マンゴー竹林にとってそれは逆風吹き荒れる季節の蹂躙だった。追分小五郎と青春の追走を競い合ったあの夏の日から一年。約束の場所には妄想竹が生い茂っていた!
「ぬううう!バカな!血風の盟約を破ろうはずがないッ!」
マンゴーは信じた。ひたすらに信じた。日が落ち、夜風が肌を苛み、やがて暁が夜明けを告げようとも。
待って待って待ちわびた!
血風の盟約、一途に追った青雲の軌跡。だが妄想竹は凛と否定した。
「ぬうううう!余は信じる!彼奴は必ず舞い戻る!誓った!誓ったのだ!天地天明に賭けて」
竹林の想いは風雪と年月に埋もれた。やがてマンゴーという英傑が血盟を命果てるまで信じ続けた、その義勇だけが地名として残った。見かねた近隣住民の感銘。
それだけが、ただそれだけが友情の証だったのだ。人は何を信じ何を願い何を追い求めるのか。
記そう。それがムヒョ記だ。
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