IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第346話】
セシリアと共に寮へと帰宅、一旦セシリアは汗を流すということで別れ、現在寮の食堂にて食事中――と、そこへ……。
「ヒルト、ただいま~」
「ん? おぉ、未来か……出掛けてたのか?」
「うん、美冬ちゃんと一緒に美春ちゃん様に必要な物を買いに出掛けてたの。 んで、美冬ちゃんは一旦美春ちゃんに荷物を渡してから自室に戻って、後でご飯食べるって」
「成る程……お疲れ様、未来」
労いの言葉をかけると、嬉しそうにはにかむ未来。
手に持った定食を机に置くと、礼儀正しくいただきますと一言言ってから食べ始めた。
人の料理って、見てると何故か美味しそうに見えるのは何でだろう……。
まじまじと見ていると、視線に気付いた未来が――。
「ふふっ。 ヒルト、一口食べる?」
そう言って魚を一口サイズに切り分けると、手で受け皿を作って俺の口元まで運ぶ未来。
「わっ、な、何で食べさせようとするんだよっ」
「何よ、照れちゃって♪ 今殆ど他の子いないんだし……はい、口開けて?」
断るに断ることも出来ず、口元の一口サイズに切り分けられた魚の切り身とにらめっこ――そして、観念して頬張るとそれを咀嚼。
「どう? 美味しい?」
「むぐむぐ……。 あ、あぁ……いい感じに醤油で煮込まれてるな。 ……て、てか恥ずかしいから止めろよな、未来……」
「ふふっ、恥ずかしい事なら他にもしてるじゃん……き、キス……とかさ」
言ってて恥ずかしくなったのか、視線を逸らした未来。
頬に赤みが差していて、何だか可愛く見えた。
「ば、バカ……。 て、てか食べようぜ……」
「ぅ、ぅん……」
言葉少なく、俺と未来は食事を進めていく。
会話が無くなるのは何か微妙に気になるので――。
「そ、そういや未来はIS関連で提出する書類とかなかったのか?」
「え? ……んと、そういう書類はその日の内に書いて直ぐに提出しちゃうから。 休みの日は休みの日で、ゆっくりしたいしね。 ――って言っても、お母さん――ヒルトのお母さんだよ、念のため。 お母さんがデータ取りしたい場合は休みでも構わずにやるけどね♪」
「成る程。 ……データ取りって、何のデータ?」
「えっと……新型パッケージの稼働データ。 何でもお母さん、篠ノ之さんの展開装甲の機能を一極化したパッケージの試作を――って、一極化ってわかるかな?」
首を傾げて聞く未来に、俺は――。
「展開装甲の各々の機能――例えば攻撃ならそれのみに特化したって意味だろ?」
「うん、そうそう。 ――いつもじゃないけど九月に入ってからお母さんに頼まれてそのテストをやってるの。 外側から見ただけってお母さん言ってたけど、特性として結構コピーしてるかな? ――ううん、機能一極化してるから、その分篠ノ之束製よりも高いよ? まぁ問題は燃費の悪さ何だけどね、あはは」
軽く笑顔で応えると、未来は味噌汁を一口飲む。
そこで寮の食堂に女子生徒が続々とやって来たので未来は慌てて――。
「あ、今のはヒルトの胸の内に閉まっててね? ……お母さんが展開装甲に興味持ったのも、やっぱり純粋にその技術を応用して色々生活やら何やらで役に立つもの作りたいからと思うの。 ――なんて、ヒルト自身がわかってることかな、ヒルトのお母さんだし♪」
人差し指をたて、内緒にしてねと念を押す未来。
――てかこんな内容そうそう言える事じゃないよな……。
……ますます母さんがわからん……わかってることは、ISに匹敵するほどのパワードスーツ【PPS】を開発したことと未来を含めて候補になり得る子皆を自分の娘みたいに扱ってる事とその他色々……。
後は人脈が謎過ぎるぐらいか……考えれば考えるほど深みに嵌まるみたいだ……。
軽く息をつき、飲み物を飲むと食堂が徐々に賑やかになっていく――と、ここで俺の後ろの席の女子グループの会話が耳に聴こえてきた。
「……ねぇ、いつまで篠ノ之さんと仲の良い友達のふりをすれば良いのかな?」
「シィーッ! ほ、他の人に聴こえちゃうでしょ?」
「ご、ごめん……。 ……でもさ、いつまでたっても篠ノ之束博士に私達の事を電話で紹介するとか無いし……」
「今は我慢よ。 ……専用機さえ貰えば彼女に用は無いんだし……ね?」
「ぅ、ぅん……。 でも――」
ざわざわと喧騒が煩い中、聴こえてくる女子のそんな会話に溜め息がこぼれ落ちる――と。
「さて、今日は何を食べようかな。 寮の食堂はタダだからな、IS学園様々だよな箒?」
「うむ、そうだな。 ……一夏、たまには丼ものとかはどうだろうか?」
そんな一夏と箒の会話が聴こえてくるや、後ろの席の女子グループは直ぐ様話題を変える。
最近流行りの化粧品についての話題だが……いまいちわからないから聞き耳をたてるのを止めて俺はまた食を進める事にした。
「やっぱりこの時間になると皆が食事を取りに来るね? 人によっては自炊する子も居るみたいだけどね」
「そうなんだ?」
「うん、料理するのが好きで栄養士の資格をとりたいって言ってたよ」
「成る程……てか、未来は色々話すんだな、友達と」
「うん。 専用機持ちの子以外にも皆とも仲良くなりたいからね。 ふふっ」
また笑みを溢す未来――そういや、未来って直ぐに友達出来るもんな……男女問わず、中学時代も男子に結構告白されてたって風の噂で聞いて色々やきもきしたのが遠い昔の様だ。
……そんな未来が俺の事が好きってもっと早く気付いていたら今の八方美人状態の俺は無かった筈だが……この辺りは俺が悪いため猛省しなければ……。
料理を食べ終え、窓から景色を眺めていると未来も食べ終えた様で――。
「ごちそうさま。 ……さて、お風呂に入ってこようかな~。 今日は女の子がお風呂を使える日だしね?」
「ん、そっか。 ……俺はどうするかな」
「あ、美冬ちゃんがヒルトに用事があるって言ってたよ? 後で部屋を覗いてみたら? 私は多分お風呂入ってゆっくりまったりしてるし」
「……だな、なら後で向かうかな。 さて、未来も食べ終えたなら一緒に戻るか? 途中までだけど」
「うん。 じゃあいこっ?」
その言葉を合図に、俺と未来は食器を片付けると寮の食堂を後にする。
……何か色々聞きたいこと、聞きたくなかった事を聞いた食事時だったなと改めて思った。
後書き
女子の暗黒面を出してみた……割りとガチである会話かと('A`)
思えば中学時代、俺も女子に悪口言われて死ねって返したらガチで泣かれましたからな
まあ嘘泣きなのはわかってても、人は泣いた人間に味方する愚かな生き物ですからな……涙を流す人は誠実に見える、嘘をついていないという先入観から
まあこの辺りは価値観の違いで意見は分かれますが……大体真実だったりする
本音と建前って奴ですな(ぇ
後二話か三話でまた原作戻ります
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