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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第279話】

 
前書き
超駄文かも 

 
――畳道場――


 向かう道中で、一夏の怒りは少し治まったらしく、今は普通の表情なのだが……。

 ……鳥頭過ぎないか?

 まあそれはそれとして、現在畳道場、そして――。


「えーと……これは?」

「……キミは袴も見たことが無いのかな?」

「袴ぐらい見たことありますよ、それくらい!」


 くすっと笑みを溢す楯無さん――既に彼女のペースに嵌まっている一夏に、勝ち目は無い――というか無理だろう。

 ともかく、二人は畳道場で向かい合い、柔軟を行っていた。

 二人の姿は白胴着に紺袴という昔からの武芸者スタイル。

 道場にはこの二人を除くと俺だけで、観客も居ないため、変に気負う必要は無いと言うことだ。

 ――と、柔軟を終えた楯無さんが……。


「さて、勝負の方法だけど、私を床に倒せたらキミの勝ち」


 解りやすい内容で、床にさえ倒せばいいという優しい条件に、一夏は――。


「え?」


 そう短く聞き返す一夏に、言葉を続けていく楯無さん。


「逆にキミが続行不能になったら私の勝ちね。 それでいいかな?」


 ニコッと笑顔で一夏に伝える楯無さんに、流石の一夏も少し思ったのか――。


「え、いや、ちょっと、それは……」


 そんな感じで言いにくそうに言うが、こういう条件を出すというのは、楯無さんには圧倒的な自信と経験があるという裏付けもある。


「どうせ私が勝つから大丈夫。 じゃあヒルト君、見学していてね?」

「………………」


 軽くウインクして余裕を見せる楯無さんに、また怒りが込み上げたのか目付きがキツくなる一夏。

 そう言えば、あいつは夏休み入る前に何か篠ノ之流古武術も習ってたとか何か言ってたな。

 朽ちることは無くても錆びることはある。

 日々の鍛練を怠れば、身体は自然と忘れていくってお爺ちゃんが言ってたな……。

 だからこそ、毎日健康法として中国武術を行っていたのかもしれない。

 ……まあ、今もお爺ちゃんは続けてるとは思うが。


「行きますよ」


 そんな一夏の言葉に、楯無さんは笑みを崩さず――。


「ええ。 いつでもどうぞ」


 余裕の風格すら感じるその姿に、生唾を飲む音が妙に大きく聞こえた。

 まず、先に動いたのは一夏で、基本である摺り足移動で近づき、楯無さんの腕を取る――だが、その次の瞬間。


「!?」


 あっさりと返された一夏を、そのまま勢いよく畳に投げ落とす楯無さん。

 掴まれてから返し、そして投げまでの一瞬の動作はまるで電光石火の如く。

 動きを見るだけで、彼女が幼少の頃から武術を取り組んで来たのが解るぐらいだ。

 一方の一夏は、叩き付けられ、息を吐くのだが楯無さんの指が頸動脈に触れると、思わず目を見開いていた。


「う…………」


 親父が居たなら……「今ので織斑君は一度死んだな。 まあ下手に生かされるよりは死んだ方が彼も楽になるだろう。 ワッハッハッ!」……って言うだろう。


 くすっと、またも笑みを溢し、楯無さんは――。


「まずは一回」


 そう告げ、一夏から距離を離す楯無さん。

 仕切り直しといった所だろう。

 立ち上がった一夏は、袴を正すと共に表情に焦りの色が見える。

 ――当たり前だが、最近まで帰宅部で何の稽古もしてなかった奴が、動きを見ただけで毎日訓練をしてる人相手に勝つなんてまず有り得ない。

 あるとすれば、楯無さんの体調が急に崩れないといけないが、生憎と血色の良さが、彼女の体調の良さを表していた。

 迂闊に手を出せないのか、一夏は踏み出せず、場は膠着する――。


「………………」


 黙ったまま相手を見据える一夏に対し、楯無さんは――。


「ん? 来ないのかな? さっきまでの勢いはどうしたのかな、織斑君?」

「…………ッ!」


 楯無さんの挑発に、表情を変える一夏だが、やはり動かず――。


「……それじゃあ私から――行くよ」


 そう言い、一気に一夏の目の前に急接近する楯無さん。

 その動きは、昔からある古武術の一つ、無拍子と呼ばれる所謂奥義という奴だ。

 空手しかり柔道しかり、これを使える人は基本、相当な実力者だと言える。

 よく漫画でも、この無拍子の使い手は居るが、間合いに入ってからの速攻に、普通の人は対応が出来ない。

 因みに、俺もまず無理――お爺ちゃんがこれを使えるのを知ってるため、初見では無いが――。

 結局、あまり詳しくないため俺自身偉そうに語っても仕方ない。


「しまっ――」


 間合いに入られてからでは遅く、先ずは肘、次に肩、腹と軽く掌打を叩き込まれ、一夏の関節が強張った一瞬に、勢いのある双掌打が両肺に叩き込まれる。

 結果として、こうなると軽く意識が飛ぶだろう――強制的に肺の空気を排出されるのだから。


「がっ、はっ……!」


 苦しそうな表情の一夏に、更に楯無さんは――。


「足下ご注意」


 そう言ってから、一夏を背中からおもいっきり畳に投げ飛ばす。

 衝撃のせいか、暫く身体を起こせない一夏を眺めながら楯無さんは――。


「これで二回。 まだやる、織斑君?」


 着た袴は襟元一つ乱れることはなく、優しい笑みを向ける。

 大人しく負けを認めるのも勇気だが、一夏は変な所で男だからという理由で何とかってよく言うが――正直、無謀にも程があるし、この女尊男卑な世界でそれを言って笑われないのは結局は【姉の名前】だと言うことには気づかない。

