転生とらぶる
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マクロスF
0716話
映画鳥の人が公開され、ランカが一気に注目を浴びるようになってから暫くが経ち、今まではシェリル一色だった街の景色も急激にランカの姿が増えてきていた。
こうして見る限りでは、まだ7:3くらいの割合でシェリルの方が大々的だ。だが、ランカの方はフロンティア船団の出身という事もあって勢いがあり、その分熱狂的に受け入れられている。
いや、銀河ネットの方でもかなりファンを増やしているらしい。もっとも、さすがに銀河ネットにまで目を向ければシェリルとの差はまだ大きいらしいが。
「いっそ、オズマかアルト経由でサインでも貰っておくんだったか?」
街中の映像モニタに映し出されるランカの姿を見ながら思わず呟く。すると隣を歩いていた人物から伸びてきた手が、グニリと俺の頬を抓る。
「あたしと一緒にいるのにランカちゃんの事を考えてるのって、ちょっと失礼じゃない?」
いつものように大きめのサングラスで顔の上半身を、同じく大きめの帽子の中にストロベリーブロンドの髪を収めたシェリルだ。
伸ばしてきた手を解き、ジト目で見やる。
「大体ランカは学校に通う事も出来無い程に忙しくしてるんだろ?」
「そうらしいわね。ま、今が一番楽しい時期だもの」
ルカ経由で仕入れた情報によると、アイドルとしての活動をしていたランカは美星学園に転入したものの、鳥の人の公開以降は仕事で生活の殆どが埋まり学校に行くような余裕が無いらしい。
ルカが好きな相手がランカの親友だとかで、その親友が元気が無いと嘆いていた。
「なのに、銀河の妖精はこうして街中を散策か? わざわざ俺を引き連れて」
シェリルはS.M.Sに良く顔を出すし、あるいは仕事の依頼もしてくる。この辺は、気安く接する俺という存在がいるというのの他に、ギャラクシー船団の行方が分かった時にS.M.Sに依頼して戦力を当てにしようという狙いもあるのだろう。
別にそれが悪いとは言わない。シェリルにとってそれだけギャラクシー船団は重要なのだろうから。
だが、何故か俺が半ばシェリルの担当という扱いになっているのはどうなんだろうな。
……まぁオズマに言わせれば、俺の強さならどんな相手でも生身で対処出来るってのが大きな理由らしいが。
『ヒュドラの病気に関しては、やむを得ず感染した個体を全て処理するという対応をする事になりました。今回の件でアイランド3の生物環境が多少乱れる事になりますが、その辺は調整可能範囲です』
「ヒュドラ、か」
TVに出て記者会見を行っているグラス大統領。その口から出ているのはヒュドラに関してだった。
「まさか、ヒュドラが病気になるなんて思わなかったわよね」
俺の隣を歩きながら、しみじみと呟くシェリル。
鳥の人の撮影で行った島に生息していたヒュドラ。後で聞いた話によると、そのヒュドラが何らかの病気に感染しており凶暴になっていたらしい。ライオンっぽい外見の割には人懐っこいところがあるヒュドラだが、アルトとランカに襲い掛かったんだとか。何だかんだあって、結局無事ではあったらしいが……
「バジュラの件と言い、ヒュドラの件と言い、最近のフロンティア船団は色々と不運続きだよな」
「そうね。……でも、だからってあたし達まで沈んでてもしょうがないでしょ。ほら、見えてきたわよ!」
そう言い、目当ての店へと視線を向けるシェリル。
……今日出て来たのは、目当ての店……以前にも行ったクレープ屋でクレープを食べる為だったりする。
前に来た時に贔屓にするとか言っておきながら、結局あの時以来ご無沙汰だったのが気になっていたらしい。
いや、気になっていたっていうか、どちらかと言えばあの屋台――移動販売車――のクレープをもう1度食べたかったってのが正確か?
