IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
【第544話】
前書き
オリジナル&バトル
深夜、ベッドに入った俺は深い眠りに落ちていく――意識が深淵へと向かうその時、何処かから声が聞こえてきた。
『ワールド・パージ……【覚醒(アラウザル)】』
「ん……んん?」
ふと気付くと俺は真っ白な空間に居た――眠っていた筈なのに、意識が覚醒している。
「やあ、有坂ヒルト君」
「……! 貴方は……」
仮面を着けた白銀の髪の男――ウィステリア・ミストがそこに居た。
「すまないね、コア・ネットワークを介して君の意識にアクセスさせてもらったよ」
「意識に……?」
その言葉に身構える俺だが、ウィステリアは僅かに微笑を溢すだけだった。
「安心したまえ、君の意識をどうこうしようとしているわけではない。 ……君を鍛えに来ただけだ」
「鍛えに? ……意識介入して何を鍛えるというんですか」
俺のもっともな疑問に、ウィステリアは語る。
「無論ISの技術に関してだよ。 ……来るべき時の為の最善策は常にうたなければならないのでな、私は」
「来るべき時の……?」
「フッ……いずれわかる時が来る。 ……ISを纏いたまえ」
有無を言わさない言動――鍛えると言うのだが男のIS操縦者では技術云々は――そう思っていた矢先、ウィステリアが呟く。
「安心したまえ、少なくとも君が思っている以上に私は強い。 ……何ならこの空間内で君と試してみても良いのだよ?」
「………………」
ウィステリアから放たれた言葉には自信が満ち溢れていた、生半可な言葉ではない――一夏の様なビッグマウスの可能性も否定できないが、試して見ればわかる。
「お願い、します」
「良いだろう。 ……【トゥルース】!!」
ウィステリアの全身が光を放ち、粒子が集束していく――やがてそれは形を形成し、漆黒のISへと変貌していく――俺と同様のフルスキン型だった、特徴的なのはまるで翼の様になっているスラスターだった、パッと見、セシリアのブルー・ティアーズのビットにも見えなくはない。
「君も纏いたまえ。 模擬戦形式だ、互いに傷つくこともなければ命を失うこともない」
「……イザナギ!」
言葉に呼応し、粒子が集束――イザナギを身に纏うと久々にナギの声が届いた。
『むにゃむにゃ……後五分(-.-)zzZ』
何が後五分だかわからないが、久々に聞くその声に僅かに笑みが溢れる。
「さて、いつでもいい。 かかってきたまえ」
そう言うとウィステリアの右手に粒子が集まり、それが近代的な作りの西洋の長剣へと形成された。
俺も北落師門・真打ちを呼び出す――そして、先に動いたのは俺だった。
瞬時加速で間合いを一気に詰め、刀を振るう俺の一撃は加速力も加わって重い一撃――だが、鈍い金属音が鳴り響き、容易くその一撃を剣で受け流したウィステリア。
「フフッ」
「……!」
受け流された北落師門の一撃――直ぐ様全身を横回転させ、切り払う俺だがそれすらも剣で受け止めたウィステリア。
「さあ、次はどう来るかね?」
「……チィッ!」
その体勢のまま至近距離からのワイヤーブレードの射出――確実にダメージを与えられる距離での一撃だが、圧倒的な反応速度で後方へと退き、ワイヤーブレードの追撃を切り払って凌いで見せた。
「なるほど、あの至近距離でのワイヤーブレードならば並みの操縦者ならダメージ及び拘束されるだろう。 ……だが私には通用しなかったな」
「……っ」
「では……次は此方の番――とさせてもらおうかッ!!」
その言葉と共に瞬時加速――一瞬でゼロ距離にまで間合いを詰められた。
