IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第455話】
前書き
年末最後の更新
次の日の放課後、場所は第二アリーナ。
既に準備の終えた鈴音がアリーナ中央で待機してるのがモニターに映っている。
――のだが、何やら通信中なのか、モニター越しから声がロッカールームにも聞こえてきた、多分回線が繋がってるのだろう。
『右肩部ユニットを拡散衝撃砲、左肩部ユニットを貫通衝撃砲に換装したパッケージデータを今すぐにちょうだい。 後、《双天牙月》は刀刃仕様にして、腕部衝撃砲は外して代わりに高電圧縛鎖《ボルテック・チェーン》をつけて。 それを三日で仕上げてよね』
――何やら恐ろしい内容が駄々漏れで聞こえてくる、装備の換装やら何やらを三日で仕上げるというのは無茶な気がする、機体のステータス等の微調整やら換装装備の適応やOSの書き換え等々――と、モニターに映る鈴音の目尻がつり上がった。
『――はあ? 出来ない? 出来ないじゃないわよ、やるのよ!! じゃないと、今回のタッグマッチで結果が残せなくてもいいのっ!? 無茶は承知、やるのがあんた達の仕事なんだからねッ!! 通信終わりっ!!』
乱暴に通信を切った鈴音、今回の大会に並々ならぬ意気込みが感じられる――モニターに映り込む鈴音は、握り拳を作るとそれを真っ直ぐ振るい、空を切り裂く音が聞こえてきた。
――何にしても、ボルテージMAXの鈴音、多分模擬戦も最初から全開で飛ばしてくるかもしれないと思った。
『……主君、少し良いか?』
『ん? あぁ、構わないぞ』
唐突な雅の呼び掛け、久しぶりに話す気がするのは気のせいだろうか。
『主君、主君は少し気付いてないのかもしれないのだが。 ……最近少し、反応が鈍くなっている』
『……反応?』
『うむ、攻撃や射撃に対する【反応】だ。 ……誤差の範囲はコンマ単位なのだが、一応念のために――しゅ、主君、無理だけはしないでくれ』
心配そうな声が届く、俺は力強く頷くと――。
『無理はしないさ。 ――さて、そろそろ模擬戦だし、サポートだけ宜しくな』
『ぅ、ぅむ』
そう短く返事をした雅、俺はピット口へと向かうとカタパルトに脚部を接続させ、そのままアリーナ中央へと飛び出した。
「やっと来たわね、ヒルト」
腕組みし、肩部衝撃砲の砲口を上下左右に動かし、稼働範囲を調べていた鈴音が不敵な笑みを浮かべて待っていた。
「やっと来たって言うか、何か鈴音通信してたからな。 それが終わるのを待ってたんだよ」
「ふふん、どうやら聞かれてたみたいね。 ――まあ隠すほどの内容じゃないんだけど、一応今回の大会の為に少し衝撃砲何かを特殊型に換えようかなーってね。 ――ていうか、そんな話よりも早く模擬戦よ!」
一通り話してから思い出したかのように模擬戦を始めようとする鈴音、双天牙月の刃が空を裂き、重厚な音を響かせてアリーナ地表へと突き刺した。
その重さからか僅かに地面が揺れるのを感じ取る。
「ん、じゃあ始めるか」
断る理由もない俺は、北落師門を呼び出す。
黒い刃が夕陽を吸い込み、鈍く輝きを放っていた。
「あ、言い忘れてたけど。 負けたら何か一つ、言うこと聞きなさいよ」
「……は?」
「もちろん、アタシが負けたらあんたの言うこと何でも聞くわよ。 ……き、キスしたいなら、キスでもいいし――って、何言わせんのよッ!」
勝手に喋ったの鈴音じゃん――そんな心のツッコミを他所に、鈴音は顔を真っ赤にさせて怒ったような表情を見せた。
それと同時に試合開始のシグナル一つ目が点灯する。
相変わらずこの独特の間というのに少し緊張する――何度も経験したのに、未だに緊張するのはやはり武器を使ってるからだろうか。
そうこう考えている間に、試合開始のシグナル三つ目が点灯――それと同時に鈴音の機体、甲龍の衝撃砲が開き、不可視の弾丸が連射された。
一瞬反応が遅れた俺、それを見越してか雅の方からサポートが働き、打鉄の大型シールドが機体前面へと展開、俺を覆い隠すと無数の不可視の弾丸を防ぐ。
――そこから鈴音は既に次の動きに移っていて、跳躍と同時に双天牙月を真っ直ぐ振り落とす――まともに当たればその重量と振り落とし斬りによって大きくシールドエネルギーを削られる。
サイドステップでその一撃を避ける――ズゥゥゥン……、深々と双天牙月の刃が突き刺さった。
「そこだ……ッ」
小さく声を上げ、サイドステップ先から横に振るう一閃――だが、そこは鈴音。
「甘いわよッ! そう簡単にはいかないんだからねッ!」
ISの機能と自身の身体能力を駆使し、突き刺さった双天牙月を軸にしてまるでポールダンスを踊るような鮮やかな動きで一閃を避ける――と同時に、遠心力を利用した強烈な蹴りの一撃がモロに肩部装甲へと入った。
衝撃の凄まじさに体勢を崩しかけるが、咄嗟に姿勢制御用補助スラスターを点火、身体を何とか持ちこたえさせる。
「まだまだぁッ!」
「……ッ!!」