ともあれ、そう駄々を捏ねられ、何故かシェリルの専属と化している俺にお鉢が回ってきた訳だ。
「今日は何を食べる? あたしはオレンジとか良さそうだけど」
「この前ベリー系を攻めたからな」
かと言ってゴーヤクレープは遠慮したいし。
「ま、メニューを見てから考えるさ」
そう告げ、シェリルと2人でクレープの屋台へと向かって行く。
「お、いらっしゃい。確か以前にも来たよな? 何を食べる?」
俺とシェリルを見た店主が最初に口にしたのがその言葉だった。
「あたし達の事、覚えてるの?」
「ああ、色々と印象深かったからな。それに、こう見えても客商売だ。上客になりそうな相手の顔くらいはきちんと覚えてるさ。……もっとも、そっちのお嬢ちゃんは殆ど顔が分からないから、坊主の方の顔だが」
顔が分からない、と店主が口にした時に少しだけピクリとしたシェリル。だが、すぐに小さく笑みを浮かべてメニューへと目を向ける。
「ま、アクセルが覚えられているならいいわ。で、早速だけど注文してもいいかしら?」
「あいよ、今日は何にする?」
「そうね……この真夏の情熱南国風ってのをお願いするわ」
視線の先にあるのは、パイナップルやキウイ、マンゴーを初めとした南国の果物をふんだんに使ったクレープだ。マンゴーのような高級な果物を使っている為か、その値段はメニューの中でも上位に入っている。
にしても、オレンジ系を食べるとか言ってなかったか? そう思った時、シェリルは更に口を開く。
「それと、アクセルの分はオレンジとチョコのクレープでお願いね」
「……おい、何で俺の分まで勝手に注文してるんだ?」
「別にいいじゃない。まだ何を頼むか決めてなかったんでしょう?」
「いや、それは確かにそうだが……」
個人的には、軽食系のクレープにも興味を惹かれたんだけどな。竜鳥のローストとかいうが気になっていた。
確かこの竜鳥ってのは、マクロスプラスに出ていた動物の1つだ。ヒュドラと同じく惑星エデンが原産らしいんだが。
ま、別に今日食べないと後で食べられなくなる訳でも無いし、オレンジとチョコでもいいか。
それに、チョコとオレンジのクレープというのは確かに興味がある。珍しい組み合わせだよな。……いや、デザートの類に詳しい訳じゃ無いから、実はそれ程珍しくないのかもしれないけど。
そんな風に思っていると、屋台の主人が早速クレープの生地を焼き、そこに各種具材を乗せていく。そして数分もしないうちに……
「はい、お待ち」
紙で包まれたクレープが渡され、それを受け取った瞬間に甘い匂いが漂い食欲を刺激してくる。
その刺激に抗えぬままに1口噛ぶりつく。
まず最初に口の中に広がるのは仄かな甘さのクレープ生地。それを噛み切ると、濃厚なチョコソースが口一杯に広がり、最後にオレンジの爽やかな酸味が口の中の甘みを洗い流す。
「……相変わらず美味いな」
以前食べたベリー系のクレープも美味かったが、このチョコとオレンジの組み合わせもいけるな。
そう思ってしみじみと味わっていると、不意に隣にいたシェリルが顔を寄せてきて俺の持っていたクレープへと噛ぶりつく。
「んー、確かに美味しいわね。ただ、ちょっと味が濃いようにも感じるけど……ま、この辺は好みでしょうし」
「おい、何で人のクレープを横から勝手に……」
「味見くらいさせてくれたっていいじゃない。ほら、アクセルも食べてみる?」
そう言い、自分の食べかけの真夏の情熱南国風とやらのクレープを差し出してくるシェリル。
確かにこっちのクレープも気になっていたことだし、そのクレープへと齧り付く。
チョコとオレンジの方は濃厚なチョコの味を楽しむ感じだったが、こっちはどちらかと言えば果物の方を楽しむ感じだな。パイナップルか何かの酸味の強い果物を潰してソースに使っているらしく、甘酸っぱさが際立つ。
「どう? あたしとの間接キスなんだから、ありがたく味わいなさい?」
「それを言うなら、そっちも俺との間接キスなんだけどな」
「……そっ、そのくらい分かってるわよ!」
自分の食べかけによる間接キスはともかく、俺の食べかけによる間接キスは予想外だったのだろう。頬を赤く染めて視線を逸らす。
相変わらず自分から攻めるのはともかく、攻められるのは弱い奴だな。
いやまぁ、銀河の妖精の間接キスとかこの世界にいるシェリルのファンが聞けば憤死しそうではあるが。
「あのさぁ。前にも言ったけど、イチャつくなら他所でやってくれないか? あんた等のラヴっぷりがバリアーになって、他の客が来ないんだよ。ピンポイントバリアよりも強力なバリアだよな」
店主のそんな言葉に、シェリルは頬を赤くして俺を引っ張ってクレープ屋の屋台から離れるのだった。
やっぱり攻撃力はともかく、防御力は弱いよな。
そんな風に思いつつ、シェリルに手を引かれながら少し離れた場所まで移動してようやく落ち着いてクレープを味わう。
