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ハイスクールD×D 『存在の消失~ Memory life ~』

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一話『オカルト研究部と不死鳥』

 
前書き
投稿が遅れてすみません。 

 

「じゃあ、風鳴君はここで僕が呼ぶまで待っててくれるかな」

「わかりました」

俺は昨日、サーゼクスさんからもらった転入先の学校に来ていた。

そして今は、俺が転入する二年のクラスの前で担任の合図を待っている。

どうやら、教室の中では男女が転入生は男か女かで盛り上がっているようだ。

「では、転入生は入ってきて」

担任の声が聞こえ、俺は教室の扉を開けて中へ入っていく。

俺が教室の中に入ると男子は俺を睨み、女子はなにやら話し合いをしていた。

「え~と、とある事情で転入してきました。風鳴刀矢です。趣味は剣術と料理です。短い間ですがよろしく」

『女子じゃねぇーのかよ!!』

『しかも、イケメンかよ!?死ね~!!!』

などと、男子達が言ってくるので俺は男子全員に視線を向けてこう言う。

「素敵な挨拶をどうも。これが終わったらお礼と O☆HA☆NA☆SI☆がしたいから、男子全員は俺の席に集合してくれよ?」

と、黒い笑みを向けてそう言った。

「風鳴君、やるなら他の人の迷惑にならないところでやってくれよ?」

(教師から許可が出ただと!?)

教師からの許可が出たことに俺だけではなく、男子達も驚きさらには青ざめた表情になっていた。

「それはともかく、風鳴君の席は一番後ろの角の空いている席だからな」

「はい。わかりました」

俺は教師に指定された席に向かう。

「兵藤、隣の席だから色々とわからないことがあれば教えてやってくれ」

「はい」

教師から兵藤と呼ばれた男子は、俺が席に着くと話しかけてきた。

「俺は兵藤一誠だ。イッセーって読んでくれよな」

「さっきも言ったが、俺は風鳴刀矢だ。俺のことも刀矢でいい。これからよろしくな、イッセー」

俺はこの瞬間、イッセーから悪魔の気配を感じ取った。

悪魔の気配はサーゼクスさんに会ったときに、大体の感じはつかんだので今ではすぐにわかるようになった。









~放課後~

「じゃあ、俺は部活があるからもう行くわ。また、明日な?刀矢」

「ああ、また明日。イッセー」

(たぶん、すぐに会うことになるがな)

俺は急いで部活に向かうイッセーの後ろ姿を見ながらそう思った。

(さてと……そろそろ俺も行こうかな。確か、サーゼクスさんの妹は旧校舎にいるっていってたっけな)

「少し聞きたいことがあるんだが、いいかな?」

俺は近くで話をしていた女子にそうたずねる。

「う、うん。いいよ」

「この学園にあるっていう旧校舎ってどこにあるのか教えてくれる?」

「旧校舎?それなら、この校舎を出て左に曲がった先にある木造の建物だよ」

「ありがとう。助かったよ」

俺は丁寧に教えてくれた女子に、そう言って教室から旧校舎に向かった。

旧校舎に入ってすぐに悪魔の気配を感じたので、その気配が集まっている部屋の前までやって来た。

その部屋の扉の前には『オカルト研究部』と書かれたプレートがかかっていた。

(悪魔がオカルトを研究?珍しいこともあるもんだな)

コンコン

そんなことを考えながらも扉をノックする俺。

「どうぞ、入ってちょうだい」

「失礼します」

部屋の中に入ると、見知った顔が一人いた。

「刀矢!?もしかして部長の客って、刀矢だったんですか!?」

イッセーが俺の顔を見て、紅い髪の女子にそう言っていた。

「あなたがお兄様の言っていた、私たちの協力者ということでいいのよね?」

「ええ、そのお兄様というひとがサーゼクスさんであるならですけど」

「それなら間違いないようね。まずは自己紹介からね。祐斗」

サーゼクスさんの妹が、金髪の男子に向けてそう言うと俺にわかるようにしてその男子が一歩前に出る。

「僕は木場祐斗。イッセー君と同じ二年でとなりのクラスだよ。僕も悪魔です」

「……一年生。……塔城小猫です。……悪魔です。よろしくお願いします」

小さく頭を下げる銀髪の少女。

「兵藤一誠。悪魔だ!よろしくな、刀矢」

「アーシア・アルジェントです。私も悪魔です。よろしくお願いします。風鳴さん」

「三年生、姫島朱乃ですわ。いちおう、研究部の副部長も兼任しております。今後もよろしくお願いします。これでもあくまですわ。うふふ」

そう言って礼儀正しく頭を下げる、黒髪のポニーテールの女性。

「そして、私が彼らの主であり、悪魔でもあるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。よろしくね」

