転生者の珍妙な冒険
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コイツはヤバい。いやマジで
前書き
前回の話で、ゲブ神のスタンドを出しましたが、エジプト九栄神は非戦闘的なの多いので全部出るかは未定です。
「せ~いか~い♪」
突然聴こえた声に慌ててその場を飛び退く。そして振り返ったその場所にいたのは・・・
「忍・・・者・・・・・?」
真っ黒い忍び装束に身を包み、グラサンのようなものをかけるという全身黒ずくめの男が立っていた。
その忍者(?)は笑いながら口を開く。
「あ、この服の意味が分かるってことは間違いないね。初めましてだ、夜集阿 聖斗クン。」
少しの間、睨み合いが続く。
いや、相手はニヤけてるから、睨んでるのは俺だけか・・・。
「アンタ、何で俺の名前を知ってる?」
「っと、怖いな~。そんな睨まなくてもいいじゃんよ。」
そう言ってまだヘラヘラと笑う男。いい加減ウザくなってきた。
「だから「おぉっとそうだった! 自己紹介がまだだったな、申し訳ない!」・・・・・あ?」
何をふざけた事を言ってんだコイツは・・・?
そんな思いで睨んでる俺にも一切怯まず、男は自己紹介を続ける。
「俺の名前はカゲツグ、倭国生まれの冒険者だ。ランクはA-で、ジョブはアサシンだよ~。」
「え・・・・カゲ、ツグ・・・・ですって・・・!!?」
奴の自己紹介に真っ先に反応したのは、以外にもネーナさんだった。
「何か知ってんのか、ネーナさん?」
「えぇ・・・・、3年ほど前にかなり世間を騒がせた冒険者・・・・いえ、『元』冒険者です。」
「元・・・?」
つまり、今は冒険者じゃないのか?
でも何で? 滅多な事じゃギルドを強制退会なんてならないし、メリットの多い仕事を自分から辞める意味もない。
「おやおや、聖斗クンは分かってないみたいだね~。そこのアーチャーのお嬢さん、教えてあげなよ~♪」
明らかに馬鹿にした口調、腹が立つ・・・。
まさかこの嫌な性格と口調で有名とかじゃないよな・・・?
俺のその冗談じみた思考も、ネーナさんの次の言葉で吹き飛んだ。
「彼は、3年前に受けたとある依頼で、村を1つ壊滅させ、住民をも皆殺しにしたという咎でギルドから退会させられた男です。」
「村1つを・・・壊滅!?」
無茶苦茶な事しやがる・・・、異常者か?
「えぇ、それに、退会してからはギルドや国家に様々な悪質的行為を行っていたので、『危険人物』として討伐隊を組んで確かに殺したはずだったのですが・・・・。」
「ところがどっこい、俺は生きてた!!」
ネーナさんの話を遮っていきなりまた話し始めた男。今気付いたが、コイツは常に目は一切笑っていない。
その目は常に冷静に相手を分析している。
いや、最早冷徹と呼んだ方がいい部類だ、これは。
隙もないし、何かあれば間違いなくコイツは俺らを殺そうとしてくる。
ヤバい、コイツはヤバい。
完全に異常な奴だ、取る手を間違えたら俺らの中の誰かも死ぬかも・・・。
「俺は何とか生き延びて、『ある人』の下で働いてるんだが、まぁそれはさておきよ。お前さんらを皆殺しにするのが俺のお仕事なんだわ。」
雰囲気が変わった、来るか・・・・。
「さ、てな訳で、死ねよ!」
その言葉と共に上がった悲鳴、それは俺らと馬車を挟んで反対側に居たサリナのもの。
「しまった、ゲブ神!!」
「ひゃははははは!!! そうだ俺のスタンドだ! アンタ俺かゲブ神か、どっちを止めるぅ? 手の回ってない方がアンタの仲間を殺すけどねぇぇぇ!!!!」
コイツ・・・・!!
馬車をワザとらしく追ったのはコレが狙いか、やりやがる。
・・・・だがな。
「アンタは一つ勘違いをしてる。俺の仲間は、俺以外は全員雑魚って訳じゃねぇ。」
「あぁ?」
「俺の仲間、特にタルタスのオッサンは凄く強い。アンタのスタンドくらいどうって事ないんだよ。」
そう言って俺は、以前買って腰に差してたナイフを抜き、目の前の男と対峙する。
「別に、アンタのスタンドを無理に倒す必要はねぇんだ。アンタを倒せば自然に消えるんだから。」
「ケッ、デカい口叩くがアンタ、その通りになると思ってんのかぁ!!!?」
その言葉が終わらないうちに、カゲツグはネーナさんの方へ。って速い!!?
俺の目で霞むレベル、間違いなく戦車の甲冑脱衣でも追えねぇ!!
「見ときな!! アンタの言うその仲間が血祭りに上がるのをよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
ズガッ・・・・・・!!
sideタルタス
「あぁっ!!!」
「サリナ!?」
馬車の反対側に居たセイト達がこっちに戻って来るのを待っていたら、急にサリナが悲鳴上げて倒れやがった。何だ!?
