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藤村士郎が征く

作者:昼猫
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第6話 少子化の影響で重婚が合法になろうとも、リア充に至れる座席は有限である

 
前書き
 第5話と第6話の間にR18指定の幕間を載せている途中です。
 書いていて気づいたのですが、R18系統の二次創作のセリフなど普通のを載せているよりも倍以上に疲れるというか面倒ですね。ごくごく個人的な意見として。 

 
 『―――――という事です。以上の事をもちまして、今日が終わり明日に日が変わった時点でこの日本上では重婚を認める法が正式に執行されます。これまでの説明を聞いても戸惑う方も多くおられるでしょうが、如何か混乱しすぎずに対応をお願いします。詳細については明日の朝刊やネット、それ以外にも航行しますのでご安心ください。では次のニュースです――――――――』


 -Interlude-


 5月 27日 水曜日

 ジャンヌが川神学園に転入してきてから4日めになると、彼女の美貌にたかる様に非公式ながらファンクラブがいつの間にかに結成されていた。
 このファンクラブのメンバーは、男だけかと思いきや女子生徒も思い切り混じっているのだ。

 理由としては、階段から落ちそうになった所を助けたりなどの場面を幾つも起こしていたりする絶世の美の中に凛としたかっこよさも併せ持つ姿に年下は勿論の事、同い年と果てには一つ上の先輩にもジャンヌお姉様と呼ぶものまで現れる始末(此処に転入してくるまでも全ての学校・スクールでも呼ばれていた)。

 しかもその女子生徒たちの瞳に映っているのは恍惚然としたドが付くほどの百合だ。
 更にはあろう事か、そのまま突撃して告白する女子生徒まで出たのだ。
 当然ジャンヌはそのような趣味は持ち合わせていないという事で、あっさり振ったが。
 それでもあきらめの悪い生徒たちは告白はしてはいないが、今も直そのような表情でジャンヌを見ている様ですよ」

 今は2-Sの朝のHR前の時間で、ジャンヌは冬馬達の話を聞いていた。

 その事実にジャンヌは軽い頭痛を覚えていた。

 「まぁ、仕方ないんじゃね?お前さんとしちゃあ善意でやったんだろうがよ。そう受け取る奴もいるって事だろうって!ぐへぇ!?」

 これを答えたのは井上準だ。
 彼はあれから、ロリコン成分を吸収したからもう大丈夫とと言う言葉と共に現れてから、ジャンヌとこうして和気藹々として話すことが出来るようになった(別に喧嘩していたわけではないが)。

 「後から来たくせに、ジャンヌを責めるような口を聞くハゲにお仕置なのだぁア!」

 それを背後から迫り井上準の頭を叩きつける小雪。

 「大丈夫ですか?準君」
 「いててて・・ま、まぁ、何時もの事だから気にしなさんな。それより、今の話題は重婚についてだろう?」
 「重婚しようも何も、準には誰も居ないんだから意味ないでしょう」

 それをひどいわ!と返す準。そんなやり取りをしている中、途中から真剣な顔つきで黙る冬馬。

 「如何したの?トーマ」
 「いえ、重婚の事について考えていたんですよ」
 「若は今まで何人も喰って来てるからな。もう、何人にか申し込まれてるのか?」
 「いえ、そうではなくてですね。この重婚制度は、男同士のカップルにも適応されるのかと思ったんですよ」

 「「「・・・は?」」」

 いつも通りと言えばいつも通りだが、葵冬馬のあんまりの言葉に3人揃って呆気に足られた。

 「それに、男×女×男では如何なんでしょうね。そうなれば私にも士郎さんとのチャンスが生まれてくるはずです」
 「冬馬君、それは・・」
 「トーマは一体誰と番になりたいのぉお?」
 「一番は士郎さんですよ。しかしながら私は、全てを愛することが出来ますから」
 「若、そりゃあ博愛主義に聞こえなくもないが、結局の所見境なく食べたがるアブノーマルの節操なしにしか聞こえないぜ」
 「2-Fの委員長である甘粕さんが本命とか言いながら、ほぼ毎日の様に近くの保育園などに足を延ばして自愛の眼で見つめてる準には言われたくありませんよ」

