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藤村士郎が征く

作者:昼猫
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第15話 子は親の背を見て育つもの!? しかし、女誑しは遺伝するモノなのか??

 
前書き
 PS VITA移植版の虚構の平穏発売まであともう少しですね!

 それと、マジ恋A4楽しかったです。
 というか、ヒューム卿は大人げなさすぎ(笑) 

 
 「如何して、疑問形なんだ?尾行してたとからには、ある程度確信を持ってたんじゃないのか?」

 そんな事を言う士郎に対して、百代は何故か俯く。

 「ん?如何したん「うるさい!この馬鹿!!」も、百代・・!?」

 顔を上げると同時に、士郎に罵言雑言を叩き付ける百代。
 心なしか、顔も若干朱に染まり、目元にも涙が溜まっていた。

 「何で、泣いて「全部シロのせいだろ!そもそも、開口一番に嫌味を言うなんて、そんなに私の事が嫌いなのか!?」あ、いや・・」

 図星を突かれて、戸惑う士郎。
 そもそも、『女性は幾つになっても淑女として扱え。下種外道でもない限り、女性を泣かせるな。女性は優しく大切に扱え』と言う格言を、父親である切嗣(両方)からの薫陶を受けている上、士郎は女性の押しにめっぽう弱い。
 それ故、ジャンヌや雫と言った(つが)いがいるにも拘らず、何度か押し倒されそうになった事が有るのだった。

 「それに!この8年間、如何して会いに来てくれなかったんだ!?」
 「いや、それは、百代の意思を尊重したからだぞ?」
 「何だと!?」
 「8年前、俺の事を殴った後に、百代が言ったんだろう?『もう二度と、私の前に顔を見せるな!!』って」

 先にも述べた通り、基本的に士郎は女の子・女性に優しく接する。
 それが理由も解らず泣かせてしまったとあっては、より慎重的になり対象の人物の意思を尊重するのが士郎だ。

 「むー、・・・あれについては私も悪かったさ。興奮しすぎて、シロの言葉を聞こうとしなかったからな。それに殴ったのもさ・・・・痛かったろ?」
 「いや、別に」(←即答)
 「何!?」

 士郎は既に、8年前のあの時点で百代から見ても格上だった。
 更に言えば、I am the bone of my swordなのである。まだまだ覚醒しきっていない武神の血を引くとは言え、10歳の女の子に傷跡を付けられる道理が無いのだ。

 「どんな理由にせよ、百代を泣かせてしまったからな。責任として殴られると分かって避けなかったし、踏ん張って無かったから衝撃で倒れはしたが、痛くも痒くもなかったぞ。うん」
 「・・・・・・」

 そんな事を言われて百代は押し黙った。
 代わりに・・。

 「如何して、親の仇のような目で見られなきゃならないんだ?」
 「うぅううう、うるさい!全部、シロが悪いんだ!!」
 「なんでさ?」

 などと、傍からすれば痴話げんかになっていた。
 そこで、百代が有ることに気付いてから、若干不機嫌になった。
 しかし、当の士郎は百代の機微に気づけずに、変な事に気付きつつ質問するのだった。

 「そういえば、俺はこれから如何すればいいんだ?」
 「・・・・何の話だよ?」
 「いや、結局の所、俺は百代「!・・」にこれからも普通に接していいのかと思って」
 「・・・当たり前だろ?あれについては、私の早とちりが主な原因なんだからな」

 その百代の答えに関して、安心したように「そうか・・」と、短い返事で受け止める士郎。

 「なら、百代も「!」何時でも――――と言うのは、俺自身も社会人だから厳しくはあるが、好きな時に来てくれて構わないぞ」
 「・・・・そうは言うが、私はお前の連絡先はおろか住所も知らんぞ?」

 その百代の当然な疑問に「ああ!」と短く返事をする。

 「それなら、ほら其処の屋敷が俺の自宅だ」

 士郎は自分の住居に指をさしてアピールする。

 「・・ここが?・・おまえの?」
 「ああ。ん?なんかおかしいのか?」
 「いや・・・そ、そうじゃなくてだな、シロまさかお前の名前って・・・」
 「・・・あ~~、そう言えばフルネームを名乗って無かったか。では改めて。藤村組先代総組長、藤村雷画の孫の一人にして、現総組長、藤村切嗣の実子の藤村士郎だ」

