トンデモ系の渡来人伝説が多く伝わる町・三瀬浜。
そういう町に生まれ育った影響なのか、中学二年の少女・都祁香澄は空想に耽るのがなによりも好きだ。
そんな香澄は不思議な夢を観るようになった。
一見いつもと同じ町なみ。
けれどあるはずのものがなく、ないはずのものがある奇妙な世界。
あちこち散策をしているうちに、いつも通っている學園にたどり着くと、そこには見なれない館と不思議な少年がいた。
学校や家では聞けない楽しい話と美味しいお茶につられ、夢の中での少年との交流が続く。
そんなある晩。
「君はソロモン王の末裔。望めば望むだけ世界を変える魔法の力がある」
「ただし魔法の力を手に入れるには館内に封印された72柱の魔神を解放しなければならない」
と告げられる。
そこから魔神復活のため、夢の中で香澄の冒険が始まった。
次々と封印を解いてゆく香澄。復活した魔神は現実の世界に人の姿で現れ、香澄の手助けをしてくれるし、なによりもいい遊び相手になる。
けれども香澄のおこないは、物理法則のことなる二つの世界の均衡をくずし、やがてはどちらかの世界が消滅してしまうことにつながるのだ。
それを知った香澄は選択をせまられる。
夢の世界を現実のものにするため、もといた世界を完全に無くすか、今までの記憶も力も失くして日常の世界に戻るか。ふたつにひとつ――。
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