「って、コレさっきの水たまりじゃねぇか!!!」
気付けばサリナの足元にさっきの水たまりがあり、そこから手が伸びてる。
あの馬車を斬ったのもこの手だ、頭を過る最悪の事態に一気に血が引く。
「サリナ、無事かぁ!!!?」
「だ、大丈夫です!! 直前で跳んだので掠っただけに済みました。」
そう答えるサリナの顔色は良く、傷も深くなさそうだ。安堵の溜め息が漏れる。
だが、コイツは厄介だな。
液体であり、速度もセイトの妙な馬車並の者が出せる。
つまり、重戦士の俺じゃあ速度的に敵わないって訳だ。だからってサリナじゃ実力的に無理だろう。
「タルタスさん、この水たまりを見てセイトさんは『スタンド』って言いました。確かセイトさんが使っているあの精霊のようなものもセイトさんはそう呼んでいたと思います。」
馬鹿にするかのようにその場で留まって挑発している手を見ながら思案していると、サリナがそう声をかけてきた。
「つまり、どういう事だ?」
「つまり、セイトさんならコレに少なくとも私たち以上には対処できると言う事です。私はあまり高度ではありませんが回復魔法が使えます。セイトさんが来るまではこの手の攻撃を受け流すだけで時間を稼ぎましょう。」
成程、良い策だ。
あの野郎に頼るのは微妙に癪だが、餅は餅屋と言うからな。任せておこう。
「よし分かった、やるぞ。」
そう言って「武器庫空間」から大剣を取り出して構えた瞬間。
『ズガッ』という音が馬車を挟んで向こう側から聞こえ、同時に水の手が消えた。
side end
音と共に、体が音を立てて倒れる。
俺は驚きのあまり声が出せなかったし、体も動かなかった。
「・・・・ね、ネーナさん・・・?」
そう、倒れたのはネーナさんではなくカゲツグだ。
ネーナさんが一瞬で弓を引き放ったのだ。
しかも、普通の矢でなく弓を引いた瞬間い現れた謎の光る矢で。それを喰らったカゲツグは宙に浮き、走り出す前の場所程に離れた所まで飛んで倒れた。
「アーチャーのスキル、『魔導弓』です。魔力を込めて弓を引くことで、魔力でできた矢が撃てます。」
そう言って弓を降ろしたネーナさんは俺に微笑む。
「結構レアなスキルで、体質によって覚えられる人とそうでない人がいるみたいなんです。その代り『威力型』、『速度型』、『多量型』など何種類かの矢の中から選んで撃てます。今のが『威力型』です。」
そう言った後、「まぁ、私は魔力が少ないので2~3発しか撃てない奥の手的な存在なんですけどね?」と苦笑するネーナさんだが、苦笑する必要もない程便利なスキルだと思った。
「いえいえ、十分凄いですよネーナさん。今の矢確実に野郎の心臓に減り込んでましたし、倒せたじゃないですか。」
そう言って、照れくさそうにしているネーナさんと共にサリナ達の方へ向かおうとした瞬間だった。
「成程、アンタの言う通り一筋縄ではいかない訳だ、夜集阿クン・・・・。」
その声と共に、カゲツグがいきなり馬車の前に出てきた。
「な・・・・・!?」
有り得ない。
コイツはさっきまでそこで倒れてたし、その時確かに心臓に矢が刺さってた。死んでない方がおかしい。
万歩ゆずって死んでなかったとしても、倒れてた場所から馬車までかなりある。幾ら早くてもあんなに早くに来るのは無理だ。
驚愕する俺達を他所に、カゲツグは今までとは明らかに違う鋭い雰囲気で言葉を紡いだ。
「そうかい、分かったよ。君らがソコまで厄介なら、俺も奥の手を使うとしようか。」
刹那、馬車の下から無数の黒い槍が俺らに襲い掛かった。
後書き
夜集阿 聖斗
身長175cm
体重60kg
ギルドランク:A+
所持金500万ペリ
魔法適性『適性なし』
ジョブ『格闘家』『奇術師』
スキル:波紋の呼吸法(常時発動)
《派生》波紋カッター
波紋ズームパンチ
波紋疾走
銀色の波紋疾走
山吹色の波紋疾走
クラッカーボレイ
スタンド「タロット大アルカナ」
【0番「愚者」の暗示する『 愚者』】
【1番「魔術師」の暗示する『魔術師の赤』】
【4番「皇帝」の暗示する『 皇帝』】
【7番「戦車」の暗示する『 銀の戦車』】
【8番「正義」の暗示する『正義』】
【10番「運命の車輪」の暗示する『運命の車輪』】
【21番「世界」の暗示する『世界』】
サリナ・テッド
身長160cm
体重50kg
ギルドランク:C
所持金5万ペリ
魔法適性『回復』
ジョブ『騎士』
スキル不明
タルタス・フォード
身長200cm
体重100kg
ギルドランク:A
所持金1000万ペリ
魔法適性『強化』
ジョブ『重戦士』『★:ソードマスター』
スキル:金剛両断
金剛棒・豪風
武器庫空間
ネーナ・チュミン
身長165cm
体重55kg
ギルドランク:C+
所持金100万ペリ
魔法適性『強化』
ジョブ『アーチャー』
スキル:魔導弓
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