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藤村士郎が征く

作者:昼猫
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第14話 白と桃 巡り合いは、路地 8年ぶりの再会!

 
前書き
 気づいた事が有るんですが、ゲイルのしゃべり方を真似したものを録音して聞いて見ると、そっくりでした。
 ええ、それだけです。 

 
 2009年 6月7日 AM9:00

 士郎は、昨夜の百代との戦闘でのブレードライフルを扱った点について、気づいた事などをまとめた報告書を渡す為、七浜近くの埋め立て地の上にある九鬼本社極東ビルに来ていた。

 「では、これが報告書です。クラウディオさん」
 「確かに、お預かりしました。本来であればこちらから出向く処を、有り難う御座います。士郎様」
 「いえいえ、明日からは武士道プランとやらも始動させる九鬼としては、忙しいでしょうからね。こういう時はお互い様です」
 「何時も何時も、お気遣い痛み入ります。士郎様には大変お世話に「何時まで礼を尽くし合っているつもりだお前たちは」おや、ヒューム来ていたんですか」

 お互い腰の低い者同士が、お礼を申し合っている処に、全開状態(精神的)に復帰した殺戮執事が、二人の会話の間に入ってきた。

 「最初から居ただろうが・・。お前たちはキリが無いからな、止めに入ったまでだ」

 うんざりした声で言うヒューム。
 如何やらこの士郎とクラウディオ(二人)、誰かが止めに入らないと、何時もエンドレスの如くに続けるらしい。

 「では、俺はこれで失礼しますよ。これから用事が有るので」
 「クク、例の仕事か。精々張り切って行けよ」
 「・・・余計なお世話ですよ。・・それでは、また」

 嫌味を言われて、うんざりした顔のまま士郎は、その場を去る。

 「ヒューム、折角無理を言って受けて頂いた彼に、失礼ですよ。それにあの仕事については、士郎様自身乗り気ではないと言うのに・・」
 「ククク、だからだろう?それに、あの仕事をしてゆけば、士郎()の過剰なまでの謙遜も治るかもしれんぞ?」
 「行き過ぎて、ナルシストに変わってしまうかもしれませんよ?」
 「お前には、奴がナルシストに成れると思うのか?」

 ヒュームに質問されるクラウディオ、少し考える仕草をしてから答えを出した。

 「厳しいですね」

 無理・・・と言う言葉を使わないあたりが、《完璧執事》の称号を持つ彼、クラウディオ・ネエロと言う人物の存在そのものを、際立たせていた。


 -Interlude-


 「――――って事で、お姉様はまだ、元気ないみたいなの」

 風間ファミリーは今日の夜にて、東西交流戦最終夜の決戦を控えるも、やれるべき事は全てやったからか、何時もの如くファミリメンバーで遊んでいた。
 ただし、百代を覗いてだが・・。

 「そうですか・・。モモ先輩、昨夜は落ち込んでましたからね」
 「無理ないな。やっと自分と互角以上に戦える強敵に出会えたのに、本人の素顔は勿論、居所も解らない上に、戦うという事に対して義姉さんとは真逆に、消極的だったからな」

 遊んではいたが、ファミリーメンバー内でも一番存在感が有る、百代が居ないので楽しさも半減の様だ。

 「あっ、違うのよ。如何やら昨日の事じゃなくて、夢で、思い出したいようで思い出したくない夢を見たんですって!」
 「なんだそりゃ?」
 「何でも。私たち風間ファミリーと出会う1年くらい前に一人だけ、12日間だけ遊んだ友達が居たんですって」
 「何故、12日間だけなんだ?犬」
 「んーーとね、何でもお姉様の早とちりだと思う事情とやらで、喧嘩別れしちゃったみたいなの」

 その後、よかったー、忘れてなくて―と一子は呟いている。

 「そりゃあ、御気の毒だが・・換算するに、もしかして8年間ずっと有って無いとか?」
 「そうなのよー、謝罪も含めてまた会いたいみたい。別れるときに思わず、川神流無双正拳突きを喰らわしちゃったんですって」

 その時に一子と百代以外のメンバーは、容易にその光景を浮かべることが出来た。

 「それは避けられてるんじゃないの?というか、その時のショックでモモ先輩の事、忘れてるとか」
 「判んないけど大丈夫だと思うって、お姉様は言ってたのよぉ」
 「その根拠はあんのかよ?」

 そこで一子は、さらりと爆弾を落とす。

 「何でも其の男の子、武道四天王に選ばれたらしいんですって」

 『!?』

 それを聞いた瞬間ファミリーメンバーは唖然とする。

 「っていうか、男なんだな」
 「うん、3歳年上らしいのよ」
 「その前に、武道四天王に選ばれたんなら、それなりに有名なのでは?」
 「そうだぜっ!そこから正体分かるんじゃねぇ?」(←これ松風↑由紀恵)

 そこで本日、爆弾二投目投下。

 「それがね、武道四天王に選ばれた件を、お姉様と会った一年前に蹴っていたらしいのよ」

 『!?!?』

 先程とは違う意味でメンバー以下略。

 「武道四天王に選ばれた話を蹴っただと!?」
 「本当なの?わんこ」
 「うん、そうみたい。私も初め、お姉様から聞いた時は信じられなかったわ!」

 その一子の言葉を聞いた時、このメンバー内で一番頭がイイ大和が、あーと言い閃く。

 「わんこ。もしかして、義姉さんってば、その件でその人と喧嘩別れしたんじゃないか?」
 「よくわかるわねぇ~、流石は大和!その人ね、断った理由で説明始めるときに、最初に面倒って、言っちゃったらしいのよ。他にもなんか説明しようとしてたらしいんだけど、そこからお姉様怒ってしまって・・」
 「今に至る訳だ・・」

 仕方がないなーと、大和は納得する。

 「何か特徴とかはねえのか?」
 「ちょっと待ってね?お姉様に渡されたメモが・・・あっ、あった!」

 がさごそと、ポッケに手を入れた後に、取り出して読み上げる一子。

 「えーー・・と、浅黒い肌に銀髪っていう、日本人離れしてる容姿なんですって・・・・?」
 (あれぇ?この容姿、士郎さんに似てるような・・?)

