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史上最強の弟子IF〜強さを望む者〜

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第2話 揃う拳豪達

 
前書き
拳豪って、中々いい響き。 

 
 荒涼町にある小さな廃工場、そこには大勢の不良が屯していたが、その奥の一室には円形のテーブルがあり、そこには九人の男女(・・・・・)が集まって顔を突き合わせていた。


 その中で、司会進行を担当しているのは、第九拳豪のサーガであった。


「んじゃあ会議始めるか。とりあえずみんな、今の近況を話してくれる?」


「おいおい、話すこともなにも、んなの各自でやれって事じゃないのかサーガ。」


「そうは言うが、やっぱり報連相は大切だろ”ロキ“。」


 サーガに話しかけてきたのは、不思議な眼鏡をかけた男……第四拳豪のロキである。


 ラグナレクの中では比較的サーガと話が通じるので、基本的には軽口を叩き合う仲だ。


「わしは相変わらず実戦相撲を鍛えて、稽古をしている。じゃがサーガとジークのおかげで稽古は捗っている。」


「私も、新たな組曲がサーガとの協力で完成しました。」


 喜々として己の近況を話すのは、道着姿で恰幅のいい男、第七拳豪:トールとその友人である細身の男、第五拳豪:ジークフリート、サーガとは友人でもある。


 そんな中、1人の人物がその光景を鼻で笑った。


「はっ、下らねぇ……いつまでこの会議とやらをやるつもりだ?」


「ん?あぁ、ごめん。そんな不機嫌になるなよ、ハーミット。」


 不機嫌ながらもトール、ジークフリートの2人を鼻で笑って味わうのは、第六拳豪:ハーミットであり、彼はサーガを横目で睨みつけながらフッと鼻で笑う。


「サーガ、テメェの下らねぇ司会進行なんざどうでもいい。今回の俺等のやる事をさっさと話せ。」


「……ハーミット様、サーガ様に無礼ですよ?」


「黙れ、サーガの飼い犬風情が拳豪に意見する気か?」


「殺されてぇのか、野良犬……。」


「あ"?」


 隼人とハーミットは互いに睨み合い、会議室の中に今すぐにでも殺し合いが起りそうな一触即発の空気が充満する。


「ハハハッ!!こいつぁ愉快だ!!おい!面白そうだから、どっちが勝つかやってみろ!」


「ロキ!茶化すでないわ!!」


 隼人とハーミットを煽るロキを、トールが怒鳴って止める。


 しかし、当の2人は止まりそうにない。


「ウゼェんだよ。サーガ(拳豪)に尻尾振ってる飼い犬風情が。拳豪(オレ)に勝てると思ってんのか?」


「お前こそ黙れよ。5回もサーガ様に負けてるくせに態度がデカいんだよ。……消すぞ?」


「ほう?やってみるか、三下。拳豪になれなかった落ちこぼれ風情が。」


「ほざいてろ。面の皮が厚い王子様。」


「殺されてぇらしいな……!!」


 互いに拳を振るいそうになった瞬間、2人の間を黒い何かが通り過ぎ、壁に突き刺さる。2人が視線を動かすと壁に刺さっていたのは、サーガが持っていた下敷きであり、2人がサーガの方を見るとそこには綺麗な笑顔に青筋を立てているサーガがいた。


「2人共?これ以上やるなら本気で俺怒るよ。
というかハーミット、頼むから隼人を挑発しないでくれ。隼人も気持ちはありがたいが立場を考えてくれ。」


「ちっ……!」


「申し訳、ありません。」


「んじゃまぁ、あとはバルキリーとフレイヤ、バーサーカーとオーディンだが、まぁみんなはいつもと変わらず、かな。」


「まぁね。」


「変わりはない。」


「俺もだ。」


「では、今回の会議はコレまでだな。みな、集まってくれてありがとう……あぁ、サーガ。すまないが、今度の日曜、着いてきて欲しい。」


「ん?どっか行くのか?」


「あぁ、とある方がお前に会いたいそうだ。」


「ん?それって、まさか……。」


「あぁ……。そのまさか、さ。」


 そう言って嗤いながら、オーディンはその日を伝え、サーガと隼人、悠里はオーディンに連れられて出かけたのであった。


 闇の武術家達と会うために……。 
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