ソードアート・オンライン 咎人が背負う運命
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
罪を償い生きる咎人
前書き
少年のスキルが全てを崩壊させた。
元々、崩壊していたデスゲームが更に崩壊し新たな憎悪と憎しみが人を変える。
このステージは不自然だった。
新たに開放された未知のエリアと聞いていたが本当に未知だ。
「なんだこのエリアは?」
キリトも疑問を抱いている。
俺も疑問を抱いているが疑問より不信感の方が強い。
ステージの地図は存在しない。
それは大抵そうなので問題ないが不自然過ぎる隠しエリアだ。
「道が逆さま?」
進むに連れて道がどんどん変化して行く。
最初は一本道だったのに途中から道が左右に別れ次に逆さま?
原形を留めていない道は進むと下に落ちてしまう恐怖感が俺達を煽る。
「バグで裏世界に迷い込んだみたいだな」
「確かにゲームの裏世界に見える」
「でも仮想世界で裏世界は存在しないだろ?」
「有り得ないと言いたいが解らん」
このステージは先日、開放された未知のエリア
謎も多く未知も多い。
出来れば大勢のプレイヤーとパーティーを組んで攻略したいが
俺が居る事を知るとパーティーを組んでくれないだろう。
「進むだけ進む?」
「経験値を稼ぐダンジョンと言ってたからな。
進むだけ進むで情報を集めるのも1つの手か」
新しく開放された未知のエリアだけあって全くプレイヤーが居ない。
情報が少ないエリアに挑むのは愚の骨頂だが誰かが挑まなければ進まない。
なら俺達が進み情報を集め公開、他のプレイヤーが此処に来た時、死ぬ確率を少しでも減らすだろう。
「なら進むか!」
キリトは先に進み歩く。
俺もそれを追い掛けゆっくり進む。
地図がないので下手をしなくても道に迷うが所々にマーカーでも打てば地図がなくともある程度は帰りの行路が解る筈だ。
だが、希に有るステージではエリアが変化し地図やマーカーを無効化するエリアも存在する。
このステージがどんなステージか不明だがある程度、警戒して進む必要が有る。
「タクト」
「なんだ?」
「お前は悪くない」
急に言い出した。
意味は大体、解っている。
「俺が悪くないか悪いかは自分で決める」
「お前のお陰で俺は救われた。
お前が存在しなかったら俺は死んでいた」
「結果的にだろ?」
俺が原因で沢山のプレイヤーが死んだ事はキリトと知っている筈なのにキリトは俺を庇う。
大抵の死んだプレイヤーの死因は俺が原因だと知っていて庇う。
償いきれない罪を背負っているのにアイツは俺を助けようとする。
俺を助ける庇うという事は大量殺戮プレイヤーに加担補助しているようなものだ。
いい加減、聞き飽きた。
「俺が原因で死んだ。
だから俺はこの世界で死ななくてはならない」
それが俺に出来る唯一の償い。
戦って戦って戦って殺される。
この仮想世界で死に地獄で罰せられる。
「でも、お前は救ったんだ!
この世界のプレイヤー全員を」
救った?
キリトは解っていない。
俺のスキルはプレイヤー全員に希望と言う名の絶望をまき散らした事実を
俺のスキルで何人、死んだ?
数え切れないプレイヤーが俺を恨み死んでいった。
「俺は救ったんじゃない。
絶望を与え人の命を喰らう化け物だ」
キリトは黙り込んだ。
俺の真実を聞いて言い返せないのだろう。
罪は罪、救ったプレイヤー達も罪の代償に救われただけだ。
「俺は死ねなくても死ねないんだ」
俺は救われていけない人間だ。
助けを求める事も許されず人の命を貪り自身の力とする災厄な化物だ。
「俺に救済の言葉は必要ない」
何度も何度も何度も自身の命を断ち斬ろうとした。
だが、俺にそんな生易しい死に方は許されなかった。
なら俺は最後まで生き抜き最後で死ぬ。
「お前の友達も俺が殺した」
「あれはお前の責任じゃない!」
「いや、俺の責任だ。
俺があの時、なんの確認もせずスキルを使ったから死んだんだ」
俺は何時も思い出す。
あの時、スキルを発動しなければこんな事態にならなかった。
俺が現実世界で存在しなかったらこんな事態は起こらず救われたんだ。
でも、過去は変えられない。
「お前は悪くない。
悪いのは茅場 晶彦だ!
