MUVLUVにチート転生者あらわる!?
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第二十五話
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悠斗side
1998年7月12日
帝国軍舞鶴基地。ビッグトレーバターン号
「以上で報告を終了致します」
「分かった。ご苦労だったな下がって良いぞ」
「は!失礼します」
たった今の報告で、九州に残った帝国軍は鹿児島まで後退して、応戦を続けているとの事だ。
デラーズ中将率いる第一師団も、共に迎撃に当たっているが、脱出を視野に入れて戦闘を続けているとの事だ。
デラーズ中将には、7月末に九州を放棄して沖縄に脱出するように、連絡を入れてある。残存する帝国軍の部隊も脱出させるようにさせた。
四国に展開させていた、ユーリー・ハスラー少将率いる第三師団は、四国に架かる三つの橋を全て爆破して、BETAの進行を防いだ。また、四国に居る民間人を完全に退避させるのに成功したのは良い結果だった。
正史では、日本帝国の人口の30%に当たる3,600万人の人間が亡くなったのだから、歴史の介入の成果は大きい。
第三師団は、九州や四国の民間人を岩手、宮城、福島、栃木、千葉、の各東日本から太平洋側の東北地方にかけて、輸送活動を継続している。
太平洋側の各地には、メビウス傘下の会社を通じて買い取っていた、大規模の土地に仮設住宅を建設してあるので、避難民達には其処で生活してもらう予定だ。
ちなみに、傘下企業は4社ある。まず、総合技術メーカーの、アナハイム・エレクトロニクス社。下請けの、ツィマット社。同下請けの、M、I、P社。アナハイムの子会社、モルゲンレーテ社の4社だ。
この4社の日本法人に命令して、各県の土地を買収するように命じた。
表向きは、新しい工場を作るために大規模な土地買収を行わせ、裏では今回のBETA日本進行で死ぬはずだった、民間人達の住む場所を提供するつもりだった。案の定、BETA日本進行で、大量の難民が発生したが、難なく受け入れに成功したのは、本当に良かった。
「しかし、アメリカは本気でG弾を使いたいらしいな」
「そうですね。首相官邸での榊首相とのやり取りは、既に報告されていますからね」
先程まで、通信をしていたギニアス大佐が隣に立っていた。
「イルマ中尉」
「はい。何でしょうか?」
近くで、作業していたイルマ中尉を呼ぶ。インカムを付けたまま此方に来た。
「済まないが、コーヒーを二人分頼めるか?」
「かしこまりました。少々お待ちください」
そう言って、コーヒーを注ぎに行った。
「先程の通信は何だった?」
「はい。第二師団のノイエン・ビッター少将からでした。現在、姫路防衛線にBETA群の先鋒と帝国軍が、戦闘状態に入ったとの事です」
「民間人の避難状況は、どんな具合だ?」
いくら、防衛に当たっている帝国軍や第二師団の部隊が優秀とは言うものの、民間人達がいたらその能力を遺憾無く発揮出来るか分からないからな。
「ビッター少将からの話では、完全退去が間に合うか微妙だそうです」
「そうか。間に合うと良いのだがな」
今現在迄に、民間人の犠牲者が0なのは凄いよな。正史なら、大量の犠牲者がでる羽目になったのだから、それに比べたらだいぶ良い結果なんだよな。しかし、帝国軍の部隊は、果たして防衛線を維持出来るかが、鍵となるな。
「コーヒーをお持ちしました」
俺とギニアス大佐に、コーヒーが渡される。渡されたコーヒーを口に含む。苦味が口いっぱいに広がり頭が冴えてきた。
「コーヒーは旨いな。ギニアス、第二師団は姫路防衛線から、民間人の脱出を最優先させろ」
「宜しいのですか?帝国軍が壊滅したら、我々も出撃する事になりますが?」
「構わん。民間人を死なせるな。民が生きていれば、また帝国は立ち上がるだろう。その為にも、此度の戦いで無闇に犠牲者を出させないのが、最善の行動だ」
「分かりました。オペレーター、ノイエン・ビッター少将に入電してくれ」
「かしこまりました」
ギニアス大佐が指示を出す。女性オペレーターが指示された通りに、ノイエン・ビッター少将に入電するのであった。
悠斗sideout
コンスコンside
ワシは今、姫路防衛線に避難してくる民間人達をビッグトレーに誘導して、避難させるように指示を受けた。
「まだ、民間人の避難は終わらんのか?」
「はい!現在、最優先で民間人避難を行っておりますが、BETAの進行が速く、民間人の脱出が間に合うか微妙な所です」
ブリッジで椅子に座って、部下の報告を受ける。今だ台風が九州に大規模な被害を与えておる。
外は、激しい雨と強い風が吹いておる。
ワシの艦に避難してきた、民間人の受け入れ限界も近い。
「他のビッグトレーはまだこんのか!」
ドン
椅子の肘掛けを強く叩く。最前線に近い場所で、民間人を受け入れていた、他の数隻のビッグトレーは、既に離脱している。ワシの艦が満員になったら、収容出来なくなった他の民間人達は、歩いて後方まで行かねばならん!その間にどれだけの人命が失われるか、他の連中は分かっているのか?
