転生者が歩む新たな人生
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第64話 年末前に
前書き
盆休み。長いようで短かった。
『あなたに対し他プレイヤーが「交信」を使用しました』
それは年の瀬も迫る12月16日のことだった。
8月末からスタートしたグリードアイランド攻略もゴン達主人公チームとのもの別れやハメ組のスペルカード独占にも負けず、概ね順調と言えた。
当初の予定通りフェイトやアルフも念能力の練度を上げている。なので、年末年始はグリードアイランドの「10日以内にゲームに戻らないとカードデータが消える」というルールも踏まえて、12月25日から1月3日まで戻るつもりだ。
この辺は「年末くらいはゆっくりしたい」というのと原作知識から「そろそろ爆弾魔(ボマー)が動き出す」の2点から考えていたことだ。ムダに巻き込まれるのも面倒だしね。
とか考えていたところに思いがけず入って来た連絡だった。
「こちらはツェズゲラだ」
なんと、連絡してきたは踏み台HUNTERツェズゲラさんでした!
うーん、何の用だろう?
「ええっと、ツェズゲラさん? 初めましてかな? どういったご用件でしょう?」
若干狼狽えつつ答えていると、同じ部屋で休んでいた他の3人が興味津々でこちらを見ている。
ま、まぁ、ぶっちゃけ順調に攻略が進みすぎて他のチームと交流がないからなぁ。見ず知らずの人からの連絡なんて珍妙すぎる。
「交信(コンタクト)」で話せる時間も限られているので、世間話もそこそこに本題に入る。
「そちらが持つ「NO.15気まぐれ魔神」と「NO.33ホルモンクッキー」の2枚をトレードして欲しい」
あぁ、トレードの申し込みか。
カード自体は各3枚持っているし、カード上限に達していないので「複製(クローン)」を使えば増やせるので問題ない。最も今はハメ組のせいで「複製(クローン)」のカード自体が3枚しかないのですぐに使うかは微妙だが。
それにツェズゲラさんが申し込んできた理由も何となくわかる。「NO.15気まぐれ魔神」はぶっちゃけお使いクエストなんだが、回数がランダムっぽく長いと無茶苦茶面倒くさい。トレードで手に入るならかなり楽だ。「NO.33ホルモンクッキー」は「恋愛都市アイアイ」で、男女両方の恋愛クエをしないと手に入らないので、男だけのチームのツェズゲラさんは誰かが途中でクッキーを使い女性にならないといけないので、それが嫌ならトレードで手に入れるしかないだろう。
問題はツェズゲラチームがトップチームだということか。
「こちらもチームで行動しているのでメンバーと相談します。明日今と同じ時間にこちらから折り返すと言うことでどうですか?」
「わかった。良い返事を期待しよう」
てなわけで4人で相談。
ツェズゲラさん達は有名なのでチーム構成がばれている。なのでカードを駆使して調べてみると現在彼らが持っていないカードは、「NO.0支配者の祝福」「NO.2一坪の海岸線」「NO.17大天使の息吹」「NO.73闇のヒスイ」「NO.75奇運アレキサンドライト」「NO.15気まぐれ魔神」「NO.33ホルモンクッキー」「NO.81ブループラネット」「NO.36リサイクルルーム」の残り9枚のようだ。
あとアルフからの提案で上限に達しているカードも調べてみると「NO.17大天使の息吹」「NO.73闇のヒスイ」は彼ら以外---恐らくハメ組---で独占しており、「NO.1一坪の密林」「NO.80浮遊石」「NO.51手乗りドラゴン」「NO.85身代わりの鎧」を彼らが独占しているようだ。
