無限の赤龍帝
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箱庭で修行3
厳しい修行を終えて、何とかロリモードの母さんと戦えるようになった。戦えるだけで、勝てないけどな。そんな訳で、現在は修行の完了のお祝いと試しという事で、元ノーネームが主催しているハロウィンパーティーへとやって来た。相棒は魔女の衣装を着たオーフィスだ。
「……あれ、食べる……」
「パンプキンパイか……ほら」
「ん……」
俺は出店に出ている物を買って、オーフィスに与える。オーフィスは嬉しそうに両手で抱えてパクついている。
『皆さん、楽しんでいますか? 今から黒ウサギ達が主催するギフトゲームを始めます。ゲームマスターは逆廻十六夜さん、春日部燿さん、久遠飛鳥さん、ジン・ラッセルさんの四人です。この四人には好きな条件を提示し、勝てばできる限り叶えてもらえます。もちろん、彼ら以外にもイベントは用意しております。お菓子教室や吸血鬼のお化け屋敷などがオススメです』
アナウンスが流れる。これは楽しくなってきた。
「オーフィス、買い食いは終わりだ」
「……?」
「欲しい物がある。ジンと燿を探してくれ」
「……燿は直ぐわかる……」
『ジンはイベントをすると言っておったぞ。パンフレットに書かれているのではないか?』
パンフレットを見ると、ジンが主催するイベントはジンが使役する精霊とプレイヤーの使役する存在が戦って勝利する事だった。
「行ってみるか」
「……うん」
会場である闘技場っぽい所に着いてみたが……とんでもないことになっている。
「その程度なの?」
「ちくしょうっ!」
「ちょ、手加減してあげなよ」
「してるわよ」
挑んだ相手は瞬殺されている。それもそのはずだ。相手は斑ロリっ子の元“黒死斑の魔王”ペストなのだから、並大抵の存在では勝てない。だが、子供の挑戦者には優しく戦って、最後にはお菓子を上げている。ちなみにメイド服のようだが、色がハロウィンの茶色と黒に変えられている。
「ジン、勝負だ」
「確か、貴方は……白夜叉さんの息子さんでしたね」
「へぇーあんたが……」
「戦う前に聞きたいんだが、勝てばジンが叶えられる願いならなんでもいいんだよな?」
「はい。流石に命のやり取りは駄目ですが、ギフトなら問題ないですよ」
「わかった。なら、俺が勝てばギフトネーム、黒死斑の御子(ブラック・パーチャー)を頂こうか」
「なっ!?」
俺の言葉にジンが無茶苦茶驚いて、対象とされたペストの方は楽しそうに笑っている。
「そんな、ダメです。ペストは仲間なんですから……」
「別にいいわよ。これはある意味で求婚だし、面白いから受けて立つわ。でも、覚悟しなさい。本気でいくわよ」
そういった後、ペストが目を閉じて、もう一度開くと禍々しい気配が立ち込め、瞳が怪しく光る。
「私の両目はバロールの死眼。貴方の使役する子は耐えられるかしら? くすくす」
「耐えるさ」
「ちょっとっ、勝手にっ!」
「良いからやるわよ。それとも、アンタは私が簡単に負けると思ってるのかしら?」
「いや、そうじゃないけど……」
「どうせこっちに居ても暇なのだし、刺激が欲しいのよ!」
「もう、どうなっても知らないからね!」
そして、ギアスロールが表示された。今回はお互いが使役する存在に魔力を送ったり支援をして戦う形式だ。対戦相手はプレイヤーがジンで、使役者がペスト。対する俺は、俺がプレイヤーで、使役者は……
「君に決めた! 行け、オーフィス! 勝てばたっぷり遊んでやる」
「……任せる……いっぱい……頑張る」
闘技場の真ん中でペストとオーフィスが対峙する。それと同時に1人に連絡を取る。
「ドライグ、開始と同時にブースト開始」
『了解』
「おんしら、面白い事をしておるの。連盟旗にも描かれておる無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)対黒死斑の御子(ブラック・パーチャー)か」
母さんが呼んでない黒ウサギまで連れて来た。
