『自分:第1章』
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『女相到着』
お父さんの言う通り別室に行った。
両親は職員に早速話し合いを持ち掛ける。
何故か自分の母親も居て二度見した。
『なんで此処おん?』
『呼ばれたのよユウ君の御両親に...何してんのよアンタ!』
『うっさいわ!関係無かろうが!』
お母さんが来た。
頭叩かれた。
『こらぁっ!アンタがうっさいんよバカ!』
けど、なんか嬉しかった。
母親なんかより、お母さんの方が充分愛を感じる。
『こっちの部屋来て下さい。』
お母さんが母親を引っ張って行く。
『おとなしぃにしときぃ!わかったなっ!』
お母さんに言われて条件反射に返事した。
ユウは舌打ち。
部屋入ってユウが聞いてきた。
『母ちゃんやろ?さっきの...かまんのか?』
『あんなん親でも何でもない。かまへん。どうせ向こうも何言われたって、どんな態度取られたって何も感じて無い。』
『強がり?本音?』
『本音!あんな親いらん!ユウの親は本当の親として理想の親やし幸せな家庭に産まれて羨ましい。』
『あんな親でえんならオマエにやるわや。』
『ほんま欲しかったわ、あんな良い人間滅多に居らんでな。あの人達がユウの親で良かった。』
『ふぅ~ん...俺にはよぉ解らん。普通やけんね、うるさいババァとしか思わんわや。』
『普通やから幸せなんよ。幸せって事にも気付かんことが既に幸せな証拠。お母さん、大事にしてよ!お父さんも勿論やけど、ユウは幸せやで。恵まれてる。』
『おまえがそんなん言うんやったら大事にせなあかんの。まぁうるさいしウザイけどキライではないけん安心せぇや。』
『当たり前の幸せを忘れたらあかんで!』
『わかった。』
その時、改めて自分の今迄の過去をチャント聞いてくれた。
それまでは大体簡単には話してたけど『過去は関係ない』って逃げてるような感じがあったから、多少の不信感が残ってた。
今此処で与えられた、この限られた時間でシッカリ話して何を想うか、どぉ捉えるか、ユウ次第。
此から離れるんやし、別れるんなら今がチャンスやし。
別れた方がユウの為にもなる。
両親の肩の荷も下りる。
自分が入り込んで良い家族やない。
『ユウ、今が別れるチャンスやで。もぉ今日でバイバイやし。』
『シメるぞオマエ!』
マジな顔で言われた。
『本気で受け止めれたんかどうか微妙やったし、重荷になるとかだったら自分自身が嫌やから。』
『それは...あまりにも俺の知らん世界で生きてきたんやけん、全部解ってやるのは無理やろ。でもちゃんと話も気持ちも言うてくれたら聞く。解っていきたい。解りたいと想う。今此処で別れる気やか無い。何もしてやれて無い自分が嫌やけん。精一杯オマエの為に何かをして、それでもずっと無理だったら、オマエが俺を捨てたらええ。』
『わかった。』
なるほど...。
責任感も大きいんやろな。
友達にヤラレよん知って、助ける為に泊まりに来たり、正義感は少し強い方やし。
もしかしたら愛情や無くて同情や無いんかなって想う。
職員達の話し合いが終わってザワつき出した。
お母さんが部屋に来た。
『終わったぞーっ!』
母親はそのまま帰った。
ユウの両親が、挨拶したり、形式上呼んだだけやろ...
お母さんに聞いた。
『なんであんな親呼んだん?』
怒られた。
『あんな親って言うな!あんたのことは解ってるつもりや...あの人が加害者側なんも...けど、今あんたが此処にこうして存在してるのは、あの人が産んだからや。それだけは何があっても感謝するべきや。母親になったら解る、あんたにも。大丈夫!私ら皆、あんたの味方や。頑張ってくれる限り応援する。手の掛かる子程可愛い言うやろ。』
黙ってたら『まさにあんたや!』ってイタズラっぽく笑った。
髪くしゃくしゃにされた。
おでこゴッツンされた。
なるほど。
手の掛かる子か。
ソレは確かに。
でも、自分がこんなに素直になれるのは、組長以来かも。
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