藤村士郎が征く
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第2話 転校生はフランスの聖処女(聖女)様
前書き
お久しぶりです。
「ふう、なんとかなったな。いつか会えたら遠坂にお礼しないとな」
士郎は遠坂凛のおかげで平行世界に逃げ延びることに成功した・・・?
何かがおかしい口に何か詰まっているのかと思い、口に手を伸ばそうとしても思うようにいかずそもそも瞼が開いてはいないことに気付き、すぐさま開ける。
そこには知らない天井が広がっており、昔なじみの和風の天井だった。
そこでふと顔を右に傾けるとそこには鏡が有り今の自分の姿が映し出されていた・・・!?$%&#
驚きのあまり、声にならない悲鳴を上げた。
(な、何なんだこれは!?一体どうして!??)
そこに悲鳴を聞きつけたのか、そんな取り乱し中のシロウの下に男女一組が入ってきた。
男性の方は褐色肌ではあるが顔つきなどは日本人風で、女性の方は銀髪に長髪とイリヤを思い出させるような容姿の誰が如何見ても外国人だ。
「如何したの士郎?怖い夢でも見たの?よしよし」
と女性の方は俺を担いであやす様にした。
「怖がっているというより驚いていると言った感じじゃないかな?アイリ」
「よくわかるわね、切嗣さん。と言うかどうしてそんなに目を見開いてうるんでちゅかぁ~♪」
そんな二人の会話を聞いて士郎はさらに驚く。
女性は兎も角男性の方は、容姿は似ていないが確かに“切嗣”と呼ばれていた。
そもそもなぜ士郎がこれほど取り乱しているかと言うと鏡で自身の姿を見たらなんと“赤ん坊”だったのだ。
「なっ、な、な、な、何でさぁあああああああ!!?」
これでは平行世界の移動では無く転生だ。どうしてこうなったかは予測は出来るがこうなってしまっては仕方がないであろう。
こうして士郎は別の平行世界にて、《現世の閻魔》こと藤村雷画の孫の一人として第2の人生を歩きはじめるのだった。
因みに、片割れの“彼女”はヨーロッパ中のマフィアを統べるフランスにあるオーリックファミリーのボスの孫として4年遅れで誕生した。
-Interlude-
2009年5月22日金曜日
「―――――って事で、明日は2-Sに転校生が来るって事らしいんだ」
川神市内のある土手にて、マンモス校たる川神学園に登校する為、風間ファミリー一行が何時もの如く駄弁りながら歩いていた。
「ほう、そうなのか?自分はマルさんから一言も聞いていなかったぞ?そんな話は」
(父様が買って下さったぬいぐるみ、可愛かったなぁ♡)
直江大和の話を聞きながらもどこか意識を遠くの方にしているクリスティアーネ・フリードリヒ。
「でもさ、2-Sなら僕たちには関係ないんじゃないかな?」
「そうだぜぇ!あんなインテリクラスに入る奴だ、例え女子だとしてもがり勉に決まってるじゃねえか」
阿吽の呼吸で些末事と切る師岡卓也と島津岳人。
「何言ってるんだよぉ、お前らぁ!クリスの時みたいに稼ぐチャンスじゃねぇかぁ」
相変わらずどんなことにも楽しみを見出そうとする年中花火野郎の風間翔一。
「あっ!キャップそれ無理」
「なんでだよぉ」
「もう女子だってことは解ってるんだよ。知ってるやつももう、それなりに居るだろうし」
大和の説明により一気にテンションが駄々下がりになるキャップ。
「んー?強い人なの?」
登校中もダンベルを使いトレーニングし続ける川神一子。
「その辺も解らないんだよ兎に角女子とだけでしか」
「しょーもない。取りあえず黛由紀恵は同い年の友達作りに専念すべきだと思う」
「はうっ!?」『おら達が言おうとしたことを先回りしてカットしただと!?』
あまり興味話出さない姿勢で本を読みながら、まゆっちが何時もの言葉を吐く前にカットする椎名京。
因みにまゆっちのストラップでの腹話術がまゆっちの意思を代弁した。
「もうちょっと情報入手しといてくれよ、大和」
「なんだか不燃焼気味だね“義姉さん”」
「そりゃあそうさ。今日は誰も挑戦者も居ないし不良たちも来てないから殴れないんだよ」
如何にも憂鬱気味で面白くなさそうにしている川神百代。
そんな一行がワイワイとはしゃぎながら何時もの様に勇往邁進して行くのだった。
-Interlude-
5月23日土曜日 2-S
「そんじゃあ、事前に伝えておいた通り転校生を紹介するぞ」
ワイシャツやスーツをよれよれした感じに着ているあまり教師には見えない中年男性、宇佐美巨人が何時もの様な喋り方で対応している。
「んじゃあ、入ってこい」
「はい、失礼します」
巨人がやる気のない促しで入ってきたのは、此処の濃ゆいメンツとは違い普通のこの高校の制服を身に包んだ腰の先まで三つ編み上で伸ばしている金髪の少女だった。
その少女は、そのまま流れるように巨人の横に来た。
「ジャンヌ・オーリックといいます。今日からよろしくお願いします」