 そんな二人の会話にジャンヌと小雪は心の中で・・・。

 【【どっちもどっちだと思(うなぁあ・いますね)】】

 これが偽らざる彼ら4人(・・・)の本心だった。


 -Interlude-


 そして勿論、重婚制度に語っているのは2-Sだけでは無く2-Fでも語り合っていた。

 「素晴らしい時代が来たもんだぜぇえ!重婚って事はハーレム構築も合法って事だろ!!?」
 「それはそうだろけどガクト、まず僕たちには一人たりとも恋人の影も形も無いんだよ?どうしてそこまで楽観視できるのさ?京からも何か言ってあげてよ!」
 「確かに、ガクトはまず一人目を見つけてからだね。という事で大和、私は大和がちゃんと愛してくれるなら側室も許すから結婚しましょう」
 「何がという事なのかわからんが、魅力的な提案だけどお友達で」

 他には。

 「おい、スグル。こんな時にゲームなんてしてないで重婚について熱く語ろぉぜぇえ!!」
 「阿保か。結局の所、重婚・・・ハーレム構築なんてできるのはモテまくるリア充共だけなんだから、お前に何の意味なんてないだろ?と言うか、リアルなんぞに期待しても裏切られるだけだぞ」
 「っ!ちくしょう、ちくしょう!ちくしょうぉおおおお!!!」

 それ以外にも反応は様々だが重婚制度について語ってるのは男子生徒ばかりで、基本的に女子生徒はいつも通りだ。

 「――――って事で、後もう少しで押し倒せた系なんだけど、相手アタイニビビった系で逃げられた系なのよぉお」
 「へー、そうなの・・・・・・・ハァ」
 「まるで興味なさそう系だけど、如何したの?チカリン。最近元気無い系じゃない?」
 「そうですよ、千花ちゃん。最近溜息ばかりで如何したんですか?お姉さんが相談に乗ってあげますよ」

 一応心配する羽黒と、純真の善意から親友を心配する甘粕真与。
 そんな二人の気持ちに乗る様に打ち明けようと決める千花。

 「それがねぇ、この学校のイケメン四天王(エレガントクアットロ)達が居るじゃない?」
 「それが如何したんですか?」
 「先週末に危ない所を助けられたこと麻与たちにも話したじゃない?」
 「そう言えばそんな事も言ってたわねぇ」
 「その時助けてくれた人・・・結局名前も聞けなかったんだけど、凄い紳士(ジェントルマン)かつ超イケメンだったのよ!!」

 そんな興奮した様子の千花を見て、あ~成程と羽黒が呟く。

 「けどイケメン四天王(エレガントクアットロ)に比べると大したことなかった系って話でしょう?」
 「違うわよ!寧ろ、その逆よ。逆!」
 「逆ですか?」
 「あまりにもイケメンだったからイケメン四天王(エレガントクアットロ)を見ても充実した生活に思えなくてねぇ。あの銀髪の浅肌黒い年上長身超イケメン男性()に会うまでは充実してたんだけど名前が分からないから何所の人かわからないのよぉ・・・・・ハァアア」

 またしても溜息をつく千花に親友の真与としては、どうにか力になってあげたいと思っていた。

 そんな三人をよそに盗み聞きするつもりは無かったが、たまたま耳に入って来ていた京は直に心の中で店長だ、と理解していた。

 そしてその話題の中心人物である士郎はと言うと、今は九鬼財閥の本部である七浜本社ビルの会議室に来ていた。


 -Interlude-


 今この会議室には九鬼財閥総帥の九鬼帝、それに九鬼従者部隊の序列零位と2位と3位が藤村士郎と言う客を迎えていた。

 「よかったじゃねぇか、士郎。これで大手を振ってジャンヌちゃんと雫ちゃんの二人同時に籍入れられて」
 「からかう為に呼んだんですか?帝さん」
 「これでも本心から祝ってるんだぜ。お前さん、真面目だからどちらに対しても責任を取る場合藤村を出るかどうか悩んでたんだろ?・・・あっ!!そうなった場合、内に引き込めばよかったのか!?」

 本気で悔しがる帝をよそに士郎は本当に如何して呼んだんですかとヒュームに視線を送る。

 「そう焦るな、士郎。お前を此処に呼んだのは3-Sへの編入についてだ」
 「それについては、うちの雷画の爺さんと話し合ったんでしょう?他に何か必要なんですか?俺自身を此処に呼び出してまで」
 「必要はありませんが建前は時には必要なのです。その当たりをどうかご了承いただけませんか?」
 「まぁ、クラウディオさんが言うのでしたら・・」

