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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第450話】

 
前書き
モッピー知ってるよ。
今頃私と一夏はイチャイチャしてるって事。

    _/⌒⌒ヽ_
   /ヘ>―<ヘヽ
   ((/ ̄ ̄ ̄\))
   /    ) \
  /  | | //ヽ ヘ
  |  ハ | /イ | |
  レ |/ レ| N\|||
  /| |≧ ヽ|≦ |||
 / ヽ|゙    ゙|/ /
 \_(ヽ  ̄ /⌒)ヽ
  / | T ̄ ̄| ヽ |
 / /ヽノ   \_ノ|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 

 
 親父の後を着いていき、部屋に入ると様々なファイルが本棚に収納されていた。

 他にも映像資料用のROM等が綺麗に整頓されていた――。


「とりあえず母さんに言われたのはファイル類だな、かさ張って大変だがよろしくな」

「それは構わないが――親父、どれだけの資料が必要なんだ?」

「母さんが言うにはこの棚の資料全部らしいが……。 ――まあ、また必要な資料何かあれば俺が休みの時に車使って取りに来るしな、わっはっはッ!」


 親父の癖なのか、よく高笑いするのだがご近所迷惑にならないのかなと少し思ってしまう――と、美冬が仁王立ちで腕組みしながら親父に言った。


「もぅっ! 高笑いは良いから早く始めようよっ! 本当ならお兄ちゃんとみぃちゃんと一緒に買い物してる頃なんだからね!?」

「わはは! そうだな、なら早速作業開始だ!」


 行ってからファイルを五冊ずつ抜き取る親父、各種ファイルには番号が割り当てられているため交ざる事は無いだろう。

 ファイルを受け取った俺はそれを美冬に手渡す、そして美冬は屈んで膝立ちの状態で受け取ったファイルを順番に入れていった。

 ――というか、これだと二人で作業してもさほど変わらない気がするが――そう思いながらもファイルを手渡し、鞄に一定量収納すると次の鞄にまた入れてを繰り返す、そんな作業が約十分程続けていると玄関のドアが開く音が聞こえてきた。


「お、未来ちゃんかな? 勝手知ったる他人の家って感じだな、ワハハハハッ! ヒルト、未来ちゃんを迎えないとな」


 親指を立ててサムズアップし、白い歯を見せた親父、キラッと一瞬歯が光った気がした。


「お兄ちゃん、みぃちゃん迎えに行って? 私とお父さんで作業進めるから」


 美冬もそう言うので、俺は頷くと美冬の隣を抜けて通路に出る、そして玄関に向かうと未来が後ろ手を組んでいた。


「ヒルト、手伝いに来たよ」

「あぁ。 ――てかおじさんやおばさんとあんまり話しなかったのか?」

「うん。 喧嘩してるって訳じゃないよ? お父さんもお母さんも、私の事は毎日ニュースで見てるって言ってたからね。 は、恥ずかしいけど、さ……」


 言いながら後ろ手に組んだ手を胸の前にやると、両方の人差し指でツンツンとつついていた――頬に赤みが射し、本当に恥ずかしい思いでいっぱいの様に見える。

 ――下手すると、おじさん達はニュースを録画してる可能性も……何だかんだで未来の適性はランクSという、五本の指に入るぐらいの潜在的な才能がある。

 ――の割には、たまに本当にそうなのかなと思うこともあるのは内緒だが。


「そ、それよりもさ、て、手伝いしないとねっ」


 そう言って靴を脱ぐ未来、俺が色々聞くのを危惧したのかも――用意されたスリッパを履くと、通路をスタスタと歩いていくので慌てて後ろから着いていった。


「おじさん、手伝いに来たよーっ」

「おぅ! だが未来ちゃん、おじさんじゃなくお父さんだぞ! 何せヒルトの嫁さん候補なんだからな、ワハハハハッ!」

「…………」


 親父に嫁さん候補と言われて恥ずかしそうに俯く未来、これが前なら――「や、やめてくださいよおじさんっ! ひ、ヒルトとはただの幼なじみ……ただの幼なじみなんだからっ!!」――という感じに返答していたのだが。

