赤龍帝の兄の日記
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
プロローグの日記
?月?日
今日みたいな雨の日になるとあいつを拾った日を思い出す
十二歳の時に実の親から「お前はいらない」と見捨てられて自暴自棄になった俺は
憂さ晴らしのために見つけた異形を片っ端から殺しまわっていた
俺の家は元々退魔一族の家系だったので
俺も昔から小遣い稼ぎ程度に異形討伐の依頼を受けたりしていたこともあった
だからというべきか奴らを見つけ出すのにはさほど困らなかった
それに奴らは表の世界には認識されていない存在だ
いくら殺したところで認識されないから大丈夫だろう、そう思っていた
……今思いかえすと本当に馬鹿なことをしていたと思うよ
まあ、そんな荒んだ俺の生活もあいつが変えてくれた
いや…救ってもらったと言った方が正しいか
いつものように異形を殺して回っていた時、ふと赤ん坊の泣き声が聞こえるに気づいた
その時はうるさい声だとしか思わなかったが
ふとその声がゴミ捨て場から聞こえてくることに気づいた
気になって俺が見に行ってみるとそこには毛布に包まれた赤ん坊がいた
赤ん坊は母親の最後の愛情とでも言うべきか、一か所だけ雨に濡れない場所で泣いていた
「お前も捨てられたのか……」
不意に赤ん坊の境遇に同情を覚え、何気なしに赤ん坊に手を伸ばすと
赤ん坊は小さな手で俺の指をしっかりと握ってきた
その行動に驚いた俺だったが手を引こうとは思はなかった――いや、思えなかった
雨で少し冷えているが確かに感じる温もり、弱々しいが確かに感じる小さな鼓動
――それは俺が求めてやまない人の温かさだった
凍り付いていた俺の心を溶かす温かさに驚きその場を動けず固まっていると
不意に赤ん坊が泣き止み俺をじっと見つめてきた
そして――俺に向かって笑った
その瞬間俺は救われた、なぜだか分からないが涙が止まらなかった
この笑顔を、この小さな手を守っていけるなら死んでもいいとさえ思えた
そしてその日から俺は赤ん坊――兵藤一誠の育て親に、兄になった
$月%日
イッセーも六歳になり晴れて小学校に入学ということになった
制服を着たイッセーがあまりにも可愛かったので
記念撮影を予定の五倍ほどしてしまった俺を責めることが出来る奴はいないだろう
この世にあれより可愛いものがいるのならぜひ教えて欲しいものだ
もちろん、この世に弟より可愛いものなど存在するわけなどないのだが
それはともかく、喜ばしいことにイッセーに友達が出来た、紫藤イリナという子だ
イッセーから聞いたときは男の子だと思っていたのだが
イリナちゃんの親御さんに聞いてみると女の子だという事実が判明した
親御さんが言うには元気が良すぎて良く男の子と間違えられるらしい
イッセーに教えようかとも思ったがその内、気づくだろうと思い言わなかった
余談だがイッセーとイリナちゃんどちらが可愛いかで
イリナちゃんのお父さんと地形を変える程のバトルをしてしまった
相手は数々の修羅場を潜り抜けてきた聖剣使いだったが
イッセーの兄として育て親としての俺の誇りがわずかに上回り
俺の渾身の右ストレートがイリナちゃんのお父さんの顔面に入ることで勝負は決まった
イッセーの方が可愛いという勝利の余韻をじっくりと味わいたかったのだが
勝負の終わった後は問答無用で二人そろってイリナちゃんのお母さんの
お叱りを受けることになった……地形を変えるのは少しやりすぎたか?
×月!日
イリナちゃんが引っ越すことになった
何でもヨーロッパの方まで行くと言っていたので
恐らくは教会関連のことだろう
イリナちゃんのお父さんも教会の戦士なので親子そろってということかも知れないな
何はともあれイッセーの友達を無下に扱う気などないので
イッセーに提案してお別れ会を開くことにした
お別れ会と言っても料理を食べてプレゼントを贈る位のものだが手を抜くつもりはない
俺の腕によりを欠けた料理とイリナちゃんのお母さんの料理で食卓は結構豪勢なものになった
子供二人は最後の時間をめいっぱい遊んで過ごしたようで満足げな顔で帰ってきた
ごちそうを食べ終わりプレゼント交換の時間になるとお互いに思い思いの物を渡し
それから抱き合って泣いていた……ああこの時点でアルバム一冊分は撮ったな
それとありがたいことにイリナちゃんが俺にもプレゼントくれた
とても嬉しいんだが……なぜ眼鏡なんだ?
