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人造女神アリスディアと魔人少女達の戦い

作者:メア
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始まりの終わりと終わりの始まり⑥

 




 リベル山からセベリル地方に入ると、景色は一変している。街道などは特に代わりが無いが、その道を往来している人達の数が段違いなのだ。3時間も進めば、歩いている人が見つかるフォルセリヤと違い、人っ子1人いないのだ。
 その日は結局何事も無く進み、次の日の夕方近くにルドラルムという小さな村に到着した。
 その村には澱んだ空気が充満していた。誰も彼もが辛そうに畑仕事をしているし、その人達の栄養状態はかなり悪そうだ。

「お父様、村長が挨拶したいと…………」

「わかった」

 イリスの言葉に頷いて、俺は外に出る。そこにはヨボヨボの爺さんが地面に平伏していた。

「お前が村長か?」

「はい。私めがここの村長でございます。貴族様には申し訳ございませんが、税を収めましたので、貴族様にお食べいただくようなまともな食料は無く、有るのはポタガラという毒が有るかもしれぬ物ぐらいしかございませぬ。なので、料理をお出しする事も出来ません。何卒、お許しくださいませ」

 平伏したままでそんな事を言って来る村長に俺の返答は一つだ。

「構わん。食料はたっぷり積んで来て有るからな。物次第では売ってやっても構わんぞ」

「誠でございますか!!」

「おっ、おう…………」

 いきなり頭をあげて大喜びする村長。しかし、その表情が直ぐに暗くなった。

「しかし、我々に売れる物は…………村人を奴隷とするぐらいしか有りません。しかし、奴隷に出来る程美しい娘は…………」

「取りあえず、見てやるから処女の若い娘と子供を連れて来い。宿は御者達の分だけでよい」

「はっ!!」

 俺の指示に直ぐに村長は去っていった。

「イリス、イリヤ。ここに天幕を張れ今日はここで泊まる」

「わかりました」

「それでは、ご飯の用意をしますね」

「頼む。それと、リコリス」

「はい」

 俺は馬車の中に戻って、寝そべっているリコリスに声をかける。

「夜に周りの警戒を頼むから、今は寝ていろ」

「わかりました」

 俺はベット変わりの綿と毛布などが敷き詰められた箱にリコリスを寝かせ、命令して眠らせる。
 この領地に安全な場所など無いと思った方がいいだろう。窃盗など日常茶飯事かも知れない。


 それから少しして、村長が若い女と子供を連れて来た。その者達は全員、震えていたり、怖がっている。栄養状態が悪いせいか、全然可愛くは見えない。

「この者達がお売り出来ます」

「そうか…………先ずは全員を脱がせろ」

「はっ、はいっ!」

 俺の指示に従って、女子供は嫌々ながらその場で裸になる。俺はそれを舐めるように隅々まで見ていく。男の子もいるが、例外では無い。いや、俺は嫌だが仕方無い。

 判定は?

 心の中でつぶやく。

『そうね…………容姿はDやCが殆どね。魔力も対して無いわ。Bが少しだけいるわね。魔力が高いのと、容姿が良いのを買いましょう。それ以外は要らないわ。才能の有りそうな男の子はいないわね』

 そうだな。だが、若い娘も買うぞ。

『価値が無いわよ?』

 部下共の性処理相手にする。アレックスを始め、御者の連中も溜まって来てるみたいだしな。

『あ~~そうよね。四六時中女の子の喘ぎ声とか聞かされてたらたまらないわよね。良いんじゃない?』

 アリスディアからも許可を貰ったので、俺はアリスディアを指定した娘達を選んで行く。選ばれた娘達はホッとしている子や、恐怖に震えている子もいる。もちろん、年齢はバラバラだが、栄養状態が回復すれば容姿もそれなりに綺麗や可愛い子達だ。そう、使えるような娘達。いくら俺でも孕ませる相手は出来る限り美少女や美人が良い。