 ――と、美冬が少しだけムスッとした表情になると親父の脇腹に手刀を繰り出し、見事にクリーンヒットする。


「ぬぉっ!? ――み、美冬ぅ……、お、俺、何かしたかぁ……?」

「お父さんの手が止まってたから手刀しただけだもんっ! ほら、早くファイル出してよッ!」


 そう言って再度手刀の構えを見せる美冬に、親父も苦笑いしながら再度ファイルを取り出し始めた。


「――てか親父、これだとあんまり手伝うこと無いんじゃないか?」

「……そうだな、じゃあ俺とヒルトでファイルの入った鞄を玄関まで運ぶか。 未来ちゃんと美冬はファイルを鞄に詰めといてくれるか?」

「わかったー。 ――って、もう殆ど本棚から取り終えてるじゃん。 じゃあみぃちゃん、残りを取り出して一緒に詰めよう?」

「うん、じゃあヒルト、お父さん、私が引き継ぐね」


 そう言って未来はファイルを取り出そうと背伸びして一冊ずつ出していく、背伸びする度にチラチラと股が見えるのが眩しく見えた。


「じゃあヒルト、玄関に運ぶぞ。 そっちの二つから運んでくれ」

「ん、あぁ。 ――んしょっ、と」


 鞄を両手で持つと、俺が先行して部屋を出る――そのまま玄関の端へと鞄を置いて、親父が運んできた鞄を受け取ろうと振り向く――と。


「……何で親父、一人で鞄を全部担いで持ってきてるんだよ」

「ん? これなら一回で済むだろ? ほら、ヒルト、上から取っていってくれ」


 そう言われて上を見ると、鞄がぐらぐら揺れている――が、親父の絶妙なバランス感覚故か、揺れるだけで全く落ちる気配は無かった。

 とりあえず落ちそう(?)な鞄から取って上から順々に降ろしていく。


「わはは! これならあっという間だっただろ!」

「……まあそうだけどさ、そんなに通路は広くないんだから親父、無茶するなよ? 落とせば床が傷付くんだし」

「ぉぉぅ……それは不味いな、母さんに怒られちまうぜ……」


 声のトーンが落ちた親父、母さんが怒った所は見たことないが怖いのだろうか――と、親父が唐突に俺に訊いてきた。


「……なあ、ヒルト。 未来ちゃんもそうだけどさ、お前の本命って誰なんだ?」

「……へ?」


 すっとんきょうな返事しか出せなかったが、事実唐突な質問にこんな声しか出せなかった――親父はそんな俺を特に気にする事なく言葉を続ける。


「父親としてはやっぱり気になる所だからな! 思春期の多感な時期とはいえ、やっぱり恋愛は大事だし、まああまり野暮な事は訊くつもりはないから安心しろよ、わははッ」


 何か前にも訊かれた気がするが……親父としては気になるのだろう、本命が誰か――まだ決めかねているが。


「……確かお前の恋人候補は……セシリアちゃんとシャルちゃんとラウラだっけ? ――あ、後、二組の凰鈴音って子も居たな! それ以外だと――養子にもらった美春ちゃんとか」


 一通り知ってる名前を挙げていく親父、実はまだティナが居たりするが……下手に言っても親父に茶化されそうなので黙っておく。


「……正直に言えば、まだ決めかねてるんだよ親父」

「ほぅ? ……まあ確かに、皆可愛いからな。 俺がお前の立場でもかなり悩むかもな、ワハハハハッ」

「……あんまり親父が悩むって姿見たこと無いんだが」


 事実、普段は母さんと一緒に海外に居るとはいえ小さい頃から見てきた親父との思い出等で悩む表情やら悲しむ姿なは見たことがない。

 俺の言葉を訊いて、僅かに唇の端を吊り上げながら喋り始める。


「そりゃそうだ、悩み事何て直ぐに解決するからな。 ――とはいえ、悩みの種が消える訳じゃねぇがな。 亡国機業――いや、多分だが亡国機業の後ろにいる組織が母さんを狙ってるらしいしな……」

「亡国機業の後ろ? 夏に訊いた時は亡国機業だって訊いたが――」

「……世界はそう単純じゃないって事さ、ヒルト。 正直言えば……警察やFBI何かでも手が出せない組織なんて山ほどあるからな。 亡国機業何て氷山の一角、テロ活動を行ってはいるが無差別テロよりかは、奴等の行動は今の所はISのコアの確保が狙いだってのがこれ迄の行動で明らかにされてるからな。 ……っと、ヒルト、大丈夫か?」

