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居場所を奪われし少年は異世界を目指す。

作者:ATEMU!
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第2話「現状確認と今後の方針」

雁夜Side

臓硯をシグナーが殺した後、俺達は最初に桜ちゃんの状態を確認する為に彼女のいる2階に上がっていた。

「どうやら副作用も特になく無事みたいだな」

2階にいた桜ちゃんは床でぐっすりと規則正しい息をしながら眠っていたので大丈夫だとは思ったのだがシグナーが「念のために確認しておこう」と言うので確認してもらったところやはり問題なしという結果が出た。
これで一安心だな。

「マスター、次は何をすればいい?基本的にはどんな命令にも従うつもりだが」

「ああ……そのことなんだが、最初の命令で俺の最低限の目的は全て叶ってるんだ。だからこれ以上お前に命令するつもりは特にない状況だ」

態々召喚しておいてこれではシグナーに悪い気もするが事実だからな。

「マスター、一度部屋を移そう」

「お、おい!シグナー?!」

シグナーの奴急にどうしたんだ?
1人で部屋を出たと思うと隣の部屋に入っていってしまった。
俺も一応追う形で部屋に入るとシグナーは使われていないベッドに腰掛けていたので俺も部屋の隅に置いてあった椅子をシグナーの前に持ってきて向かい合うように座る。

「あの部屋で会話をすれば途中で目を覚ました桜ちゃんに聞かれるかもしれないからな。だから移動させてもらった」

「そうか……それで?何か話でもあるのか?」

桜ちゅんに聞かれたくないことってことは聖杯戦争に関係したこととは思うが……

「そうだな……単刀直入に言わせてもらうとマスターには今回の聖杯戦争に俺の為に参加し続けて欲しいんだ」

なに?シグナーの為に?
いったいどういうことだ?
考えられるのは「戦闘狂でただ戦いたいだけ」「他のサーヴァントの中に対峙したい奴がいる」「聖杯を手に入れたい」の3つってところだな。
最初のは短い時間だがこのサーヴァントの言動を見る限り可能性は薄いだろう。
本来召喚する予定だったバーサーカーならともかく目の前のサーヴァントは理性も知性もしっかりしているように見える。
2番目も可能性は低いと考えてもいい。
シグナーは自身のことを「並行世界の存在」と言っていた。
並行世界のサーヴァントなんて召喚されるなど初めて聞いた。
こいつ以外にも召喚されている可能性は低い筈だ。
となると……

「俺は聖杯が欲しいんだ。その為には正式にサーヴァントとしてこの戦争に参加しないといけない。それにはマスターの協力が必要なんだ」

やはりか……こいつの目的は「聖杯」
「万能の釜」や「願望機」とも呼ばれる手にする者の望みを実現させる力を持った存在である聖杯を望むというのか?このサーヴァントは……

「シグナーよ。何故お前は聖杯を望む」

これだけは聞かせてもらわなければいかない。
無いとは思うが万が一にでも聖杯を悪用しようとしているのであれば協力することなど出来ないからな。

「俺が望むものは「世界の改変」……といっても世界征服とかをするわけではなくて理不尽に苦しむ者がいる世界を少しでも良くしたいってだけなんだけどな。俺は聖杯をその目的の実現の為に使いたいんだ」

「世界の改変……」

今のこいつはとても優しそうな目で話している。
その表情を見れば何故こいつが英霊となったが何となくだが理解出来たような気がする。
こいつには「悪意」というものが感じられない。
おそらく英霊になる前もこいつはその1つの目的の為にずっと動いていたんだろう。
唯一つの「苦しむ人を救いたい」という善意の為だけにだ。

「いいだろう。お前は俺の目的を叶えてくれた。今後はお前の目的の為に俺の力を貸そう。まあ、俺程度じゃろくな力になれないと思うがな」

力になれるとしたら現界に必要な魔力の共有程度だろう。
さっき宝具を使った際に俺の魔力を使ってないことを考えるとシグナーの宝具の使用にはマスターの魔力が必要ないみたいだしな。

「俺の我が儘を聞いてくれたありがとな。今日はゆっくり休もう。明日桜ちゃんが目覚めたら色々と説明もしてあげないといけないだろ?」

「ああ、お前の言うとおりだ」

その後シグナーは霊体になり消えてしまい俺も自室に戻り眠りにつくことにした。





シグナーSide

まさか並行世界に呼ばれるとは思ってなかった。
ロキとの戦いで得た神格が影響してんのか?
まあ、結果的には聖杯という俺達の目的に使えそうなものを手に入れるチャンスだし良かったとも言えるけどさ。

「あいつら、心配してんだろうな……」

元いた世界に残してきた大切な人達のことを思いつつ仙術でマスターが眠ったことを知った俺はこの家に結界を張ってから眠りについた。  
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