で、それを踏まえて現在の自分達のカードを調べてみると、未だ誰も持っていないカードが、NO.0支配者の祝福」「NO.2一坪の海岸線」の2枚。恐らくハメ組が独占しているカードが「NO.17大天使の息吹」「NO.73闇のヒスイ」の2枚。ツェズゲラチームが独占しているのが「NO.1一坪の密林」「NO.80浮遊石」「NO.51手乗りドラゴン」「NO.85身代わりの鎧」の4枚。そして残りでオレ達が持っていないカードが「NO.81ブループラネット」「NO.16妖精王の忠告」「NO.92影武者切符」「NO.7身重の石」「NO.36リサイクルルーム」「NO.50手乗りザウルス」「NO.19遊魂枕」「NO.3湧き水の壺」の8枚。合計すると16枚か。
あーだ、こーだと4人で意見を交わす。
ぶっちゃけるとツェズゲラさんとのトレードは、求められた2枚のカード以外にも「NO.75奇運アレキサンドライト」と「NO.17大天使の息吹の引換券NO1」がある。
さらに言うと、原作知識の「NO.2一坪の海岸線」のクエストの発生条件である「15人以上でソウフラビへ呪文(スペル)カードで訪問する」も確認済みであり、「爆弾魔(ボマー)の能力」も原作知識でしかないが、説明できる。
さらにさらに言うと、原作知識上でだが、懸賞金をかけた依頼人の「真の希望」とその叶え方---ネテロの部下の1人の黒スーツのハンターを雇い、その能力で依頼人と不治の病の妻をグリードアイランドに連れて来て、「NO.17大天使の息吹」を使い不治の病を治し、「NO.65魔女の若返り薬」で依頼人を希望の年齢にし、2人を黒スーツの能力で隠し、黒スーツを「離脱(リーブ)」で戻す---も教えることができる。
「ねぇ、ツェズゲラさん達が先にクリアしてはいけないの?」
話しているとそうフェイトが言ってくる。
「何言ってんだい、フェイト! 当たり前じゃないか」
そうアルフががなるが、「ちょっと待ってください」とリニスが待ったをかける。
「よくよく考えると一番にクリアしないといけない理由はないんですよね………」
うん、冷静になって考えるとそう言えばそうだな。
ツェズゲラチームがクリアを目指すのは依頼人の依頼を果たすためで、依頼に関わっていないオレ達とある程度妥協を計れるかも知れない。
☆ ★ ☆
結局それから相談の上、「NO.75奇運アレキサンドライト」を取りに行き、指定時間にツェズゲラさんに連絡し、街の郊外で直に会い話し合う。
その際、こちらがツェズゲラチームの依頼人---バッテラさんと言うらしい---の依頼とは関係ないことを話し、そちらの最速クリアに協力しても良いことを話す。
まぁ、最初は疑っていたがこちらがトレードするカードに追加して「NO.75奇運アレキサンドライト」と「NO.17大天使の息吹の引換券NO1」をトレードすること、「NO.2一坪の海岸線」のクエストの発生条件と、「爆弾魔(ボマー)の能力」を原作知識の範囲で提供したので、ある程度納得したようだ。当然、バッテラ氏のグリードアイランドでインしていないかどうかは確認するようだが。
あとバッテラ氏の真の望み云々は結局話さなかった。1日程度では何故そんなことを知っているのかという理由を考えつかなかったからだ。
で、結局今回のトレードは、「NO.15気まぐれ魔神」と「NO.33ホルモンクッキー」と「NO.75奇運アレキサンドライト」と「NO.17大天使の息吹の引換券NO1」の4枚+情報と「NO.17大天使の息吹の引換券NO2」と「NO.1一坪の密林」と「NO.50手乗りザウルス」の3枚。それにプラスして「NO.2一坪の海岸線」の挑戦時にお互いを必ず加え、それぞれ1枚手に入れるという協定と、ツェズゲラチームのクリア時に100種のクリアカード以外は全てもらうという契約を交わした。
4対3のこちらの不利なトレードで、「NO.1一坪の密林」以外の独占カードをもらわずにトレードしたのは最後の契約を交わしたからだ。ツェズゲラチームのクリア時に残りの独占カードを全てもらえるとなるとけっこう大きい。その中で「NO.1一坪の密林」をあえてもらったのは、嫌がらせと言うことではなく、ツェズゲラチームに万が一があった場合のリスク回避だ。カード限度化枚数3枚で、彼らが手に入れたのもかなりの偶然らしいのでそれくらいは妥協してもらった。
