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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第513話】

 
前書き
日曜日 

 
 日曜日、貴重な休日――人によっては友人と遊びに行ったり、デートなのだろうが俺は特に予定がなかった。

 昨日は美春と出掛けたが、今日はどうするか。

 携帯を手に取り、アドレス帳をチェックする。

 一面に羅列される女子の名前、一人ずつ見ていく――。


「……てか、急に今日空いてるって訊いても予定が埋まってそうだよな、皆」


 一人ごちる俺、窓からは風が吹き込み、カーテンを靡かせ、朝の冷たい空気が部屋を冷やす。


「……それか成樹の所に行くかな」


 そう呟いた矢先、コンコンッとドアをノックする音が響き渡る。

 誰だろうと思いつつドアを開けると――。


「あっ、おはよう、ヒルト♪」

「シャル?」


 開けるとシャルが居た、白いブラウスにピンクのフレアスカート――勿論ミニスカートで、シャルの脚線美が露になっていた。

 髪は下ろしていて非常に女の子らしく、以前渡した銀のブレスレットも左手首に着けていた、待機形態のラファール・リヴァイヴもアクセサリーとして機能している。


「き、急に来ちゃってごめんね?」

「いや、構わないよ? 今日一日、どうしようかなって悩んでたから」


 俺がそう告げると、シャルは花開く様な満開の笑顔を見せた。


「あっ、そ、それじゃあさ、ぼ、僕と映画見に行かない? ち、ちょっと気になる映画があって……」

「映画か……。 うん、悪くないな。 ――てか俺で良かったのか?」


 そう聞き返すとシャルは――。


「も、勿論だよ! ぼ、僕、ヒルトと一緒に映画が見たかったもん!」

「そっか。 ……なら準備するからちょっとだけ中で待っててくれるか?」

「う、うん♪ ……えへへ、お邪魔しまーす」


 中へと入ったシャル、俺は外行きの服には既に着替えていてアウターに黒のパーカー、インナーは白の半袖シャツ、そして十字架の絵があしらったデザインジーンズ。

 窓を閉め、ボディーバッグを肩に掛けて準備を整える。


「んじゃ、行きますか」

「………………」


 ポーッとした表情で俺を見ているシャル、首を傾げると。


「あっ、ご、ごめんね? ……ヒルト、似合っててカッコいいよ……」


 シャルが俺を誉める、それが照れ臭く、俺は頬を掻く。


「ん、んじゃ、行こうか? 映画はレゾナンスで見るんだろ?」

「そうだよ、レゾナンスならお昼食べるにも良いし」

「OK、じゃあ行こうか?」

「あ……ヒルト」


 俺を呼び、シャルは手を差し出す。

 微笑を溢し、俺はその手を握るとシャルは笑顔になる。

 俺達二人は手を繋ぎ、学園駅へと向かう。

 電車の中、学園から都市郡へと向かう生徒がちらほら見える、主に上級生だ。


「……えへへ、二人で出掛けるのって、先月以来だよね♪」

「あぁ、キャノンボール後は大会だったしな」


 とはいえ、主に二人で出掛けるのってシャルとばかりな気がする。

 ……セシリアとも以前デートの約束をしていたが、まだそれを果たしていない。

 そんな事を考えつつ、窓から海を眺めるといつものように遊覧船が運航していた。


「そういえば……僕、まだあの遊覧船乗った事ないんだぁ。 クラスの子は乗ったって話してたのは訊いてたんだけどね」

「そうなんだ。 ふむ……」


 今の機会に乗るのも……そんな考えをしていると、電車はレゾナンスへと到着した。


「ヒルト、行こう?」

「あぁ」


 短く返事をし、俺とシャルの二人は降りてレゾナンスへと足を踏み入れた。

 そのまま目的地であるレゾナンス最上階にある映画館へと向かう、朝だがカップルや家族連れがやはり目立った。


「そういや映画って何を見るんだ?」

「んと、これなんだけど……」


 パンフレットを取り出すシャル、事前に用意していた様だ。

 口元が隠れるようにパンフレットを見せてくる――その仕草が可愛くみえる、昨日信二が言ってたように確かに天使に見えなくもない。

 それはそうとパンフレットを見る――内容は恋愛ものだ、パンフレットの中央に女の子が居てそのサイドに男が二人立っている。

 ……三角関係もの?

