのソファーで寝てる。・・・そこで寝ていいゾ」
 オラの言葉にふむ・・・とアルは考え込みながら言う。
「寝心地は悪そうだが、まあ仕方あるまい。・・・汝は床で寝るようだが大丈夫か?」
「あ~、大丈夫大丈夫。オラは平気だからさ、それと魔導書っつったって女の子だし、床に寝かせるのはちょっとな」
「ふん、まぁ言葉に甘えてここで寝るとしよう。・・・あ、一つ言っておきたい事があるが」
 ゴロンとソファーに横になりアルは言う。
「何だ?」
「万が一、襲ったら酷い目にあわすからな」
「あ~、その辺はご心配なく。オラ子供には興味ないんで。大人のおねいさんが好みなんで。んじゃおやすみ」
「その言い方は何かムカつくが・・・まぁよい、おやすみ」
 そう会話を交わしオラ達は眠りに着いた・・・。


Side Out


 此処は祭壇にして玉座。ブラックロッジの大導師、マスターテリオンの御前である。
 野原神之介・・・もといデモンベインに敗れたドクターウェストは、任務の失敗を報告する為にこの場へと足を運んでいた。彼は跪き、事の一部始終を包み隠さず報告する。マスターテリオンを相手に隠し事は無謀の極みといえるからだ。極度の緊張に苛まれ、その顔色は真っ青だった。彼の額から汗が流れ、頬を伝い、雫となって大理石の床へと落ちる。
「つまり、アル・アジフの回収に失敗した挙句、敵に敗北しおめおめと逃げ帰ったというわけか」
 玉座の隣に立っている長身の黒人、アウグストゥスはドクターウェストの報告に不満ありげな表情で続ける。
「全く持って情けない。大天才の名が泣きますな」
「そ・・・それはあくまで不意を突かれたからであって!もう少し万全の体勢であったのなら我輩に敗北はなかったのである!!!」
 ウェストの反論にアウグストゥスはふん。と鼻を鳴らし見下した態度で返した。
「ほう?ドクターご自慢の破壊ロボは正体不明のロボットに手も足も出なかったという事ですな。もう大天才から大天才(笑)に変えたほうが良いのでは?」
「だ、黙って聞いておればいい気になりおって!このアナゴストゥス!!!」
「アナゴストゥスではないッ!アウグストゥスだ!!!二度と間違えるな、このクレイジー科学者!!!」
「何をッ!!!」
 顔が紅蓮のごとき赤へと変わったウェストの一言を皮ぎりに両者の間に、一触即発の空気が流れる。
「・・・止めよ、二人とも」
 叫んだ訳でもないのに声が響く。ビクっと肩を震わせ、その方へと目を向ける二人。その視線の先には何故かPSPでゲームをしているマスターテリオンが。ゲームをしている最中でも首筋に鎌を突きつけられたような感覚に2人は冷や汗を流す。
「今、良い所なのだ。大声で怒鳴られては気が散る」
「あ、あの・・・大導師。先ほどのドクターの報告聞いてました?」
「ああ、聞いてたぞ。・・・富○監督が新たなるガン○ムの物語を描くという話をな」
((ンな話してねェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!いつそんな話したよ!!?))
 マスターテリオンのボケに二人は息ピッタリに胸中でツッコミを入れる。何故って?声に出したら、殺されるかもしれないからさ。
「ウェストよ、余は貴公を咎めるつもりはない。そのロボットがどのような理論で造られているかは知らぬが、貴公の破壊ロボとは違う理論に基づいたものなのだろう。いわば勝手が違うのだ、遅れをとるのも無理らしからぬことであろう」
「お、お言葉ですが大導師!今回の敗北は破壊ロボが遅れを取った訳では・・・」
「・・・ウェスト」
「・・・ッ!」
 マスターテリオンの冷たい眼光が、ドクターウェストを見据える。ただそれだけで、ドクター・ウェストは凍りついて口を噤んだ。
「下がれ。報告と言い訳はもういい」
「・・・御意」
 そういってドクターウェストはすごすごと玉座の間を後にした。