 そして、最後に「よろしくな」と付け加える士郎。
 だがしかし、百代は・・。

 「聞いてないぞ!」
 「そりゃあ、そうだ。今初め「そうじゃない!」・・?」

 士郎のフルネームを知ったとこで、激昂し始める百代。
 しかし、如何やら矛先は士郎に向いている訳ではない様だ。

 「じじいにだ!くそぉおお~、あんのくそじじぃ~。私は切嗣さんに子供がいたのは知っていたが、まさかシロだったなんて聞いてなかったぞ!!?」

 帰ったらとっちめてやる!!と、最後にその言葉で激昂を抑える百代。

 「それで・・じゃあホントにシロはその・・」
 「ああ、来ても俺が居なかった時は、雷画の爺さんの話し相手でもしてやってくれ。爺さんは、若者と話すの大好きだからさ」
 「じゃあ、“若”って呼ばれてるのはシロの事だったのか?」
 「そう言う事。・・・ところで俺からも一つ質問が有るんだがいいか?」
 「ん?・・・・」
 「如何して、また、俺を見る目が親の仇を見るような感じに戻ってるのさ?」

 そう、百代の眼がまたも険しくなり、士郎を睨んでいたのだ。
 だが、それも無理無き事。何故なら・・。

 「・・・・・・・呼び方(ボソッ」
 「は?呼び方?」

 士郎は思わず首を傾げて、エコーの様に聞き返す。

 「・・・如何して、モモ(・・)じゃなくて百代(・・)なんだよ?」
 「え?いや、だって二十歳過ぎてまで恥ずかし、って百代?」

 士郎が全てを言い切る前に百代は、士郎の胸に顔を埋める様に、懐に入り込みつつ抱き付いた。

 「モモって呼んでくれなきゃ・・・ヤダ」
 「ヤダって・・。って、百代!?何で泣いてるのさ」
 「だって、・・シロが・・私の事・・モモって・・呼んで・・くれな・・いから」

 泣きじゃくる、と言うほどでは無いにせよ、自分の胸に顔を埋めてすすり泣く百代に対してでは無く、そんな風に泣かせた自分に空を見上げながら溜息をつく士郎。

 (わかっていた事だが、我ながらまだまだだなぁ)
 「・・・・・わかった。これからは・・ちゃんと、モモと呼び直すよ―――――いや、させてくれ。こんな辛い思いをさせてごめんな、モモ」

 左手で抱き寄せる様に背中をさすりつつ、右手で頭を優しく愛おしそうに撫でる士郎。
 傍から見れば、如何見ても恋人同士にしか見えなかった。
 事実、途中から泣き止んでいた百代は、士郎に撫でられるのが気持ちよかったのか、瞼を閉じつつ幸せな表情をしていた。

 そうして、百代が泣き止んだのを見計らいつつも、暫くしてから百代と離れる士郎。
 百代は若干不服と言うか、名残惜しそうだったが。

 「こうして再会できたところ悪いが、俺自身もこれから用があるんでな。ここでお別れだ」
 「・・わかった。けど、さっき言った事・・ホントに何時でもきていいのか?」
 「それ自体は構わないさ、ただもう一度言う様に俺自身の仕事とかもあるから、必ずいる訳じゃ無いからな。そこは了承してもらうぞ?」

 それを分かってるさと言う、返事で返す百代。

 「そんな名残惜しそうにしなくても、一生の別れじゃないいんだから」
 「・・・わかっているさ。それでも寂しくなるのが美少女ってもんじゃないか」
 「美少女は関係ないだろ・・」

 相変わらず、自他共にであろうとも、セリフの中に自信を美少女と呼ぶ百代に呆れる士郎。

 「それにどうせ、明日にはまた会う事に成るだろうしな(ボソッ)」
 「ん?なんか言ったか?シロ」
 「何でもない、兎も角、またなモモ(・・)!」
 「ッ!・・ああ!またな、シロ!」

 こうして二人の8年間にも及ぶ誤解は解けたのだった。


 しかし、たまたまとはいえ、その二人の光景を終始見ていた人物が居た。
 それは、藤村組の総組長、藤村切嗣だった。

 (士郎・・。全くお前ときたら、ジャンヌ君や雫がいるにも拘らず、また女の子に必要以上に優しくし過ぎだ。あれで気を持つなと言う方が無理だろうに・・・。しかもお相手は百代ちゃんじゃないか)

 と、心の中で呆れる切嗣。

 しかし、この男も人の事は言えない。

 現にこの男も、若いころは世界中で女性たちを無意識に落としまくり、今でも彼を狙う女性が多くいて、そのことについて妻であるアイリスフィールから怒られているのだから。 
 

 
後書き
 Fateもそうですが、衛宮士郎と言うキャラにはまって8年経ちましたよ。
 はまりすぎて、私の中では一番かっこよく見えます!

 感想、お待ちしてます。 
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