| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十八話 Space Colony Destroyed

 
前書き
遂にエニグマが完成。
 

 
オリハルコン、水素、エネルギーカートリッジを得たエックス達は、ホタルニクスのレーザー研究所に向かおうとした時、ルナと鉢合わせした。
ルナが手にしていた物にシグナス達は目を見開く。

アイリス「ホタルニクス博士のレーザー装置!!?」

ルナ「ああ、じいさんに頼んで渡してもらったんだ。あの人は俺の友達だからな」

エイリア「ありがとう!!これで地球滅亡の危機を防げる!!」

シグナス「ホタルニクス博士は?是非1度会って礼を言いたいのだが」

シグナスが珍しく顔を綻ばせていたが、ルナの表情は沈んでいく。

ルナ「じいさんはシグマウィルスに侵されてた…俺にレーザー装置を託して…シグマウィルスの温床になっていた研究所ごと自爆した。」

段々と彼女の声が震えていく。
シグナス達は彼女にかける言葉が見つからなかった。

エックス「そうか…」

ルイン「惜しい人を亡くしたね……」

ルナ「エックス、ゼロ、ルイン。頼みがある」

ゼロ「何だ?」

ルナ「じいさんは世界の平和を任せるって言ってた。俺からも頼む。じいさんが守ろうとしたこの世界をあんな奴の好きにはさせないでくれ」

涙を流しながらも力強く発せられる言葉にエックス達は頷いた。





































そしてレーザー装置を使い、急ピッチでエネルギー加速装置の開発を開始するルナ達。
彼女の手並みは見事なものだ。
エックス達が見守る中、ダグラス達に的確に指示を与えつつ、かなりのペースでエネルギー加速装置の開発が進んでいく。

ゼロ「(大したものだ…)」

決してゼロも彼らの役目を軽んじていた訳では無いが、こうした優秀なスタッフの支えがあってこそ自分達は心置きなく戦える。
それを改めてゼロは実感していた。
ともあれゼロはルナの心の強さに感嘆していた。
彼女は焦燥と言うものを作業中に全く感じさせない。
エックスやゼロ、ルインでさえ焦りを感じるというのにである。
タイムリミットが訪れれば世界は滅ぶ。
そんな極限の緊張状態にあって、彼女は焦りを全く感じさせない。
短気なゼロには到底真似の出来ない事だ。
ユーラシア墜落まで後5時間を切ろうとしているが、絶望に屈しない彼らの姿にエックス達もまた最後まで抗い続ける事を今1度改めて決意していた。
エネルギー加速装置が完成し、エニグマに取り付けると、最後の調整を終えたルナが叫んだ。

ルナ「ふう、エニグマ完成だ!!ちょっとばかしボロいが、パーツで補強したから何とかなる!!いつでもコロニーに打ち噛ませるぞ!!」

ルナの声にハンターベースにいる全員が活気づいた。




































当初はエニグマで本当に破壊出来るかどうかは不安だったが、ルナの協力を得て、オリハルコンを砲身の強化だけではなくエンジンに応用したことで、当初の強化案の3倍以上の出力を獲得した現在のエニグマ。
全員はモニターに映るコロニーを見つめ、エイリアとアイリスは出力や発射位置を検証している。
それもやがて終わり、発射準備が整った。

シグナス「いよいよこの時が来たな」

エネルギーチャージを終えたエニグマを前にシグナスが万感の思いを込めて呟く。
時間も無く幾つもの制約が掛けられた厳しい条件化でスペースコロニー・ユーラシア墜落予想時間まで後4時間の余裕を以って、ここまで漕ぎ着けられたのは流石にエックス達と言ったところか。
更にジャンク屋でありながら特A級クラスの実力を持ち、優秀な技術者であるルナの手で最初に立案された強化よりも大幅に強化されたのも大きい

ルイン「きっと上手くいくよね?」

ゼロ「当たり前だ。」

ルナ「上手くいってもらわなきゃ困るだろ、でなきゃじいさんが浮かばれねえ」

エックス「…なあ、皆」

全員【?】

全員の視線がエックスの方に向けられる。

エックス「この戦いが終わった後、皆はどうするんだ?」

ルイン「え?」

エイリア「どうするって…?」

エックス「この戦いが終われば君達はどうしたい?」

ルイン「どうしたいって…そりゃあイレギュラーハンターとして…」

突然の問いかけに怪訝顔で答えるルイン。
しかしエックスは頭を振る。

エックス「いや、任務とかじゃなくて皆が自身でやってみたい事だよ」

アイリス「私自身がやりたいこと…?」

ルイン「………」

言われてみてルイン達は気がついた。
ハンターとして戦い詰めの日々を送る一方で、任務のしがらみに縛られない本当に自分のやりたい事。
今までそんな事を考える余裕さえなかったように思えるのだ。
イレギュラーの脅威から人々を守り続けるのに必死で想像すら出来なかったのだ。

