ロックマンX~朱の戦士~
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第五十四話 Oceanographic Museum
前書き
グリズリーを下したルイン。
次に向かうのは…。
ルインがオリハルコンの入手に成功して間もなくのこと。
アイリスは3人のナビゲートを行いつつ、コロニーの状況を調べ、エイリアはルインから転送されたアーマープログラムの解析。
ダグラスとルナはオリハルコンの加工を開始し、エニグマの砲身とエンジンの強化を図っている。
シグナスはパーツを保持する残りのパーツを保持するレプリロイドの詳細を調べさせたりし、情報を集めていた。
皆が自分に出来る精一杯をやっていた。
アイリスはコロニーの状況を調べるためにモニターを見ていたが、彼女の表情は驚愕に染まる。
シグナス「アイリス!!何があった!!」
モニターを凝視する彼女にシグナスが叫んだ。
アイリス「シグナス総監!!謎のメッセージを受信しました!!」
モニターに砂嵐が起こり、直後1人のレプリロイドが映し出された。
それはシグナス達は知らないがユーラシアを占拠したレプリロイドである。
シグナス「誰だこいつは…?見たこともないぞ…」
シグナスの言葉に対し、謎のレプリロイドが声を発した。
人を小馬鹿にしたようなふざけた口調である。
『イレギュラーハンターの皆さん。ご苦労様です…。ユーラシアを占拠し、地球に激突させようとしている張本人でーす』
シグナス「何だと!!?」
滅多に動じないシグナスですら、男の発言に怒りを爆発させた。
『特に皆さんに怨みはないけど、仕事なんでね…近いうちにハンターベースを襲撃させて頂きます』
男はシグナスの怒りに構わず、だらしのない調子で言葉を紡ぐ。
アイリス「何のためにこんなことを…地球が滅びたらあなただって!!」
『暇だったからかな?退屈凌ぎにね。あー、エックスさんとゼロさんとルインちゃんいますか?相手になってくださいよ。暇なモンでね…。出来れば相手は可愛いって評判のルインちゃんがいいけど…、ま、力抜いて戦いましょうや。スポーツな感じでね…くくっ』
エイリア『何てことを…』
思わずエイリアは呻いてしまう。
『あ、ダイナモっていいます。では、また後で…』
通信が途切れ、いつものモニターに戻る。
シグナスは拳を震わせながら、必死に怒りを抑えていた。
シグナス「こんな時にふざけた奴だ。くそっ!!…あんな奴でも、戦わないといけないのか?」
地上に蔓延するシグマウィルスは世界各地で深刻な事件を引き起こしていた。
それはハンターベース付近の海も例外ではなかった。
骨董品同然のデスエベンジが突如作動し、大海へと乗り出してその近辺で破壊の限りを尽くしているのだ。
自己進化、自己再生、自己増殖と言った凄まじき特質を備えるシグマウィルスに寄生されてしまえば、作動するはずのない骨董品が動き出したとて何の不思議もないのだから。
エックスはデスエベンジの猛攻を凌ぎながら、デスエベンジの砲門に向けてバスターを構えた。
エックス「プラズマチャージショット!!」
まずは頭部の砲門を潰す。
デスエベンジの耐久力は凄まじいものがあるが、いくら劣化してもスパイラルクラッシュバスター並みの威力を誇り、着弾点にプラズマを発生させ追加ダメージを与えるプラズマチャージショットの前では形無しだ。
更にプラズマチャージショットを放ち、他の砲門を破壊するが、デスエベンジの追跡は止まらない。
舌打ちしたい衝動に駆られたが、エックスは意識を集中させると両手に風属性のエネルギーを纏わせる。
かつてのレプリフォース大戦で得たストーム・フクロウルの特殊武器。
エックス「ダブルサイクロン!!」
チャージダブルサイクロンを受けたデスエベンジは凄まじい乱流により押し戻された。
その隙に前進するエックス。
しかし、シグマウィルスにより強化されているのか、ダブルサイクロンにより生じた乱流を抜け出して来たのだ。
エックス「(ノヴァストライクさえ使えれば…)」
負担は絶大だが、ギガクラッシュのエネルギーを一点集中して繰り出す体当たり攻撃。
