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テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―

作者:夕影
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第五十七話

──あの『マイソロ2』のカノンノ…イアハートが現れてから数日が経った。
何故イアハートが『ルミナシア』の世界に来たのかは…なんでも今『グラニデ』で使われているマナに変わる代替エネルギー…内燃式半永久機関の設計書を『グラニデ』から持って来てくれたからだ。

これが此方で完成すれば星晶の枯渇に苦しむ事は無くなり、星晶を巡る国同士の争いや、採掘による土地やマナの消費も解消されるかもしれないのだ。

改めて凄い事になったと想うけど…こんなハイスペック過ぎる物作れるのは…『グラニデ』でいうのならきっと『あの人』なんだろうなぁ、と自然と納得した。
 

それと…ニアタからの提案で、イアハートも暫くアドリビトムに加入する事になった。
なんでも、ニアタがイアハートにこの世界を見てほしいとか。
それで流石に彼女の事も『カノンノ』と呼ぶと混乱するので、彼女自身の提案で『イアハート』と呼ぶことになったのだ。

─────────────────



──そして今、僕達は何をしているかと言うと……



「燃え尽きろ…覇道滅封っ!」


「行くよ…バーンストライクっ!」


「……曼珠沙華…」


「太古の炎よ…エンシェントノヴァっ!」


『『『ギギギギギギィイィィィっ!?』』』


…鍛錬も兼ねて、コンフェイト大森林に異常発生した桜の樹を模した魔物『ブロッサム』を僕、カノンノ、メリア、イアハートで討伐…別名『桜狩り』していた。
うん…やっててあれだけど、オーバーキル過ぎるかなぁ…。



──────────────────


「…ふぅ…さっきので何体目だっけ…?」


「…ん…十九体目……」


星晶剣を納めて一息吐き今目の前で焼け焦げたブロッサムの群れを見て僕が言葉を出すと、近くにいたメリアが小さく頷いてそう答えてくれた。


「十九体…討伐目標数は確か二十体だったから、後一体だね」


「うん…それじゃ、早く後一体を探そうか」


メリアの言葉を聞いてカノンノが確認するようにそう言い、僕がそれに小さく頷いて答えた。
僕の言葉にメリアとカノンノが頷く中…ふと見ると、イアハートが反応すること無く僕の事をじーっ、と見ていた。


「?どうしたの、イアハート…?」


「ぇ…ぁ、うん…『向こう』でニアタから聞いてたけど、衛司って本当に強いんだね」


イアハートの様子に僕が小さく首を傾げて問うと、イアハートは僕を見たまま少し呆けると慌てて首を振ってそう言った。
うーん…そう言われると嬉しいけど、一体『向こう』のニアタは僕の事をどう伝えたのだろうか。


「うん…私も衛司と最近戦ってみたんだけど負けちゃったし…うちの衛司は強いんだよっ!」


「……自慢の彼氏…♪」


「あの…二人とも…褒めてくれるのは素直に嬉しいけど…正直恥ずかしい」


そんな事を考えていると僕の両隣に居たカノンノとメリアがまるで自分の事のように胸を張ってそう言った後、二人共ほぼ同時に僕の両腕に抱きついてきた。
いや、本当…嬉しいけど、今依頼中だからね二人共。


「あはは…モテモテだね、衛司君は」


「…すみません、ニヤニヤしながら言うのは本当に勘弁してください」


僕の両腕に抱きついた二人に苦笑いしていると、イアハートがその様子をニヤニヤとしながら見てそう言って来たので、思わずそう言葉を出す。
うん…なんでこう…彼女達は他に人が居ても此処まで積極的なんだろうか…。


「あ~ぁ…目の前でこんなに見せつけられるんなら、私も『彼』を連れてくれば良かったなぁ…」


「だからすみません…。…『彼』って前に言ってた…?」


「うん。私の大切な…『グラニデ』のディセンダーだよ」


ニヤニヤとしたままそう言葉を出したイアハートに思わず苦笑していると、不意に思い出した『彼』という単語に聞くと、イアハートはコクリと頷いてそう応えた。
一度、イアハートから聞いたけど…今の話から分かるように、どうやらイアハートは『グラニデ』のディセンダーさんと付き合っているらしい。
本当はその『彼』も連れてくるつもりだったらしいけど…なんでも『彼』指名の依頼が多くて一緒に来れなかったらしい。


