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ヨウきゅーぶ!

作者:賀正
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一話

 
前書き
注意事項
・キャラクターの口調やキャラ自体が崩壊している可能性があります。
・文章作成能力皆無です。
・不定期更新&亀更新です。
これからがダメな方は戻った方がいいかも? 

 
あるスポーツ雑誌にある人物が取り上げられていた。その雑誌は全国的に出版されている雑誌ではなく、だが決してローカル色溢れるものでもない。精々一地方でメジャーになっている位だろう。そんな雑誌に取り上げられる程の人物なのだが、その人物は運動部には属していなかった。なら何故スポーツ誌になど紹介されているのか。それはその記事を見れば分かるだろう。大きく目に入るのは、金髪に染めたツンツンした髪でギラリと口角を大きく開けながら高笑いしている姿を撮った写真だ。そしてその横には真っ赤な文字でこう書かれていた。













『地獄の司令塔!』と。













七芝高校である大事件が起こった。
先日、男子バスケットボール部部長である三年の水崎新(17歳)と、同部担当顧問教師の一人娘(11歳)が恋仲であることが発覚。
当然、両親によりその関係は断ち切られようとされだが、二人は頑なに固辞し、最終的には学校全体を巻き込む大騒動にまで発展。そして職員会議の結果、水崎新は処分が確定する前に自主退学扱いとなり、男子バスケットボール部は一年間の謹慎を言い渡された。

そんな大事件があった高校は一人の……いや、一匹の悪魔が裏で支配していると言う噂がたっていた。
その悪魔と呼ばれる人物は今日も屋上で壁に背中を預けながらスポーツ雑誌を下敷き代わりに紙に何かを書いていた。

「おい、今日もこんなところでやってんのか?」

悪魔に声をかけた人物は七芝高校の制服を着ているが、その顔は高校生にしてはあまりにも老けているように見えた。

「あぁ、なんだテメェか糞ジジイ。」

「今日は何部なんだ?」

「サッカー部だ。次の相手が面倒でな、背の高い野郎が何人かいやがる。サイドからのロングボールで合わせるのを得意としてるチームだ。その試合をどうするか考えてんだよ。」

「まぁ俺には良く分からんが、お前が考えた作戦があるんだ、大丈夫だろ。」

「ケッケッ、分かってねぇな。この七芝はお世辞にもスポーツができる奴が集まってくる所じゃねぇんだよ。そんな高校にスポーツ馬鹿ばっか取ってる高校が勝てる可能性なんてほぼあるわきゃねぇだろ。勝機はあるが、毎回ギリギリの所を通ってんだよ。」

「だが、お前のお陰で負けないで勝ち進んでるチームもあるんだ。中学の時だってそうだっただろ。」

そう言いながら男は一冊の雑誌を取り出した。大まかにまとめると、その雑誌にはこう書かれていた。


『地獄の司令塔!』

数々のスポーツのゲームメイカーとして活躍し、麻黄十三中学の運動部全てを県大会に出場させた男だ。サッカー部とバスケットボール部を県大会優勝に持っていき、野球部までも準優勝させるなど三年間で数々の功績を打ち立てた天才だ。
麻黄十三中を一時的とはいえ、スポーツ強豪校にしたその手腕は計り知れない。
しかし余りにも自由にやり過ぎているように思えるのだが、学校側は その点を注意してこないあたり学校での 蛭魔妖一と言う男の存在は大きなものであることに疑いはないだろう。