 その反応にヒュームが噛みつく。

 「おい。俺の時と随分反応が違くないか?」
 「それはそうでしょう。アクマでも相手への迷惑を考えて本当に申し訳なさそうにする完璧執事への対応と、自身の考えこそが世界のほぼ中心だと思ってるどっかの高圧的な金獅子みたいな殺戮執事に対する対応、必然的にも考えて違いが有るのは当然で、しょう!と、危ないでしょう、何するんです?」

 説明終わり手前でヒュームがシロウに対して眉間狙いの凶悪な蹴りを入れたのだった。
 それを難なく躱す士郎。

 「貴様ぁ、それは俺に対して喧嘩を売ってるのか?」
 「いくらで買ってくれるんですか?それに俺はどこぞの高圧的で自己中の金獅子殺戮執事としか言ってませんよ?心当たりでもあるんですか?」
 「いい度胸だ!!」

 こうして何時ものじゃれ合いが始まった。
 ヒュームは常に士郎の急所部分を狙って凶悪な一撃一撃を放つ。
 それを士郎は第2に人生を以って幼き頃から一切怠らなかった鍛錬と、転生に近い形で藤村家へ来たので藤村の血がなせる業と持ち前の規格外級の視力の良さ、更には以前の世界で培った幾つもの戦場での経験則を下にした戦闘論理により、すべてを余裕で躱す士郎。

 そもそもこの世界でも士郎が自身の事は兎も角、周りの親しい人間が傷つけられたり侮辱されたりする以外は非常に温厚な非戦闘欲主義者(パシフィスタ)であることには変わらなかった。
 この殺戮執事、ヒューム・ヘルシング以外には。
 何でも、あのどこぞのやりたい放題する某英雄王やはっちゃけ爺さんに似てるかららしい。
 しかしながら、あらゆる点(悪い意味での)であの二人に比べればまだまだ可愛いようだが。

 それらの応酬を、1分間ほど続けていたら今迄静観していたマープルが手を叩いた音で二人を止める。

 「二人とも、もう御止め。これじゃあ話が進まないよ」
 「むぅ」
 「仕方ありませんね」

 そうして漸く本題に進むようだ。

 「それじゃあさっきの続きだ。建前ではあるがアンタには今回のプロジェクトの中心角である4人のうちの一人の監視をお願いしたいのさ」
 「監視とはまた穏やかじゃないですね。それに話から察するに、そのうち一人は3-Sに来るという事ですか・・・。という事は、その人物が何らかのリスクを背負っていると?」
 「話が早くて助かるよ。実はかくかくしかじかでね」
 「これこれしかじかですか。成程、英雄のクローンですか。その人物の監視ないしは護衛と言う訳ですね、名前は何というのです?」
 「葉桜清楚と言う子だよ」

 名前と同時にこの少女の詳細が掛かれている書類を渡される(勿論プライベートの事以外)。
 そんな名前の英雄は聞いた事が無いと考える士郎。
 であるならば何かしらの理由で偽装が施されていると考えているのが理想的というものだろう。
 そこから導き出された答えが・・・。

 「マープルさん。偽装したつもりなのかは分かりませんが、隠す気あるんですか?」
 「・・・・・如何いう意味だい?」
 「そのままですよ、雛罌粟の髪飾りを付けていますし名前なんて清楚の覇王じゃないですか」
 「・・・そりゃあ、アンタの勝手な予想だろう?そもそも性格がまるで別人じゃないか」
 「そうですか。俺は事実確認したかっただけなんですが、そちらがその気ならこちらも考えが有りますよ」

 そう言って踵を返し九鬼帝に挨拶も無しに去ろうとする士郎。

 「待て、小僧。貴様は納得するしか道は無い、さもなくばっ!!」

 去ろうとする士郎にヒュームは、本気の蹴りを士郎にお見舞いしようとした。
 しかし――――。

 「さもなくば何でしょう?」
 「「「っ!!?」」」」

 ヒュームの蹴りは士郎の姿を捕えることなく空しく空振った。
 そしていつの間にかに、ヒュームの首筋に業物と比喩すること自体が烏滸がましいほどの絶世の剣が充てられていた。

 それを他人事のように静観していた帝の口からクククと言う笑いが漏れた。

 「ハハハハハっ!こりゃあ、お前らの負けだなヒューム!マープル!」

 そんな九鬼帝からの言葉に、剣を首筋に当てられていたヒュームは苦虫を噛み潰したような顔になる。
 そんな様子に自分は試されていたようだと察して剣を消すと同時に、帝に半目を向ける。

