IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第503話】
前書き
お兄ちゃん!何でも良いから肉食べたい!!
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朝食を終えて戻ってきたヒルト、時間は九時半、面会するにしてもまだ少し早く感じた為一息入れようとお茶を淹れ始めた。
――と、ノックが響き渡る、休みだからか来訪者が多いのかと思いつつ、ドアを開けるとそこに立っていたのは――。
「よぉ、有坂ヒルト」
「……?」
金髪の女性が立っていた、リボンの色からして上級生なのはわかったのだが誰かまではわからずきょとんとしていると。
「……まさかとは思うが、お前……誰だかわかってないだろ?」
「……」
図星だった、とはいえ顔は見たことあるのだが――と。
「ったく……改めて自己紹介だ。 ダリル・ケイシーだ」
「ダリル……あぁ!」
初見でわかるはずがなかった、会った当初は紅蓮の様に真っ赤な髪の色をしていた彼女が金髪になっていたのだから。
「たく……顔見りゃ普通わかるだろ」
「す、すみません……。 てか先輩、どうしたんですか、俺の部屋に来るって」
「ん、あぁ。 一旦俺もフォルテも本国に帰るからその挨拶に来たって訳」
「本国に?」
「あぁ。 俺達の機体の破損が酷くてな、向こうで修理と改修を兼ねて……って訳だよ」
酷い破損していた訳ではなさそうだったが、もしかすると内部ダメージが深刻なのかと勘繰る。
「まあそういう訳で暫く俺達は留守にするから。 ……まあ、体育祭前後辺りには帰って来れそうだけどな」
僅かに微笑を溢す先輩に、俺も笑顔になる。
「じゃあ機体も先輩も万全になってからですね、次に会うのは」
「あぁ。 …………」
何故かじぃっと見てくる先輩、何かついてるのかと思い、俺は顔を触るのだが。
「……わりぃ、ついガン見した。 ……まあ話はそれだけだ、じゃあな有坂ヒルト」
そう言って先輩はそのまま立ち去った――律儀な人だなと感心しつつ、ドアを閉じてまだ冷めていないお茶を一気に飲み干す。
時間は十時前、面会するには頃合いだと思い、俺は手芸セットを持ち、楯無さんに面会する為向かった。
休みになった学園だが、先日の襲撃の爪痕は色濃く残っている、爆ぜた地面に散乱する瓦礫――とはいっても学園にはほとんど損害はなく、周囲の整備されていた道が爆発や機体の破片等で瓦礫になってるだけだが。
ふと港側を見ると、巨大な貨物船が入港していた、IS関連の機材や食品、他には燃料等々が入って来たのだろう。
――と、目を凝らすと何やら変なパワードスーツらしき物が見えた。
「……何だあれ」
そう思っていたのだがそれらパワードスーツはコンテナ内へと収納されていった。
……気にせずに面会に行こう、そう思った俺は再度歩き始めた。
そうこうしてる内に病室に到着、俺は病室のドアをノックすると中から「どうぞー」という声が聞こえてきたため、室内に入った。
「あ、あら。 ひ、ヒルトくん」
「面会に来ましたよ、楯無さん」
何故か俺を見て若干狼狽する楯無さん、心なしか頬に赤みが射してる気がするのだが――。
「怪我の具合はどうです、楯無さん?」
「う、うん。 血は流れちゃったけど、ほら、お姉さんって無敵だからね。 背中の傷痕も残ってないわよ?」
最先端の医療技術が揃ってるのもあるが、傷痕が残らないという事に俺は安堵した。
幾らなんでも女の子の背中に大きな斬撃の傷があれば、それが心に深い傷を負わせる結果になるかもしれない。
備わっていた椅子に座るや、俺は持ってきた袋を楯無さんに手渡す。
「あら、お姉さんへのプレゼント? ふふっ、他の子が知ったら皆怒っちゃうわよ、ヒルトくん?」
そう言いつつも嬉しそうな表情を見せた楯無さんだったが、中身を見るとその表情が変わった。
「……手芸……」
中身を見てから何だか恨めしそうな目で俺を見てくる。
「楯無さん、簪から聞いたけど手芸が苦手って。 せっかくだから苦手を克服しましょう」
「……ヒルトくんの意地悪」
そう言いつつ、何だかんだで受け取り、早速手芸セットを使って何を編もうかと思案し始めた。
「……ヒルトくんの首を絞めるにはどれぐらい太く作れば良いのかしら」
「え?」
「ふふっ、嘘よ嘘。 ……お姉さん、昔から手芸だけは苦手なのよね。 どうしても上手く作れないのよ」
困ったような笑顔を見せる楯無さん、丸まった毛糸の糸をコロコロと転がしながら――。
「昔ね、簪ちゃんと御揃いの手袋を縫おうとしたのがきっかけだったかな。 ……全然上手くいかず、指が四本の手袋が出来ちゃってね……。 ふふっ、なかなか思った様に完璧には出来ないのよね」
「……完璧に出来る人間は居ないですよ」
「え?」
コロコロ転がしていた毛糸の玉が転がり落ちる、それを俺は拾うと――。
「何処かしら苦手な事があるからそれを支える人間もいる。 そうやって互いが互いをカバーしあえれば良いと思いますからね。 世の中偏差値の高い人間ばかりじゃないんだし」
「……そうよね」
襲撃事件時、楯無自身早く他の皆の元に駆け付ける為にと強力な技を使おうとしたのだが今になって思ってもあの考えは愚作だと思う、もし未来ちゃんがいなければ、冷静になれずに使っていたかもしれない。
「だから、楯無さんはもっと周りを頼らないとね? 微力ながら俺も力を貸しますし」
「……ふふっ、ありがとうヒルトくん」
笑顔でそう告げた楯無を見て、ヒルトは――。
「じゃあそろそろ戻ろうかな」
「え?」
不意に訪れる寂しい心に、思わず楯無はヒルトの手を掴む。
「ひ、ヒルトくん。 も、もう少しだけ……だめ……?」
「え? 大丈夫ですけど、ゆっくり横になって安静にしてた方が良いんじゃ?」
「そ、そうだけど、き、君と話をしてる方が落ち着くっていうか……」
いつもと様子の違う楯無さんに、俺は――。
「……じゃあもう少しだけ、でも無理はダメですからね? 疲れたら言ってくださいね?」
「う、うん。 ……君と話してる方が、お姉さんは元気になるのよ。 何てね」
そう言って笑顔になる楯無さんが眩しく見えた、其処から昼のチャイムが鳴るまで俺は楯無さんとずっと会話を続けた。
後書き
お兄ちゃん!何でも良いから人間食べたい!!
_ノ⌒ヽ
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( r==、ッノ=<|
丿<●> <(●ノイ
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ヽ_ノ\Lノヽ_ノ
ヽヽー―-イノ
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