俺は特に目は悪くないんだが……
そう思い聞いてみたところ目つきが怖いからだと言われた
……ちょっとショックだな
%月+日
ついにイッセーも小学校を卒業だ、子供が成長するのは早いというが
最近それを切に感じてきている
本当にあの小さかったイッセーが大きくなったもんだ……
卒業式ではいつか訪れるであろう親離れを想像し感極まって泣いてしまったが
それまでに精一杯甘えさせてやろうと思い何とか泣き止んだ
そう言えばアルバムが押入れに入りからなくなってたな
……今度物置でも作るか
¥月*日
いよいよイッセーも中学生だ
最近やたらおっぱい、おっぱいと言っているがそれはきっと思春期が来たせいだろう
まあ…少し心配ではあるんだが、俺が信じてやらなくてどうするんだ?
心は純粋で優しく育ってくれていると思うので何か間違いを犯したりはしないはずだ
そう、きっと大丈夫だ
……それにしても最近は兄ちゃんと呼んでくれなくなったのが寂しくてしょうがない
兄さんと呼ばれるのも悪くはないんだが、やはりもっと甘えて欲しいと思ってしまう
はあ……俺は弟離れが出来てないな
どうしてもあいつの手を引いてやらなければと思ってしまうな……
いつかはあいつも自分の足で歩いて行かないといけないのにな……ダメな兄貴だな、俺は
&月#日
イッセーが勉強を教えてくれと頼んできた
理由を聞くとどうしても駒王学園に入りたいからだと言ってきた
…確か駒王学園と言うと最近女子高から男女共学になった学校だったな
偏差値は結構高い学校だったから確かにイッセーの成績だとかなり頑張らないといけないな
しかし、学費のことは心配しなくてはいいとは言ってはいたが何でまた駒王学園なんだ?
疑問に思って聞いてみると
「ハーレムを作るため!!!」
とやけに気合のこもった声で答えてきた………俺は、どこで育て方を間違えたんだ?
そうは思うものの可愛い弟の願いを無下に出来るはずもなく結局教えることにした
そのうち、同士だと言う松田君と元浜君を連れて来て一緒に勉強するようになった
この二人もやはり思春期真っ盛りな状態だが根は優しくて気のいい子達だった
いい友達を持ったな……イッセー
しかし、この子たちが道を外れても困るので外道なことはしないように厳重に注意はしておいた
……この子たちなら大丈夫だと思うんだがな…
@月#日
桜舞う季節、いよいよ合格発表の日となり
俺とイッセーと松田君、元浜君は合格発表を見るために駒王学園に来ていた
三人には必ず受かっているから心配するなと言ってはいたが内心は
人生で一番緊張しているのではないかというぐらい緊張していた
俺が教えたんだから落ちたら、俺のせいだからな……
そして運命の瞬間を迎える、一つ一つ番号を数えていき三人の番号を探していく
そして――
「「「よっしゃあああ!!!」」」
三人の歓声が辺りに響き渡る、ああ……よかった……
三人の合格にホッとして胸を撫で下ろしていると
突然三人に持ち抱えられそのまま胴上げされてしまった
普通は逆だろうと思い苦笑するが三人が喜んでいるから、まあ、いいか
それと三人とも合格おめでとう
?月&日
くそっ!!今日は人生最悪の日だ!!!
急に入った魔物討伐の依頼のせいでイッセーの入学式に遅れるはめになるなんて……!!
ああ……今回は初めからビデオで撮影する予定だったのに……
魔物を三秒で倒したとこまではまだ間に合う可能性があったのに……あの依頼主め
だらだらと世間話なんかしやがって…!!
はあ……今日はもう寝よう
明日からはイッセーに弁当を作ってやらないといけないからな
β月α日
今日、いつものように二人で晩飯を食べていると
イッセーに俺は何の仕事をしているのかと聞かれた
その時は営業の仕事だと言って納得させたがばれるんじゃないかと緊張した
本当の仕事は魔物狩りがメインの何でも屋なんだが……
あいつには極力裏の世界には関わらせたくないからな
ただでさえあいつは力を引き付ける特性を持ってるんだ
危険なことにはなるべく近づかせたくない
それにある程度の護身術は教えているんだ、表の世界にいる限りは問題ないだろう
だが……やはり心配だな
これも兄の性か……
!月?日
イッセーが二年生になった
相も変わらずおっぱい、おっぱいと言ってはいるがまっすぐ育っているのでよしとしよう
……何も匙を投げたわけじゃないぞ?
今年こそ彼女を作ってやると豪語しているのは立派な目標だと思うし
小学生のころからおっぱい、おっぱいと言い続けているのは一途な証拠だろう
贔屓目なしに見ても立派に育っていると思う、兄として誇りに思うよ
ともかくいつまで見守れるか分からないがこれから見守って行こうと思う
兵藤一誠の兄――兵藤聖一として
後書き
主人公紹介 名前:兵藤聖一 身長:188㎝ 体重:80㎏
見た目:本来は銀髪だがイッセーと同じ色に染めている、目は銀色、イリナに目つきが怖いと言われたのでイリナに貰った黒縁眼鏡をかけている
特徴:ブラコン、基本何でも出来る
ページ上へ戻る