それを使えればデスエベンジの強固な装甲を貫いて、動力炉を破壊出来るのだが…。
エックス「無い物ねだりしても仕方ない!!」
Xブレードを抜き放ち、刃を発現させると、口の砲門に一撃を喰らわせる。
そして次の瞬間、チャージを終えたバスターを砲門に向ける。
エックス「プラズマチャージショット!!」
プラズマチャージショットがデスエベンジの口の砲門に炸裂した。
砲撃が放たれた直前に受けたことで砲門が爆散する。
次にデスエベンジの後方に移動するとミサイル砲台にプラズマチャージショットを繰り出す。
エックス「たあああああっ!!」
チャージブレードで残りの砲台を破壊する。
そしてプラズマチャージショットでスクリューを破壊するとコントロールを失ったデスエベンジは何処かへ消えていく。
エックスはそれを見届けると先を急いだ。
しばらく泳ぐと旧世紀の木造の大型船に辿り着いた。
エックスは辺りを見回した。
ここなら水中よりまともに戦える。
急いでマッコイーンの元に向かうが、しばらく走るとエックスの視界にあのカプセルが入る。
エックス「あれは…」
ライト博士のカプセル。
エックスが歩み寄るとライト博士のホログラムが現れる。
ライト『お前達レプリロイドにとってシグマウィルスが蔓延する今の地上は正しく地獄じゃ。この地獄を打開すべくわしはお前に新たなアーマー、“ファルコンアーマー”を用意した。既にルインに一部を渡してある。だが今までのようにパーツを作成するには、このウィルス汚染の著しいこの場所ではリスクが大きい。よって今渡せるのはこのアーマー用プログラムを記録して置いたファイルのみじゃ。エイリアという娘にそれを手渡してアーマーを完成させてもらってくれ…そしてルインのオーバードライブのチップのファイルも渡しておく。』
そう言うとライト博士はエックスの手に2枚のパーツファイルを手渡した。
ライト『これに記録されておるのはボディパーツ。ギガクラッシュやノヴァストライクと同様に敵から受けるダメージを軽減し、そのエネルギーを吸収し蓄積させる事で広範囲に渡り無数の貫通弾を発生させるギガクラッシュの派生系、スピアショットウェーブを使えるようになる。それだけではない、過去の大戦で与えたバリアブルダッシュが可能となり、ゆっくりと下降するホバーが使えるようになる。』
エックス「…分かりました。パーツファイルを受け取りましょう」
ライト『エックス…戦いとは辛く悲しい物じゃ。しかしその先にある人々の笑顔…忘れるでないぞ』
エックス「はい…ありがとうございますライト博士。必ずやシグマの野望を阻止します」
パーツファイルを受け取ると簡易転送装置でパーツファイルを転送する。
エックス「…急がなければ」
大型船を出ようとした瞬間、エックスに砲弾が飛んで来た。
急いで水中に出るとデスエベンジが戻ってきた。
エックス「チッ!!」
舌打ちしながらプラズマチャージショットをコアに向けて放つ。
しかしバリアにより、プラズマチャージショットが阻まれた。
エックスはセンサーを使い、バリア発生装置を発見するとXブレードを装置に突き刺すと、バリアが解除され、露出したコアと砲台に向けてエネルギーをチャージする。
エックス「フロストタワー!!」
チャージフロストタワーがコアと砲台に降り注ぎ、巨大な氷塊にコアと砲台は貫かれ、デスエベンジは沈黙した。
エックス「何とか破壊出来たか…」
シグマウィルスの恐ろしさに戦慄を抱きながらも扉を潜るとマッコイーンを発見した。
マッコイーン「ほう…これはこれはエックス隊長…」
エックス「ハンターベースから1番近いこの海を…使わせて欲しい…大量の水素を作るために…」
マッコイーン「核融合でも起こして…エニグマを使う気だな?」
エックス「そんなところだ…分かっているのなら、是非協力して欲しい。」
マッコイーン「エックス君…わしは海の男だ…簡単にこの海を手放すわけにはいかない…愚かなことだと分かっている。ただ、男として、君と戦いたい!!!」
エックス「分かった…だが、本当にいいのか、マッコイーン…俺は、あなたがこの海を守ることを潔く諦めようと、文句は言わない。侮蔑も侮辱もしない。それもまた、信念だと思って受け入れるつもりだ。それでも、あなたは戦うのか…?」
