IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第351話】
前書き
生徒会所属話
――生徒会室内――
「有坂ヒルトくん、織斑一夏くん。 二人とも生徒会入部おめでとう! あ、後ヒルトくんは生徒会副会長着任もね♪」
「ひーくん大出世~。 おめでと~。 出世しても変わらずにいてね~」
「おめでとう。 二人とも、これからよろしく」
楯無さんに始まりのほほんさん、その姉の布仏虚さんが言葉を俺達に送って直ぐに同時にクラッカーを引いた。
盛大な音と共に舞い散る紙吹雪、祝ってくれるのは嬉しいがまさか俺が生徒会副会長着任って……場末じゃないのか?
「……何故こんなことに……」
小さく呟くように言葉を吐く一夏に、楯無さんは机の前で腕を組みながら。
「あら、二人にとってはいい解決方法でしょう? ……まあ元々君たち二人が何処の部活動にも入らなかったから各部活動からの苦情もあったし、学園長からもその言葉で私達生徒会にその権限を持って何処かに入部させる様にって言われてね」
「ひーくんはともかく~、おりむーが何処かに入ればー、一部の人は諦めると思って~。 私はひーくんの生徒会入部はうれしいよ~。 ケーキ貰えるし~てひひ♪」
「本音、口元を拭いなさい。 ……こほん、話は続けて――その他大勢の生徒が『織斑くんをうちの部活に入れて』と言い出すのは必至でしょう。 有坂君に対しても労働力という観点で狙う部活動も多数居ます。 その為、生徒会で二人に今回の措置をとらせていただきました」
三人の説明に思わず納得する俺に対して、一夏はがっくりと肩を落としながら口を開く。
「俺の意思が無視されている……」
その言葉に真っ先に反応したのが楯無さん。
「あら? 君だっておねーさんの言ってる事を無視して自分の意思を優先してるじゃない? おあいにく様よ?」
「え? 何です、楯無さん?」
ここに来てまさかの難聴発作に、笑顔は絶やさない楯無さんからは異様なプレッシャーが放たれていた。
布仏姉妹共に、二人して頭を抱えて溜め息が足下にこぼれ落ちた。
その様子に、俺は慌てて――。
「い、いやぁ、生徒会に入部は嬉しいなぁ~。 こ、こんな美少女三人に囲まれる俺達って幸せって奴だぜ、これがな。 はははっ」
慌てて話題を変えてみる――ちょっとわざとらしいかと思ったのだが楯無さんから放たれていたプレッシャーは消えるや――。
「あら、ヒルトくんってば嬉しいこと言ってくれるわね?」
「てひひ、ひーくんから美少女って言われちった~」
「……美少女かどうかは解らないのですが――不思議です、何故かそう言われて嫌な気持ちにはなりませんね」
三者三様の態度――とりあえず何とか場を繕えたので俺としてはホッと一安心だった。
――と、一夏が口を開く。
「えーと……とりあえず、これから毎日放課後に俺達は集合ですか?」
そう布仏さんに訊く一夏に、軽く咳払いして気持ちを整えると。
「こほん。 お二人には当面そうしてもらいますが、派遣先の部活動が決まり次第そちらに行ってください。 此方での仕事は基本私達で行いますので派遣先が決まらない間は放課後は自由時間だと思ってくれれば大丈夫です。 ISの勉強に支障が出てはダメですからね」
正直その措置は有難い、ただでさえ俺はまだ追い付けてないのに訓練する時間すら没収されてしまったら泣くに泣けないし。
「はぁ……わかりました」
いまいちわかったのかわかってないのか理解しづらい返答をする一夏――と、ここで布仏さんが……。
「ところで……、一つ、良いですか?」
妙に歯切れの悪い口調――そして泳ぐ視線。
「? 何ですか?」
一夏は軽く口を傾げて聞き返すと、言いにくそうにしながら小声で口を開いた。
「学園祭の時にいたお友達は、何というお名前ですか?」
「え? あ、弾の事ですか? 五反田弾です。 市立の高校に通ってますよ」
「そ、そう……ですか。 年齢は織斑くんと同じですね?」
「? ええ、同い年ですよ? それがどうかしましたか?」
そう訊く一夏に、小声で呟くように言葉を吐く布仏さん――。
「……二つも年下……」
「え?」
「いえ、何でもありません。 織斑くん、ありがとうございました」
丁寧にお辞儀をする布仏さんに、俺は――。
「布仏さん、少し良いですか?」
「え? は、はい、何でしょうか?」
「恋に年齢はあまり関係無いですよ? 年上の女性が年下の人を好きになっても何の問題も無いですよ」
余計なお節介だとは思いつつ、口出ししてしまった俺。
一夏は相変わらず頭に疑問符を浮かべているが、布仏さんは――。
「……ありがとうございます、有坂君。 貴方にそう言って貰えると勇気が湧いてきました」
笑顔でそういう布仏さん――と。
「あら? ヒルトくんは他の人の恋路もキューピッドになっちゃうぐらいお人好しなのかしら? うふふ、次いでだからおねーさんの彼氏候補も紹介してよ♪」
「う? し、紹介出来るほどの人脈は無いですよ……」
「えー、私が得たひーくん情報によると~、ひーくんは男友達めちゃくちゃ居るって情報があるよ~?」
「……のほほんさん、何処で調べてくるんだよ、それ?」
「てひひ~、内緒内緒~」
にへっと笑いながら誤魔化すのほほんさんに、鼻の頭をかいてると楯無さんが――。
「うふふ、さて――今日は生徒会メンバーが揃った記念とヒルトくんの副会長就任を祝ってケーキを焼いてきたから、皆で頂きましょう」
「わ~。 さんせ~」
ダボダボの制服の袖を掲げて笑顔になるのほほんさんは本当にケーキが好きなのだと改めて思った。
「では、私は紅茶を淹れましょう」
「ええ、お願い。 本音ちゃんは取り皿をお願いね?」
「はーい」
作業分担は基本のようで、俺が手伝う間もなく準備が淡々と進められていく。
切り分けたケーキを受け皿に乗せ、机に並べられるがどれも非常に甘そうに見える。
ショートケーキ好きの俺には堪らないぐらい並べられたが、自重しなければ。
「それでは……乾杯!」
そう音頭をとる楯無さんに続くように皆が乾杯をとりはじめる。
「かんぱーい~」
「乾杯」
「は、はは……乾杯。 はぁ……」
一夏だけが足下に深い溜め息を溢していた、そして俺は――。
「ん、乾杯。 ……不束者ですが、よろしくお願いします」
紅茶を淹れられたカップを持ち、そう言うと生徒会メンバー三人が声を揃えて――。
「「「ようこそ、生徒会へ♪」」」
こうして俺の生徒会所属が決まり、生徒会メンバーに暖かく迎え入れられた。
後書き
さて、次の話を書いてからアメリカに話が飛びます
大方百話ぶりに出るか、親父(* >ω<)=зハックション!
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