瞬時加速にしては速すぎる――そんな考えが過るも迎撃の為に刀を振るうが――。
「遅い」
既に振るった瞬間には目の前ではなく頭上をとる形で避けたウィステリア――気付けばアサルトライフル二丁を構えていて銃弾の雨が降り注ぐ。
「ぐ、うぅっ!?」
『ま、マスターΣ(゜□゜) げ、迎撃モード切り替えますよぉ!(・ω・;)(;・ω・)』
背面装甲が開き、そこから無数のレーザー光が弾丸の雨を撃ち消していく――相手の反応の速さに驚いている俺だが――。
「成る程、これが噂に聞く迎撃機能か。 ……だがそれも私の反応についてこられない辺りは起動に関してはマニュアル……といった所か」
左右に動き、ふわりふわりと舞うようにライフルの斉射するウィステリア――弾丸はレーザー迎撃によって塵とかしていくも、攻撃しなければと思い、右肩のランチャーを構えてロックオンする。
ターゲットサイトが赤く光る――ロックが完了したその瞬間、高出力の粒子ビームが放たれる――だが。
「何ッ!?」
『あわわわわ(・ω・;)(;・ω・) 凄い機動なのですよぉ(゜□゜)』
撃った瞬間には既に避けていて、間断なく射撃を繰り返すウィステリア――二射目、三射目も同様、ロックした筈なのに当たることはなかった。
普通、ロックされてから避けるという事は出来ない――だから射撃はロックオンされないように上下左右360度全方位に移動して射線を外していくのだが、ウィステリアの回避は異常だった。
三射全てロックしたにもかかわらず、撃ったその瞬間にはその場に居ない――尋常じゃない反射神経と機動を見せられ、圧巻されている合間に瞬時加速で再度肉薄される。
「このままやられるだけかね、有坂ヒルト君?」
「チィッ……!?」
武装が変わり、両手にゲームなどで見るガンブレードを構えたウィステリア――ISでも実装を検討された代物らしいが、試作した段階で小型化に失敗の挙げ句機構が複雑化、廃棄になったと資料では書いていたのだがウィステリアの持つそれは明らかに普通の長剣サイズだった。
流れる様な二刀流の剣撃と共に放たれる無数の弾丸――シールドバリアーは突破され、装甲に刃や弾丸は阻まれてはいるものの確実にエネルギーを削りとっている。
北落師門で切り払うも直ぐ様距離を開いてのガンブレードによる射撃――迎撃の為のレーザーが放たれたら今度は肉薄と完全にペースをウィステリアに握られた。
次元が違いすぎる――そんな考えが過る俺だが、まだ心を折られた訳ではなかった。
「ふむ。 ……表情から察するにまだ何か手があるようだね。 ……良いだろう、来たまえ、有坂ヒルト君」
『ま、マスター……(・_・;)』
『黙ってろナギ。 ……勝てる確率なんか宝くじに当たるより低いが、一矢報いる確率なら……!』
瞬時加速の体勢に移行する俺に、ウィステリアは――。
「接近戦という訳だな。 ……良いだろう、君の申し出を受け取り、私も剣で相手をしよう」
言ってから両手のガンブレードを手放すウィステリア――粒子となって虚空へとそれは消え、新たに長大な片刃の大剣を構えて見せた。
一瞬が何分、何十分と感じる刹那の瞬間――スタートの加速を切った俺は同時に北落師門を居合い抜きに構える。
そして――瞬時加速で最高速度に達したその瞬間居合い抜き――北落師門を手放すと大きく横に円を描きながら突き進む。
「フッ……加速のついた投擲の一撃等――」
大剣を振るおうとしたウィステリアを見た俺は叫ぶ――。
「イザナギィィィッ!!」
『ハッ(゚ロ゚) マスターの意図がわかったのですよぉ!( ̄ー+ ̄)ニヤリ 僕が動きを止めるのですよぉ!凸(`皿´)』
胸部のコア・クリスタルが露出と同時に粒子力場を形成するウェーブを放出、ウィステリアの動きを止めた。