ルイン「そうだね…エックスはどうしたいの?」

しばらく黙考した後、ルインがエックスに尋ねた。

エックス「俺?そうだな…この地上にヘブンを創る…かな?」

全員【ヘブン?】

エックスの言葉に全員が目を見開いた。

ダグラス「ヘブンって…天国のことか?」

エックスの意図する事が即座に理解出来ず首を傾げるダグラス。

エックス「そう。そのヘブンだ。誰にもそう自然と呼ばれるような…人もレプリロイドも幸せに暮らせる楽園のような場所。そんなヘブンを目指してみたい。そう遠くない未来で…。何時か…必ず…」

ゼロ「フッ…お前らしい甘い考えだな」

そう言うゼロの表情は綻んでいる。

ルイン「でも…いいね。それ…エックス、私にもそのお手伝いをさせて?」

エックスの傍に寄りながらエックスの夢を叶えるための力になりたいと思うルイン。

エックス「ありがとう…でもいいのか?俺の目標に君が付き合う必要は…」

ルイン「エックスの目標は私の目標だよ。お願い、私もエックスのお手伝いをさせて?」

エックス「分かった…他の皆は?」

ダグラス「へ?そりゃあ俺はメカニックとしての生活を続けるさ。けど…いつかは誰にも負けないライドマシンを造ってみたいぜ。」

シグナス「ふむ…今まで考えたことも無かったが……ハンターを再編成し、もう1度最初からやり直す…それが私の目標だな。…“イレギュラー”とは何なのか、それをじっくり考えながらな」

エイリア「私は…」

しばらく黙考して、脳裏を過ぎるのはかつての同僚。
優秀すぎて誰からも理解されずに研究所を去っていった彼。
正直、彼の才能を羨んだことは数知れない。
夢を語るエックスに少しだけ、自分も少しだけ夢を見てみようかと口を開いた。

エイリア「私はイレギュラー発生率0のプログラムや、ウィルスを完全にシャットアウトする完璧なプロテクトプログラムを…かつての私の同僚に負けないようなプログラムを造ってみせるわ」

ルイン「ルナはどうするの?」

ルナ「俺?そうだな?ジャンク屋は続けたいし、コロニーを破壊したら、俺は英雄扱いされるかな?そうやって名を挙げて、いつかは俺の名前を歴史に刻むんだ!!ルナっていうレプリロイドがいたんだって世界中に轟かせてやる!!」

子供らしい大きな夢(というか野望?)にエックス達は微笑ましそうに見つめる。

ルナ「アイリスは?」

アイリス「え?」

ルナ「アイリスはどうするんだ?」

アイリス「え?そ、そうね…私はレプリフォースが立ち直る手助けをしたいの。あの戦いでレプリフォースは悪者扱いされて、いつかは消えていく…けどレプリフォースも平和のために戦ってきた…それだけは歴史に残してあげたい…」

アイリスの願いにルインは優しく頷いた。
全員の視線がゼロに向けられる。
ゼロは苦笑を浮かべながらも、口を開いた。

ゼロ「そうだな…俺は“俺がいなくてもいい世界”を目指すために戦うとしよう」

アイリス「ゼロ…!!?」

ゼロの言葉に不吉な何かを感じたアイリスが思わず立ち上がる。
ゼロは苦笑しながら訂正する。

ゼロ「すまん、言葉が足りなかったな。俺がいなくてもいい世界とは、俺が戦わなくてもいい平和な世界を目指すということだ」

アイリス「そうなの…」

安堵したような表情を浮かべるアイリス。

エックス「シグナス、止めて悪かった…やってくれ」

エックスはシグナスにエニグマ発射を促した。
エニグマの巨大な砲身に莫大なエネルギーが集束している。

シグナス「今より地球の運命をかけ、エニグマによるユーラシア砲撃作戦を開始する」

厳かに宣言する総監シグナス。

アイリス「エネルギー充填完了。エニグマの出力、発射角度。共に問題ありません。」

シグナスに向かってアイリスが報告する。
全ての準備は整った。
後は運を天に任せるのみ。

シグナス「よし…発射!!」

目も眩まんばかりの途轍もない閃光が周囲を多い尽くす。
天に向かってエニグマから放たれる巨大な閃光。
それは瞬く間に成層圏に達し大気圏を突き抜けると寸分違わず標的であるユーラシアに向かって伸びていく。

