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人造女神アリスディアと魔人少女達の戦い

作者:メア
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始まりの終わりと終わりの始まり④

 



 三日後、準備が整ったとの報告を受けて軍の駐屯地へと赴くと、そこには20台の4頭仕立ての大きな馬車がズラリと並んでいた。普通の馬車の倍の大きさだろう。

「来たか。見分を始めてくれ」

「わかった。イリス、イリヤ、頼む」

「「はい」」

 2人の知識はぶっちゃけ、俺より有るだろう。サトリの力で俺の知識を得ているし、イーナから渡された本には俺の知識がこちらの言葉で書かれていた。忘れているような事や、来た当初にはまだ動いたノートパソコンに入っていた歴史の資料なんかも書き写しされていた。それらで勉強していたのだから、かなり賢さが付いている。

「ユルゲン、セベリル地方は相変わらずか?」

「ああ。あそこは荒れておるな。飢饉と税によって食べられない民は賊となったりしているようだ。それによって人心は乱れ、魔物が出現しだしている」

「まあ、どうにかなるさ」

 それから、色々と聞いていると、イリスとイリヤが戻って来た。

「見分終わりました」

「どれも問題有りません」

「そうか。ありがとう」

 俺は2人から受けっとたリストにサインして、ユルゲンに渡した。

「確かに。それじゃ、精々頑張る事だ」

「ああ」

 ユルゲンが去って行ったのを見送って、俺は2人と一緒に馬車に乗り込んで街へと進んで行く。その途中で武器や防具が満載された荷台と、それを引く馬を列に追加する。これはアレックスとアヴリルに用意して貰った物だ。それぞれに御者も居る。これで準備が完全に整ったので、何事かと驚く街の人々の間を俺達は進んで、街を出て行く。一応、見送りという事でセベリル地方の入口までティアが自分の部隊を引き連れて付いて来ている。明らかな監視だが、構わん。俺は広い馬車内を一つ自分達用に使い、そこで彼女達を可愛がってエネルギーを補給する乱れた生活を送るだけだ。



 出立した夜、テントを張って街道で一夜を過ごす。相変わらず監視しているティアの部隊は少し離れた所に野営地を決めたようだ。俺は設営をイリスとイリヤ、アレックス達に任せて馬車に居るダルマにされた一人の綺麗な青い髪の少女セニアを抱き上げる。

「? また、するの…………?」

 セニアが一番身長が低くい2人の内一人で、幼い子だ。その身長は130cmで、胸辺りまで有る髪の毛をツインテールにしている為、さらに幼く見える。そんな彼女もまた、躊躇したが孕ませた一人だ。アリスディアがこの子ともう一人に関しては落ち着いた後も、子供を産ませるのは待てと行ったくらいだ。俺が孕ませた子は、有る程度なら好きに成長速度を操れるらしく、この子ともう一人に関しては徹底的に遅くしてある。といっても、現在は全員がそうだが。

「いや、今はしない。それより、トイレとかは平気か?」

「平気だよ…………」

 彼女達の下の世話も俺が担当している。その方が肉体接触も多いし、早く慣れさせる事が出来るし、調教みたいな事も出来るとアリスディアから指示を受けたからだ。その御蔭か、最初は震えて怖がっていたが、大分慣れたようだ。

「じゃあ、悪いが力を借りて良いか?」

「何をすれば良いの?」

「凍らせて欲しい物が有る」

「わかった…………良いよ」

「ありがとう」

 俺は抱き上げたセニアの頭を優しく撫でた後、馬車から出て後ろ4台目の馬車へと向かう。その中は大量の食料が詰まった木箱が積まれている。この馬車には果物とかが入っている。

「箱ごと凍らせてくれ」

 俺はセニアを馬車に触れさせる。

「うん」

 場所に乗せたセニアの瞳に紋章が浮かび上がると、馬車の中にある全ての箱が氷漬けになった。そう、セニアの能力は氷結能力で、触れた物を凍らせる。範囲は広大だ。そして、セニアは母子共に威力強化とかそんな物ばかり当たり、セニアの加護はただの氷結だったのが絶対零度と変化していた。