「何……!? 俺が動きを止められただと!? AICではないこの力……成る程、【君も既に新次元の一歩】を歩み始めてるという事か!! ならば――トゥルース、俺に呼応しろ! 君の力――今再び借りるッ!!」
そのウィステリアの叫びに呼応するかの如く、機体に光が放ち始める――投擲された北落師門の一撃、それが当たる瞬間不可視の障壁によって北落師門は阻まれた――だが、そのまま北落師門を手に取り、不可視の障壁を加速のついたままで突破。
振るう袈裟斬りの一撃に、俺は一矢報いた――そう、一撃を与えて報いた筈だった。
だが一撃は届かず、それどころか粒子力場を脱したウィステリアに頭上を取られる形に。
「君の力、想像以上だ。 ……やはり互いに刃を交えねばわからないこともあるものだな」
「くっ……!?」
『ガーン( ̄○ ̄;) 僕の拘束を脱出するなんて……(T_T)』
そのまま追撃に出ようとする俺――だが。
「君に――新たなステージを見せてあげよう。 世界の誰もが知らない……そう、織斑千冬や篠ノ之束ですら把握していないIS新次元の境地――【単一仕様の一つ上の世界】……!」
「何……!?」
その言葉と共に周囲に拡がるプレッシャー――全身に嫌な汗が流れるのを感じたその時、ウィステリア・ミストの持つ大剣の峰部分の装甲が開かれた――その機構は形は違えど、白式の雪片弐型と同じ展開装甲だった。
「零落白夜……【覚醒(アラウザル)】!!」
「っ……!?」
大剣に白亜の光刃が纏われ、更にその刃が異常な程伸びる――そこからは一瞬だった、振るわれた切っ先が俺のシールドバリアーを掠めただけでシールドエネルギーを一瞬に0へ。
『や、やられちゃったのですよぉ(ToT)』
ナギの言葉と共に茫然自失になる俺――。
「気にやむ必要はない。 最初から私の勝ちは確定していただけの事だ。 ……とはいえ、まさか一年の君がここまでやるとは思わなかったがね」
「…………」
完敗だった、負けは何度も経験しているが、一矢も報いる事が出来ず負けたのは初めてだった。
射撃も当たらず、接近戦もままならず――更には動きまで止めたのに歯が立たない。
「……今日の所はここまでにしておこう」
「ま、待て!」
思わず呼び止めた俺に、振り向くウィステリア――俺はそのまま言葉を繋げる。
「何で――【零落白夜】を使える? それに……その機体の扱い、一朝一夕のものじゃないはずだ。 ……貴方は一体……」
「……フッ。 ……答える義理はないが、単一仕様に関して言えば――私の機体、トゥルースの持つ単一仕様のお陰だと言っておこう。 ……また後日、君の意識にアクセスしよう。 では、またな」
それだけを告げて唐突に消え去るウィステリア・ミスト――それと同時に空間が不安定になり、真っ白な閃光に覆われるとそのまま俺の意識は深淵へと向かっていった。
「ん、んん……」
僅かに意識が覚醒し、瞼を開くと見慣れた部屋の天井が映る――時間は深夜の二時だった。
「……夢? ――にしてはリアル、だな……」
軽く息を吐く俺――静寂に満ちた俺の部屋、いつもならラウラが侵入してきてもおかしくない時間だが最近来る気配が全くない。
……来たら来たで多分セックスしてるかもしれないが……。
そんなことを考えていると無意識に下半身に血流が行くのを感じてしまった。
苦笑を溢しつつ、さっきのは夢だと思い、俺はそのまま再度眠りについた。
後書き
仕事場に新しく入ってきたおっさんが仕事を残して昼休み行ったり帰ろうとしたりしてるのがイライラしてしまう(-_-;)
後は遅すぎるのも(-_-;)
人が増えたのに仕事の負担が増えるとはこれ如何にって感じ
ページ上へ戻る