「白夜叉様、この戦いは止めてください! 2人に暴れられたら大変な事になるんですから!!」
「よい。わしがゲーム盤を提供してやるわ。むしろ、黒ウサギはジャッチをせい」
「うぅ……ジンぼっちゃま……」
「諦めよう……こうなったらやるしかない」
「わかりましたよ!! ええ、この黒ウサギ、全力でジャッチさせていただきます。それとどうせなら盛り上げさせていただきますよ!」
黒ウサギが何やら操作すると、アナウンスが入った。
『これより、兵藤一誠対ジン・ラッセルの使役獣バトルを開始致します。使役獣は互いに3体までとさせていただきます。上空に映像を出しますので、皆様、どうぞお楽しみください。なお、ゲーム盤を白夜叉様より提供頂きましたので、被害が出る事は有りませんので、ご安心ください』
「では、移動するかの」
母さんが手を叩くと、ゲーム盤へと俺、オーフィス、ジン、ペストが移動した。
『挑戦者である一誠さんはなんと、一体だけで挑むようです』
『むしろ、十分面白くなるの』
『開始は少しお待ちください。現在、賭けが行われているそうなので、運営のお三方からストップが入りました。全く、あのお三方は……』
『当然じゃな。収益は東の発展と孤児への支援に当てられるからの』
『あ、現在はジンさんが7対3で優勢みたいですね』
「ふふん」
「……?」
そして、結局このまま30分後に集計が終わったようだ。
『それでは、バトルスタートです!』
予定通り増幅させる。
「先ずは小手調べね」
ペストが手を振ると、手から禍々しい黒と紫が混ざった奔流が蛇のように出てくる。それはペストの手に合わせて動く。オーフィスは何でも無いようにそれを平然と片手を降って打ち払った。周りの空気毎だ。ただそれだけで防風が吹き荒れて、木々がなぎ倒される。
「成程、私に喧嘩を売るわけね。ジン、イフリートとシルフを呼び出しなさい。私だけじゃ倒せないわ」
「……わかった。壊れるけど仕方無いよね……」
一瞬でオーフィスとの力の差を理解したようで、悔しがりながらジンにそう言った。ジンは本当に火の神霊イフリートと風の神霊シルフを呼び出した。それと同時にジンが持っていた2体の召喚具に罅が入ったようだ。
「一気に決めるか」
3体で攻撃してくるが、オーフィスは初期位置から動かない。
「……あっ」
なにか思いついたようで、手を叩いた後、オーフィスの周り大量の漆黒の龍のような何かが現れた。
「……弾幕ゲーム……」
そして、放たれるのは大量の龍から膨大な数の消滅の魔法弾が打ち出され、龍自体もブレスを吐いていく。俺は定期的に増幅した魔力をオーフィスに与えるだけだ。
『あの、オーフィスって子の方が強いですね』
『当然じゃ。奴は無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)。無限の体現者が神霊3体を相手にしても問題にならんわ』
『白夜叉様……』
「くっ、化け物ね」
「無茶苦茶だっ!!」
イフリートとシルフ、ペストが協力して龍を殺す。その瞬間にチャージしていた特大の砲撃がオーフィスから放たれる。その一撃は視界を埋め尽くし、イフリートとシルフを飲み込んで消滅させようとする。だが、そうはならなかった。
「僕の負けでいい!!」
ジンが3体を強制送還したから、砲撃が自動的に外れてゲーム盤の宇宙へと砲撃が抜けて、二つあったうちの一つの月が消滅した。
『わしのゲーム盤がぁあああああああぁぁぁっ!! やりすぎじゃぞ!』
「ぷい」
どうやら、オーフィスは自分が負けると判断された事がムカついたようで、圧倒的な実力を見せる為に無駄に高火力の一撃を放ったようだ。
『えっと……勝者はチャレンジャー、兵藤一誠さんです!』
現実に戻れば、ジンが笛吹が刻まれた指輪を渡してきたので、受け取る。
「ペストをどうか、よろしくお願いします」
「任せろ。ペストには眷属になって貰う予定だからな」
「そうですか……」
指輪を嵌めて、次の目的の為にオーフィスを肩車して去る。次に狙うは燿だ。
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