「え? ……ぁ」


 気付くと僅かに左手が震えていた、指摘されなければ気付かなかったかもしれない――誤魔化しの為に手を開いたり閉じたりを繰り返す。


「……大丈夫だよ、多分何か勝手に反応したんだろ」

「……そうか。 まあ何にしても、これからは俺も傍にいる。 教師が直接生徒に模擬戦とかは出来ないらしいが、俺は教師じゃないからな。 必要ならお前の訓練の相手、いつでもやってやるからな?」


 言いながら俺の頭に手をやると、わしゃわしゃと髪をボサボサにする勢いで俺の頭を撫で始めた。


「ちょ――べ、別に撫でたりしなくていいって! 子供じゃないんだし!」

「ワハハハハッ、まだ俺から見たらお前なんかガキだって! うりうりうり~っ」

「ぷっ! な、何で脇をくすぐ――は、クッ……くはははっ!」


 流れる様な一連の動き、脇から横っ腹へと擽る親父の手つきに、堪らず笑いを堪える事が出来ずに玄関で笑い転げる俺。

 目尻に涙が浮かぶ俺を見て、親父も楽しそうに擽り続けてくる。

 何とか逃れようとするも、力が抜けてされるがまま擽られ、笑い死にしそうになったその時――スパーンッ!という心地好い音が鳴り響いた。


「お父さんっ! 何お兄ちゃんと遊んでるの!? ほら、最後の資料ファイルみぃちゃんと纏めたから受け取ってよ!」

「ぉぅ……。 てか、親の頭をハリセンで叩くなよな、美冬――」

「遊んでるお父さんが悪いんじゃないッ! ……もぅ、お兄ちゃん大丈夫?」


 擽り地獄から解放された俺は、息も絶え絶えに美冬を見上げる。


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……。 な、何とか大丈夫だ」

「……ちょっと休んだ方がいいよ、只でさえ慣れない撮影もあったんだし。 良いよね、お父さん?」

「え? で、でもヒルトには荷物を車に運ぶ手伝――」

「い・い・よ・ね?」


 ニコッと微笑む美冬、だが謎のプレッシャーを放っていて親父も逆らおうとはせず。


「わ、わかった。 ――んじゃ、車取ってくるから皆は大人しくしてろよ。 あ、後未来ちゃん、もし何か学園に持っていくものあれば一緒に持っていくぜ?」

「ふぇっ? え、えっと……んと……」


 いきなり未来に話が飛び、未来は驚きつつも何か無いかと考えるのだが、特に持っていくものが無かったのか顔を横に振って。


「ううん、今は持っていくもの特に無いので大丈夫です」

「そっか。 んじゃ、そんなに時間は掛からないから待ってろよー。 んで、行ってきまーす」


 言いながら立ち上がると靴を履いてそのまま玄関から出ていく親父、一瞬の静寂が包まれるがそれを破ったのは美冬だった。


「んじゃ、お兄ちゃん。 部屋で休憩しよっ? みぃちゃんもね?」

「そうだね。 ――ヒルト、もし学園に何か持っていくものがあるなら、私と美冬ちゃんの二人でヒルトの部屋から鞄に詰めるけど――何かあるかな?」


 玄関先で座り込む俺に、屈んで顔を覗き込む様に見つめる未来。

 瞳に吸い込まれそうになる――だが、ここで吸い込まれると、確実に美冬に睨まれるので軽く咳払いだけをする。


「こほん。 ――特に無いかな、漫画とか持っていっても見る時間少ないしな」

「そっか。 ……じゃあ部屋でお父さんが来るまで、皆で待ってよう?」

「うん。 ――あ、でも私、ちょっとだけ持っていくものがあるから荷物まとめてからお兄ちゃんの部屋に行くからね?」


 何か持っていくものがあったらしく、美冬は俺と未来の顔を交互に見ながらそう告げた。

 何とか腕に力が入るようになり、よろよろとしながら立ち上がる――足腰は特に問題なかった為、力が抜けていたのは一時だったのかもしれない。

 いつの間にか手の震えは止まっていたのは有り難いが、しょっちゅう擽られるのは敵わないな。

 そう思いながら、俺は二階の自室へと向かって階段を上っていった、勿論美冬と未来の二人も一緒に――。 
 

 
後書き
毎日アップが難しくなってきた黄昏のウサギ団です(・ω<)テヘペロッ

そういえば十二月は何か遊戯王タッグフォースの新作が出るとか……

まだちゃんと見てないからわからないが

まだもう少しオリジナルで、やりますん( ´艸`) 
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