ルドガーinD×D
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第十六話:異物と賞味期限
赤龍帝と白龍皇、幾度となく繰り返されてきたその戦いの結末は――引き分けだった
最初は圧倒的な力の差の前になすすべもなかったイッセー君だったが
ヴァーリが言った家族を殺すという言葉に激怒し擬似的ではあるが禁手に至ったことで状況は一変した
ついにヴァーリを殴り飛ばすことに成功し、さらには白龍皇の力までも吸収してしまった
そこからの戦いは筆舌しがたい物だった……
ただ一つ僕に言えることと言えばイッセー君のおっぱいに対する思いは白龍皇を圧倒する物だった言うことだ………
結局、イッセー君は時間切れとなりヴァーリは孫悟空の子孫という美候がむかえに来た
ことで戦いは引き分けになることで終わった
テロ組織『禍の団』は無事追い払われ三勢力は正式に和平を結びことに決まった
それ自体は非常に喜ばしいことなんだけど僕はまだ喜ぶことが出来ない……
なぜなら――ルドガー君が未だに目を覚まさないからだ
Side ただの黒猫
「朱乃、ルドガーの具合はどう?」
「余り芳しくない状態ですね……原因が分からない以上は手の施しようがないですし」
「そう……環境の変化による疲労、戦闘によるダメージ、そして何より無茶のし過ぎ!!……これが絡み合ったせいなのかしらね」
「とにかく今は安静にしておくのが一番の薬でしょう」
「そうね……夜も遅いしそろそろ私達も休みましょう」
「はい……」
グレモリーとその女王が部屋を出たのを見計らい窓から部屋に入る、侵入成功にゃ♪
仙術で気配を消して猫の姿になっているから今の私はただの猫にゃ
だから思っていたよりもかなり早く再会したというわけじゃないにゃ
そう私はただの通りすがりの黒猫、黒歌なんて名前じゃない
だからルドガーと会うことには何の問題もない……屁理屈だけど
「まったく、ヴァーリも病人に攻撃するなんてどうかしてるにゃ」
三勢力会談から帰ってきていきなり
『病気のルドガー・ウィル・クルスニクに攻撃したが一発で倒れてしまった』
て言われた私の気持ちを考えて欲しい
私も戦うのは好きだけど流石に病人に攻撃するのはアウトだって思ってる
というか好きな人に攻撃したと言われて平常心でいられる人間もそうはいないだろう
思わずヴァーリを吹き飛ばした私は悪くないにゃ
そしてそれに対して
『ふ、ちょうど戦い足りなかったところだ、一戦頼む』
と言ったヴァーリにドン引きしてしまった私は悪くないと思う
まあ、今はそんなことよりもルドガーの看病にゃ
「……やっぱり、気が乱れてるにゃ……私が傍に居れたらこんなことにはならなかったのに……」
ルドガーの体内の気の流れはなぜだか分からないけど特殊にゃ
まるで別の世界の人間みたいに構造が他の人とは違う
多分あの骸殻が関係しているんだろうけど……まあ詳しいことは分からないにゃ
私もルドガーが悪魔になるまでは気づかなかったんだけど悪魔になってから
まるで体が異物を拒絶するような反応をして気を乱していたから調べてみると
元々の気の流れと悪魔としての気の流れが一致していないせいで気に乱れが起きていた
一緒に暮らしていた時は私が整えていてあげてたんだけど……離れちゃったから……
「でも、今から私が治してあげるから安心するにゃ、ルドガー」
そう言って人型になりルドガーの頭を撫でる
サラサラとした髪が気持ちよくてずっと触っていたくなるけど我慢して手を離す
気の乱れを治す方法は色々あるけど私は房中術を使う
本当は二人で気持ち良くなりながらやりたいんだけど
流石に病人相手にそれは出来ないので今回は諦めることにするにゃ……今回はね?
それで今回はどうするかと言うと口から
私の中の気を大量にルドガーに送り込んで無理やり正常な気の流れに戻すという方法にゃ
要するに――
「キ・ス♪」
ということにゃ♪
「それじゃあ、さっそく――にゃ?でもそうすると二回連続で私からということになるにゃ……」
初めては私からだったんだから次はルドガーからがいいにゃ
でもそうするとルドガーの気の乱れを治せないにゃ……
うーん…………っ!!そうにゃ!!!
「ノーカンにゃ!!これは治療だからノーカンでオッケーにゃ!!!」
うん、我ながらいい案にゃ♪
「じゃ、いくにゃ、チュッ♪」
本当はもっと深く、激しくしたいんだけど気を送り込むのに集中しているから出来ないにゃ……
……残念だにゃ
とにかく気を送り終わりしばらくルドガーの様子を見ていると
さっきまでとは違って穏やかな寝息になったから一安心だにゃ
その様子を確認しそっと猫の姿に戻り窓から出て行く――
「………クロ」
「っ!!?」
ばれたのかと思い振り返るけどルドガーは相変わらず穏やかな寝息をたてたまま
「……寝言かにゃ?」
夢の中の私は何をしているんだろう?