「あ~ぁ…本当、こうやって平然と目の前でイチャつける三人が羨ましいなぁ~」

「本当に勘弁してください…。ほら、二人もまだ後一匹探さないと行けないんだからそろそろ離して…」


「……キスしてくれたら…離す…」


「あ、じゃあ私もメリアと一緒で♪」


「ちょ、二人共何を…っ!?あぁ、イアハートさんの目がなんかハイライト消えて凄く怖いことになってるから本当に離れてぇっ!!」



──この後、二人にはちゃんと離れてもらってブロッサム残り一匹を無事討伐しました。
え?別に何もナカッタヨー…。




────────────────────



「──あら、ちょうどいいタイミングで帰ってきたわね、衛司達」


「ただいま、アンジュ。ちょうどいいタイミングって…?」


──『桜狩り』を終えて船に戻るとアンジュとリタの二人がなにやら話しており、アンジュが僕達に気付いてそう言葉を出してき、僕は返事をしながらそう問い返した。


「いいタイミングっていうのはアンタ達が依頼にいってる間にドクメントの転写実験の準備が出来たのよ」


「準備が出来たって…完成したの?」


「それを調べる為の実験なんだけど…ちょっと問題があってね…」


リタの言葉にカノンノがそう言うと、リタはそう応えていって溜め息を漏らした。ちょっとした問題…?


「…ちょっとした問題って…?」


「…被験者になってくれそうな人がいないのよ」


メリアの問いにリタは溜め息混じりに額を抑えてそう言葉を出した。被験者になってくれそうな人がいない…まぁ仕方ないと言えば仕方ない、か。
ドクメントの転写…言葉で言ってしまえば簡単だけど、ドクメントとはその『モノ』の情報の塊…言わば『生』なのだ。それを『実験』で弄ってしまうとなれば、誰だって進んで被験者になろうとは思わないだろう。

…よし、それなら…っ!


「よし、じゃあリタ、僕が被験者に──」


「アンタは一番却下よ。ただでさえヤバいドクメントを弄ってどうするのよ」


「──……薄々わかってはいたけどせめて最期までいわせてよ」


言葉を言い切る前にリタに僕が被験者になる、という案を却下されてしまった。
いや、うん…確かに僕のドクメントでやるっていうのは確かに危険だから却下されるとは薄々考えてたけど…それなら被験者は一体どうすれば…。


「…あのっ!」


考えていると不意にカノンノが何か決心したような表情で大きな声を出した。皆の視線がカノンノに集まり、カノンノはそれが分かると静かに言葉を出した。


「…私がやるよ。…ダメ、かな?」


「カノンノ…本当にいいの…?」


決心した表情のままカノンノが出した言葉に、僕はカノンノを見たままそう言った。
さっき言ったとおり…もしドクメントの転写で何か起こってしまえば…。

カノンノは僕の言葉はコクリと頷いて口を開いた。


「うん。私は平気だよ。だって…メリアと繋がるだけだもの。恐くなんかないよ」


そう言ってカノンノはメリアの手を握るとにっこりと笑った。手を握られたメリアも、カノンノの意志が分かったのかカノンノの手を握り返して僕達を見てコクリと頷いた。
その二人の姿を見てリタが口を開いた。

「分かったわ、ありがとう。…それじゃ早速転写実験をするからカノンノとメリア…後一応衛司は研究室に来て」

リタの言葉に僕達は頷いて研究室に向かう…時だった。


「…衛司、ちょっと待って」


「イアハート…?」


リタ、カノンノ、メリアの三人が先に研究室に入った後、先程まで黙っていたイアハートが僕を呼び止めた。…一体どうしたのだろう。

「…ちょっと話があってね。…カノンノ…うん、やっぱり私とそっくりだよ。顔も、髪も、性格も…それに……『誰かの代わりに自分が出来るならやる』って所も…」


「イアハート…」


カノンノ達が入っていった研究室の方を見ながらイアハートは静かにそう言葉を出していく。
そういえば…彼女、イアハートも今のカノンノと似たように、『誰かの代わりに自分が出来るなら』、と何度か危ないことになっていた。それこそ…下手をすれば死んでいたかもしれない程に。


「私は『彼』が居たから、『彼』が支えてくれてたから今此処にいられるんだ。だから…もし彼女が本当に危なくなったら、君がちゃんと支えてあげてね。きっと…彼女にとって『あなた』が支えなんだから」


視線を研究室から僕に移し、真っ直ぐと僕を見てそう告げるイアハート。僕はそれにゆっくりと頷いて口を開く。
そんなの…当たり前である。


「うん。そんなの、当たり前だよイアハート。それに…『本当に危なくなった時』だけじゃないよ。僕はいつだって、全力で彼女を…ううん…カノンノとメリア…彼女達を支えるつもりだよ」


「…うん、よろしい。予想よりちょっと上目のカッコいい返事だったよ。…まぁ、私の『彼』の方がカッコいいけどね」


「ははは…それはちょっと残念」


イアハートを真っ直ぐと見返したままそう言葉を出すと、イアハートはにっこりと笑ってそう言った後少し胸を張って自慢するようにそう言葉を続け、僕はそれに小さく苦笑して言った後、改めて研究室へと入った。





