IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第439話】
前書き
原作戻りますん
次の日、朝食時に楯無さんがやって来て昨日の夜に何でも一夏に自分の妹である更識簪と接触しないように伝えたそうだ、一夏としてはわかったのかわからないのか、不思議な表情を浮かべながら頷いたと楯無さんは告げたが、やっぱり不安に思ったらしく、昨日一夏に会った事、そして更識さんに接触しないようにって事をわざわざ伝えに来てくれた。
――理由は何であれ、更識さんの機体が完成してないのは倉持技研が悪いのだが更識さん的には一夏に要因があると思ってるのも事実だ、逆恨みだが問題が変に大きくなるぐらいなら彼女と一夏は接触しない方が一番いいと俺自身は思う。
とはいえ、そう事が上手く運ばないのが一夏だ、一夏に事前にそう告げても三歩歩けば忘れる鶏頭、バカにしたくはないが流石にあいつは物事を忘れすぎな所があるのはどうにかしないといけないと思う。
まあ、とりあえずそれは置いておき、昨日と今日で、シャルの態度が変わった所を美冬に怪しまれてしまった――まあやってることがやってることなので、基本的に俺が一番悪いのだが……正直理性崩壊した上に一度でもそういう事をしてしまった以上、抗うことは出来ない。
ちゃんと答えを出して誰か一人と付き合う形を取らねばと思えど、皆一人一人に良いところも悪いところもあり、それが魅力的に映るのだから今の現状では答えが出せないのが答えとしか言えない。
……勿論、いつかはちゃんと決着をつけないといけないのだが。
頭をかきむしり、少し髪がボサボサになるのを気にも止めずに俺は一路四組へと足を運ぶ。
今日は土曜日、午前中の授業は終えて他の専用機持ち達は次の大会に備えての自主訓練、一夏と篠ノ之に関してはわからないが明日は取材だからもしかすると篠ノ之は部屋にいるのかも、容姿は悪くないのだが性格が壊滅してるので俺は彼女に好意を抱く事はないだろう、おっぱいはでかいのだが、ただそれだけだ。
一夏は――まあ更識さんに近付かなければ俺としては問題ないので放置で良いだろう。
考え事をしながら四組に到着、すると何故か自然と近くの女子がやって来て俺に訊ねてきた。
「あ、有坂くんっ。 も、もしかして更識さんに用事?」
「ん、まぁな。 もしかして整備室か?」
言いながら教室を見渡すも、更識さんは見当たらず、教室内には友達と喋ってる子、さっきの授業のお復習をしてる子、窓から空を眺める子等が居るだけだった。
「う、うん。 授業が終わるなり、足早に教室を出ていっちゃったから」
言いながら俺にチラチラと視線を送る彼女、その視線を不思議に思っていると彼女は――。
「あ、あの、ね、有坂くん? お、男の子でもやっぱり髪とか身嗜みは気にしなきゃダメだよ? ほ、ほら、ボサボサになってる」
「ん、まあさっき頭をかきむしったからな……てかそんなに変になってるか?」
「そ、そこまでおかしくはないんだけど、気になる人には気になるって感じ。 ……ちょっとそこに座って? 直してあげるから」
有無を言わさず、近くの椅子を用意して俺を座らせると自身の櫛で俺のボサボサになった髪を解かしていく。
早く整備室に行きたいのだが、下手に断るのも悪いと思い暫くそのままされるがままされていると――。
「……うん、もう大丈夫。 男の子でも身嗜み、気にしないとダメなんだからね?」
「ん、まあ気を付けるよ。 ありがとうな、じゃあ俺は整備室に行くから」
返事を待たず、俺は四組の教室を後にする――また今度会った時にお礼を言えば良いだろう、本来ならその場で言わなきゃいけないが、やはり打鉄・弐式の完成状況も気になる。
なるべく早足で、俺は整備室へと向かう、土曜日に空いてる整備室、確か今日は各アリーナに隣接している所が開いていた筈だ。
学園を出て一番近くのアリーナを目指す、多分だがいち速く整備室に行き、機体を完成させたい筈だろう、俺ならそうする。
根拠のない自信が満ちるのを感じつつ、学園を出ると駆け足で整備室へと向かっていった。
内部に入り、側の自販機で缶ジュースを二本購入、片方はスポーツ飲料でもう片方はブドウジュース、本来なら両方スポーツ飲料にしたかったがもしかすると甘いのが好きかもしれないと思い、その自販機にあったブドウジュースを選択――リンゴジュースが無いのが悔やまれる。
取り出し口から一つずつ缶を取り出すと、手のひらいっぱいにひんやりとした冷たさが全身を駆け抜けていく、冬場なら直ぐに手が悴むだろう――とはいえ、もう十月に入ろうとしてるし、そろそろ冬将軍の影がチラチラと見え隠れするかもしれない。
両手に缶ジュースを持ち、俺は再度整備室へと足を運んだ、道中は誰とも擦れ違う事もなく、目的地である整備室の自動ドア付近へと辿り着く。
室内からは特に音が聞こえず、もしかして別のアリーナで作業してるのかなと不安が過る、だがその時、整備室の自動ドアが開くと更識さんが居て、俺を見るなり驚いた表情を見せた。
「おっす、更識さん」
「あ、りさかくん……」
絞り出す様に声を出した更識さんに、俺は缶ジュースを目の前に差し出して訊いてみた。
「更識さん、スポーツ飲料とブドウジュース、どっちが好き?」
「え? ……じゃあ、ぶ、どう……」
遠慮がちにブドウジュースを指差す更識さんに、俺は頷くと手渡しで渡す。
おずおずと手を出し、受け取ろうと僅かに俺の手に触れたその時。
「っ……!」
