IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第536話】
前書き
遅れました
申し訳ないっす
「ん……んん……」
閃光に包まれ、意識を失った私は気がつくとまた別の場所に居た。
先程まで一緒に居たヒルトとそっくりな【ヒルト】の姿は見えず、杜撰な光景も全てが消えていてまるで本当に夢だった様な気持ちにさせた。
雨で濡れていた制服も、最初から濡れていなく、乾いた状態のままだった、唯一……少し制服に小さなシワが出来てるぐらいだった。
「……夢……なんだよね、まだ……」
これが敵の攻撃なのだろうか――そう思った私だが、考えるよりは先に脱出しないとと身体を動かす。
目の前にあるドアノブを回す――鍵は掛かっていなかったらしく、すんなりとドアが開くとそのまま部屋を出て玄関から外へと出た。
だが、外に出た矢先、またも荒れ果てた街の光景が視界に映った。
「……どう、して……?」
口から出た言葉はそれだけだった、私の視界に映った光景――荒れ果てた街もそうだが、その周囲に散らばる蒼やオレンジのISの装甲、崩れ落ち、見る影もない建物。
その中心で戦っていたのはヒルトだった、見間違いではない――私の知る有坂ヒルトが、イザナギを纏って白式を纏った誰かと戦っている。
白式――その時点で織斑君が過るのだが、彼ではなく、ヒルト同様の白銀の髪で別人だとわかった。
少しだけ時間は遡る、ワールド・パージによって外界との意識を切り離されたヒルトが目を覚ました。
「っ……ぅう。 あ、あれ……俺……は確か……」
ずきずきと痛む頭を抑え、立ち上がるヒルト。
「……ここ、は……?」
周囲を見渡すヒルト、何処にでもあるビル群が建ち並ぶ街並み――だが、静寂に包まれ過ぎていて不気味な雰囲気を醸し出していた。
――そして、ピキンッと頭に痛みが走ると同時に轟く轟音、音のした方を見るとビルの上層部からもくもくと黒煙が立ち込め、頭上から瓦礫が落ちてくる。
慌てて走って逃げるヒルトに、轟く声――。
「待ちなさい! 逃がしませんわよ!!」
「……!?」
聞き覚えのある声に、何度か瞬きするヒルト――空から舞い降りる蒼い装甲を纏う金髪碧眼の少女が険しい表情と共に持っていた武器を此方に向けていた。
「……セシリア……?」
「馴れ馴れしく呼ばないでくださいまし! ――貴方が、貴方が!!」
そう言い、いきなり銃口を向けて発砲――突然の事に驚きを隠せず、避ける事も出来ずにいると目の前に不可視の障壁が発生し、粒子ビームを阻んだ。
「ま、待てセシリア――」
「黙りなさい! よくも……わたくしの祖国を!!」
話の見えないヒルトに対して問答無用といったセシリア、襲い掛かる彼女の攻撃を避けるためにイザナギを身に纏うヒルトだが――。
――さっきまで展開すら出来なかったのに、何故だ。
そう、さっきまで自分が皆を助ける為に奔走していたことを思い出す――そして、未来を助けに来たはずが気付くと俺はセシリアに襲われている。
セシリアの瞳に映る俺はまるで憎い敵を見るような瞳だ。
空中へと逃げる俺に、セシリアのオールレンジ攻撃が襲い掛かる。
上下左右、全ての方位から間断なく降り注ぐ粒子の雨、身を捻り、時には粒子シールドで受けながら避け続ける。
「止めろ、セシリア! 何で撃ってくるんだ!?」
「何を今更……!! 我が祖国を崩壊させた張本人のくせに……!!」
「ま、待て! 一体何の話だよ!?」
身に覚えのない言葉に聞き返すも、セシリアの攻撃が止まることはなく、避けるのも手一杯になった俺は行動不能にさせようと北落師門を展開した。
周囲のビットを両断、小さく爆光が周りを彩り、一気に間合いを詰めて一閃――。
「……え?」
一閃と共に大きく仰け反るセシリア――そして空を舞い散る様に鮮血がセシリアの身体から噴き出す。
一瞬の事に理解ができず、ただただ地上へと落下していくセシリアを見送る俺――ドサッという音と共に我に返った俺は慌ててセシリアに近寄った。
おびただしい血の量が辺りを真っ赤に染め上げていく、虚ろな眼差しでセシリアは虚空を見つめながら呟いた。
「お、とう……さま……おかあ……さ……」
それっきりセシリアは何も言わなくなった、虚ろな眼差しの焦点は既に左右に散らばり、身体を揺すっても微動だにしなかった。
「う、そ……だろ? ……せ、セシリア……?」
「………………」
「お、起きろって……こ、こんな……」
真っ赤に染まった両手、徐々に両手震えだし、俺は――。
「ぅ、ああ……! こ、殺すつもりじゃ……殺すつもりじゃなかったんだァァァァァッ!!!!!!!」
止めどなくこぼれ落ちる涙に、叫びが虚しく響き渡る――そして、また頭痛がすると今度は。
「……ヒルト、セシリアを殺しちゃったの……?」
「ぅ、ぁぁ……」