「「「「・・・・・・・・・・・・・」」」」
その少女、ジャンヌが名乗ると、数名以外の生徒が男女関係なく彼女に見惚れていた。
「はっ!?汚(←誤字にあらず)、俺は一体何を・・。ま、まさか、この俺が幼女以外に見惚れていたってのか・・・・」
我に返った井上準が何かつぶやいた後押し黙った。
そして――――。
「う、うそ・だ。うそだ、うそだっ、ウソだっ、ウソダッ、嘘だっ、うそだぁあああああああああ!!!?」
「準!?」
「うぅううそぉおおおだぁああああああああああああああああーーーー・・・
井上準は、自分自身の今さっき体験した感情に振り回され否定しながら教室から飛び出していった。
そして、そんな原因を作った?ジャンヌは如何したのだろう?と首を傾げる。
「あー、気にしなくていいぞ、オーリック。ちょっとした青春の一種だろうからな」
(ロリコンにも通じるんだなぁ。九鬼に、似て非なるカリスマ性なるオーラ)
先程見惚れたのはここにいる2-Sの9割以上の生徒たちだけでは無い。
此処に来るまですれ違った生徒や用務員、勿論今日の早朝に挨拶した学長(←初対面では無い為)以外の職員が、またしても男女区別なく見惚れたのだ。
そうして数秒程物思いに耽っている巨人をよそに、金箔付に制服を改造してある益荒男がジャンヌに近づいてきた。
「フハハハ!相変わらず、初対面の者たちを引き付ける魅力とカリスマ性は衰えておらぬなぁ!」
「オーリック様、お久しぶりです☆」
声を掛けてきたのは、世界にとどろく九鬼財閥の総帥・九鬼帝の実子の中の唯一の男子である九鬼英雄だった。そして影を踏まぬ様に傍で控える女性メイドは、九鬼従者部隊・序列第一位の風魔一族の出身であり元傭兵でもある忍足あずみだ。
「英雄さんもお元気そうで何よりです」
そこにまた一人、我に返っていた肌黒でいわゆるイケメンと言った感じの青年、葵冬馬が近づいてきた。
「英雄のお知合いですか?」
「うむ、我が友冬馬よ。オーリックの名で聞き覚えは無いか?」
そこでふと考えだしてから「ああ!」と思い出したように声を上げる。
「確かフランスに本社を置く、EU周辺で一番の企業でしたか?」
オーリックカンパニー。
フランスに本社を置きフランスの各地は勿論、EU全土に支社を置く日用雑貨からミサイルまでと言ったほぼすべての品に精通しているヨーロッパ一の大企業で、オーリックファミリーの表の顔でもある。
「うむ、その当たりで我が九鬼財閥とも提携関係にあり、その提携関係の周年パーティーで何度か顔合わせをしてきているのでな。その時、不覚にも我もまたジャンヌに一瞬だけ見惚れてしまったのよ」
なるほどと、頷く冬馬。
そこに巨人のお開きの合図か、両掌で叩いた。
「久しぶりの再会は後で各自にやってくれ、話が進まないからな」
その合図に3人とも自分の席に戻り、それを確認する巨人。
「よし。んじゃ、取りあえずオーリックは窓側の席な。そこで全員分かっていると思うが来週末あたりに試験を行うからな、準備しておけよ」
後は細かく朝の会議での取り決めで決まった報告をした後に朝のHRは終了した。
-Interlude-
今日は各学年各クラスともそれとなく忙しかったので昼前の放課後に、噂の女子高生を見に来た野次馬諸君がわらわらと集まっていた。
そして何時も道理、初めて彼女を見た者は皆が見惚れてから口々に―――。
「すんげぇ美人!」
「あの人本当に私たちと同じ人間!?」
「何と言うか美しさ可愛さの次元が違いすぎる!!?」
全てが彼女の容姿を褒め称えるセリフばかりだ。
そこへやっと風間ファミリー諸君もやってきていた。
全員が見惚れ以下略。
最初に我に返った百代の反応は―――。
「Σ(゚Д゚)、\(゜ロ\)(/ロ゜)/、(≧▽≦)、\(◎o◎)/!、(@_@;)」
かつてないほど大興奮する武神。
彼女の奇声が合図となったのか、他の面々も我に返る。
「なんだかよくわかんねぇけど、後光のような光がかかってるのは俺の気のせいか?」
「もう、超可愛いとかいう次元じゃねぇよぉおお!故あらば告白しようと思った俺様でも畏れ多く感じるぜ!」
「う、うん・・・」
男子連中はあまりのジャンヌのオーラと規格外の美貌に気圧され気味だった。
「すごくきれいな人ねぇ~。クリは知り合いじゃないの?フランスってドイツの親戚みたいなものなんでしょう?」
「そんなわけが有るか!だが、自分は知らないが、父様なら知っているかもしれん」
「なんて神々しいんだ!おらのご神体なんか目じゃねぇぞ!」
「まゆっち。緊張しすぎて松風のセリフ、完全に自分の口で言ってるよ」
と、様々な反応をしている女子たちだった・・ん?まだ一人だけ復帰できていないメンバーがいた。
それは――――。
後書き
続く。
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