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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第538話】

「……んん……」


 意識が徐々に覚醒へと向かい、瞼を開くと真っ白な天井が目につく。


「……医療室……か?」


 身体を起こし、周囲を注意深く見ていく――心拍数を計る機械など、最先端医療が集結した病院の様にも見えた、IS学園内にある一区画だろう、入ったことがないからわからないが。


「……起きたの?」

「え?」


 突如隣から声が聞こえてくる、見るとカーテン越しにシルエットが薄く見えていた。


「楯無さん?」

「……うん」


 声から察して楯無の名前を呼ぶと、そう返事が返ってきた。

 だが声色が妙に沈んでいるので様子が気になり、軽くカーテンを開くと――。


「………………」


 開いたカーテン越しに目が合う俺と楯無さん。


「………………」


 互いに黙ったまま――そして俺は気付く、楯無さんが上着を着替えるために服を脱いでいて、ブラも着けず、形の良い乳房が露になっていた。


「キャアッ! ヒルト君のバカッ!!」

「わぁあああっ!! す、すみません! 閉めます!!」


 慌ててカーテンを閉めた俺に、楯無さんは――。


「う、うら若き乙女の柔肌を見てただで済むとは思わないわよねぇ……?」

「うぁぁ……も、申し訳ないです、楯無さん」


 謝るしかなかった、ただただひたすら頭を下げて謝っていると楯無さんは――。


「そ、そんなに謝る必要は無いわよ、ヒルト君。 ……か、感想……は?」

「……え?」

「な、何でもないわよ、バカヒルト君!!」


 何やら怒らせてしまったらしい……ほとほと困っている俺に、楯無さんは。


「ご、ごめんなさい……ヒルト君を困らせるつもりじゃなかったの、ただ…………」

「……ただ?」

「……な、何でもない……」

「…………?」


 沈黙が暫く続く――そして、その沈黙を俺が破った。


「楯無さん」

「は、はいっ!?」

「撃たれた箇所、痛みますか?」

「あ……ううん、今は鎮痛剤が効いてるから。 ……ヒルト君、ありがと。 助けに来てくれて、応急措置も……」


 改めてお礼を言われる俺だが、治療したのはエメラルドグリーンの髪の女性だ、そういえば彼女の処遇はどうなるのだろうか……。


「いえ、連れ去られる前でよかったですよ。 ……間に合わなかったらって思ったら、洒落にならないですからね」

「…………」


 その言葉に、楯無さんは反応しなかった――気になり、カーテンの隙間から覗くと小さく自身を抱くように震えていた。


「楯無さん……大丈夫ですか?」

「あ、あはは……お、お姉さん、今頃になって震えてきたみたい。 ……学園最強って謳ってるのに、今の私を見たら……皆どう思うかしら……」


 自嘲気味に喋る楯無さん――表情を悟られないように俺に背を向けていた。

 ベッドから起き上がり、カーテンを開いて俺は無意識に楯無さんを後ろから優しく抱擁する。


「ひ、ヒルト……くん……?」

「……大丈夫ですよ、楯無さん。 ……学園最強、その看板が皆が貴女を必要以上に期待してるとは思います。 ……だからといって弱い所を見られて離れていく人はいないと思います。 少なくとも、俺は離れませんよ?」

「あ……。 ……ば、ばか……。 お、お姉さん……を、口説くなんて……は、早いわよ……」


 口説いてるつもりは無いのだが、強がりを見せる楯無さんに僅かに苦笑しつつ、更にギュッと抱き締めた。


「……人肌って落ち着くでしょ? ……よく親父や母さん、美冬に子供の頃からハグされてましたからね」

「……ぅん……。 ……君、だからかも……落ち着くのって……」


 その言葉に、心臓の鼓動が徐々に高まっていく俺――。

 楯無さんは顔を振り向くと、その瞳は僅かに潤みを帯びていた。


「……ヒルト君。 改めて言うけど……ありがと、助けに来てくれて」

「……ん……」


 小さく頷く俺に、楯無さんは微笑む――気付くと俺と楯無さんの顔が近い事に気付き、一層胸が高鳴る。


「……ヒルト君、凄くドキドキしてるのがお姉さんにも伝わるわよ?」

「……し、仕方ないでしょ……」

「……ん、お姉さんも……ドキドキしてるの、わかる?」


 俺の手に自身の手を重ねて、楯無さんは自分の胸の高鳴りを俺に感じさせる為か乳房へと導いた。

 手のひらいっぱいに柔らかい感触が伝わると同時に、楯無さんの鼓動の速さも伝わってくる。


「……離れましょうか?」

「……もう少しだけ……このまま君を感じていたいな」

「わ、わかりました……」


 吐息が唇に触れる――少し近付けばキスが出来るぐらいの距離――そして、どちらからともなく、気付くと口付けを交わしていた。

 ほんの一瞬――触れる様な口付けに、俺も楯無さんも顔が真っ赤になり――。


「す、すすすみません! き、気付いたら……」

「う、ううん! お、お姉さんこそ、ご、ごごごめんなさい!」


 互いに謝りあう俺と楯無さん、そして――互いにそれが可笑しくなり、笑いだした。

 それから暫くして――。


「ヒルト君。 覚えてるかな、前に私が楯無っていうのは更識家当主の名前だって事」

「えぇ、覚えてますよ」

「よかった。 ……君になら、私の本当の名前、教えてあげてもいいかな。 ……ほ、本当はもう何回か君に呼ばれてるんだけど……」

「……?」


 呼んだ記憶は無いのだが――首を傾げていると、そっと囁くように告げた。


「更識――刀奈……よ」

「カタナ……。 ……なる、確かに呼んでたかな」


 あくまでも刀剣類の意味でだけど。

 楯無――いや、刀奈さんは嬉しそうな表情を見せてからシーツを被って横になった。

 俺もそれを見て自分のベッドへと戻り、唇に触れる。

 ……雰囲気的なものとはいえ、彼女とキスした事実――昔の俺が見たらあり得ない様な光景だよな。

 それぐらい俺は女性が苦手だった――今は中学時代の女性が苦手だという結論だが……。


「……少し横になるかな」


 そう呟き、瞼を閉じると直ぐに意識が深い底に落ちていき、眠りについた。


「……お姉さんまで好きにさせちゃうなんて。 ……君の方が人たらしよ? ……ふふっ」


 眠りについたヒルトを見て、刀奈はそっと近付く――そして、眠ったままのヒルトに口付け、囁く。


「……お姉さんも、君の争奪戦に加わっちゃうからね? 覚悟……しなさいよね?」 
 

 
後書き
モッピー知ってるよ。
刀って、日本の芸術品って事。

    _/⌒⌒ヽ_
   /ヘ>―<ヘヽ
   ((/ ̄ ̄ ̄\))
   /    ) \
  /  | | //ヽ ヘ
  |  ハ | /イ | |
  レ |/ レ| N\|||
  /| |≧ ヽ|≦ |||
 / ヽ|゛    ゛|/ /
 \_(ヽ  ̄ /⌒)ヽ
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 / /ヽノ   \_ノ|
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