マッコイーン「何度も言わせないで欲しい…わしは、この海を何としてでも守る。じゃが、心配するな。君がわしを殺しても、わしは君を恨んだりはしない。誰の中にも譲れない“正義”がある。」
マッコイーンは表面上は穏やかなで、その実深い意味を持たせた話をする。
彼の言葉によりエックスの迷いは吹っ切れた。
エックス「分かりました。ならばもう言葉は不要ですね。俺もあなたに最大の敬意を払って、全力で相手をしよう…」
エネルギーをチャージするとマッコイーンに向けて両手を翳す。
エックス「ダブルサイクロン!!」
高い貫通力を誇るチャージダブルサイクロンがマッコイーンを襲う。
マッコイーン「アイスブロック!!」
前方に氷のキューブを繰り出し、チャージダブルサイクロンを防ぐ。
ガリガリと氷を削る音が聞こえたが、マッコイーンは水中での高い機動力を活かして、縦横無尽に動き回る。
エックス「くっ…速い!!」
戦闘用レプリロイドではないと聞いていたが、マッコイーンの水中での戦闘力は特A級のそれに匹敵する。
恐らく、海を守るためにパーツを取り込んで性能の底上げをしたに違いない。
マッコイーンの体当たりを受けたエックスは体勢を崩す。
マッコイーン「ジェルシェイバー!!」
極低温の冷気の刃。
グランドハンターと同性能の技と見て間違いないだろう。
足に炸裂し、エックスの足を凍結する。
エックス「しまった!!」
マッコイーン「テイルクラッシュ!!」
横回転しながら尾による打撃をエックスに見舞うマッコイーンにエックスは勢いよく吹き飛んだが、エックスも負けてはいない。
直ぐさま体勢を整え、加速装置を使い、マッコイーンに突撃した。
エックス「喰らえ!!」
Xブレードを振るう。
斬撃はマッコイーンの頬を掠め、マッコイーンは顔を顰めたが構わず拳を振るう。
咄嗟に後ろに飛ぶことでダメージを軽減させたエックスはノヴァストライクの要領でホバーと加速装置を全開にし、マッコイーンに突撃した。
マッコイーン「っ!!?」
あまりの速度に対応出来なかったマッコイーンは目を見開いた。
エックスはバスターに送信されたグリズリーのデータにより得た特殊武器を繰り出した。
エックス「クレッセントショット!!」
チャージクレッセントショットは自身を衝撃波のバリアで包む技だ。
バリアであるために射程距離は極端に短いが、凄まじい威力を誇り、まともに受けたマッコイーンの身体に夥しい傷をつける。
マッコイーン「ぐっ…おおおお!!」
口から猛烈な勢いでアイスブロックを吐き出し、エックスを壁に叩きつける。
しかし、エックスはダメージで動きが鈍くなったマッコイーンに向けてプラズマチャージショットを放った。
マッコイーン「ぐああああああああ!!」
プラズマチャージショットによるダメージとプラズマによる追加ダメージにより身体を痙攣させるマッコイーン。
強烈な痺れが、数秒間続いた。
体勢を立て直そうとした時には既にエックスは予めチャージしていたブレードを構えていた。
エックス「すまないマッコイーン…」
チャージしたXブレードを大上段で振り下ろす。
チャージブレードをまともに受けたマッコイーンは縦に一刀両断され、そのまま海の藻屑と消えた。
エックス「本当にすまない…だが、俺も…前に進むしかないんだ…」
気落ちするエックスに対してダイナモにハンターベースが襲撃を受けていると連絡を受けるのはもう間もなくであった。
後書き
特殊武器・必殺技習得
エックス特殊武器
ジェルシェイバー
性能は原作に準ずる。
ゼロ必殺技
飛水翔
性能は原作に準ずる。
ルイン特殊武器
ジェルシェイバー
エックスと同性能。
チャージ不可。
ルイン必殺技
無し。
ボディパーツの変更点。
ボディパーツはただダメージを軽減し、ギガアタックのエネルギーに変換する能力しかなかったが、ホバーとバリアブルダッシュの機能がこの作品では追加されている。
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