そんな中、ふと視線の先に見覚えのある人物の顔が目に入ってきた。いや、直接話した事があるって訳じゃ無くミス・マクロス・フロンティアの映像で見覚えが……
その人物は中年で厳つい顔をしており、1人で道を歩いている。
「あら? ……何であの人が1人でこんな所に?」
俺の視線を追っていったシェリルが呟く。……そうか、シェリルもミス・マクロス・フロンティアの審査員として参加していたんだから、顔見知りでも当然か。
「で、誰だ?」
「え? 知らないの? 嵐蔵・早乙女」
「早乙女? ああ、そうか。アルトの……」
「そ。父親ね。……って、ちょっとアクセル!」
早乙女嵐蔵の方を見ていたシェリルが悲鳴のような声を上げる。
その声に視線を向けると、そこでは早乙女嵐蔵が地面へと倒れ込もうとしているところだった。
「ちぃっ!」
持っていたクレープをシェリルの方へと放り投げ、瞬動を使用。それ程距離が離れていなかったという事もあり、そのまま地面を頭部をぶつける直前に何とか受け止める。
「ふぅ、何とかギリギリセーフだったな」
あのまま俺が受け止めていなければ、恐らく地面に頭部を強打していただろう。それも、コンクリートで出来た地面に。
「ちょっとアクセル、大丈夫!?」
「ああ、無事だ! それよりも救急車に連絡を頼む。さすがに知り合いの父親を放って置く訳にもいかないだろ」
「もう連絡済みよ。すぐに来てくれるって言ってるわ。……にしても、アクセル。今どうやって移動したの? 何か姿が消えたと思ったら、次の瞬間にはもう嵐蔵・早乙女を受け止めていたけど」
「……軍人としてのスキルの1つだよ」
さすがに苦しいか? だが、まさか瞬動について教える訳にもいかないしな。
「あたしも色々と軍人を見た事はあるけど、ああいうのは初めて見たんだけど?」
「その辺は色々とあるんだよ。出来れば詮索しないでくれると助かる」
「……」
俺の方をじっと見ていたシェリルだったが、やがて救急車のサイレン音が聞こえてくると小さく頷く。
「ま、いいでしょ。あたしにだって人に話せない、話したくないような秘密は幾つかあるしね。アクセルにもそういうのがあったとしてもおかしくないわ」
「悪いな」
「いいわよ、別に。ただ、気が向いたらいつか話してくれればね」
そうしてお互いが黙り込み、やがて救急車がやってきて早乙女嵐蔵を軍病院へと運んでいく事になる。
……一応通報したのが俺達だったって事で救急車に一緒に乗って軍病院へと向かったが、さすがにシェリルは正体がバレると不味いからホテルへと戻り、軍病院に同道したのは俺だけになっていた。
尚、シェリルの方に放り投げたクレープについては、さすがに咄嗟の事で受け止めるられずに地面へと落ちていた。……くそう、殆ど食ってなかったのに。
「先生を助けて頂き、ありがとうございました!」
病室の中で、目の前にいる細い眼をしたほんわかした雰囲気の男が頭を下げてくる。
「その、アクセル君と言ったかな。君のおかげで私も助かった。ありがとう」
ベッドで上半身を起こしていた早乙女嵐蔵も頭を下げてくる。
「気にするな、倒れるのを偶然見かけただけだし。……それに、知り合いの親を見殺しには出来ないだろう?」
「知り合い? もしかしてアクセルさんはアルトさんの……」
「ああ。シェリル・ノームのライブでも一緒にアクロバット飛行とかをやってたな」
「そうですか! その、名乗るが遅くなりましたが、私はアルトさんの兄弟子で早乙女矢三郎といいます」
ペコリと頭を下げる矢三郎。
だが、嵐蔵の方は特に何を言うでもなく小さく頭を下げただけだ。
この辺、アルトと同じく強情なのか……はたまた、既に家を出たアルトに対して感心を持っていないのか。
「先生、アルトさんの事を……」
「黙れ、矢三郎。あのような者の事は口にする必要は無い」
「……先生……」
何だかこのままここにいると、妙な騒動に巻き込まれそうだな。取りあえず、嵐蔵の方も何か致命的な程の病気って訳でも無いだろうし、この辺で失礼した方がいいだろうな。
「じゃあ、俺はこの辺で。健康には気を付けた方がいいぞ」
「うむ、感謝する」
もし……そうだな、もし、このマクロス世界と交易を結ぶような事になったとしたら……他の世界の歌舞伎について情報を流してみるのも面白いかもしれないな。
そんな風に思いつつ、軍病院を後にするのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:41
PP:710
格闘:274
射撃:294
技量:284
防御:284
回避:314
命中:334
SP:734
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
???
???
撃墜数:651
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