部屋のなかにいた俺を除く全員の自己紹介が終わる。

「俺の番ですね。俺は風鳴刀矢。趣味は剣術と料理の人間です。あと神器というものを持ってるみたいです」

(俺が悩んでいた力のことをサーゼクスさんは、神器といっていた。だから、この場合もそう言っておいた方がいいだろう)

「あなたも神器を持っていたのね。良ければ、能力を教えてくれないかしら?」

「いいですよ」

俺はリアスさんに能力のことを聞かれたので、教えることにする。

「俺の神器の能力は三つあって、一つ目が自分が想像した剣を自由に作り出せる能力。二つ目が俺が今までに見た人物が使う技のコピー。三つ目が、指定した対象のコピーつまりは分身を作る能力です」

俺はあえてその力を使用するのに記憶を消費することを、隠して説明した。

「凄い能力ね。あなたの神器は」

「そんなことはないですよ。どんなものにもメリットとデメリットがあるように、これにもデメリットがあるんですから」

俺は今までに失ったものを思い浮かべながらそう言った。

「ええ、そうね。じゃあ今日はこれで解散にしましょう。刀矢には明日からこのオカルト研究部に、入部してもらうけどいいかしら?」

「はい。それくらいならいいですよ」

「ありがとう。それじゃあまた明日ね」

俺はリアスさんのその言葉を聞いて、旧校舎をあとにした。















~翌日~

二時間目の辺りから、俺は旧校舎のある方角からサーゼクスさんに似た気配を感じていた。

イッセーやアーシアさんは気づいていないようだった。

(まあ、俺も感じられる気配は微量だから気づくはずがないか)

そんなことを考えながらも、今は放課後。

俺達は教室に迎えに来た木場と一緒に、旧校舎に向かっている。

部室の前に来たとたん、木場が不意に立ち止まった。

「……僕がここまで来て初めて気配に気づくなんて……」

このタイミングで木場が部室の中の気配に気づいたが、それに気づいていないイッセーが部室の扉を開けた。

部室の中にいたのはリアスさんと朱乃さん、小猫ちゃん(そう呼んでくれといわれた)とあとは銀髪のメイド?がいた。

(サーゼクスさんに似た気配はこの人か。ひょっとして夫婦とか?)

「全員揃ったわね。では、部活をする前に少し話があるの」

「お嬢さま、私がお話ししましょうか?」

リアスさんはメイドの申し出をいらないと手を振っていなす。

「実はねーーーー」

ボワッ!

リアスさんが何かを言おうとすると、突然部室の床に火が燃え上がるようにして現れた。

「ウオッ!?火事か!?ソードオブクリエイト!」

俺は水を放出する剣を作り出し、火が出ている床に向かって剣を振り下ろした。

俺が振り下ろした剣からは大量の水が吹き出して、その火を包み込んで消える。

「ふぅ~。自然発火なんて初めてみたな」

煙がまっているなか俺はそう言っているが、煙が消えるとそこにはびしょ濡れの服を着たキザな男が立っていた。

「どうしたの、コイツ」

俺は目を点にしながらリアスさん達に聞くが、そのリアスさん達は必至に笑いを堪えていた。

「貴様のせいだろうが!」

「とんだ言いがかりだな。俺は火を消しただけだし、第一紛らわしいことをした方が悪い。というか、アンタ誰?」

「風鳴刀矢さま」

「はい。なんですか?」

突然、メイドの人に名前を呼ばれて振り返る俺。

「この方はライザー・フェッニクスさま。純血の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェッニクス家のご三男であらませられます」

(へぇ~フェッニクスねぇ。というか、このメイドさんは何で俺の名前をしってるの!?)

