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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第453話】

 
前書き
超遅れた

まあ色々ありましたからな

 

 
 週始めの月曜日。

 既に今日の授業が終わった放課後、今日から各専用機持ちは個々での訓練及び、整備や他の事で少しずつ忙しくなる。

 そんな中、俺はのんびりと、徐々に黄昏ていく空を眺めながらタッグを組む予定である更識簪の事を考えていた。

 あまり何度も押し掛けるのは彼女にとっても迷惑になるだろう、そう考えると四組へとそうそう足を運べないのが現状だ。

 彼女が俺と組むって決めないことには、色々出来ないのが事実だし――と、気づいたら俺は学園正門方面へと歩いていたらしい。

 ふと正門の方から何やら揉め事が聞こえてきた、野次馬とかではないのだが、やはり気になるのでそちらへ向かうと――。


「良いから、早く僕を学園へ入れてくれないかい? ハニーがあそこで僕を待ってるのさ♪」


 ……ハニー?

 若干寒気がする中、気にせず見てみると金髪碧眼で見るからにお坊っちゃんな白人が正門で何か喋っていた、応対してるのは勿論――。


「かぁーっ! だ・か・ら! ハニーって言われてもわからんっての! てか、この学園は基本男子が入るには前以て色々な手続きをだな!」

「フフンッ! だからこうして手続きをしているのだ! さあ、受け取りたまぇっ☆」


 そう言いながら御抱えの執事らしき人物が札束を積んでいく、何気にピラミッドを構築していく札束の山に目を白黒させる俺だが親父は――。


「いらねぇし、ってかこれでお前を学園に入れたら俺の責任問題になるじゃないか!」

「安心したまえ、君が責任問題になっても僕は何のお咎めも無しさっ☆」


 手で髪をかきあげる金髪碧眼のボンボン、何気にイラッとくる仕草だがとりあえず親父の仕事ぶりを観察することにした。


「だあぁっ! お前も咎められるっての! ――いいから、札束は持って帰れ! それに、ハニーハニーって言われても誰の事か俺にはわからないから――」

「フフンッ、ハニーはハニーさ。 僕達二人は赤い糸で結ばれた者同士なのさっ☆ ――それはともかく、僕は早く愛しのハニーに会いたいのだよ! だから早く学園へと通したまぇ!」

「だーかーらーっ! 前以て色々な手続きが必要だって言って――」


 堂々巡りが延々と続く気がした俺は、親父達に気付かれぬ内にその場を離れていく、親父……初日からお疲れ様。

 一旦アリーナ方面へと足を運ぶ俺、大気を焼き払う粒子ビームの音が聞こえてきた――多分セシリアだろう、というか粒子ビーム系兵装を搭載してるのがセシリア以外考えられない、篠ノ之なら多分一夏と一緒か或いは一人で訓練だろうし。

