ドラゴンクエストⅤ〜イレギュラーな冒険譚〜
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第三十一話 目指せグランバニア
私たちは、テルパドールを出てグランバニアがある大陸に上陸した。
「アベルの故郷にこれから行くのか~」
「僕にとっての故郷はサンタローズだけど。自分が生まれたところには行ってみたいな」
「けど、宿屋の人の話だとかなり遠くにグランバニアはあるみたいだから。しかも洞窟とか山とかを乗り越えなきゃいけないし」
「……みんな、がんばろう」
確か原作でのグランバニアめっちゃ遠かった。グランバニアに着くころにはめっちゃ疲れてた。
「それではグランバニアに向けて出発!」
私は半ば自棄になりつつも言った。
*
「遠~い」
私たちは今、グランバニア山道を歩いている。
山道は結構疲れるし、それに……。
「出た!」
「メッサーラとドラゴンマッドよ!」
魔物という問題もあるのである。(トヘロスが効いていない。)
私は新たに習得した呪文を唱えた。
「ドルクマ!」
地獄の雷が渦を巻き、ドラゴンマッドに炸裂する。
「メラミ!」
ビアンカがメラミをメッサーラに叩き込む。
「ガォゥ!」
ゲレゲレが爪でメッサーラを切り裂いた。
「ふぅ~。最近魔物が強くなっているな」
ドラきちが言った。
「エルフの飲み薬いる人」
はいっと言ってアベル、ビアンカ、ピエール、マーリン、ホイミンちゃんが手(触手)を上げた。
「OK。五人分ね」
まだエルフの飲み薬は30個近く残っている。(5つを引いてもだ。)
たくさん手に入れすぎたかなと思う。
「ふわぁ~。オレ、なんだか眠くなったよ」
確かに今は夜だし、魔物との戦いや山道を歩いていて私も疲れている。
「あんなところに階段があるわ。入ってみましょう」
ビアンカが言った。
パトリシアと馬車を階段の近くに置き、私たちは階段を下りた。
そこには一人のおばあさんがいた。
「今晩は。僕たちは今、グランバニアに向けて旅をしているのですが。一晩の間止めてくれませんか?」
「人間と魔物の旅人とはずいぶん珍しいけど、いいよ。泊まってきな」
「ありがとうございます」
私たちはおばあさんに夜食を賄ってもらった。
味付けが薄かったけど、そんなことは気にせずに食べた。
そしてベッドに入った。
「おやすみなさい……」
私はそう言ってすぐさま深い眠りに落ちた。
*
私は物音で目を覚ました。
「何かなこの音」
「アベルも起きたの?この音で」
「うん。にしてもこの音って刃物を研ぐ音じゃ……」
ん?何かどっかの昔話みたいな展開だな。
「大丈夫だって。気にすることはないんだから。寝よ寝よ」
「そうだね」
私とアベルは寝なおした。
そして朝。
「一晩泊めてくださってありがとうございました」
「そんな、礼には及ばないよ。そうだ、あんたらに渡すものがあったんだ」
「何ですか?」
「はい、これ」
渡されたのは私たちがつけていた武器や防具だったが、何か違う。しばらく考え、私は言った。
「武器や防具が修復されてる」
「ほう。よく気がついたね。あんたらの武器や防具は傷んでいたから夜中のうちに直しておいたのさ」
それが、あの音の正体というわけか。
「ていうかよく直せましたね」
私は言った。
「こう見えても私はむかし鍛冶屋をしていたんだよ」
なるほど。こういうことか。
「何から何までありがとうございました。では」
「気をつけてね。グランバニアまでの道は結構きついよ」
私たちは親切なおばあさんにお礼を言って山道を登り始めた。
さて、グランバニアにつけるのか否か。
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