「リアスお嬢さまとご婚約されておられるのです」

「えええええええええええええええええええええええッッ!!!」

その言葉にイッセーが絶叫した。

俺は暫くの間、リアスさんとライザーとか言う男の話を聞いていた。

話を聞いていて俺にもわかったことがあった。

それはリアスさんがライザーとの婚約を、嫌がっているということだ。

「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れ帰るぞ」

ライザーがそう言った瞬間、殺意と敵意、そして炎が部室内に広がった。

「あっ、悪い。手が滑った(棒読み)」

俺はわざとらしい言い方でもう一度水を放出する剣を、ライザーに向けて振り下ろして水をかける。

「ぐっ!?人間の分際でふざけた真似を!」

ライザーがそう言うと同時に、魔方陣らしきものが現れてそこから何かが高速で俺に向かって近づいてきた。

(敵か?それに手に持っているのは槍……いや、棍か)

ガシッ!

俺は瞬時にそう判断し、棍を受け止めて相手の腹に向かって蹴りをいれる。

それを見たライザーは唖然としている。

「刀矢さま、ライザーさま。それ以上の戦闘はおやめください。状況によっては、私も介入しなければいけません」

「最強の『女王』と称される貴女にそう言われては、やめるしかないでしょうね。なにしろ、サーゼクス様の眷属は皆、化物揃いと聞きますからね」

「俺は、もとから無駄な戦闘をする気はありません」

俺とライザーのいざこざを止めたメイドさんに向けてそう言った俺達。

「リアスお嬢さまが、この婚約に賛成でいないのならば最終手段しかありませんね」

「最終手段?」

「はい。リアスお嬢さまの婚約を賭けたレーティングゲームを行って、リアスお嬢さまが勝てば婚約は無かったことに。ライザーさまが勝てば婚約といった簡単な内容です」

それを聞いたリアスさん達が、表情を真剣にする。

「どういたしましょうか?リアスお嬢さま」

「のぞむところよ!」

そう言ったリアスさんには、覇気が感じられた。

「リアス。キミの眷属は、そこの人間を除いた全員なのか?」

「ええ、そうよ」

「俺の眷属は見てのとおり、十五人いる。キミの眷属のなかでいい勝負ができそうなのは『雷の巫女』ぐらいだろう」

ライザーの表情は余裕そうな感じだった。

「リアス、ゲームは十日後でどうだ?それだけあれば、少しは面白くなるだろう?それと、そこの人間も参加させろ。俺はそいつをこの手で焼き消さなくては気がすまないからな」

「待って!刀矢はこの話には無関係ーーーーー「いいぜ!参加してやるよ」なっ!?刀矢」

俺はリアスさんが止めようとしたのを遮り、ライザーいや、焼き鳥野郎に向かってそう言った。

「人間。お前は必ず俺の手で、焼き尽くしてやる!覚えておけよ」

そう言って魔方陣を展開させたライザー。

「待てよ、焼き鳥野郎。これだけは言っとくぞ!ここにいる全員をなめるなよ!お前が俺達にくれた十日間がお前の敗北に繋がることになるからな!」

「どうやら、その人間はよほど死にたいようだな。……まあ、いい。リアス、ゲームでまた会おう」

そう言って、焼き鳥とその眷属達は魔方陣の中へと消えていった。

「刀矢さま」

焼き鳥達が転移していった直後、メイドさんが俺を呼ぶ。

「はい、なんですか?……え~と」

「申し遅れました。私は、サーゼクス・ルシファー様に仕える『女王』のグレイフィア・ルキフグスと申します」

「グレイフィアさんですか。それで、俺に何かようですか?」

「いえ、サーゼクス様より刀矢さまに出会ったらよろしくと伝えておいてくれと言われていたので」

「あ、じゃあ少し聞きたいことがあるのでいいですか?」

俺はグレイフィアさんしか聞こえないぐらいの声で、そう聞いた。

「グレイフィアさんとサーゼクスさんって結婚してるんですか?」

「っ!?なぜ、そのことを?」

「魔力の気配が微妙ににているなって思いまして」

「そうですか。……では、私もそろそろ失礼いたしますね」

そう言うと、グレイフィアさんは魔方陣を展開させて転移していった。

「ねぇ、本当にいいの?刀矢」

「はい。焼き鳥がどんなに強くても、関係ありません。俺はただ、あいつが許せないだけです」

「刀矢の言うとおりですよ!部長」

俺の言葉にイッセーも賛同してくる。

「みんな、ありがとう。…………それじゃあ、明日から特訓ね。みんな、遅れないようにしてちょうだいね」

と、そんなことがあり、俺達は一旦解散するのであった。





 
 

 
後書き
次回、二話『山修行と小さな夢』 
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