「現在、ノイエン・ビッター少将の部隊から、増援部隊が此方に向かっております。もう暫くはかかるとの事です」
秘書官が冷静に報告をするが、イライラする現状は変わらない。
「ええい!MS部隊は、何をやっとるのだ!」
「此処より、五キロ先の地点で帝国軍や在日米軍と共に迎撃任務をしています」
秘書官は忠実に職務を行うが、ワシの機嫌は一向に良くならない。
「コンスコン准将!本艦より後方から、増援のビッグトレー3隻が来ました」
オペレーターより、報告が入る。ようやく増援が来たことで、ホッと一安心した。
「ふ~、これで民間人は確実に脱出させられるな」
「そうですね。一安心しました」
ホッとした表情を見せる秘書官。ワシの機嫌も良くなったしな。
「援軍のビッグトレーから、通信が入りました。モニターに映像を繋ぎます」
中央モニターに、柄の悪い男が映る。軍服の上着の腕の長袖の部分を切って半袖にし、襟を立てて胸元を開けている。これで正規軍の制服なのだから、溜まったものではない。無意識のうちに、頭を押さえてしまった。
「コンスコン准将、お待たせしました。ノイエン・ビッター少将から援軍を命じられ参りました、ユーリ・ケラーネ少将であります。コンスコン准将は、民間人を連れて戦域を脱出してください。他の民間人は、我々が受け持ちます」
「ケラーネ少将、援軍感謝する。此方はもうすぐ定員に達する。定員になりしだい脱出する」
「了解しました。後はお任せください」
互いに敬礼して、通信を切る。椅子に座り直す。
「オペレーター、脱出定員に達したか?」
「はい!達しました」
「よし!艦転進!戦闘地域より撤退する」
「了解」×多数
民間人を乗せ、戦闘地域を離脱するのだった。
コンスコンsideout
シュタイナーside
我々サイクロプス隊は、現在姫路防衛線で帝国軍や在日米軍等と、共闘しつつBETAを迎撃している。俺が乗っているのは、ソロモンから持ってきたザクⅡFZ(フリッツヘルム)だ。部下達も全機ザクⅡFZ(フリッツヘルム)で統一している。
「隊長~、ヒック!どうするんですかい?」
この酔っぱらっているのは、ミーシャだ。戦闘中にも関わらず、酒を飲む奴だ。
「ミーシャ程々にしておけ。お客さんが前から来るぞ」
「了解しやした~。さて~来いよ化け物ども!蜂の巣にしてやるよ!」
「へっへへ。ミハイルの旦那。自分が蜂の巣にされないように気いつた方がいいぜ」
通信画面に、バンダナを巻いた男が映しだされる。隊では二番目に若い、ガルシアだ。口は悪いがパイロットとしての、腕は一流だ。
「なんだと~!よし見てろ!俺が光線級のレーザーを避けてやる所を」
「ホントに止めんか!来たぞ!」
前方から、時速100キロのスピードで突撃級のBETAが此方に向かって来る。
「全機跳んでやり過ごすぞ!バーニィ、しくじるなよ!」
「だ、大丈夫ですよ隊長!」
隊では一番若い優男の、バーニィにカツをいれる。戦闘経験は浅いが、呼び出されてからは、徹底的に訓練させたから、かなりの腕前のパイロットになったのだが、いかせん気が弱いのが玉に傷だ。
「よし!今だ、飛べ!」
ブーストジャンプして、突撃級を回避する。そのまま、突撃級は前進するが背後の弱点が丸裸になっている。
「今だ、鉛玉のプレゼントをしてやれ」
ダンダンダンダンダン
MMPー80㎜マシンガンから大量の銃弾が発射され、突撃級の背面に命中して血が飛び散る。
絶命した突撃級が、ビルに突っ込み止まる。
大きな音をたてて、ビルが崩落する。
「おら、死にな!」
「へっへへ、甘いんだよ」
「チッ!雑魚が!」
「うおーーー当たれーー」
ミーシャ、ガルシア、アンディ、バーニィ達のMMPー80㎜マシンガンから、大量の銃弾が発射され突撃級に容赦なく襲いかかる。
辺り一面に赤い血の花が咲き、血溜まりの池ができる。
「よーし!突撃級は倒した!要撃級を潰しに行くぞ!俺に続け」
「了解だ~、隊長」
「へい!分かりました」
「ハイよ!」
「了解です。シュタイナー隊長」
ブーストジャンプで再び上空に飛び、要撃級いる地点まで近付く。
ダンダンダンダンダン
MMPー80㎜マシンガンで、足元にいた要撃級を射殺する。空いた地面に着地して、シュツムルファウストを左手に取りだして発射する。
ドカーーーーン
シュツムル・ファウストの爆発に、かなりのBETAが巻き込まれた。
辺りにBETAの残骸や肉片が飛び散る。
「ゴク、ゴク。ふぱーー。酒は旨いな~。これだけは、止められねえぜ」
ミーシャのザクが、ヒートホークで要撃級を切り裂く。切り裂かれた要撃級から赤い血が飛散する。ミハイルのザクが赤く染まった。
「へ!逝っちまいな!」
ガルシアのザクが、MMPー80㎜マシンガンで、要撃級を蜂の巣にした。
