DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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空に太陽がある限り!
<アレフガルドの平原-ラダトーム付近>
「うわ、眩しい!!」
ルビスの魔法でラダトーム近郊まで戻ってきたアルル一行。
諸悪の根元である大魔王ゾーマを倒した事により、闇の空間へ閉じこめられていたアレフガルドに、眩い太陽が輝いていた。
「えぇ…本当に眩しいですねリュカ。太陽とはこんなにも眩しい物なのですね」
神としての力が少しずつ戻ってきたルビスが、禍々しい邪気が消え去った世界を仰ぎ、嬉しそうにリュカへ話しかける。
とても可愛らしい笑顔で…
「ちょっとティミー!何でアナタが顔を赤くするの!?」
可愛いルビスの笑顔を見て、思わずティミーは顔を赤らめてしまった様だ。
勿論気に入らないのはアルルさん。
「アルル…それくらいは許してやれ!笑顔見て顔を赤くしている程度では絶対に浮気はせん!逆に笑顔で見つめ返す様になったら手遅れだ。もう既に愛人の2人は居るぞ!」
多分オルテガ流のフォローなのだろう…
「お父さんとティミーを一緒にしないでよ!私の彼氏は愛人なんか作らないわよ!そんなアホな事する男じゃないの!」
だが余計に怒らせる結果になった父親の台詞。
10年ぶりに再会した父親への反抗期なのか、同じベクトルで周囲を掻き乱す人物が増えた事への怒りなのか…
リュカとオルテガに対する当たりが強くなったアルルだ。
「アルル…お義父さんにそう言う言い方をするもんじゃないよ。折角10年ぶりに会えたのだから、もっと素直になった方がいいよ」
ヒステリックな彼女の頭を、ソッと優しく撫でながら父に甘える様に促すティミー。
「だ、だって………折角再会出来たのに…全然甘えさせてくれないんだもん………」
どうやらアルルは父親に甘えたかった様だが、妻にかまけて優しくしてくれないオルテガに拗ねていた様子。
それを的確に理解したティミー…どうやら腕を上げたらしい。
「おいおい…彼氏が居るのだから、俺になんか甘えるなよ。大好きな彼氏とベッタリシッポリ○○○○○○してろよ」
父親が年頃の娘に言う言葉ではないのだが、苦笑いをしながらトンデモない発言をし、太い左腕を伸ばしてアルルの頭をクシャクシャにしながら抱き締めた。
ラダトームが目前に見えているとは言え、フィールドで周囲を警戒する事もなくマッタリしている一行。
大魔王を倒し、世界が平和になった事を心から実感しているのだ。
「さて…何時までも此処でこうしている訳にもいきません。そろそろラダトームに行きませんか?」
全員がまったり感を堪能していると、ルビスが遠慮がちに帰還を促した。
「その事なんだけどさぁ…別にラダトームに行く必要って無くね?お天道様が出てきたのを見れば、大魔王は倒された事なんて一目瞭然じゃん!わざわざ報告する必要も義務もないよ…このままルビスちゃんのお力で、俺等をアリアハンへ送ってくれないかな?」
此処に来てラダトームのお姫様を懐妊させた事に負い目を感じたオルテガが、ラルス1世との対面を避けようとルビスにアリアハンへの帰還を促す…
「あ、あの………その………出来ません…………」
だがルビスは戸惑いがちにアリアハンへの帰還を拒絶した。
「あ゙…何でさ!?」
「あの…それが…」
少し不機嫌なオルテガの問い掛けに、身を縮めて言い辛そうにするルビス。
「どうやら…ゾーマを倒した事により…アリアハンのある世界と、アレフガルドとの接点が失われ…い、行き来が出来なくなったようです……………」
「「「…………………えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!?」」」
ルビスの言っている意味が一瞬理解出来なかった一同…ややあって驚愕の声を上げる。
「ちょ、待て!まさか僕等もグランバニアへ帰れなくなったって事は無いよな!?」
「そ、それは安心してください。リュカ達の世界にはマスタードラゴンという神が存在し、彼と連絡を取る事で双方向からゲートを繋げる事が出来ます。従って帰還は可能です」
力強い瞳でリュカを見据え、元の暮らしへの帰還を約束するルビス…
だがオルテガやアルル等へは視線を合わせられないで居る。
「ルビス様…何とかならないのですか?アリアハンにはお爺ちゃんを残してきたんです。家族揃って無事を伝えないと………」
「ごめんなさい…私だけの力ではどうにも…た、魂だけなら送れるんですけど…」
「魂だけ?ねぇルビス…それって『転生』ってヤツか?」
自分は帰れると言われ安心していたリュカだが、ルビスの説明に気になる点があったらしく、アルル等への説明を遮って質問をぶつける。
「そうです転生と呼ばれてますね…よくご存じですね!?」
「あぁ…うん。経験者だから!」
「え?父さん、経験者って…」
今度はティミーが、リュカの一言に問い掛けをする。
「ん?…うん。僕は転生者だ!以前は別の世界で違う人生を送っていたけど、どういうワケだか分からんけど、パパスとマーサの息子…リュカとして生まれ変わったんだ。だから見た目より人生経験豊富です!」
遂に自身が転生者だと証すリュカ。
「か、母さんはご存じだったんですか!?」
いきなりのカミングアウトで動揺するのは息子のティミー。
「知っていたわよ…でもそれが何?リュカはリュカでしょ。どんな人生を送っても、貴方の父親に変わりはないでしょ!?」
事前にビアンカにだけは打ち明けていたリュカ…
それが功を奏したのか、動揺する一同(マリーは除く)に落ち着きを取り戻させた。
「あはははは…これで分かったろティミー。僕は大した人間じゃないんだ…グランバニアの治世も、前世の記憶をフル活用しているだけ!僕が自ら発案したワケじゃないんだよ」
『リュカはリュカ』母の言葉がなければ、些か取り乱しトンデモない暴言を父親にぶつけていただろうティミー…
何とか冷静に父を見つめ、絞り出した言葉は…
「前世では『周囲に迷惑をかけてはいけない』と教わらなかったんですか?」
父は父…
そんな思いを胸に抱き、最大限リュカの息子らしい感想を述べるティミー。
家族からは大爆笑で受け入れられた。
だが笑っていられないのは表の世界から訪れた面々だ。
グランバニアへ帰れるリュカ達と違って、皆考え込んでいる。
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