やっぱり猫の姿で遊んでもらってる?それとも人の姿であなたの傍にいる?
それとも――
「……あなたの傍にいない?」
分からない……でも、ルドガーはどんなことがあっても連れ戻すって言ってくれた……
だから――
「きっと、あなたの傍にいるよね?……せめて夢の中でぐらいあなたの傍にいさせてね、ルドガー」
side ルドガー
目を開けると見慣れない天井が見える
「どこだ?ここ?」
何だか幸せな夢を見ていた気がするけど……今はそれよりも状況確認だな
確かヴァーリの攻撃を受けてそれからイッセーに後任せて意識を失ったんだっけ?
体調さえ崩れなかったら俺が戦ったのにな……イッセーには迷惑をかけたな
っ!!そういえばみんなはあれからどうなったんだ?
……とりあえずみんなが無事かどうかを確認しないとな
そう思い、ベッドから抜け出そうするが起きてすぐのせいか
立ちくらみが起きてしまい大きな音をたてて床に転がり落ちてしまう
「いったた……」
俺が、しこたま打ち付けた腰を擦っているとドタドタと階段を上ってくる音が聞こえてくる
「ルドガー先輩、起きたんですか!!?」
勢いよくドアが開き、真っ先にギャスパーが飛び込んでくる
「ルドガー君、よかった……」
その後に木場がそしてオカルト研究部の面々が続々と入ってくる
……みんな無事みたいだな、よかった……
「イッセー……あれからどうなった?」
「ああ、しっかり殴り飛ばしてやったぜ!!」
そう言って腕を叩いて見せるイッセーに思わずニヤリとしてしまう
あの戦闘狂に一泡ふかしてやったみたいで俺は満足だよ
「ルドガー、気分はどう?」
部長が心配そうに俺の具合を聞いてくる
「大丈夫みたいです」
「でも、ベッドから落ちたみたいだから本当はまだ辛いんじゃないの?」
「いや、ただの立ちくらみですから」
「もうしばらくベッドで安静にしておきなさい!!」
なんだ?やけに部長が心配してくるな、他のみんなも部長の言葉に頷いてるしな
「みんな心配しすぎだろ?ちょっと寝込んでただけなのに」
俺がそう言うとみんなが大きくため息をついた……なんだ?解せん
「はあ……あなた一体どれだけ寝込んでたかわかってる?一週間よ、一週間」
へえ、俺、一週間も寝込んでたのか、道理で立ちくらみなんて起こす訳だ
いやー納得……まあ、それはさておき――
「部長、お腹が減りました」
「無理やり話題を変えようとしてもだめよ」
痛っ!?部長、病み上がりにたいしてチョップはいけないと思います!!
というか、一週間ってもう夏休み入ってるんじゃないか?なんか損した気分だな……
ん?それと何か忘れてるような――
「おーい、お前ら俺のこと忘れてねえか?」
「「「「「アザゼル!!?」」」」」
うーん……後ちょっと、後ちょっとで出てきそうなんだけどな
「どこから入ったんだ!?」
「普通に玄関からだぜ、お前ら修行不足だぞ」
「俺の家に何の用だよ?」
ああ、ここイッセーの家だったのか、それにしても思い出せないな……
「俺はオカルト研究部の顧問なんだぜ?この夏休みにグレモリー家に帰るんなら俺も一緒に行くぜ」
部長の実家に行くのか、久しぶりにミリキャス君に会えるな、楽しみだ
それにしても本当に腹が減ってきたな、もうトマトのまるかじりでもいいな
……ん?トマト――はっ!?
「しまったああああああっ!!!??」
「うおっ!?どうしたんだルドガー!!?」
一週間ということはつまり…つまり――
「スーパーの特売で買い込んだトマトが傷んでるうううううっ!!!??」
奥様方との壮絶な戦いの末に手に入れた
俺の大事な戦利品のトマトがああああああっ!!!!!
「トマトぐらいで大げさな奴だな……」
「黙れ!!お前にトマトの何が分かる!!!というか、いたのかよ、アザゼル!!?」
「………お前俺のこと絶対嫌いだろ……」
仕方ないだろ、気づかなかったんだから、それよりも今はトマトの方が大切だ!!
カムバック!!!マイ、トマト!!!プリイイイイイズッ!!!??
後書き
ルドガーさんを治してくれた黒猫……いったい誰なんでしょうね?(笑)
次回は冥界に行きます
最近、ルドガーさんと黒歌をいちゃつかせるために話を早く進めようとしている気がする……
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