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ドリトル先生と伊予のカワウソ

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第五幕その九

「器がです」
「大きいですか」
「はい、とても」
 それが大きいというのです。
「そう思います」
「何か褒められますと」
「気恥ずかしいですか」
「どうにも、そうされることは苦手で」
 だからだとです、ここでもこう言う先生でした。
「そういうことで」
「すいません、しかし今夜ですね」
「道後温泉で」
「行きましょう、あそこも案内させてもらうつもりでした」
「松山の名所の一つだからですね」
「とても楽しい場所ですから」
 温泉だからです、温泉はそれだけでとても楽しい場所なのです。
「明日にでもと思っていました」
「そうだったのですか」
「しかし今夜はです」
「晩御飯を食べてですね」
「そこに行きましょう」
「わかりました、それでは」
 先生達の間でもお話は決まりました、加藤さんも一緒に道後温泉に行くことになりました。そしてそのことを決めてからです。
 ポリネシアがです、先生にこう言ってきました。
「先生、いいかしら」
「うん、何かな」
「京都では狐さんにお会いしたわよね」
「そうだったね、助けになって何よりだよ」
「そうよね、それでここでは狸さんで」
 ポリネシアはこのことから言うのでした。
「カワウソさんはイギリスから来られてるけれど」
「ニホンカワウソもね」
「化けるのよね」
「そうだね、長生きすると」
「日本って化ける動物が多いのね」
「そうだよ、他には穴熊も化けるよ」
 人間や他のものにというのです。
「犬や猫だってね」
「あれっ、僕もなんだ」
 ジップは先生が日本の犬が人間や他の生きものに化けたりすると聞いて少し驚いたお顔になって言うのでした。
「そうなんだ」
「そうだよ、狼だってね」
「ふうん、そうなんだ」
「他には鼬だってそうだし」
「その動物もなんだ」
「日本は化ける生きものが多いんだよ」
「狐さんや狸さんだけじゃないんだ」
 ジップはここでこのことを知ったのでした。
「中国の狐が化けることは聞いてたけれど」
「そうだね、けれどね」
「日本では他の動物もなんだね」
「蛙や蛇もそうだったかな」
「何でもなんだ」
「まあ確かに多いね、鼠もね」
 今度はホワイティを見つつお話した先生でした。
「人間に化けたり普通に人間とお話したりね」
「僕は化けられないよ」
「そうだね、けれどね」
「日本の鼠はなんだ」
「長生きしていると妖力、魔力と言っていいかな」
 ここでイギリスの言い方も入れた先生でした。
「それを持つ様になってね」
「化けられるんだ」
「そうなんだ」
「何か日本の動物って凄いね」
 鼠も含めてと言うホワイティでした。
「長生きしていると魔力を持ってそれが出来るって」
「いや、今回の話のカワウソさん達はね」
「僕達の祖国から来てるね」
「そう、だからね」
「どの国でもなのかな」
「そうみたいだよ、けれどやっぱり日本の動物はね」
 先生もこのことは否定しませんでした。 
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