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『自分:第1章』

作者:零那
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『強制送還/蘇生』

鍵開けたら、ユウがノンキな声で『おー生きとんかやぁ』って。
次の瞬間、固まった。
ユウは霊感が強い。
寝てる部屋に行って戸閉めたら何とか大丈夫だった。

手首の傷が増えたことに説教された。
で、昼前に母さん来るけん一緒に帰れって。

『は?あんな奴んとこ行かんし知らんで?殺すかもやし。』

『おまえ産んだ人やろが?殺すとか無し!』

『妊娠さえ出来りゃ産むくらいクソでも出来ろがや!親やか居らんでも生きれるんが現実じゃっ!今更母親面とか死に腐れや!』

『...後悔しとるいよった。寝泊まりする位に思たらえんよ!上手くいくやか俺も思てない...』

言い合いばっか。
久々に逢ったのに。

ユウの携帯が鳴った。
母さんが駅に着いたって。
ユウが荷物まとめた。
零那は出たくないから動かんかった。
ダダをこねる子供。
嫌じゃっ!行かんっ!
ってずっと言ってた。

ユウが零那の携帯奪って出て行く。
暫くして店長が来た。
ややこしぃなるやんか。
いらんこと言われても困る。

でも店長はそんなバカじゃない。
一連の事件のことは一切言わんかった。

母さん来た。
『兄ちゃんが連れて帰って来い言うから帰るで!』
兄ちゃん!!

くそっ!!
ユウを睨んだ!!
ニヤッとした...
零那が唯一恐れる存在...
兄ちゃん...
ユウに話したことある。
やられた...
兄ちゃんが言うなら従うしかない...

ユウは兄ちゃんとも話したらしい。
たまたま、兄ちゃんが母さんとこに来てたからってだけなんやけど。


秋には、今迄ありがとうってメールした。
何回も付き合ってって言われてた。
それからは部屋にあげることもなくなってた。

1回、近くのコンビニで逢ってチャント断った。
それでも、ユウの存在があっても良いって聞かんかった。
16歳...聞き分け悪いガキ。

なんぼ喧嘩強くて正義感強くても...
助けてくれた、守ってくれた...
でも、仮に彼氏が居らん状況だとしても...聞き分け無いガキと付き合う気は無い。



じぃちゃんち。
昔、大阪から出てきたとき、母さんが再婚するまで住んでたとこ。

じぃちゃんは相変わらず口うるさい。
猫イジメも相変わらずで大っ嫌い。

母さんは無口。
とにかく酒。

養父の子供、義理の弟。
相変わらず生意気で憎たらしい。
けど、構って欲しいのか、チョッカイかけてくるのが可愛らしかった。


秋が来た。
いきなり、じぃちゃんちに。
ビックリして声にならなんだ。
借用書の住所?
覚えてたん?
誤魔化して書いたのに探したん?
怖いし。


毎日、殆ど...来た。
何をしにってワケや無くて。
クソチンピラが、いつ此処に来るか解らん。
来たら守る為やって。


ユウとの電話も、秋がずっと居るから時間が合わず。
でも、ユウとは釣り合わんから、試すには調度良いかも。
自分は汚れてる。
ユウとは生きる世界が違う。
一緒に居たらあかん。


ユウは、零那を守るって真っ直ぐ言ってくれた人。
やから、何があっても、零那の周りや汚い世界から、ユウを守る義務がある。

秋みたいな子も、勿論、クソチンピラも...関わらせたく無い。

秋は人格が変わるときがあった。
弟は大概、何に対しても物怖じする性格では無い。
でも、たまに秋を怖がってるときがあった。

零那が秋を受け入れん限り、その人格は治らんと思った。
罪のない弟に危害を加えられても耐えれん。


朝起きたら秋が目の前に...てか隣に居た。
家ん中に居たって事。
弟が開けた?
鍵閉めてなかった?
それとも...?

秋の執着心が怖くなってパニックなって過呼吸。
酷くなって呼吸困難。
秋が救急車呼んだ。
ド田舎にサイレンが煩く響く。
死ねたら楽やから、このまま逝かして欲しい。


でも、心停止から蘇生された。
前にもあった。
心停止も慣れた。
てか実感無いし。

それでも死なんとか、どんだけ不死身なん...
勘弁してや...
でも、死にたいときに死なん人って、案外ふとポックリ逝くんやろな...

 
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