「サンダルフォン」
「・・・何だ?」
 PSPの電源を切り、マスターテリオンは暗闇へと語りかける。そこには黒い装甲をまとった天使が立っていた。
「貴公はあの機体、どう見る?」
「己は、機械や魔術は全く分からんが・・・あれだけの破壊力。己の目には、まるで鬼械神のように映ったな」
 サンダルフォンの言葉に、ふむ・・・とうなるマスターテリオン。言葉を継ぐようにアウグストゥスが続ける。
「大導師。恐らくはあのロボットが、覇道財閥が極秘裏に開発を進めていたロボットではないかと」
「その通り、アレが覇道が造りし鬼械神、デモンベインさ」
「何・・・!?」
「貴様どうやって!!!」
 予期せぬ声の方へと視線を向けると広場の中央に長身の女性が立っていた。謎の侵入者にサンダルフォンとアウグストゥスは身構える。
「待て、二人とも。彼女は余の古い知人だ」
 そういって、マスターテリオンは二人を制すと女性に目を向けた。
「久しいな・・・うむ、何と呼ぶべきか」
「ナイア。今はそう名乗ってるよ」
 険悪な空気でありながらナイアはそういってマスターテリオンに妖艶な笑みを向けている。マスターテリオンもまた、薄い微笑で応えた。
「ナイア・・・か、なんとも捻りのない名前だな」
「あはは、すまないね。センスが無くってさ。ああ、そうそう大導師殿に耳寄りの情報を教えてあげようと思ってきたんだ」
 あっけにとられているアウグストゥス達を他所に、マスターテリオンとナイアは談笑をしている。
「情報?」
「ああ、デモンベインのパイロットにしてアル・アジフのマスターについてさ」
「・・・ほう」
 はい。とナイアはマスターテリオンに資料を渡す。資料を見ながら、ふむ・・・と声を漏らした。
「何でも屋か・・・、ミスカトニックの魔術師ではなく。・・・それと、名前も違う・・・『■■■』ではなく『野原』なのだな」
「この事はちょっと僕も驚いたけどね。どうだい?中々面白そうだろう?」
 そう言い、ナイアはマスターテリオンにもたれかかった。そんなナイアを、マスターテリオンは亀裂の様な笑みを浮かべ見据えた。
「悪くない、悪くないではないか。・・・だが、実際の所はどうなのだ?」
「うーん、今までに比べれば魔術師としての実力は劣るやね。だけど大導師殿?そんなものは、運命と云うドラマの主役になる素質とは、全く関係の無い事だとは思わないかい?」
「くくくっ・・・今回は随分と向こう側に肩入れしているではないか?まあ、わからんでもないがな・・・」
 資料を投げ捨て、マスターテリオンは立ち上がった。少年に除けられ、ナイアは不満げにするがそれには構わない。
「アナゴストゥス、留守は任せる」
「え?は、はっ!っていうか、アナゴストゥスではなくアウグストゥスです。大導師」
 アウグストゥスの名前を間違えた為ツッコまれるが一向に気にしない。
「おやおや、大導師殿自ら御出陣で?」
「ああ、今回が初めてだからな。挨拶をせねばなるまい。・・・それに」
 顔に純粋な喜びと狂気を秘めた笑みを浮かべ続ける。
「余とて遊びに興じたくなる時もあるのだからな」


To be countenude・・・。  
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
プロローグ&第一部の最後らへんに現れたマスターテリオンが登場。・・・だけど、物凄くキャラが崩壊しすぎて誰テメェ!?状態に・・・。どうしてこうなった・・・(作者の所為)
話は変わりますが、富○監督が新しいガンダムの新作を出すようです。『Gのレコンキスタ』と言うアニメですが・・・一体どんな話になるやら・・・。
っと、関係ない話をしてすみませんでした。
次回も乞うご期待。
それでは~(0w0)ノシ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