「墜ちな」
アンディは、ヒートホークで突っ込んで来た突撃級を、回避しつつ流し切りで真っ二つにした。
「お、俺だって出来るんだ!」
バーニィは、マシンガンを乱射して戦車級を射殺するが無駄弾がある。もう少し無駄射ちしないよう頑張って欲しいもんだな。
「う、うわーーー助けてくれ!」
「お、俺の足が戦車級に」
「死にたくない!死にたくなーーい!!」
近隣の部隊の通信が混線する。どうやら、BETAに取り付かれたらしい。
「隊長!右前方を見てください」
「なに?」
ガルシアに言われて右前方を見ると、先程の無線に入ってきた声の部隊を見つけた。しかし、既に手遅れだった。
「隊長!助けに行かなきゃ!」
「よせバーニィ。もう助からん。見てみろ」
バーニィを制止して、右前方を見させる。3機の激震には、既に戦車級がかなりの数で取り付いており、助ける事が出来ない状態だった。
「た、助・・・・」
「い、いやーーー!」
ドカーーーーン
戦車級に取り付かれていた、激震がいきなり大爆発をした。爆風が此処にもくる。
「チッ!何でいきなり爆発したんだ?!」
「あーん?機体がかなり揺れるな。酔いが回ってきたか?」
「危な!」
「ガード!」
「え?」
咄嗟にシールドガードしなかった、バーニィのザクⅡが吹っ飛んだ。幸い一番後ろにいたので、問題はなかった。
「バーニィ大丈夫か?」
「く?痛~いてえ~。な、なんとか行けます」
バーニィを見ると、外傷は無いようだ。大方倒れた時に、背中を打ち付けてむち打ちになったんだろう。
「馬鹿野郎!戦場で気を抜いたら殺られるて、訓練でも習っただろうが!」
「す、すいませんガルシアさん。油断してました」
「いいか!お前一人のミスが、隊全体に迷惑をかけるんだぞ!お前がくたばるのは勝手だが、俺達迄巻き込まれたら、洒落に何ねえんだよ!!忘れんな?戦場に次は無いんだからな!」
ガルシアの説教を受けて、落ち込むバーニィ。俺が言うつもりだった事を、ガルシアが嫌われ役になって言ってくれた。
生きて帰ったら酒位は奢ってやるか。
「しかし、何でいきなり爆発したんでしょうか?」
「分からんが、もしかしたらパイロットが自暴自棄になって自爆スイッチを押したのかもしれん」
「はあ?待ってください。民間人が巻き沿いになるかも、知れないんですよ?」
ガルシアやバーニィは、首を傾げている。
俺とて分からないが、推測で話を続ける。
「錯乱していれば、周りに何が居ようと関係無く押したりする新兵がいたりするもんだ。まあ。推測でしかないがな」
「確かに、有り得ない話しじゃありませんね。パニックのあまり、自爆スイッチを押したのかも知れません。爆弾でも積んでればこれだけの衝撃も納得出来ます」
「まあ、良い。起きてしまった事は、どうしようもない」
そんな事を話していると、無線に通信が入ってきた。
「HQより各機へ、姫路防衛線が突破された!残存部隊は、急ぎ撤退せよ。繰り返す」
通信回線から、防衛線をBETAに突破されたと、通信が入った。
バーニィを除く、全員の顔に緊張が走る。バーニィは、顔を青くして少し震えている。
「全員聞いたな。防衛線が突破された。これ以上此処に居ても無駄だ。我々は此処より脱出する」
全員が頷く。バーニィを除けば皆退却戦が如何に辛いかよく知った隊員達だ。この先の地獄を、予想しているのだろう。
「先頭三人は、ガルシアとアンディそれにバーニィ。殿はおれとミーシャで引き受ける」
「りょ~~かい~~」
「了解です」
「了解しました」
「り、了解です。シュタイナー隊長」
「よし!なら行け!5分後には合流する」
ガルシアとアンディのザクⅡがブーストジャンプして、後退を開始する。
「バーニィ遅れるな!行け!」
「は、はい!」
バーニィが遅れて二人を追いかけて行った。
「やれやれ。酒が切れちまった。さっさと倒して、帰えって一杯やりませんか?」
「そうだな。たまには一緒に飲むか」
近づいてくるBETA群を相手にしながら、そんな会話をする。しかし、手を動かすのは止めない。シュツムル・ファウストを要塞級に放つ。
ドカーーーーン
直撃を受けた要塞級の体が吹き飛ぶ。肉片が辺りに飛び散り血しぶきを上げて倒れる。
無数の小型種が下敷きになるが、一向に減る気配がない。
「くらいな!」
ミーシャのザクⅡから、ハンドグレネードを投げる。バババンと爆発して小型種を吹き飛ばすも、数が減る気配がない。
「ミーシャ時間だ!撤退するぞ」
「了解ですよ」
ブーストジャンプして、その場から飛び立ち戦場を脱出した。
シュタイナーsideout
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