美しき異形達
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第十八話 姉妹の力その十五
怪人はその横に振った斧をだ、素早く己の頭の上にやり。
その刀を受けた、そうして鈴蘭の攻撃を防いだ。
その一撃を防がれてからだ、鈴蘭は着地した。そうしてこう言った。
「速いわね」
「そう来ると思っていた」
「攻撃を跳んでかわして」
「上から一撃を加えてくるとな」
まさにだ、鈴蘭は彼の読み通りに動いたというのだ。
「予想通りだったな」
「そうなのね、けれどね」
「これで終わりではないな」
「その通りよ」
こう言ってだ、そしてだった。
鈴蘭は今度は怪人の喉に突きを入れた、その突きは。
怪人は上体を捻ってかわした、刀は首を掠めただけだった。
その鈴蘭にだ、さらにだった。
怪人は斧を振るう、鈴蘭はそれをかわす。その攻防を見て。
薊は確かな顔でだ、隣にいる黒蘭に言った。
「黒蘭ちゃんの言った通りだな」
「私は嘘は言わないわ」
「強いな、本当に」
「一撃を受けたら確かに終わりよ」
こうだ、黒蘭も薊に答えた。
「けれどね」
「その一撃を受けないっていうんだな」
「どんな攻撃も当たらないと意味がないわ」
黒蘭はいささか怪人の側に立って述べた。
「だからね」
「鈴蘭ちゃんもだな」
「そう、当たらないわ」
怪人のバトルアックス、それをだというのだ。
「だから安心していいわ」
「そういうことだな」
「そうよ、姉さんはあの斧に当たることはないわ」
決して、というのだ。
「そして姉さんの攻撃はね」
「当たるんだな」
「そうよ、見ているといいわ」
鈴蘭のその闘いをだというのだ。
「姉さんが勝つことをね」
「そうさせてもらうぜ、今からな」
薊は確かな笑顔で黒蘭に応えた、そしてだった。
その目の前でだ、鈴蘭は。
怪人のバトルアックスを受けかわし続けていた、その間自分では攻撃は殆どしない。怪人はその鈴蘭に問うた。
「逃げていないな」
「そう見えるのかしら」
「いや、見えない」
それは決してとだ、怪人も答える。
「何かを考えているな」
「その通りよ」
「ではどういった考えだ」
「見ているのよ」
鋭い目で笑ってだ、怪人に答えた鈴蘭だった。
「貴方をね」
「俺を」
「そしてわかってきたわ」
その笑顔のままでの言葉だった。
「貴方がね」
「どういうことだ」
「ここで」
怪人の目と腕を同時に見た、そして。
振り下ろしたその腕にだ、鈴蘭は。
素早く小さな動きで突きを入れた、その突きは怪人の腕、逞しいボディビルダーのそれを思わせる筋骨隆々のそれを刺した。
その突きで怪人の動きが止まった、痛みと衝撃で。
そこでだった、鈴蘭は怪人の腹を左足で蹴った、それでさらにダメージを与えると共に間合いも離してだった。
鈴蘭は真上に跳んだ、そこから急降下を仕掛け。
身体を激しく回転させるドリルの動きでだった、右足から蹴りを放った。その足だけでなく全身に白い光彼女の力を宿らせて。
急降下のドリル回転の蹴りがダメージで動きを、一瞬であるが止めていた怪人を貫いた。鈴蘭はその怪人の背に両膝を折って着地した。怪人の背に符号、ミザールの白いそれが出た。その符号が出ると共に。
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