 或いは二人の間で揺れ動く恋心とかって感じなのだろうか。


「ん、んと、どう……かな?」

「うん、構わないよ。 ――てかシャルが誘ってくれたんだし、シャルの見たい映画で勿論構わないよ」

「あ、ありがとうね? ……えへへ、あっ。 上映時間何時か見よっ?」


 嬉しそうに笑うシャル、俺の手を取り上映時間が表示されてるボードを見に行く。

 あまり邪魔にならない距離で見ていると――。


「あっ、もう上映してるんだ……。 んと、午後の一時から……」

「それじゃあ、映画は一時からにしてそれまではレゾナンスで何か見て、昼御飯食べて映画って流れで良いんじゃないか?」

「う、うん。 ……えへへ、ちゃんとしたデートって感じ、だね?」

「え? ……だ、だな」


 シャルのデート発言に、急にシャルを意識し始める。

 ドキドキと鼓動が高鳴る――券売機で見たい映画の券を購入し、スタッフに半券もらうとそれを無くさないように財布の中に入れる。

 シャルも同様に無くさないように直すと――。


「じ、じゃあ一旦一階にいこっ? 日曜日だし、何かのイベントあるかもしれないし」

「そ、そうだな。 じ、じゃあ行こうか」


 手を繋いで歩く俺とシャルの二人、やはり人目を引く容姿をしてるシャルを見やる男子がちらほらと散見した。

 レゾナンス一階へと戻ってきた俺達、昨日同様、一階は人で溢れかえっていた。

 人波を避けつつ、今日の催しものが貼られたイベントボードを見に行く。


「え……と、レゾナンス秋のパン祭に、人気男性アイドルグループのイベント。 後は……書店でサイン会があるみたいだね」

「サイン会? 今言ったアイドルグループのか?」


 シャルに聞き返すと小さく首を振る。


「ううん。 ……えと、【ユミィ・ズールィ・ズール先生のサイン会】って書いてある。 最近本を出版したって」


 シャルが指差す貼り紙にはそう書いてあった、書籍名【アフタースクール戦場領域】――という題名だ。

 ……正直、どうでも良さそうな内容だろう。


「……名前から見ると外人なのか、このユミィ・ズールィ・ズールって人?」

「ど、どうなんだろ?」


 二人で考えるも、見当すらつかなかった。

 とはいえ、知らない人のサインもらっても嬉しくはないし、そもそも要らないという。


「他に何かイベントは?」

「……後は屋上でヒーローショーぐらいかな……」

「ふむ」


 ぶっちゃければ秋のパン祭が一番ましな気がするが……。


「うーん。 ……せっかくならシャル、服かアクセサリーでも見に行くか?」

「え? イベントは良いの?」

「ああ、イベント見るよりは此方の方が有意義ありそうだしな。 今の服も可愛いけど、女の子なんだし、お洒落にしたいだろ?」

「あ、ありがとうヒルト。 ……えへへ、嬉しいな……僕」


 そう言うと、シャルは嬉しそうに微笑んだ。

 やはり人目に目立つシャルの笑顔は、周囲の男子の目を虜にするらしく、喧騒の中ですら「あの子レベル高過ぎだろ」とか「あんな子ばかりなら、俺、幾らでもパシる!」等々と言っていた。

 ――まあ女尊男卑の中、シャルみたいな子が男子に命令する何てのは想像できない。


「じゃあ、先ずは七階から行こっ、ヒルト♪」


 シャルは自分が注目されてることを気にせず、俺の手を取り、指を絡ませる様に繋いできた。

 シャルを見ると、頬が桜色に変化している、彼女もやっぱりドキドキしてるのだろう。

 繋いだ手を離さないまま、エスカレーターで俺達は七階へと上がっていく。

 その道中――昨日来た書店の外側に小さなブースが出来ていて、【ユミィ・ズールィ・ズールのサイン会場】と書かれていた。

 中央の真ん中の椅子にどっしりと構える――えと、相撲取りの横綱の様な風格を漂わせるふくよかな男性が本を読んで座っていた。


「あ、あの人が【ユミィ・ズールィ・ズール】って人なのかな、ヒルト……?」

「……一応スタッフって可能性もあるが。 ……しかし」


 よくパイプ椅子が壊れないものだなと感心する、それぐらいふくよかな体系の男の人だった、ついでに頭にはタオルをバンダナの様に巻いているのだがあまり似合っていなく、着ている作法着みたいなのも相まって下手したら何か、陶芸家に見えなくもないという。