地表から引き抜いた双天牙月を二刀の青竜刀に分離させると、それを俺の両肩目掛けて振り抜いた。
襲い掛かる青竜刀の刃、だがこれも雅がサポートして二刀による一撃を大型シールドで受けきった。
鳴り響く金属音と撒き散らせる火花、普通のシールドなら今の一撃で使い物にならないのだが分子結合殻に覆われたシールドには傷一つ付かず――。
「くっ……何て硬い装甲なのよッ! 一夏の白式なら、今の一撃で破損するっていうのに……!」
空へと離脱と同時に牽制射撃の衝撃砲を周囲に放つ鈴音、俺はそれを追う為に空へと上昇、それに反応した鈴音の衝撃砲による弾幕が襲う。
威力自体は速射性を重視してか、ダメージは少ないのだが不可視という事もあり、避けきるのは不可能に近いと咄嗟に判断。
動きを詠まれないようにランダムに左右に避けつつ、接近すると同時に北落師門を振り抜く。
交差した刃の二刀で防ぐ鈴音――若干苦悶の表情を浮かべた。
「ッ……振り抜く速度が前より上がってる……ッ!」
北落師門の刃を抑え込もうとする鈴音、ここで俺は北落師門を手放す――。
「あ――!?」
体勢を崩した鈴音、落下していく北落師門が粒子化して四散、再度俺の左手に粒子が集束されると北落師門が形成された。
そして、その刃を甲龍の装甲目掛けて斬りかかる。
シールドバリアーを突破し、その一撃が装甲に当たると小さく火花を散らせつつ、切っ先が僅かに生身部分に触れたのか絶対防御が発動して鈴音の機体のエネルギーを大幅に削いだ。
「や、やるじゃん……ッ。 ――でも……、まだよッ!」
「なッ――ぐぅっ……!?」
二刀による斬撃と併せての衝撃砲による連係攻撃、双天牙月を捌いた隙を狙われてモロに衝撃砲の直撃を浴びると俺は大きく体勢を崩した。
「てりゃぁぁあああッ!!」
「ッ!!」
足首を掴まれ、地表へと加速し、アリーナ地表へと叩き付けられる。
衝撃自体は絶対防御で緩和はされたが、今の一撃でエネルギーを大幅に消耗し――。
「これで……アタシの勝ちよッ!」
言ってから連結した双天牙月による一撃――勝利を確信したかのように顔が綻ぶ鈴音、一瞬の気の緩みを見逃さず手にした北落師門の刃を生身部分へと斬りかかる――バチバチと紫電が走り、鈴音の表情が一気に変わると同時に試合終了のブザーが鳴り響いた。
「……油断しすぎだな、鈴音」
「~~~~っ!! べ、別に油断なんかしてないんだからッ! た、たまには負けて上げないと可哀想かなって思っただけなんだからねッ!」
ISを解除した鈴音は、腕組みするとそっぽを向いた。
身体を起こして俺は立ち上がると、俺もISを解除する。
最初に雅が言っていたように、少しだが反応が遅れがちな気がした――原因はわからないが――と。
「な、何にしても、アタシの負けだから何でも言うこと聞くわよ。 ……き、キスしたぃなら……すれば良いんだからねッ!?」
顔を真っ赤にし、目を閉じてアヒル口を作る鈴音。
――いつの間にかキスが目的みたいになってるが、俺は一言もそんなこと言ってないんだが。
「いや、別に俺はキスしたいって言ってないぞ?」
「へ? ――~~う、嘘よ! あんたの顔に、アタシとキスしたいって書いてるのが見えるんだからねッ!?」
人差し指で俺を指差す鈴音、特にしたい訳じゃないんだが――と、あることを思い付いたので、俺はそれをお願いすることにした。
「いや、キスは良いから。 ――それよりもさ、【フェラチオ】して?」
大胆な発言だと我ながら思う、というかここ最近ずっとラウラ然りセシリア然り美冬然りとやってきて俺の性欲リミッターがちゃんと機能してないというのがまるわかりだ。
「……フェラ……チオ……」
そう小さく呟く鈴音、言葉の意味がまだわからないのか表情を窺うには疑問系でその単語が脳内を駆けずり回ってるのだろう――そして、その意味を理解すると。
「ば、ば、ば、ば、バカじゃないのッ!? な、なな、何でアタシがそんなことしなくちゃいけないのよッ!! ヒルトのバカッ!! エッチ!! 知らないッ!!」
顔を真っ赤にし、脱兎の如くピット口へと戻った鈴音。
――まあそういう態度になるのが普通だよな、殴られなかっただけでも奇跡だと思わないと。
頭をかきむしると、俺も着替えの為に鈴音とは反対側のピット口へと戻っていった。
一方――。
「ヒルトのバカ、ヒルトのバカ、ヒルトのバカッ! い、いいいきなりフェラチオしてくれだなんてッ!! ……き、キスじゃなく……~~~~ッ」
その行為をする所を思い浮かべた鈴音、心臓の鼓動が更に早鐘を打ち始め、全身の熱がカァッと一気に上昇するのを感じるのだった。
後書き
さて、おらもアホな事をネタにしてますな( ´―`)(ぇ
それは置いといて、先日研修に行ったんだけど……気付いたら班長候補の一員になってた
どういう事なの
次回の話はどうするかな……
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