手が触れたのが気になったのかはわからないが、身をすくませて手を引いた。
俺の視線に気付くと、少し恥ずかしそうにしながらも、今度は手に触れないように受け取った――潔癖症なのだろうか、一応手洗いうがい等はちゃんとしてるのだが。
缶ジュースを受け取った更識さんは、ゆっくり口を開く。
「有坂、くん。 ……今日はどう、したの?」
「ん、整備室に居るって訊いたからな、打鉄の完成状況も気になって様子見、とりあえず組むかどうかの返事はまだ貰ってないが、機体は前よりか完成してるのかなってね、どんな感じだ?」
そう訊いてみると、僅かに表情を曇らせ、ゆっくりと口を開く。
「コアの適性値も、上がらなくて各駆動部の反応も悪い、の……。 OS、が合わないのかも……もしかしたら、他にも要因があるのかも……」
何処が悪いのか、彼女としては今は袋小路に迷い込んだ状態なのだろう――俺自身、打鉄・弐式の事はあまり知らないから的確なアドバイス等はあまり出せないのが歯痒い。
「……色々思案しても煮詰まるから、これから部屋に戻ろうと思っ――」
そう言いかけて言葉が止まり、目の前の更識さんの表情が変わると同時に足音が聞こえてきた。
振り向くと、向こう側から一夏が歩いてくる――俺を見つけるなり、俺に手を振り、駆け寄ってきた。
「よぉヒルト、ヒルトもこれから整備室使うのか? ――って、君は……」
「………………」
更識さんを見て思い出そうと頭を傾げる一夏、そして思い出したのか口を開く。
「あぁ! 確か四組の――初めまして、織斑一夏です」
自己紹介する辺り、多少はまともかとも思うのだが、どうやら昨日楯無さんに言われた事は綺麗さっぱり脳ミソから無くなっているようだった。
屈託のない笑顔の一夏を他所に、更識さんの表情はムスッとした表情のままだった。
「……知ってる。 そして、私には、貴方を……貴方を殴る権利が、ある」
「へ? えっと……」
困惑した表情を見せた一夏、更識さんはそんな一夏に対して――。
「……殴る権利は、ある。 ……でも、殴れば疲れる、し。 ……貴方を殴っても、私の専用機が完成する訳じゃ、ない……。 だから、やらない……」
そう言い、缶ジュースを一口飲むと顔を合わせないようにそっぽを向いた。
だが一夏は、言われた意味があまり解らず、またも頭を傾げている。
……とりあえず、問題が大きくなる前に、一夏には用事を済ませてもらいたい。
そう思い、俺は口を開いた。
「一夏、整備室に何か用があるんだろ、早く行った方がいいんじゃないか?」
「ん? いや、まあそんなに急いでた訳じゃ無いからな。 俺の白式、燃費悪いから少し整備してみようかなって思ってさ」
確かに燃費悪いのは事実だが、一夏の場合は零落白夜の多用と瞬時加速の多用を止めればかなり改善される気がする。
「って言ってもさ、整備ってしたことないからどうしたものかなって少し思ってたんだけど、そういや簪さんの機体って――」
「名前で、呼ばないで……馴れ馴れしい……」
そうはっきり拒絶する更識さん、てかいきなり下の名前で呼ぶ辺り、こいつの脳内は何かがおかしい、今に始まった話ではないが。
「えーと、じゃあ、更識さん」
「……名字でも、呼ばないで。 ……私、は、貴方と仲良くなるつもりは、ないから。 構わないで」
「いや、せっかく知り合ったんだし、そこまで邪険にしなくても良いだろ?」
至極真っ当な言葉だが、更識さんは一夏を嫌ってる以上下手すると余計ストレスを与えかねないのだが――と、一夏は何か妙案が浮かんだのか、表情が和らいだ。
「あ、そうだ! それならお互いの専用機、見せ合いっこしようぜ! 簪さんの専用機、見てみたいから!」
「っ!」
通路に響き渡る乾いた平手打ちの音、一夏の馬鹿さ加減には呆れるしかない。
「……へ?」
いきなりの平手打ちに、すっとんきょうな声をあげる一夏、頬が真っ赤に腫れていた。
「………………」
キッと目尻を吊り上げ、一夏を睨んでからそのまま走り去る更識さん、残された俺は一夏に――。
「……お前、昨日楯無さんから説明訊いてたんじゃなかったのか?」
「説明って――あ。 そっか。 そういや昨日、楯無さんから簪さんの専用機、まだ出来上がってないって言ってたな」
暢気な声と共に手を打つ一夏に、内心イラッとするが、殴った所で俺の拳を痛めるだけだ。
「……とりあえず、お前もう更識さんに近付くな、話がややこしくなる」
「いや、でも――」
食い下がろうとする一夏だが、俺は言葉を続けた。
「いいから、お前だってまた平手打ち食らいたくないだろ? お前のデリカシーのない発言、今さら直せなんて言っても直らないだろうからせめて彼女に近付くな、いいな? それと、せめて名字で呼ぶようにしな」
「お、おぅ……」
勢いに圧された形で返事をした一夏、この場にいる意味が無くなった俺は持っていたスポーツ飲料を一夏に渡すと、更識さんを探しに整備室前を後にする、だが暫く探し回ったのだが見つからず、彼女の部屋も知らないため一旦諦めると、俺は自室へと戻っていった。
後書き
モッピー知ってるよ。
打鉄・弐式って、紅椿の引き立て役って事。
_/⌒⌒ヽ_
/ヘ>―<ヘヽ
((/ ̄ ̄ ̄\))
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/ | | //ヽ ヘ
| ハ | /イ | |
レ |/ レ| N\|||
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