エックス「(頼む!!)」

ゼロ「(上手くいってくれ!!)」

ルイン「(お願い…!!)」

エックス達が祈る中、エニグマのビームがユーラシアに直撃した。
あまりの衝撃にコロニーの全貌が見えない。
光、土煙、しばらくしてやっと訪れた暗黒と沈黙。

シグナス「やったか?破壊したか?エイリア、アイリス、どうなんだ?」

傍らのエイリアとアイリスに向かってシグナスが呼び掛ける。
エイリアとアイリスもシグナスに向かって頷くと、すぐさまコンソールパネルを叩きユーラシアの座標地点の様子を探る。
その様子をシグナスも、エックスも、ゼロも、ルインも、ルナも、ダグラスも固唾を飲んで見守っている。

アイリス「…コロニー破壊率86%!!」

エイリア「コロニー破壊成功。」

モニターを見遣ると完全に破壊されたユーラシアの姿があった。

アイリス「コロニーの残骸が降り注ぐものの…大したダメージは受けないはずです。」

エイリア「でも…コロニー衝突は免れたけど…被害は相当なものよ…復旧出来るかしら?」

現実的な不安を口にするエイリアにダグラスは微笑みながら口を開いた。

ダグラス「ゆっくり時間をかけて…やっていけばいいだろう?」

シグナス「そうだな…これから地球復興に向けて…やらなければならないことが果てしなくあるな…」

シグナスは直ぐさま復興活動計画を思案しようとするが、エイリアの驚愕したような声に思考を中断する。

エイリア「嘘…何?この反応は…」

シグナス「どうかしたのか?エイリア?」

エイリア「ウィルス反応…しかも新種のウィルス…」

モニターに映る新種のウィルスに全員が目を見開いた。
特にゼロの動揺は激しい。

エイリア「ゼロ…ゼロウィルスとでも言うべき?…あなたそっくりな…とても強力なウィルス…コロニーのウィルスと地上のウィルスが合体して…新しいウィルスが…誕生した模様…ゼロ型ウィルス、ゼロウィルスよ…」

赤紫で半透明のゼロの姿。
姿はかつてサーゲスの手で蘇る前のゼロに酷似している。
正義のハンターの姿ながら、凄まじい邪気を発していた。

アイリス「新しいウィルス…一難去ってまた一難…ですね……」

エイリア「そうね…取り敢えずゼロウィルスと呼ぶことにするわ」

ルナ「待てよ、ポイント11F5646地点にエネルギー反応があるぜ」

シグナス「ふむ…突如現れたエネルギー反応…これはゼロウィルスの反応と酷似している。ポイント11F5646の現状を映し出してくれ。…ブラックホールのような空間が発生している…。“零空間”とでも呼ぼうか」

アイリス「零空間に行けば、もしかしたらゼロウィルスの謎が分かるかもしれない…でもとても危険な…どうすればいいの?」

ルイン「行くしかないよ」

ダグラス「ルイン…」

毅然とした態度で言うルインに全員の視線が向けられる。

ゼロ「そうだな…」

エックス「ゼロウィルスの謎を突き止めるんだ。何としても地球を救わないと」

ルナ「どうやらそうは言ってられないようだぜ…?」

エイリア「え?」

ルナ「レプリエアフォース、プラネタリウム、マグマエリア、それからレプリフォースの施設でイレギュラー反応が出てやがる」

モニターにそのエリアにいる強いエネルギー反応を持つレプリロイドが映る。

スパイラル・ペガシオン

スパイク・ローズレッド

ダーク・ネクロバット

バーン・ディノレックス

そのうちの2人がレプリフォースに所属しているレプリロイドだった。

アイリス「そんな…」

エックス「くっ…零空間に向かうよりも、こっちを止めるのが先か!!」

エックスが拳を握り締め、モニターを睨んだ。

シグナス「ルナ、君に頼みがある」

ルナ「俺に?」

シグナス「君が力を貸すのはコロニー破壊までだったが、もうしばらく力を貸してくれ。報酬は弾む」

ルナ「了解、任せとけ」

零空間、ゼロウィルス。

様々な不安要素が出てくる中で、突如現れたイレギュラー反応。
世界はどうなるのだろうか? 
 

 
後書き
原作ではエニグマ失敗→スペースシャトル成功が正史なんでしょうが、この作品では原作以上にエニグマが強化されているために成功。
というか、作者のX5では何故か高確率でエニグマが成功する。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