アイツが俺達をこの世界をデスゲームに変えたから」
キリトの言い分も解る。
俺も当初は茅場 晶彦が全ての罪を背負うべき人間だと
だが、奴の茅場 晶彦に全てを罪を擦り付けたら俺は奴と何も変わらない。
「いや、奴が俺を選んだ。
俺が居なければ死んでいればこんな事態にならなかったかも知れない」
「それは過程の話だ。
どの道、奴が俺達をこの仮想世界に閉じ込めなければ!」
解る。
キリトの言いたい事は解る。
でも、俺が居たから死んだんだ。
罪のないプレイヤー達が何人も何人も死んだ。
「何を叫んでいるのかなキリト君?」
後ろから突然の声、キリトはその呼び掛けに後ろを振り向き見る。
「団長?
それにアスナ?」
突然、剣が俺の目の前に現れた。
それは俺に向けて振り落とされる。
完全に殺す勢い。
俺は剣を引き抜き剣を受け止める。
「久しぶりだなアスナ」
俺に剣を振りかざした張本人 アスナに言う。
「久しぶりねタクト君
早速だけど死んでくれない?」
剣に込められた力が更に深まる。
徐々に受け止めている俺の剣がギシギシと軋む音が響き俺を押さえ込む。
「久しぶりの挨拶がこれか?」
「アンタにはこれが丁度良いと思うけど」
「止めろアスナ!」
キリトが入り込む。
アスナの剣を弾きアスナを後方に吹きとはず。
だが、アスナは体勢を立て直し構える。
「アスナ、タクトは悪くない!
悪いのは茅場 晶彦だ!」
「そんなの解ってる!
でも、許せないよ」
アスナは走り込み剣を前に突き出す。
ソードスキル スターダストライト
剣が星のように輝き標的に高威力の突きを連続で行う高レベルスキルだ。
「キリト君、離れて!」
俺に向かい突進、ソードスキル スターダストライトは対象との距離が遠ければ遠い程、威力が増すスキルだ。
俺とアスナとの距離は大体、10m~15m
剣の世界 ソードアート・オンラインでは近距離が主なゲーム
しかもアスナの使っているスキルは対象との距離があればある程、威力が上がる。
キリトの持つ武器では受け止められない。
無論、俺の武器で防御しようが受け止めけれず剣が折れるだろう。
「止めたまえアスナ君!!」
大声で団長 ヒースクリフは言った。
その声にアスナは止まり立ち止まる。
「何故ですか団長!
アイツが死ねば全てのプレイヤーが報われるのに!」
「では聞くが彼が死ねば死んだプレイヤーが生き返るのか?」
絶句、それしか言えなかった。
何も言えない。
何も言える筈がない。
アスナは解っている筈だ。
俺が死んでも死んだ人間は生き返らない。
「でも、タクト君は私の友達を殺した!」
俺は何も言えない。
言う権利を持たないんだ。
俺は慰めの言葉も哀れみの言葉も言ってはならない。
「確かに彼のスキルが生きているプレイヤー全てに呪いを掛けた。
だが、彼が望んでスキルを発動したと思うか?」
団長 ヒースクリフは冷静だった。
彼も俺のスキルにより呪われたプレイヤーの1人の筈なのに
「恨むなら彼を恨むな。
恨むならこの世界を創った茅場 晶彦を恨め!!」
何時も冷静な団長が大声で叫んだ。
何回か会って話をした事が有るが何時も冷静で怒る事を知らない人だと俺は思っていた。
でも、俺を庇い助けようとする。
冷静さを捨て大声で彼は団長 ヒースクリフは言った。
「彼は悪くない!」
後書き
今回は少し長めに出来ました。
原作と違って気持ち悪いかもしれませんが読んで頂けると嬉しいです。
感想が聞きたいのでコメントを宜しくお願いします!
ページ上へ戻る