「それじゃあ、次も頼む」

「わかった…………任せて」

 それから、積荷の殆どを冷凍保存して貰った。溶かす時もセニアの意思次第だ。この力は強力といっても、戦闘面ではまだ生物を凍らせる事は出来ないらしいし、戦闘時は関節的な攻撃するしかない。本人は役に立たないと思っているが、そんな事は無い。使い用なのだしな。それに、現状でも食料の保存や水の生成など、食料関係では便利すぎる。ちなみに魔術で同じ事をしようと思うと、精々馬車3台も出来たら戦闘でも主力級として扱われる。それほど、魔力やら神力やら言われている力を消費する。しかし、魔人のセニアは大した力も必要とせずに全てをやってのけてしまう。それほど魔人の特殊な加護は強力だ。だが、それゆえに恐れられて討伐される。
 もう一人の幼い子はぶっちゃけ馬鹿力と金属操作という巫山戯た加護の持ち主だ。最後の一人は身長160cmで、肢体再生ほどの力は無いが、治癒能力を持っている。そして、何より、彼女は孕んだ事で便利な力をもう一つ手に入れている。

「お父様、ご飯ができました」

「ありがとう」

 俺は娘の作ったご飯を食べに向かう。美味しいご飯を食べた後は他の子達にも順番に食事を与えて行く。それで余るので、御者の者達に与える。といっても、元から全員分を作っているのだけど。

 セニアを寝床に戻した後、来客が焚き火のある場所へとやって来たとの連絡を受けて、戻ると、動きやすい和服の格好をした奴が寄って来た。

「美味しそうな匂いをしているじゃんよぉ~~ボクにも頂戴~~~」

「五月蝿い、駄々っ子め。何しに来た」

「だから、ご飯を食べに?」

 小首を可愛らしく傾げるやって来た妹、ティア。

「巫山戯るとやらんぞ」

「わかったから、それ食べさせてよ! 食べて見たいの!」

「ああ。それで?」

「明日のルート確認」

 ティアは懐から地図を取り出して、広げて見せてくれる。

「この街道をまっすぐ行けば、時間がかかるけど村を何個か通って安全に到着出来るルート。そして、全方に見える魔物が出るリベル山を超える道を行く、セベリル地方への最短コース。どっちを選ぶ?」

「お前は護衛だろ? だったら最短の山越えルートだな」

「…………山の山頂までだよ。そこからはボクの担当じゃないし、ボクらの家の領地じゃ無いしね。それでも良いの?」

「ふむ…………一応、聞くが。どれだけ差が出るのだ?」

「2週間かな」

「なら、やはり最短だな」

「そっかぁー。わかった。それで準備するね」

「ああ。だから、明日はお前が先頭を進め」

「…………前と後ろにボクの部隊を付けるよ。その方が守りやすいしね。山頂はちょっと広くなってるからそこで入れ替えも出来るしね」

「了解だ。イリス、こいつに飯をやってくれ」

「分かりました。どうぞ」

「わ~い! これ何? これ何?」

 一瞬で、真剣だった表情が崩れて好奇心丸出しになるティア。

「カレーと言われている物です。これにパンを付けて召し上がってください」

「うん…………あむ。おおおっ、美味しい! これは数種類のスパイスが入ってる…………米とも合いそうだねぇ~~」

「そうですね。それも合うのですが、米は貴重ですから」

「東方からの輸入品だからね~~」

「いえ、作れますよ」

「嘘っ!! 教えてっ!!」

「お断りします」

「なんでだよぉ~~~~」

 イリスにすがりつくティア。

「駄目な物は駄目です。しかし、貴重なのですか…………生産したら売れそうですね」

「しかも、独占できそうだね」

「そうですね、イリヤ」

 イリヤは食事を配り終えたのか、こっちに戻って来た。そして、俺の横について、凍った果物をナイフで切っていく。それはアリルという名の果物で、林檎だ。

「くっ、こいつ等…………足元みる気だね!」

「「当然です」」

「まぁ、輸送費が格段に安くなるとはいえ、今の米の値段を10だとして、8にでもすれば十分売れそうだな。6にして大量でも良いが」

「う~ん、関税をかけるべきか…………」

「というか、そもそもまだ生産どころか、領地にすら着いていないんだが…………」

「それもそうだね~。ん~おかわり!」

「はい」

 それから、ティアはおかわりを続けて、満足したら走りながら帰って行った。ティアは食事の時に何度か、こちらへとやって来る事が多くなった。

『ちょっと、生き残ってる子供達にニブルヘイムに集まるように言って来るわ。そっちは任せたわ』

 そして、アリスディアの気配も俺の中から消えたが、戦力が増えるのはありがたい。





 
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