 「帝さんもグルですか・・。まぁ、気づいていましたが」
 「おいおい、穏やかじゃねえな。ってか、如何して気づいてたんだ?」
 「最初に帝さんと言葉を交わした時、帝さんの瞳の奥の方に悪戯小僧の気配が微かに、孕んでいる様に見えたものですから」
 「帝様」

 溜息を漏らすように帝の名を呼ぶクラウディオ。

 「わりぃわりぃ、でもそんじょそこらの奴じゃそれに気づけないんだぜぇ。少しは大目に見てくれよ」
 「それで・・いったい俺は如何すればいいんですか?」
 「おや、まず謝罪を入れようかと思ったんだがいいのかい?」
 「貴方はそうかもしれませんが、肝心かなめの人が謝罪を入れる気がないでしょうからいいです」
 「おい、何故そう決めつける?」
 「では入れてくれるんですか?」
 「・・・・・・・」
 「・・・じゃあ、説明するよ。あんたが見抜いた通り、葉桜清楚の正体は項羽もといい項藉だ。あの子は自身の正体については25歳くらいになってから自身が誰の英雄のクローンなんか教えるつもりさね」

 その事について士郎は「何故」と聞かず。

 「それで?」
 「あの子にはある封印を施していてね、故にあそこまで人格が違うのさ。その理由については察しが付くだろう?」

 士郎は一度瞳を閉じてから答える。

 「歴史上の様な事に成らないために教養を付けさせることですか?」
 「ああ、そうさ。しかし、もしそれまでに封印が解ける事が有ったらまず暴走するだろうからね。そうなった時にあの子の抑止として動いてもらいたいのさ」
 「常にですか?」
 「いいや、そこまでする事は無い。川神学園に居る間だけでいいからね。ここまででわかる通り、この件はあくまでも保険さ。だから肩ひじ張らずにしていいよ」

 そこから数秒考えてから士郎は質問する。

 「最悪の場合は如何します?」
 「アンタの言いたいことは解るさ。極力穏便に済ませて欲しいが、もしもの時はアンタの自己判断に任せるよ。そこらの判断力については、私達よりアンタの方が上だろうからねぇ。・・・という事で帝様もいいでしょうか?」

 今の会話中、まったく口を挟まなかった帝にマープルが問いかける。

 「別にかまわねぇよ。責任を投げ出す発言じゃねえが、ある意味この件に関しては部外者みたいなもんだからな」

 お前らに任すと最後に付けだす帝。

 「では、此方も了承しました。ですが俺も本物の戦場のせの字も知らない学園でショッキングな光景を曝したくはありませんので、本当のギリギリまで諦めるつもりはありませんよ」

 その言葉と共に立ち上がる士郎。

 「それにしてもさっきのは見事だったな士郎。ヒュームの蹴りを瞬時に躱してから反撃に転ずるなんて」

 その帝の言葉に溜息を漏らす士郎。

 「先ほどの蹴りは確かにヒュームさんの全力の蹴りでしょうけど、殺気もまるで込めてないですし何より速さが足らなかったでしょう」
 「ふん!」
 「流石でございますね士郎様。あの瞬時にそこに気付けるとは」
 「気づくも何も、何時もの事でしょう?そもそも、俺が本気中の本気でヒューム卿を殺しにいかない限り、接近戦に置いてはまだまだ俺は下ですよ。雫ならともかくですが」
 「ふん、まあな。と言うかもう帰るんじゃなかったのか?」
 「言われずとも帰りますよ。では帝さん、マープルさん、クラウディオさん・・・とそこの高慢チキチキおじいさん、俺はこれにて失礼します」

 その言葉と共にシロウは瞬時にその場を後にした。

 「あぁのっ!小僧っ!!」

 それを瞬時に追いに行くヒューム。

 「まったく、またかい?」
 「ホント、士郎の奴はヒュームにのみ好戦的だな」
 「ですが、見てて飽きませんね」

 二人の行動に会議室に残された3人は、それぞれの反応を見せる。

 因みに、二人のデットレースはヒュームの仕事と言う名の時間切れのために、勝負がついた。
 更にこの鬱憤は、ステイシーの地獄のしごきと言う名の憂さ晴らしにて終わった。

 ステイシー、南無。 
 

 
後書き
 この重婚制度の可決に伴い、士郎を入学させた後に原作キャラたちを何人かつけたいと思います。
 メインヒロインはジャンヌとオリ女キャラですがね。

 大和にもこの重婚を生かさせるつもりです。一人は当然ながら彼女です。一途な少女は嫌いでは無いですよ私。 
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