───────────────────



「──遅かったわね。こっちは準備、終わったわよ」

「うん、ごめん。…これが…ドクメント転写機」


「そそ。その名も『トランスクリプタ』よ♪」


──研究室に入ると、そこには大きめな、人二人が乗れそうな機械…ドクメント転写機『トランスクリプタ』があった。
見るとリタの言うとおり、既にメリアとカノンノがトランスクリプタに立っていた。


「んじゃ早速…始めるわよ」


「はいっ!」


「…ん…っ!」


「それじゃあ…展開っ!」


ハロルドの言葉にカノンノとメリアは頷き、リタはそれを確認すると二人に両手を突き出しドクメントを展開させた。
するとカノンノの方からは以前見たのと同じドクメントが、そしてメリアからは…一度見たメルディや、今展開されているカノンノとは全く違う…輝くような金色のドクメントが現れた。

「これが…ディセンダーの…メリアのドクメント…」


「そんじゃ続けて…転写、開始っ!」


展開されたメリアのドクメントに見取れていると、ハロルドが続けてトランスクリプタを起動させる。
トランスクリプタが起動し始めると、カノンノとメリアの一番上のドクメントがまるで本当に一つになるように繋がりだした。
その時…僅かにカノンノが俯いた。

「ぁ……あぁぁ……」


「カノンノ……っ!」


「大丈夫…大丈夫だよ。私ね…、最もステキな事を…今から起こすんだ…」


僅か俯いたまま声を漏らしたカノンノに僕はカノンノを呼ぶ。
皆が心配そうに見る中、カノンノは俯いたまま小さく首を横に振ってそう言葉を出し、次第に俯いていた顔を真っ直ぐと上げて途切れながらも言葉を続けた。


「未来を創るんだよ…。未来を…みんなで…創るんだ…。みんながメリアみたいに、希望を灯していけるような未来を…」


真っ直ぐと上げた顔を一度メリアに向け、そう言葉を続けていくカノンノ。僕達はそれを聞きながら、メリアとカノンノを見守る。
そして、カノンノは再び顔を真っ直ぐと此方に向けて大きく声を出した。


「みんなが、輝けるように…っ!」


カノンノから出された言葉。そしてそれに応えるかのように…一際大きな光が研究室に起こった。
突然の光に僕は思わず目をつぶってしまうが、ゆっくりと目を開けると…そこには展開されていたドクメントの消えたメリアとカノンノの姿が見えた。


「…カノンノ、メリア…身体の方は…?」


「少しふわふわするけど…大丈夫みたい…」


「……私も…大丈夫……」


二人の様子を見ながら僕が問うと、カノンノとメリアはお互いを見合った後そう返事をした。うん…二人とも大丈夫そうだけど…問題は…。


「…ねぇ、実験は成功したわけ?」


「成功はしてる筈だけど、確認は必要ね。カノンノに能力が転写されてるか試してみないと何とも…。…少なくともカノンノの疲労もあるから、すぐには無理ね」


リタの言葉にハロルドはトランスクリプタを確認した後、カノンノの方を見て言葉を出した。
そんなハロルドの言葉にカノンノは少し無理しているように笑ってみせた。


「私は、別に…平気だよ…っぁ」


「カノンノ…あんまり無理したら…僕もちょっと怒るよ?」


「…ぅん…ごめん…」


無理に笑ったままそう言って立っていた場所から動こうとした瞬間、体勢が崩れて転けそうになったカノンノを支え、僕はそのままカノンノを見てそう言ってやった。
全く…本当に、無理して…。


「それじゃ、カノンノが回復するまで確認は無しね。私達はもうしばらくトランスクリプタを確認しておくから、衛司とメリアはカノンノを医務室に送ってあげてね」


「うん…わかった」


「ん…」


リタの言葉に僕とメリアは頷いて、僕はカノンノを背負い医務室へと歩き出した。


ドクメントの転写…無事に終わったけど…本題はまだここからなのだった。





 
 

 
後書き



──以上、第五十七話、如何だったでしょうか?

…うん、こんな出来で申し訳ない←



『イアハートさん』
イアハートの口調とか性格ってこれであってるのだろうか…。本編終了後以外では『マイソロ2』以来だったので不安すぎる…←
因みにイアハートさんにはやはりグラニデディセンダー君と付き合っていただきました+
登場はしないけどなっ!←

イアハート「こんなの絶対おかしいよっ!」

『カノンノとカノンノ』
イアハートさんが言ったとおり、シリーズ通してカノンノってなんでも背負いがちだよね、って話←
うちの衛司君もなんだかんだで自己犠牲型だし…大丈夫なのかこの作品の主人公とヒロイン←←


皆様良ければ感想やご意見等宜しくお願いします+
 
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