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空虚で無気力な青年が異世界で新生活~改訂中~

作者:Rabbit
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第10話 疲労(※)

クライン side

私は今、非常に機嫌が悪い。

朝だからとか、眠いからとかではない。

「朝食も美味いな。昨日は夕飯食ってなかったからな」

私の目の前に座る、この男のせいだ。




1時間前

朝起きると、ノイが居なくなっていた。

まだ朝は早いが、シュトラーセを起こしに行ったのだろうと考えると、着替えて宿の裏庭で剣を振る。

これは騎士育成学校に入る前からの習慣だ。

入る前までは、父上に剣を教えてもらっていたからだ。

父上も忙しかったので、早朝しか時間が無かったのだ。

その時からだ。私が早朝訓練を始めたのは。

軽く身体をほぐした後、頭の中で思い描いた敵を相手に剣を振る。

父上は強い。

現役を退いたとはいえ、今でもその実力は健在だ。

父上自身は腕は落ちたと仰っていたが、私にしてみたら十分すぎるほどだった。

父上を想定した訓練も、やはり私の負けとなる。

剣を振る速さ、剣の重み。

それらすべてが、私とは比べ物にならない。

近衛騎士団の間に培った技術が結集しているのだから、当然なのだが。

30分ほどの訓練を終え、部屋に戻る。

だが、部屋にはまだノイは戻ってきていなかった。

「まだ戻っていないのか。シュトラーセが起きないのか、ノイも一緒になって寝てしまったのか」

どちらにせよ、そろそろ起こすとしよう。

間もなく朝食の時間だ。

私は剣などを壁に立てかけると、隣のシュトラーセの部屋に向かう。

一応ノックはするが、返事は無い。

だが、物音ひとつ聞こえない。

やはり、寝てしまっているのか。

仕方ないと考え、ドアを開ける。

その瞬間、私は固まってしまった。

「シュトラーセ、そこイイニャ!」
「ここか、ノイ」

ベッドの上では、互いに全裸のシュトラーセとノイが身体を重ね合わせていた。

…いや、重ね合うというよりシュトラーセが一方的と言ったところだろうか。

ノイは四つん這いの状態でシュトラーセの肉棒に激しく突かれ、突かれる度にノイ嬌声を上げる。

「あっ、んっ、あんっ……!!」

シュトラーセは単純なピストンから、腰を回して膣を蹂躙するように動かす。

同時に、前へと運んだ手でノイのクリトリスを刺激する。

「もっ、う……ダメ、ニャ……」
「いつでも良いぞ」

ノイのギブアップの言葉に、シュトラーセは一層突きの速さを上げていく。

シュトラーセは奥を激しく打ち付けると同時に、クリトリスを強く引っ張る。

「ニャ……。ニャぁあああああああ!!!」

ノイの一番の嬌声と同時に、シュトラーセの精がノイの膣に放出される。

ノイは絶頂の快感により、ベッドに身体を押し付け涎を垂らしながら虚空を眺めていた。

「大丈夫か、ノイ」
「だ、大丈夫ニャ~……」

シュトラーセはノイを気遣いながら、膣から性器を引き抜いた。

同時に、膣からは収まりきらなかった精液がドロドロと流れ落ちる。

あ、あんなに出るものなのか……。

それとも、シュトラーセが特別なのだろうか。

まったく自慢ではないが、私に性行為の経験は無い。

何回か両親が持ってきた見合いや婚約などの話はあったが、世界を見るという目的を持っていた私はすべて断っていた。

だから、男性の性器を見るのも初めてだ。

そんなことを考えていると、シュトラーセと目があった。

「あっ……」
「キャァアアアアア!!エッチー!!」

叫んだのは私ではない。シュトラーセだ。

というか……。

「それは私のセリフだ!愚か者が!!」

私は手近のテーブルに置いてあった、シュトラーセの装備を手に取り投げつけた。

だが、シュトラーセは憎らしくも手で掴んで見せた。

いろいろと説教はしたかったが、間もなく朝食の時間だ。

説教は後にしよう……。

「ノイ、そっち持ってくれ」
「ニャ」

って、何貴様らは平然と後始末をしている!

何故、手慣れた様子でシーツを交換しているんだ!!




と、これが1時間程前の出来事だ。

「ノイ、野菜も食べろよ」
「野菜食べないと死ぬなら、食べるニャ」

野菜を嫌い、ノイが口にするのは肉や果物ばかりだ。

だが、そこまで嫌なのか。

「そうか。じゃあ食べなきゃな。これ食べないと、お前死ぬぞ」

いや、さすがに信じないだろう。

「本当ニャ!?」

……ああ、信じてしまうのか。

額から冷や汗を流し、ノイは野菜を食べ始めた。

結果的には良かったのだろうか。

食事も終わったところで、説教に移るとしよう。

「で、何をしていたんだ、お前たちは」
「何だ、知らないのか?あれはな、一般的にはSEXといって、俗語ではエッチやヤルなどの言葉でも」
「待て待て待て!!そういうことを言っているんじゃない!」
「じゃあ何だ」

くっ、無性にムカつくな。

いかんいかん。落ちつけ、私。

シュトラーセのペースに巻き込まれるな。

「何で、あんなことをしていたんだと聞いているんだ」
「朝の訓練だ」
「…何のだ?」
「敵が、寝技で来たときのためにな」

こいつ、本気で言っているのか?

……あの瞳は本気と書いて、マジと読むほどだ。本気らしい。

それはそれでどうかと思うが。

「質問を変えよう。ノイは、どうしてシュトラーセの部屋に?」
「夜のご奉仕に行ったニャ」
「昨夜からいたのか!?」
「ニャ!」

私も熟睡してしまっていたから、気付かなかったか。

というか、こんな小さい子と。

まさか、シュトラーセは。

「シュトラーセ。まさか、ロリコンという奴か……?」

騎士育成学校の時に、そういうことを話していた同級生がいた。

私は半分聞き流していたが。

「ノイ、歳は?」
「34歳ニャ」

シュトラーセの問いに、ノイは即答した。

結構な歳だな、ノイ。

「それは猫人族(キャットヒューマン)の計算だろう、ノイ。人間でいえば?」
「ニャ~……。17くらいニャ」
「セーフだな。それに、俺はロリコンではない。外見が小さい子が好きなだけだ!」

いや、そんなことを堂々と言われても困るんだが。だがまあ、無理矢理というわけでは無さそうだな。

現に、ノイはシュトラーセの膝の上に座っている。種族は違うが、兄妹に見えなくも無い。

はぁ……。

怒るのもバカバカしくなってきたな。

「よし。飯も食ったし、ギルドにでも行くか」

シュトラーセはノイを脇に置き立ち上がる。

すると、ノイは当然のようにシュトラーセの背中にしがみつく。

そこがノイの定位置なのか。昨日も背中にいたな。

「はぁ……。私も行こう」
「朝から疲れてるな。大丈夫か?」
「誰のせいだと…!」

文句を言おうと顔を上げるが、シュトラーセは宿を出るところだった。

こいつは……!

いつかやり返してやる!

しかし、席に着いた時から、やけに視線を感じる。

…まあ、大したことではないだろう。
 
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