「いつの雑誌読んでんだよ。そもそもお前がこんなもん買うとは思えねぇな。」

そのページを一瞬横目で見た後、蛭魔はそう言った。

「当たり前だ、俺が買うわけないだろ。そこのゴミ箱に入ってただけだ。前にこれ、少し見たことがあってな、懐かしく思って拾った。」

言いながら蛭魔とは少し離れた壁にもたれ掛かって座った。

「今年はお前が関わる部活が一つ減ったな。」

「男子バスケ部の事か?ケケッ、あんな大事起こしたんじゃ仕方ねぇな。」

蛭魔は紙に目線を向け、ペンをはしらせながら答えた。

「だがそれにしても厳し過ぎないか?不祥事をやらかしたのは部長だけなんだろ?それで部活全体が一年間の謹慎処分ってのはいささか疑問に思うな。」

「顧問の教師が元々やる気が無かった。転任してきて直ぐに無理矢理顧問をやらされたようでな。いくら弁護してもムダって訳だ。結果この有り様だ。」

「なるほどな。不憫なもんだな全く。だが蛭魔、お前なら何とかできたんじゃないのか?校長を含めた教師と学校の生徒全員の弱味を握っているお前なら。」

「俺が何でそんなことしなきゃなんねぇんだよ。俺はバスケ部でも何でもねぇ。まずあんなつまんねぇ理由で謹慎処分受ける部活が勝てるとは思えないからな。」

「ま、正論だな。」

「そもそも俺がこんなことをしてんのは面白れぇからだ。そんな事件が起こった後で直ぐに部活を再開してもモチベーションなんか上がるわけねぇだろ。そんなチームでやったってなんも面白くねぇな。」

「そのためにも一年という期間が必要な訳か。」

「時間が過ぎれば噂も落ち着くからな。完全に消えるのは無理だろうが。」

蛭魔がそう言った時に学校のチャイムが鳴った。

「さてと、戻るとするか。お前はどうする?蛭魔。」

「めんどくせぇ、パス。」

「何だかんだて授業に出てるお前にしては珍しいな。」

すると蛭魔は気だるそうにあくびをした後言った。

「今日中にこれやんなきゃ間に合わねぇ。だからパス。」

「まぁ、適当な所で切り上げろよ。じゃあな。」

やれやれと言った具合に首をふり、屋上を出ていった。
屋上には再び静寂が訪れ、風の吹く音だけがそこにあった。















夜遅く、蛭魔妖一は学校近くの道を歩いていた。周りには多くの家があり住宅街だと直ぐに分かる。彼が夜道を歩く姿は妙に様になっていた

「チッあの糞コンビニ、シュガーレスガム切らしやがって、信じらんねぇ。ったくちゃんと仕事しろってんだ。」

だがその本人は機嫌が悪かった。
機嫌が悪い蛭魔妖一になど町の不良でさえ絶対に近づきたくない。だがそんな事はお構い無しという様に話しかける人物がいた。

「やあ、高校生。青春してるかな?でも、こんな時間に出歩いてるなんて教師としてはあまりいい印象を抱かないぞ。」

蛭魔の隣に車が停止し窓から顔をし出したのは、まだ幼さが残る童顔に艶のある黒髪のロングヘアー。一目見た感じでは女子高生である。もしかしたら中学生でも通るかもしれない。

「ケッ、ただでさえ気分悪りぃのにさらにお前の顔を見ることになるとはな。」

「おや、私はそんなに嫌われてたかな?あまり嫌われるようなことしてないと思うんだけど。」

「そのテンションがうざいんだよ。しかも、テメェのこと洗っても弱味の一つも出てきやしねぇ。」

「後ろめたいことなんてしてないからね私は。正々堂々と生きてきたのさ!それに教師がそんなことやってたら、子供達を教える立場にいる私のたっせがないでしょ。」

「チッ、まずお前が教師ってのが有り得ねぇだろ。明らかにお前は教えられる人間だ。」

「私はちゃんとした大人だっての。ほら免許証見る?」

そう言って彼女は財布から免許証を出した。確かに書かれていた。
篁 美星 二十三歳と。

「何回も見たっての。それで、何しに来やがった?」

「通りかかったから声かけただけ。」

「………………。」

ガチャという音と共に何処から取り出したのか、マシンガンを彼女に向けた。

「通りかかっても声かけたらダメな仲だったの私達!?まぁそれはともかく、あれは冗談でちゃんと理由ならあるんだよね。
本当は別の日に家を訪ねる気だったんだけど、車で帰ってたら蛭魔が見えたからラッキーと思って。」