 アリーナ内へと入っていく、観客席へと続く階段から覗き見える粒子ビーム、時折弧を描くのが見え、やはりセシリアだと思い駆け足で階段を駆け上った。

 アリーナ全容を見渡せる観客席、セシリアは集中し、前方にランダム移動を繰り返す無数の射撃ターゲットをビットを含めた一斉射撃によって全てを撃墜していた。

 【偏向射撃(フレキシブル)】……もうコツを完全に会得したのか、個々に粒子ビームが曲がるまでに成長していた、これなら一夏相手でも充分通用するだろう。

 ――と、新たに出現していた射撃ターゲットがアリーナ内へと戻っていく、多分セシリアが一旦止めたのだろう。


「ふぅ……。 少し休憩しましょうか……」


 誰に言うわけでもない独り言、だが俺の耳には届いていて――。


『セシリア、お疲れ様』

『え――ひ、ヒルトさんっ!?』


 まだ観客席にはバリアーが張られていて声が届かない代わりに、俺はセシリアへのプライベート・チャネル通信を繋げた。

 ――今さらだが、セシリアの声が観客席に届いたのは、アリーナの声や音などは観客席に届くようにスピーカー類が設置されているからだ。

 それはさておき、驚くセシリアを他所に俺はピットへ入るように指を指すと、小さく頷くセシリア。

 ふわふわとピット口へと入っていくのを確認すると、ピットへと直通で繋がる通路へと俺は足を進めた。


――第一ピット内更衣室――


 中へと入るや、既にISを解除していたセシリアが嬉しそうに駆けて俺の元へとやって来た。

 汗で濡れた白い肌が、艶っぽさを醸し出していて少しムラムラする。


「セシリア、お疲れ様」

「はい! ――と、ところでヒルトさん? ど、どうしてわたくしの元に来ましたの?」

「ん? 外を歩いてたらアリーナから粒子ビームの音が聞こえてきてな。 多分セシリアかなーって思って見に来たんだよ」

「そ、そうでしたの。 ……どんな理由であれ、わたくしに会いに来てくださったという事実が嬉しいですわね」


 胸に手を当てて微笑むセシリア、本当に嬉しいらしく僅かに頬を上気させていた。


「そっか。 ……てか、汗を拭かないと風邪引くぞ? ISスーツだと露出も多いしな」

「そ、そうですわね。 ……ヒルトさんのえっち」

「………………」


 露出が多いという言葉に、顔を赤くして身を抱くようにするセシリア。

 若干抗議の眼差しが痛いが――。


「……俺はもともとえっちだよ」

「……わ、わたくしも、ですわ。 ……ひ、ヒルトさんの前だと、全てを見せても大丈夫ですもの」

「そ、そっか」


 互いに顔を逸らす俺とセシリア、気まずい空気が少し流れる――と、セシリアが急に俺に身を預けてきた。


「……ヒルトさん、今なら……二人っきりですわよ?」

「まあ、確かにそうだが……」

「あ、アリーナで貴方に抱かれるっていうのも悪くないのですが。 ……す、少し汗をかいてますので……キスだけでも、してくださいな」

「ぅ……? ――てか、アリーナでキスとか大丈夫か? 更衣室に監視カメラあったりしないか?」


 言いながら周囲を見渡す、だがカメラらしきものは全く見当たらない。


「うふふ、アリーナ内でカメラがあるのは観客席や通路などですわよ? 更衣室内にあれば、わたくし達の裸が撮られてるという事になりますわ。 流石にそれは、各国から批判が来ると思いますし」

「そ、そっか。 ――なら安心してキス出来るって訳だな?」

「えぇ。 その気になれば、貴方に抱かれる事も可能ですわよ……?」


 悪戯っぽく微笑み、そう告げると共に上顎を上げて瞼を閉じるセシリア。

 セシリアの『抱かれる事も可能』という言葉に、心臓の鼓動が早鐘を打ち始める――それとは別に、何度も交わしたセシリアの艶のあるぷるんっとした唇がそこにあり、躊躇いなくセシリアと口付けを交わす。


「んっ……ふ……ん……」


 唇が重なると、満足そうに唇の端からセシリアの声が漏れ出る。

 俺の首に腕を回し、身を密着させてセシリアの方から深く口付けを交わしてくる、咥内へと侵入してきたセシリアの舌が俺の歯列をなぞるように舐め、そこから俺の舌をゆっくり絡め始めた。

 ロッカールーム内に響き渡るリップ音、密着するセシリアの肢体と相まって俺の欲望の塊が素直に反応し始める。

 流石に不味いと思い、俺の方から唇を離す――唾液の糸がセシリアと俺の唇で繋がっていた。


「……もう少し、ヒルトさんと口付けを交わしたかったですわ……」


 小さく唇を尖らせるセシリアに、俺は自分の頭を掻くと――。


「じ、充分だろ? あ、あれだけしたんだしさ」

「……まだまだ足りませんわ。 ヒルトさんとは、毎日してもわたくしは……」

「ん、そ、そっか……」


 俺は曖昧な返事をセシリアに告げる、だが求めてくれるというのは正直嬉しく思う。


「……うふふ、あまり貴方を困らせてもダメですわね。 ――ヒルトさんから元気を分けていただきましたし、また訓練に戻ろうかしら」


 言いながら俺の側を離れる、今まで感じていたセシリアの温もりが離れたのが寂しく感じるも訓練を再開するというセシリアの背中を見送る。


「うふふ、ヒルトさん? 後ろ髪惹かれる思いですか?」

「え? さ、さあどうかな?」

「うふふ。 では、また訓練頑張って来ますわね? 時間が合えば、また夜にわたくしとお食事を摂りませんか?」


 振り返ったセシリア、金色の髪がふわりと舞う。


「あぁ、時間が合えば構わないぞ?」

「ありがとうございます♪ ではヒルトさん、行ってきます」


 言いながらピット口へと向かうセシリア、暫くするとカタパルトの射出音がロッカールーム内まで聞こえてきて、モニターにはセシリアが訓練を再開する姿が映し出されていた。

 このまま見ていくのも悪くないが、若干親父の様子も気になった為俺、はアリーナを後にした。 
 

 
後書き
とりあえず年末の警察はうざいという罠

更新が遅れぎみですが、ちょっとずつ書いてますので気長にお待ちくださいませ 
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