まぁ、ぶっちゃけてしまうと1人ならともかく3人分のクリアを目指しているので、ツェズゲラチームが先にクリアしてもらった方が都合が良かったりする。
そんなわけで実りのあるトレードを終え、「NO.81ブループラネット」と「NO.36リサイクルルーム」の取得を目指すツェズゲラチームと別れ、オレ達もカード収拾と修行に向かう。
一応、現在のカードを確認すると、1冊目の分が、「NO.0支配者の祝福」「NO.2一坪の海岸線」「NO.17大天使の息吹」「NO.73闇のヒスイ」「NO.80浮遊石」「NO.51手乗りドラゴン」「NO.85身代わりの鎧」「NO.81ブループラネット」「NO.16妖精王の忠告」「NO.92影武者切符」「NO.7身重の石」「NO.36リサイクルルーム」「NO.19遊魂枕」「NO.3湧き水の壺」を除く86枚+「引換券NO2」の87枚。
2冊目の分が「NO.0支配者の祝福」「NO.2一坪の海岸線」「NO.17大天使の息吹」「NO.73闇のヒスイ」「NO.1一坪の密林」「NO.80浮遊石」「NO.51手乗りドラゴン」「NO.85身代わりの鎧」「NO.81ブループラネット」「NO.16妖精王の忠告」「NO.92影武者切符」「NO.7身重の石」「NO.36リサイクルルーム」「NO.50手乗りザウルス」「NO.19遊魂枕」「NO.3湧き水の壺」を除く84枚+「引換券NO3」の85枚。
3冊目の分も「NO.0支配者の祝福」「NO.2一坪の海岸線」「NO.17大天使の息吹」「NO.73闇のヒスイ」「NO.1一坪の密林」「NO.80浮遊石」「NO.51手乗りドラゴン」「NO.85身代わりの鎧」「NO.81ブループラネット」「NO.16妖精王の忠告」「NO.92影武者切符」「NO.7身重の石」「NO.36リサイクルルーム」「NO.50手乗りザウルス」「NO.19遊魂枕」「NO.3湧き水の壺」を除く84枚+「引換券NO5」の85枚。
4冊目の分が「引換券NO6」の1枚+ダブッている指定カードが45枚で46枚。
4人分の指定ポケット400ヶ所の内、合計すると303枚が指定ポケットの指定カードで埋まっている。
なので地球に戻るときは、「プレイヤーがゲーム外に出た場合、本(バインダー)内のフリーポケットに収められているカードは消滅する」というルールがグリードアイランドにはあるため、本来フリーポケットに入れるスペルカードやカードにしたお金、不慮に備えた水や食糧等を「擬態(トランスフォーム)」を使って、指定NOのカードにして、指定ポケットに入れておかなければならない。これがまた意外とスペルカード以外で枚数---4人で40枚---をとられ、結局スペルカードは57枚しか残せないことになった。
まぁ、今回は「堅牢(プリズン)」で指定ポケットに入ってるカードは全て守られているので、「離脱(リーブ)」や「同行(アカンパニー)」を始めとする移動系カードを35枚、「名簿(リスト)」や「念視(サイトビジョン)」等の解析系カードを20枚、トレード用に「堅牢(プリズン)」「複製(クローン)」を各1枚という感じになった。防御系や攻撃系のスペルカードは残念ながらあきらめた。
そんな感じでその後は特に何もなく、12月25日に港町で所長を殴り倒して地球に戻った。
後書き
とまぁ、こんな感じです。あまりないと思うツェズゲラチームと共闘です。
あと黒スーツの男=ノヴです。暁は名前までは覚えてなかったと言うことで。
2014/08/18 本(バインダー)内に残すカードを加筆。
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