「 ならさっさと用件を言いやがれ。こっちは早く帰ってやらなきゃならねぇ事があんだよ。」

「まぁまぁ、そう焦らずに。そういえばさ夕飯食べた?」

「食べた。」

「はい嘘。車乗って、お姉さんが奢ってあげよう。」

「金には困ってねぇよ。」

「いいからいいから。」

そう言って美星は蛭魔を自分の車の中に引きずり込んだ。

「おい!テメェ何しやがる!」

バタンと扉の閉まる音がして、直ぐに車が出発した。
















二人はファミレスに来ていた。全国的に店を構えるメジャー店だ。
時間帯的なこともあり、店員達は忙しそうにあちらこちらと動き回っている。

「で、結局何の話だ?」

蛭魔はステーキをナイフで切り分けながら正面でパスタを巻いている見星に尋ねた。

「頼み事があるんだよね。」

「頼み事だぁ?」

蛭魔にしたら意外だった。
美星という人物が頼み事を自分にしてくるということに。

「…………言ってみろ、何だ。」

蛭魔は訝しげに水を一口飲んだ。

「えっとねー。あのさ、実は私、ちょい前に女バスの顧問になっちゃったんだ。成り行きで。」

「女バスってのは女子バスケットボールのことか?」

「そ。新設で他になり手がなかったから、やっと初心者マークが取れたばかりの私に白羽の矢ってわけ。お陰で放課後まで仕事が出来ちゃって参った参った。」

そう言う割に、美星は妙に嬉しそうだった。
そして、その話を聞いて蛭魔は即座に思った疑問をぶつけた。

「お前、バスケ教えられんのか?」

「いんや。まったく。ルールすら危うい。部員の中で一人、もともとはバスケやってた経験者がいるから、今はほとんどその子に仕切らせていて、私はただのお目付け役状態だね。」

「なるほど。お前の言いたいことは分かった。」

蛭魔は呆れたように言った。

「おっ、話が早くて助かるね。『地獄の司令塔』こと蛭魔妖一君。あんたちょっくら、あいつらのコーチになってやっておくれよ。今のままじゃせっかくの部活なのに、あんま進展なくてなんかもったいないんだよね。だから、頼むわ。」

「死ね。」

「死ね!?その返答にビックリだわ!」

「何で俺がそんなことやる必要があんだよ?テメェで何とかしろ。」

「お願いだよ蛭魔~。このジャンボパフェ追加注文してもいいからさ~。」

美星は机にへばりつくようにしながらメニュー表を指差した。

「そんなクソ甘ぇもん食えるか。そもそも小学生の部活にそこまでする必要はねぇと思うがな。仲良しこよし勝手にやってりゃいいじゃねぇか。それとも、俺を頼るほどの切迫詰まった状態にでもおかれてんのかな?美星先生よ。」

机に突っ伏したまま美星が固まる。
時間にして5秒位たち、おもむろに美星は体を起こした。

「………………はぁ、さすが蛭魔。話すならあの子達に接触してから話すつもりだったんだけどな。見抜かれてるとは思わなんだ。」

「早くしろ、こちとらお前に付き合わされてる身だ。全部話したら少しは考えといてやる、その話。」

「本当に!?じゃ全部話すよ。実はさ、二週間後の日曜日にさ男子バスケットボール部との試合があるんだよね。
で、その試合ってのがさ体育館の使用権利を賭けた戦いなんだ。その試合で負けたら、女子バスケットボール部は廃部。だからその試合に勝てるようにしてほしいんだ。」

蛭魔はふーんと言った具合に聞いている。

「男子バスケ部は?」

「負けても何もなし。勝ったら週に三回しか出来なかった練習が毎日出来るようになるの。」

「何で?」

「何で男子バスケ部は負けても何もないのかってこと?それはね、男子バスケ部がさ去年度最後の地区大会で優勝したんだ。それがきっかけで顧問も部員も燃えちゃってさ。それをネタにして、スポーツにも力を入れている学校であることをもっとアピールすれば受験希望者、編入希望者も増えるだろう、とかなんとか教頭辺りに汚く売り込んで、気がついたらもうこっちの意見なんかほとんど聞いてもらえないような状態に追いやられちゃってたんだから。問答無用で女バスは『活動内容不十分につき許可取り消し』にされるとこだった。…………関係ないじゃない、実績があるかどうかなんて。そんなのあの子達の場所を奪う理由にはならない。」

