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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第534話】

 
前書き
ワルパ、未来編 

 
 私の名前は飯山未来、有坂ヒルトの幼なじみ――。


『ワールド・パージ、強制介入続行中』


 私の名前は飯山未来、有坂ヒルトの幼なじみ――。


 既に何度も行われている強制介入、だが一向に『外世界からの切り離し』に成功しないどころか、より強固にはね除ける飯山未来にクロエは一人ごちる、時折照らされる光によって鮮やかな銀髪が煌めいていた。


「……どういうこと? ……彼女を守る何かが――それとも……彼女自身が強い精神力を持ってるってこと……?」


 わからなかった、何故ワールド・パージが効かないのか。


「……ならば、狙いは……疲労の溜まってるあの男……」


 そう呟くと、閉ざされた瞼を開き、【対象を変更した】クロエ、その対象は――。

 だが、その遥か後方、腕組みしたままクロエ・クロニクルを見ていた銀髪の男が呟く。


「フッ……彼が見る夢の内容は変更させてもらうよ、クロエ・クロニクル……現実と夢の世界からの切り離す力……『ワールド・パージ』、発動……!」




 目映い閃光が収束――だが、他の皆と違い上下左右共に感覚が狂う変な世界へと誘われた俺――その直後。


『ワールド・パージ、対象を有坂ヒルトへと変更、介入開始』

「ッ……!? な、なん……」


 そのまま俺の意識は深い闇の底へと沈み込んだ。


『ワールド・パージ、介入開始』


 俺の名前は有坂ヒルト、IS学園一年一組のクラス代表――。


『ワールド・パージ、介入中――エラー、更に外部からの介入により一時中断』


 お、俺の名前は……あ、有坂、ひ、る……と。


『……ワールド・パージ、完了だ。 ……君が見る夢は、これから起こりうる一つの世界の結果だ』


 そんな声が脳内に響き渡ると共に、俺は何もわからなくなってしまった。


「ん………ぅぅ……。 た、確か私は……」


 長い夢を見ていた気がした、何か得体のしれないものからの攻撃を受けていたような。


「……確か、皆と一緒にウサギを追い掛けてて、ドアがあって――――」


 其処で一気に記憶が鮮明に甦り、私は周囲を見渡す。

 飾り気のないコンクリート剥き出しの一室に私は居た、時折聞こえてくる銃声や爆発の音が不安な気持ちにさせる。


「とにかく……ここから出なきゃ……」


 立ち上がり、制服についた埃を払うと恐る恐る扉を開け、周囲を確認し、私はその一室を後にした。

 僅かに香る硝煙の匂い、まるで射撃訓練場を思い出させる匂いだった。


「夢の筈なのに……妙にリアルなのは……」


 僅かに崩れた瓦礫を乗り越え、外へと目指した矢先――。


「おっ! ひひっ、女が居たぜ!」

「……!?」


 下品な声と共に現れた複数の男たち、容姿は優れてる訳でもないが、下品な笑い方が全てを物語っていた。


「へへっ、中々綺麗な身形じゃねえか。 最近じゃ薄汚れた女としか犯れなかったからな、ひひひっ」

「おっ、よく見たら昔あったっていうIS学園の制服じゃねえ?」

「おぉ! 既に学園自体解体されて手に入らない激レアじゃん! 真っ白なその制服、今から俺達に汚される運命だなんてな、あひゃひゃひゃひゃっ」


 学園が解体?

 男たちが舌舐めずりし、舐める様に視線を私に向けてくる中、その情報が脳内を駆け巡るも答えは出なかった。

 咄嗟に逃げようとするや、男たちの身体が光り始め、その身には私達が操っているISを纏っていて、より一層混乱させられる。


「逃がさねえぜ、お嬢ちゃん!」

「ひひっ、今じゃ純正のコアよりも、模造コアの方が多いからな、女尊男卑の世界とはうって変わって、女なんかただの肉奴隷もいい所だぜ」

「っても、最近じゃ各国模造コア製造所が『テロリストのヒルト』が破壊して回ってるからな、俺達傭兵に回ってくるのも粗雑コアばかりになってきてるが、それでも充分だぜ」


 ヒルトがテロリスト?

 ここは夢の世界の筈――意識を電脳ダイブさせてるのだから、本体はレム睡眠に入って私の夢じゃなきゃいけないのに……それとも、これが今私が見てる夢という事?

 状況把握が出来ない中、男の一人が私の胸を触ろうと手を伸ばしてきた、それを払いのけ、後ろにバックステップするもすぐ後ろは壁で追い込まれてしまった。


「つれないな、お嬢ちゃん」

「っても、俺達三人と仲良くしてもらわないと、殺しちゃうよ?」

「まあ殺した後に犯しても悪くねえべ? 死姦ってやつ? あひゃひゃひゃ」


 男たちの言葉に、言い様のしれない怒りが込み上げてくる――下品な笑い声が響き渡り、その手が私に触れる瞬間、天照を身に纏い、再度払い除けると共に粒子展開した銃を構える。


「触らないで! 貴方たちみたいな下品な人、嫌いだ!」

「チィッ! まさか【純正コア】のISか……!」

「ヘッ! 例え純正品だとしても、此方は三機……それに、純正コアは高く売れるしな、あひゃひゃひゃひゃっ」


 其処から直ぐに私は戦闘に入った――三対一で不利な状況の中、思ったほど男たちは強くなく、あっという間にIS解除まで追い込み、そのまま三人を気絶させた。


「……夢の中だからかな、思ったほどじゃなかったけど……。 ……とにかく離れなきゃ、また目が覚めても困るし」


 そう呟くと共に私は天照を解除し、建物を後にして荒れた道路を駆け抜けていった。

 それから暫くして――。


「……戦闘の形跡がある。 それに……コア反応もあった、だが該当が無い……。 ……成る程、俺と同じ【ロストナンバー】を持つものか」


 一人ごちり、建物内へと入った男――暫くしてから建物内から響き渡る悲鳴と絶叫、そして静寂が訪れ、建物内から出てきた男は血糊で装甲を濡らしていた。


「……さて、ロストナンバーの持ち主……誰だかわからないが……会う必要がありそうだな」


 漆黒の装甲を身に纏い、空へと飛翔していく男、静寂が訪れた地にはそれから暫くして、血を洗い流す様にどしゃ降りの雨が降り注いだ。 
 

 
後書き
と見せかけたワルパ未来編

短かったけどまださわりなのでもうちょい続きます

 
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