 倒れたままの一夏は――。


「まだまだ、やれますよ……!」


 少し横になれたからか、息を吸い、吐いてから勢いよく跳ね起きた。


「うふふ。 頑張るのと無謀はまた違うものよ、織斑君?」

「無謀かどうかは、次でわかるさ……」


 そうは言うが、一夏の足がふらつくのを俺も楯無さんも見過ごさなかった。

 基本、足がふらつくのなら軸足を攻めれば相手も堪らずダウンするだろうが……余裕からか、楯無さんは攻めずに一夏を眺めるだけだった。

 その間に、一夏は深く息を吸い、吐くという動作を二度行い、集中したのか真っ直ぐと楯無さんを見据える。


「む。 ……本気……だね」


 笑みは絶やさぬものの、無言で見据えてくる一夏に対して、楯無さんも一夏の筋肉の動きやその他動作などを見逃さない鋭い眼差しで注視していた。


「………………」


 静寂が訪れた畳道場――相対する二人。

 外では部活動を行ってるのか、女子の掛け声が耳に届く。

 空気だけなら、正直張り詰めているものの――どうにも俺の頭の中では前に一夏が言ってた【裏奥義】がちらつく。

 ……ネタは解らないが、子供でも習得できる裏奥義って大した事ない気がする。

 ……どんなに格闘センスのある人間でも、子供の頃から流派の裏奥義を習得できるって、まず無いだろ。

 日々の基礎鍛練がものをいい、そこから試合や乱取り等で経験を積んで、早くても中学三年辺りじゃないと。

 ……てか、小学生だとまだ骨がちゃんと成長してないから逆にそれを一夏に教えた篠ノ之流師範の指導の資質が問われる。

 ――まあ、多分現実は一夏が秘伝書的な物を読んで真似ただけかもだが。

 ――と、一夏が動く。

 目に見る限り、早いとは思ったが――ただの先手必勝とも呼べる動きにしか見えない。

 それでも、楯無さんから見れば急な速さで、軽く目を見開くも、直ぐ様半歩下がる。

 半歩下がった楯無さんが、足を着地する前に一夏は腕を取る――その瞬間の表情は、勝利を確信した様にも見えた。

 ……だが、現実はそう甘くはない。

 力任せに一本背負いで投げ飛ばす一夏。

 だが、空中で器用に体位を入れ替え、足から着地した楯無さんは返しの一本背負いでまたも一夏を背中から叩き落とす。

 ――何だか、今の楯無さんの体位入れ換えは【猫柳】って何かの漫画で見た技に近い気がした。


「がはっ!」

「うふふ、残念でした~。 ……織斑君、さっきの動きは確かに速かったけど……所詮は私が動く【一拍早いだけ】の動きよ? お姉さんには通じないわね♪」


 楯無さん所か、下手すりゃ目がいい相手には簡単に見極められるかも。

 今のが裏奥義というやつなら、中国拳法の太極拳やらジークンドー、フィリピンのエスクリマ――カリの方が凄く見える。

 俺の中ではもう既に勝負は決した為、後は気楽に見るだけだが一夏は往生際が悪く、楯無さんの足首を掴む。


「あら?」

「今度こそ、もらったぁっ!」