「3人ですか…………」

「ああ。アレックス」

「坊ちゃん、なんでしょうか?」

「この中で3人までお前達の好きに選べ」

「それは…………」

「お前達の相手をさせる。好きに選ぶといい」

「ありがとうございます」

 それから、アレックスは御者の者達を集めて、裸の女達を見分しだしたので、放置する。俺はイリスとイリヤを補佐に付けて、村長と値段交渉していく。

「こちらが望むのは食料でございます」

「保存の効く奴だな」

「はい」

「では、こちらが我々が提供できるリストです」

 イリヤが村長に積荷のリストが書かれた羊皮紙を渡す。

「そして、こちらが途中で倒した魔物の肉のリストです。保存が効いて、腹持ちや栄養価の高い物がよろしいのでしたら、こちらをオススメしますよ」

 魔物の肉は氷漬けにしてあるのと、干し肉にしたのが有る。魔物の肉は栄養も高く、高カロリーでちゃんと保存すれば長持ちして良いのだ。これは膨大な魔力を持った魔物だからだ。魔力は力の塊であるから、肉としては素晴らしいのだ。まあ、勝てればの話だが。

「でしたら、値段は如何程に…………」

「そうですね…………」

 交渉事はイリスとイリヤに任せる。サトリの力を持つ2人だから心配は無い。ましてや、俺とイリスが村長の前に立って、その後ろにイリヤが隠れてサトリの力を使い、シンクロでイリスに情報を流すのだから、有利に進んで行く。これは加護の発動を見られない為の対策だ。いずれ考えないと行けない。

「わっ、分かりました…………それで構いません…………」

 項垂れる村長相手に2人は容赦無く利益を上げた。こちらが思った以上に安く買い叩けた。

「ああ、それとポタガラだっけ? どんな奴なんだ?」

「それでしたら、こちらになります」

 村長は台所から芋を取り出して来た。

「そっ、それは…………」

 ジャガイモだった。こないだのカレーに入っていなかった物だ。これは是非欲しい。それに確か、ジャガイモはどこでも育つはずだ。

「それを栽培したいから、種や栽培方法を教えてくれ。その分は支払う」

「分かりました。では…………」

「高いのは駄目です」

「他の村でも買えるでしょうから」

「ぐっ…………」

「「今はどこも食料不足です」」

「分かりました…………」

 それから、格安で譲り受けた。イリスとイリヤの力は偉大だ。代わりと言ってはなんだが、毒は芽に有る事を教えてやった。






 次の日、スッキリとした表情をした訳でも無い御者達に街道を進ませる。昨夜、早速しようとしたが、待ったをかけておいた。せっかく買ったのに、直ぐに壊されたり死んでしまったら困るのだから、栄養状態を回復させてからだと言ったのだ。もちろん、買った女達には高カロリーの魔物の肉や野菜をたらふく食わせ、リコリスに治療させた。魔人と気づいた村人は恐れおののいたが、奴隷であるのだから、ナハトの知識に有った隷属魔術を使ってちゃんとした奴隷にして黙らせた。それに手足の無いのを見て、落ち着いた事も有る。どちらにしろ、治癒も合わせて身体を綺麗にさせた。

「あと2日の辛抱だ…………」

「ああ…………」

 回復は大体2日だと言っておいた。少なくとも、それで死なれる事は無いだろうから、2日後に許可したのだ。

 それから、2日間は何事も無く進み、新しい村に着いたが、そこも現状は変わらずに食料を売って、若い女を手に入れた。ここでもアレックス達に3人を与えた。アレックス達は女性、若い娘、幼い娘と2人ずつ選んで、その晩は前に買った娘達で楽しんだそうだ。こっちは、前に買った者達には手を出していない。もっと回復してもらわないと駄目だからだ。非道い目に会っているのだが、アレックス達が選んだ女達からは文句が出てはいるが、逃げ出そうとはしない。ロリっ子も大人しい。ただ、腹が空いたら要求して来る。つまり、腹いっぱいまで食べられた方が良いとの事だ。どちらにしろ、人も増えて、馬車1台に乗せるだけ乗せた食料が無くなった。御者22人と奴隷6人と5人、俺とイリスとイリヤ達6人の39人の大所帯となって来たのだから、魔物狩りをしているとはいえ、結構な数になって来た。そして、それは村を経由する毎に増えて行く。

