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居場所を奪われし少年は異世界を目指す。

作者:ATEMU!
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第5話「無限と夢幻の出会いと新たな力の開花」

神器に目覚めた翌日、俺はヴァーリに連れられ禍の団の本拠地の中を歩いていた。

「なあ、俺に会いたい奴がいるって言ってたけど誰なんだ?」

「【無限の龍神オーフィス】無限を司る龍神でこの世界の最強の三柱の一角よ」

「そ、そんな奴がここにいたのか……」

「ええ、彼女は実質上のうちのトップね」

しかし、そんな凄い奴が何で俺に会いたがるんだ?
疑問に思ったのでヴァーリに訊ねると

「たぶんだけど一誠君の神器が化身とはいえ最強の一角である龍神ケツァルコアトルの力の一部を宿しているからじゃないかな?」

「な、なるほど……」

そういえばアルビオンがそんなこと言ってたな……
それから数分歩き1つの部屋に辿り着いた。

「オーフィスは何時もここにいるの。オーフィス、一誠君を連れてきたから入るわよ?」

『ん。ヴァーリ、入る』

部屋の中から返事がされ俺達が部屋に入ると大切な箇所すら隠し切れていないかなりきわどい服を着た幼い少女が1人で部屋の中央の置かれた椅子に座っていた。
あ、あの子が無限の龍神?
なんか想像と違うんだが……

「お前、ケツァルコアトルの力持ってる?」

「た、たぶん」

部屋に入った途端に近づいてきた龍神様にそう問われつい曖昧に答えてしまう。
しかし龍神様の方は満足したのか満足そうな表情で俺の手を掴んでくる。

「ど、どうしたんだ?」

「お前、我の手伝いする」

「手伝い?」

「オーフィス、まさか一誠君にグレード・レッドを倒す手伝いをしてもらうつもり?」

「ん」

「グレート・レッド?」

また知らない言葉が出てきたぞ?
ヴァーリが「倒す」とか言ってるし人の名前かなんかか?

「【夢幻の神龍グレート・レッド】正真正銘の世界最強だよ」

はい?世界最強?

「オーフィスとグレート・レッドは共に【次元の狭間】と呼ばれる場所で生まれた存在でね。オーフィスはグレート・レッドに負けて次元の狭間を追い出されてしまったの。それ以来オーフィスはグレート・レッドを倒して次元の狭間に戻ろうと色々と方法を探してるみたい。禍の団も元々はオーフィスがグレート・レッドの戦うの為の戦力集めが目的で作られたくらいだもの」

「我だけじゃグレート・レッドに勝てない。だけどケツァルコアトルいれば勝てるはず」

「いやいや!世界最強の相手とか無理だから!」

昨日神器に目覚めたばかりでろくに戦うことも出来ない俺が世界最強と戦うなんて無理があり過ぎるだろ!

「今からグレート・レッド倒しにいく」

へ?
なんか気付いたら見知らぬ場所にいるんだが……どこだここ?
周囲を見ると何も無い空間だけがどこまでも広がっているって感じだ。

「ここ、次元の狭間、今からグレート・レッド倒す。それ、お前も手伝う」

「はいぃ!?」

ちょっ……いきなりとか酷でぇ!
あれ?何か大きな赤い奴が近づいてくるんですが……まさかね?

「ん、グレート・レッド来た」

やっぱりですか!?
やっぱりあれがグレート・レッドなんですね!?

「オーフィス、人間なんて態々連れてきてなんのつもだ」

「こいつ、ケツァルコアトル宿してる。我1人じゃ無理でもケツァルコアトルいれば倒せる」

「ケツァルコアトルをね……」

へえ……少し低めだけど女の声ってことはグレート・レッドは雌なのか……(現実逃避中)

「無駄だと思うけどな」

ですよねぇ……
俺も無理だと思いますから。

「ふんっ!」

『横から来ます!』

「っ!?す、スターダスト!」

急に頭の中に響いた声の通り横から巨大な尻尾が迫ってきているのに気付きすぐに背中に白銀の翼を出現させ速度上昇の能力を使用してギリギリでかわす。
あ、危なねぇ……

『大丈夫ですか?』

あ、ああ……って、さっきから俺は誰と喋ってるんだ?
周りにいるのはオーフィスとグレート・レッドだけだし2人?の声じゃないよな?

『私は赤き竜の紋章の歴代所有者の1人。言ってしまえば貴方の先輩みたいなものです』

俺の先輩?

『そうですが今は私のことより貴方のことです。確かに戦闘経験もろくにない貴方ではグレート・レッドを倒すなんて夢のまた夢。しかし方法が無いわけではありません』

方法があるのか!?

『赤き竜の紋章には所有者を含む極一部の存在しか知らない能力があります。それを使えば神器に封じられている竜を召喚し使役することが出来ます。貴方自身が戦わなくても竜達であればグレート・レッドとも戦えるはずです』

マジか!
頼む!その能力の使い方を教えてくれ!