 そんな叫びと共に、無理矢理真上へと投げ飛ばす一夏。

 普通なら無理だが、やはりこれもISの恩恵から来るのだろうか……。

 空中で引っくり返る楯無さんの胴をとろうとする一夏だが、やはりそれも通用せず、右腕を畳に突き出し、軸として一夏の真上を取るように腕だけで跳躍――。

 着地と同時に背後からの切れ味鋭いカポエラキックが、一夏の腕にめり込む。


「なぁっ!?」

「うふふ。 そういった奇襲もお姉さんには想定済みよ?」


 楽しげに告げる楯無さんは、情け容赦なく一夏の身体に打撃を叩き込んでいく。

 全部が全部、解るわけでは無いが足技はカポエラで、拳はマーシャルアーツだろうか?

 ――少なく見ても、柔道もやってるし、合気道も習得してる……。

 最強だと自負するのも分かるぐらい、一夏との差は歴然だった。


「……一夏、もう諦めろ。 どんなにやってもお前がその人を倒す可能性はゼロだよ」

「う、るせぇ……ッ! ……俺は……男だ…ッ! 意地でも負けられねぇッ!!」


 そうは言っても、既に足にキテる一夏を見て俺は――。


「足にキテるじゃねぇか。 ……これ以上やっても目に見えてる。 意地でどうにかなるなら、どんな奴も負け知らずだよ」


 指摘するが、聞く耳持たないのかはたまた難聴をまた患ったのか――。


「でやああああっ!!」

「ふふっ。 ……意地も解るけど……やっぱりそれは無謀よ、織斑君?」


 殴りかかる勢いで掴みかかる一夏を、まるでマタドールが猛牛をあしらうかのように避け――。


「えっ……」

「残念。 直線的な動きは読みやすいのよ、織斑君?」


 避けた際に腕を取って捻りあげ、そのまま畳に突っ伏させる楯無さん。

 完璧に決められた技を外すことは叶わず、楯無さんがちょっときつく決めると――。


「がぁ……ッ!? …………」


 ……沈黙。

 見たところ、自衛隊が習う間接技にも見えた。

 見た目は地味だが、神経など圧迫して失神するぐらい強烈な痛みだとか親父が言ってた。

 ……何にしても、一夏が沈黙した=気絶という事で、楯無さんの圧勝だろう。

 呼吸一つ乱さず、間接技を解除した楯無さんは――。


「うふふ。 意地だけじゃあどうにもならない事があるのよ、織斑君? ……まあ、聞こえてないのでしょうが」


 そんな言葉と共に此方に笑顔を見せる楯無さん。


「……しかし、やっぱり結果は目に見えてましたね、楯無さん」

「ふふっ。 ヒルト君にもお姉さんの凄さがわかったかな?」

「……ははっ、俺が相対したら瞬殺ですね、楯無さんに」


 そう言って一夏の身体を横に寝かせ、鞄を枕にして気づくまで寝かせてあげる事にした。 
 

 
後書き
何かあまりしっくり来なかった

と書きつつ、upする俺

お目汚しすみません 
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