「………………。」

蛭魔は組んだ足を机の上に乗せながら黙って聞いていた。

「ね、力を貸してよ。あの子達の場所を守ってあげてよ。」

真面目に蛭魔の目を見て美星はそう言った。
蛭魔も美星の目を真っ直ぐに見つめ返してこう言った。











「だが断る。」

「何でだよこんのゴミ虫のうんこ野郎!」

一瞬で凛とした表情を崩して口汚い言葉と共に何十年も昔の漫才の教科書にでも載っていそうなテンプレートど真ん中のツッコミ芸を披露した。

「面倒くさ。女バスの事情とか知るかよ。」

「心にこうグサッて来なかったの!?そもそも蛭魔さっき話したらやるって言ったじゃん!」

「やるとは言った覚えはないな。下らね、じゃあな。」

蛭魔はさっと席を立って出ていった。
後ろでかん高い罵声か聞こえるが、ポケットに手を突っ込んだまま気にもとめず店を出ていった。











ファミレスに残された美星はぶつけようのない怒りを覚えていた。

「そりゃ確かに頼んだ私側からしたら文句言うのはどうかと思うよ。でもさ……」

ぐぬぬと唸って。

「もうちょっと真剣に考えてくれてもよかったじゃん!」

両手でバンバンと机を叩いて大声で吠えた。
そのせいで彼女は周りの人からは奇妙な目で見られている。

「くっ、こうなったら我が甥っ子に頼むしかないのかな~。」

美星には長谷川昴という甥っ子がいる。
幼い頃からバスケをやっていて、中学時代には全県のベストメンバーに選ばれた程だ。しかしその長谷川昴が通っている高校は、蛭魔妖一が通っている学校と同じで七芝高校なのだ。こないだ男子バスケットボール部が例の事件を起こしたせいで現在昴は多少なりとも気が滅入っている可能性があったので、美星としてはあまり刺激しないでおきたかった。
だから蛭魔に頼んだのだ。
もしあの事件がなかったら、蛭魔妖一がいなかったら美星は昴にこの事を頼んでいただろう。

「おねーちゃんに聞いた時はちょっとビックリしたけど、まぁ大丈夫かな?あいつがバスケをやめるなんのはあり得ないよね。…………う~ん。なんか心配になってきた。バスケやめますなんて言い出さないよな。」

気持ちの整理がしっかり出来るまでこの話を昴にするのはやめようとしていたのだが、蛭魔が断れば即座に話を持っていくところからわかるように篁美星という人物はマイペースで自分勝手なのだ。

「あーあ。そっとしといてあげたかったけど仕方ないか。クソッ、こんなに悩むのもあの悪魔が断ったせいだ!すみませーん、ジャンボパフェ一つくださーい!」

やけになってジャンボパフェを一人で全部食べようと、店員に注文した時に携帯が鳴った。
乱暴にカバンから携帯を取り出してメールを見る。




To: 篁美星
From:蛭魔妖一
件名:なし

一週間だ。それ以上はなし。






「…………くっ、くっくっ、このツンデレめ。」

美星は愛してると返信した後、ニコニコ笑顔でジャンボパフェを完食したそうだ。





















-交換日記(SNS) 01- ◆Log Date 4/10◆


『みーたんからメールきた!とりあえずいっしゅうかんかくほ、あとはおまえらしだいだ。だって!おっしゃー!とばしてくぜ!
まほまほ』

『……一週間。足りないね、それだけだと。その間に何とか技術を認めてもらって、もう少しの間指導して頂けるようにお願い出来ればいいんだけど。
湊 智花』

『技術ねー。トモ以外シロートだしなぁ。よし、こいつらなんか光るモノがあるから鍛えてみせるぜ!みたいな熱血展開はあり得ないんじゃない?
紗希』

『しんぱいすんな!われにさくあり!くわしくはあしただ!
まほまほ』

『真帆の策か。嫌な予感しかしないわ。
紗希』

『おとこの人、なんだよね。怖くないかなぁ………。
あいり』

『おっ、そういえばみーたんがこわいけどねはいいやつだからだいじょうぶだって。
まほまほ』

『ううっ、週明けが少し憂鬱になったかも。
あいり』

『おー。こわい人、くるの?
ひなた』



 
 

 
後書き
こんな意味わからんモノを読んで頂いてありがとうございます。
この話に一言。蛭魔の口調が分からん!以上です。 
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