現れたのはシャルだった、だがその手に持つアサルトライフルの銃口が俺に向けられていた。
そして、冷徹な眼差しのままシャルは呟く。
「……人殺し」
「ち、違う! こ、殺したくて殺したんじゃ――」
だが、問答無用とばかりにシャルはライフルの斉射を行った――。
そして時間は戻る、未来が目にした光景は凄まじかった、白式とイザナギの攻防――だがヒルトの表情に精気はなく、顔も涙でグショグショになっていてまさに今戦い、生き残るのに必死だと謂わんばかりの表情だった。
周囲に散らばるISの装甲――よく見ると、搭乗者居なく、妙な違和感が未来を襲った。
「……やっぱり夢なのかな、でも……私の夢じゃない気がする」
そんな呟きも虚空に消え、刃の交える音とヒルトの嗚咽が聞こえ、未来の胸を締め付ける。
そして――雌雄は決し、ヒルトの刃が白銀の髪の操縦者を貫く。
「……ぅ、ぐ……。 な、何で……こんな……」
そう呟きながらヒルトは降り立ち、膝から崩れ落ちる――一方の貫かれた操縦者は粒子となって四散、纏っていた装甲が周囲に落ちていき、瓦礫と共に散乱していた。
「……ヒルト」
「……ッ!?」
未来は思わず声を掛ける、だがヒルトはビクッと反応すると共に――。
「み、未来まで……お、俺を……!?」
今まで襲われ続けたためか、ヒルトの思考は正常な判断が出来なくなっていた。
距離を離し、身構えるヒルトに未来は顔を振って否定する。
「……ヒルト、そんなことしないよ」
「嘘だ! ……皆が俺を目の敵にする……殺したい訳じゃなかった……。 ただ……行動不能にしたかった……なのに! 皆が俺を……俺をォォォッ!!」
瞬時加速の体勢に移行――突発的な加速で間合いを詰めてくるヒルトに、私は物怖じせずにヒルトの瞳を見つめた。
そのまま体当たりされたら少なくとも私は死ぬ――そんな思いが過るも、ヒルトを信じた私。
ピタリと静止したヒルト――上段の構えで持つ北落師門は鈍く光を放ち、僅かに刃の震え――ううん、ヒルト自身の手が震えていた。
そんな彼を私は優しく包むように抱き締める――ひやりとしたイザナギの装甲が私の体温を奪っていく中、ヒルトは――。
「み、らい……?」
「そうだよ? 忘れちゃったの? 幼なじみの私の顔」
じっと視線そらさず見つめる私に、ヒルトの瞳に僅かな潤みが見え始める。
「わ、忘れるわけないだろ。 ……未来は……俺を襲わないのか?」
「……何で?」
「な、何でって……セシリアもシャルも……そして、一夏も俺を……」
そう言って視線を逸らしたヒルトに、私は――。
「……悪い夢を見てたんだよ。 ……ほら、周囲には確かにISの装甲は散らばってるけど、誰もいないじゃん」
そう言ってヒルトに確認させると何度も瞬きを繰り返して周囲を見渡した。
「……夢……。 ……そうだ、そうだ……戦いに必死だったから忘れていたけど、夢の中……なんだな。 ……もしかして、俺は敵の罠にはまったのか……?」
「……それはわからないけど。 ……少なくとも、私は無事だよ? ヒルトも無事だし」
言いながらヒルトの二の腕を触る私――私が触れたのがくすぐったいのか僅かに身動ぐ彼に、自然と笑みが溢れる。
「……帰ろう、もう大丈夫だから、私が居るから、さ」
「……あ、あぁ」
小さく頷くヒルトの姿に、クスクスと笑みを溢したその時――。
『……今ヒルト君に対して体験してもらったのは一つの可能性を示す世界だ』
「「……!?」」
突如響き渡る男の言葉に、二人は周囲を見渡す――無論誰も居なく、崩れたビルの無惨な姿だけがそこにあった。
『安心したまえ、ヒルト君。 君が殺したと思った三人はただの想像の産物だ』
「……産物……?」
『ああ。 だから君の手は血で染まってなどいない』
そう喋る男の言葉に、未来は――。
「想像の産物……? ……ふざけないでよ、悪ふざけにしては達が悪いわよ!! ヒルトをこんな目に合わせて……!!」
「み、未来……」
全く怒らない筈の未来が怒りを露にし、ヒルトの表情は驚きを隠せなかった。
「何が目的でこんなことしたの!? 答えなさいよ!!」
『……最悪の未来を回避するため……それだけだ』
その言葉を最後に、視界が真っ白に染まった二人――一方、電脳世界でクロエ・クロニクルを監視している仮面の男。
「……そう、最悪の未来を回避するため、だ。 ……その為なら、俺は……自分の理想の為にも、この手を幾度でも汚そう……!」
後書き
呟きにも書いてる通り、恋愛はうまくいかず、めちゃくちゃメンタルな面は下がってるけど夢自体は追い続けていきまする
……って書きながらも、やっぱり遊びに誘って返事なしは堪える
しかもその後も連絡完全に途絶えてるから余計に
メールは届いてるから拒否はされてないはずだけど……何だかな
という愚痴っす
申し訳ない
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