 一応見なかった事にして俺達は七階へと到着、レディース物の服が売っていて、昨日同様オータムフェアの真っ最中だった。

 ただ、昨日と違うのはカップルが目立つという一点のみだった。

 エスカレーターを降り、先ずは近場の店に入る。

 秋物の服がメインなのは変わらず、だけど店の一角に冬物を先取りしたコーナーがあった。

 後は各サイズ毎にコーナーが分かれている。


「あっ、このスカート……可愛いな」


 シャルが手に取ったスカートを見る、ダブルフレアスカートだった。

 色はボーダーチェックの赤と黒。


「……試着してみるのはどうだ?」

「え? ……そ、そうだね。 一回穿いてみるね?」


 スカートを持ち、シャルは試着室へと入っていく。

 簡素ながらも中は三人ほど入れる感じだ。

 着ていたスカートが脱がれ、スカートの試着をするシャル――外からはシャルの足首が見えるのだが、色々と想像する価値のある画だと思っていると――。


「ヒルト、見てくれる……?」


 カーテンからひょこっと顔を出すシャル、俺は頷くと勢いよく開いた。


「ど、どうかな?」


 自信無いのか、不安げな表情のシャル。

 別段変な所もなく、ダブルフレアスカート自体は似合っている。

 ただ、今着ているブラウスとは合わない感じだった。


「シャル、スカート単独なら似合うが今のブラウスとはちょっと合わないかも」

「や、やっぱり?」


 シャル自身も分かっていたらしく、困ったような表情を浮かべた。


「ん、でもシャルの持ってる服の中に合わせられるのがあるだろ? それと着こなすなら良いと思う」

「そ、そうだね。 ……値段も高くないし、ヒルトの好きな色だし……うん」


 試着室のカーテンが閉まる、中でまた着替えるシャル――。


「ヒルト、お待たせ」


 来たとき同様のフレアスカートに戻ったシャル、折れたスカートの裾を正す仕草が何処か色っぽく映る。


「えへへ。 ヒルト、少し外で待っててね? このスカートだけ買ってくるから♪」


 レジへと足早に向かうシャル、先に店の外へと出る俺はシャルを待つ。 そういや、シャルってワンピース関連とか着ないよな。

 ラウラにはワンピースを着せていたが、夏に買いに来た時に――と。


「ヒルト、ごめんね、待たせたかな……?」

「いや、全然大丈夫だぞ、シャル?」

「よ、良かった……。 れ、レジが少し混んじゃってて」


 そう言って傍に来るシャル、手には今しがた購入したスカートの入った紙袋が手提げられていた。


「ほらシャル、持つよ」

「え? わ、悪いからいいよヒルト?」


 首を横に振るシャル、俺に持たせるのは悪いと思ったのだろう。


「遠慮するなって、昔言っただろ? 甘えても良いってさ」

「あ……」


 シャルがルームメイトの頃に言った言葉、それを思い出したのかシャルは――。


「じ、じゃあ……ヒルトに、甘えるね?」


 そう言って紙袋を手渡すシャル、それを受け取ると今度は腕を絡ませてきた、肘にシャルの豊満な乳房が当たる。


「……ヒルトが言ったんだからね……?」

「……だな。 んじゃ、他にも見ていくか」

「うん……♪」


 それから暫く、レゾナンスで女性物のアクセサリーや洋服などを見ていく俺達二人、見るだけでも相当時間が過ぎ、シャルが腕時計で時間を調べると――。


「あ、ヒルト。 そろそろお昼になるよ? 何処かで食べてから映画にいこっ」

「そうだな。 んじゃ、先ずは腹ごしらえーってね」


 お腹を撫でる俺を見てくすくすと微笑むシャル、レゾナンス内の手近な飲食店に入り、俺達二人は御飯を食べることにした。 
 

 
後書き
後半は多分映画をはしょるかも(ぇ

といいつつ、まだわからんが 
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