「さっきから止まってるが攻撃してもいいのか?」

「あ……」

「お前、もっと真面目にやる」

「……なんかゴメン」

とりあえず動きながら説明!

『では、まずは能力について説明しますね?能力の名称は【シンクロ召喚】といって神器に封じられている竜達と神器所有者の魂をリンクさせ一時的に神器から竜を解放、使役するというものです。メリットは竜を召喚、使役出来ることでデメリットは竜が傷つけば魂のリンクしている神器所有者も傷ついてしまうということです。使用方法は単純で決められた呪文を唱えるだけで使用出来ます。呪文に関しては私が唱えてみせるので続いてください』

「おお!」

『では今回はスターダストを呼びます。いきますよ?』

『集いし願いが』

「集いし願いが」

『新たに輝く星となる』

「新たに輝く星となる」

「ん?いったい何をするつもりだ?」

「我もわからない」

グレート・レッドとオーフィスが何か言ってるが無視して俺と先輩は続ける。

『「光差す道となれ!シンクロ召喚!飛翔せよ!スターダスト・ドラゴン!」』

呪文が終わると同時に胸と肩に水晶体が付いた白と水色を基調とした竜が俺の隣に出現する。
こいつがスターダスト・ドラゴン……ケツァルコアトルの化身たる竜の1つ……

「お前、凄い」

「ほぉ……そいつは確かケツァルコアトルの化身の一体だったな。まさかそれほどの存在を呼び出すとは……」

『グレート・レッドが油断している今がチャンスです!』

おお!

『「響け!シューティング・ソニック!」』

「えい」

俺と先輩の声と同時にスターダストの発した光の咆哮と同時にオーフィスも黒い波動のような攻撃をグレート・レッドに向ける。
2つの攻撃は途中で混ざりあいグレート・レッドの巨大な全身全てを包み込んだ。

「やったか!」

『さすがにこの程度でやられる相手とは思えませんが……』

攻撃後の煙が晴れると、そこから大きな傷は負っているもののまだまだ元気なグレート・レッドの姿が……
マジかよ!今ので傷がつく程度なのか!?

「ハハハ!凄い!凄いぞ!この俺に傷を負わせるなんて凄いじゃないか人間!」

「グレート・レッド、急に笑い出すなんておかしくなった?」

お、オーフィスじゃないけど本当にどうしたんだ?
って、はいぃ!?
グレート・レッドが人間の姿になった!?

「人間、名前を教えてくれないか?」

と、真紅の腰まである長髪に長身のTシャツにジーンズという格好をした美女となったグレート・レッドが俺の目の前まで来て聞いてくる。

「ひょ、兵藤一誠だけど……」

「そうか、一誠か……オーフィス!俺はしばらく留守にするから次元の狭間で好きにしていろ!」

「やった、ブイ」

え?え?どうなってるんだ?
グレート・レッドの方から次元の狭間を離れる?

『まさかあのグレート・レッドがとは……今回の所有者は凄いですね』

「一誠!俺はお前のことが気に入った!これからはお前と暮らすことにする!」

「…………は?」

どどどどどどど、どうなってるんですか?!これ!

『そのままの意味では?グレート・レッドが貴方を気に入ったということですね』

「それで頼みがあるんだが……」

「た、頼み?」

「ああ、俺のグレート・レッドという名前は他の奴勝手に付けたものなんだ。だから一誠に新しい名前を付けて欲しい」

「我にも名前付けて」

オーフィスまでかよ……
しかし、名前を付けてくれって言われてもな……

「うーん……真紅と 黒巳クミでどうだ?」

グレート・レッドは髪の色からそのまま真紅でオーフィスはウロボロスから黒い巳で黒巳。
ハッキリ言って良いネーミングセンスとは言えないんだが……

「真紅か……中々良いと思うぞ?」

「ん。我、これからは黒巳」

良かった……どうやら気に入ってくれたみたいだ。

「それじゃあ一誠の家に行くか」

「ほ、本当に来るのか?」

「もちろん!」

「我も一緒じゃダメ?」

おいおい……真紅だけじゃなくて黒巳もかよ。

「とりあえず母さんに聞いてからだ!母さんが良いって言えば2人とも良いから!」

と、言ったものの……
家に帰ってリリンとお茶していた母さんに事情を話すとすぐにOKを貰えた為、真紅と黒巳は俺と暮らすことになり名前もそれぞれ兵藤真紅と兵藤黒巳へと変化した。
更に何故か真紅と黒巳の2人も駒王学園に通わせると母さんが言い出し翌日には家に2人の制服が届いていた。
母さん、いったい何をしたんだよ……今迄戸籍すら無かった(今でも無いんだが)2人が急に学園に通えるようになるなんてさ。  
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