 そして、そんな行列が進んでいると、当然連中もハイエナのようにやって来る。そいつらは夜。野営して寝静まった時にやって来たようだ。






 イリス




 深夜の森の中。虫達の声が消えている。

『イリス、連中が動きました』

 私達の下に居るのは盗賊。数日前からこちらを監視していました。私達が盗賊共のアジト近くにある街道を通るのを待っていたようです。でも、そちらの情報はリコリスによって筒抜けです。だから、深夜の森に私とアヴリルだけで入って、イリスを護衛とし置いて来ました。そちらから連絡が来ましたので、私達は派手に動きます。

「アヴリル。派手に行って良いって」

「わかった」

 今まで、盗賊達の背後へと回って、後続を少しずつ無力化していましたが、もう大丈夫です。私達は全速力で敵の中を駆け抜けて、斬っていきます。刀身にはアヴリルが作った麻痺毒がたっぷりと塗られていますので、瞬く間に無力化して行きます。所詮は戦闘訓練も受けていない人達です。簡単に倒せます。

「なんだっ!!」

「はい…………がっ!!」

 サトリで相手の心を読み、こちらを認識した者から殺して行きます。アヴリルはそんな面倒な事をせずに髪の毛の剣と手で男達を無力化して行きます。前方からも剣戟の音が聞こえて来ます。イリヤも戦闘を開始したそうです。そして、森の中へと飛んでくる出鱈目な低威力の魔術。それらは私達にも命中しますが、身体能力が上がるだけなので嬉しい限りです。

「くそっ、退却だっ!!」

「逃しません」

 退却しようとした連中の足に容赦無く、アヴリルの剣が突き刺さります。私ももちろん、容赦無く斬ります。混乱に背後からの奇襲。味方を恐れずに適当に放たれる魔術にみるみる内に数を減らして行きました。

 程なくして、全ての盗賊を倒して捕らえました。死んでいたのは放置です。そして、私とアヴリルは盗賊のアジトに乗り込んで、こちらも確保です。

 明け方になって、全ての盗賊をお父様の前に引きずり出して、尋問を開始します。

「お前が盗賊になった理由は?」

「食えないから…………」

『そっちの方が楽だから…………』

「これはアウトです」

 嘘ついた悪い人は首を落とします。

「次の人です」

 正直に答えて、致し方なく盗賊になった人達や改心する人達を残して、それ以外の男性は処分し、女性は奴隷にしました。その残した人達の境遇はこれからです。

「お前達には選択肢をやる。ここで死ぬか、奴隷になって雇われるかだ。功績を上げたら、奴隷からは開放してやる。奴隷になっても働く限りは衣食住は保証してやる」

「本当か!!」

「ああ。家族も良いぞ」

「わかった。奴隷でも何でもしてくれ…………」

 家族全員を奴隷にするのは抵抗されましたが、同じく夫が功績を上げたら、家族も一緒に開放するか、家族の所有権を渡す事で同意しました。そして、彼らには持ってきていたお父様の家の家紋が入った鎧を着せて行きます。これで子供以外はどこからどう見ても騎士です。もちろん、脱いで貰いましたけど。取りあえず、これを繰り返して襲って来た盗賊を仲間に引き込んで行きました。みるみる内に人数が増えて行きます。領堺に近づくと、馬車の外を歩く人達には鎧を着てもらいました。持って来た食料は加速度的に無くなりましたが、問題は有りません。


 そして、関所へとやって来ました。奴隷の持ち出しはこの領ではお金がかかるみたいですが、多数の兵士や騎士を連れた貴族相手に下手な事は出来ません。

「書状に書いてある通り、俺はニブルヘイム領を統治するように言われた来ている。この者達は我が家の兵士だ。通して貰おうか」

「はい。確かに通行手形も本物です。どうぞ」

「ああ。これで飯でも食うといい」

「ありがとうございます」

 賄賂を渡して、ろくな審査も受けずに通らせて貰いました。そして、ここからは問題有りませんでした。魔物が強力とはいえ、人族共の領域に近いのですから、私達にとって弱い者達ばかりです。そして、6時間ぐらいして、ニブルヘイム領にある唯一の村。ニブルヘイム村へと到着しました。そこは結界に守られた村でした。そして、私達が入った瞬間…………結界が消滅しました。






 
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