 そこで京も瞬時に心の中で確信した。

 (店長だ・・。モモ先輩と知り合いっていう話は初めて聞いたけど・・)

 百代がいない間に、彼女をどうにか元気づけられないかと話し合っていた。
 メンバーの誰かが、本気で困っている時に助けようとする姿勢と行動力。
 如何やら、風間“ファミリー”の名は伊達ではない様だ。


 -Interlude-


 「それじゃあ、士郎ちゅわぁああああんんん!!次もよ・ろ・し・く・ね♡」(←お(かん)
 「・・・・・・は、・・・・はい・・・」

 不気味な声を背に士郎は、ヒュームとクラウディオの二人に告げていた仕事を終えたため、扉を閉めてその場を後にする。
 精神的にものすごく疲れたように。

 「――――ハ、ハァァァァァァァーーー・・」

 深いため息をつく士郎。この仕事の終了直後はいつもこんな感じだった。
 別に、この仕事を侮辱している訳じゃ無いが、まさか自分がこの仕事をする事に成ろうとは、夢にも思わなかったからだ。
 しかも、プロなどを押しのけて自分の――――――が、他の追随を許さぬほど売れていると言うのだから驚きだと思うと同時に、世間にはモノ好きが多いんだなと、若干自虐的に感じる士郎だった。

 (まったく、俺の――――の――――――の何所がいいんだか・・)

 呆れ顔と皮肉る顔の、中間のような顔をする士郎。
 そう、考えながら自宅に徒歩で向かっていると、途中から一人のある人物が付けて来ていた。

 (っていうか、この気は・・・)

 尾行術そのものは大したものだが、時折感じられる強い気で地点と誰かと言う問題をも、まるわかりだった。

 (一体、何が目的だ?)

 そして、遂に自宅手前に到着した。勿論、尾行者もついて来ている。
 それに対して、士郎は脇道に入った直後に完璧な陰形を行うと同時に気配を絶った。

 それに驚いた尾行者は、すぐさま士郎の入った脇道に来たが、シロウ本人を見失った事に動揺している。

 「あれ!?何所に行った!?」

 探せど探せど尾行者は士郎を、視認することが出来ないでいる。
 しかし当の士郎は、真後ろにいた。

 (陰形に加えて、気配を絶ちつつ存在感も限りなく薄くしているとはいえ、こんな至近距離に居るのに気付かないとは・・。さては、精神鍛錬をさぼってるな)

 精神鍛錬。
 山修行などで、大地と対話をしつつ精神を高潔に導くとされているが、果たして如何か?

 いや、一つの側面としては間違いでは無いであろうが、それだけでは無い。

 大地との対話を昇華させた場合のみ、あたり一帯を仮初の領地とさせて自身の存在を濃くしたり薄くしたり、或いは仮初の領地への侵入を感知を習得させることが出来る。

 つまり、この尾行者はサボっているという事実に、自然と行き着くのだ。

 とはいえ、久しぶりの再会に水も指すのも如何かと思いながら、皮肉位で許そうかと声を掛けることにしたのだった。


 -Interlude-


 「・・・・ハァァァ・・――――」

 百代は憂鬱だった。ひたすらに。

 理由は、昨夜の戦闘が中途半端に終わり、欲求不満に陥っている――――事では無い。
 夢の中で見た昔の出来事でだ。

 8年前の喧嘩別れの日から、あの夢を見ると必ず気落ちするのだ・・・が、今迄なら起きて1時間としないうちに復帰できるのだが、今回は何故か今現在も続いていた。

 「くっそぉー、全部会いに来なくなったシロのせいだ。やつあたりだけど・・・って・・?)

 憂鬱に犯されながら、あても無く歩いていたら見知らぬ都市部に来ていた。
 電柱などで居場所を確認すると・・。

 「冬木市・・か。ファミリーの皆がいる土手に行くはずだったのに、こんなとこまで来てしまうなんて・・・・・兎に角戻ろ、う゛ぅうう!?!?」

 川神に帰ろうと踵を返そうとしたら、少し離れた地点の人ごみから。見覚えのある銀髪が見えた。

 「あ、あれは!??・・・。と、兎に角追いかけよう!」

 そうして百代は、見覚えのある銀髪の人物の尾行を開始したのだった。


 -Interlude-


 尾行を開始してから今現在、見覚えのある武家屋敷が立ち並ぶ街角に来ていた。

 「っていうか、この周辺って雷画さんもいる、藤村組じゃないか。如何してこんな処に・・・って、あっ!?」

 尾行しつつ周りを見回している間に、目標が脇道に入った途端に、気配を感じなくなってしまった。

 「まさか、ばれた!?い、いや、ばれてもいいんだった・・」

 と、口にしながら脇道に入ると、そこは行き止まりになっていて、誰も居なかった。

 「あれ!?何所に行った!?」

 やっと見つけたと思ったのはまさか、私の白昼夢だったのか?

 そんな不安と疑心がごちゃ混ぜになりながらも、必死に探す百代。
 すると後ろから――――。

 「8年ぶりの相手を付け回すとは、一体どういう了見なんだ?」

 真後ろから声が聞こえたので、直に百代は振り向いた。
 そこには・・・そこには・・・・。

 「シ・・・・シロ・・・・!?」 
 

 
後書き
 次回に続く。

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