IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
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【第457話】
前書き
超遅れたΣ(゜□゜;)
そして、何だか変な話な気がする( ´―`)(ぇ
朝、場所は寮の食堂。
昨日はのほほんさんのおかげでスッキリした目覚めと共に、朝からいきり立つ欲望の塊に苦笑を溢したのは内緒の話。
昨日の夜は珍しくラウラはやって来なかったが――まあそんな時もあるだろう、来たら来たでラウラとエッチな事をするのがデフォルトだが。
それはそうと朝食を摂っていると、俺の目の前に誰かが自分の朝食を置いた、その誰かを確認しようと顔を上げると――。
「ここ、いい?」
エキゾチックな雰囲気を醸し出す褐色肌、三組のセラ・アーカニアンが立っていた。
彼女の瞳は真っ直ぐと俺を捉えていて、同意の返事を待っていた。
「あぁ、構わないぞ? ――ルームメイトの子は一緒じゃないのか?」
俺がそう聞き返すと、正面の椅子に座ってパンを一かじりしてから――。
「体調が悪いって言ってた。 だから今日は休むって」
「そうなんだ、まあ体調が悪いなら仕方ないな」
「うん」
そう短く返事をすると、またパンを食べ始め咀嚼し始めた。
彼女の朝食はパンと野菜サラダだけという軽食で、正直足りるのかどうかが気になる――とはいえ、彼女の身体自体は出るところは出てるスレンダー体型の為、ガリガリという印象はない。
褐色肌も、真っ黒とかではなく浅く日焼けしたぐらいの健康的なものだ。
――と、俺の視線に気付いたセラは首を傾げながら。
「……どうかした? 私の顔、何かついてる?」
「ん? ――強いて言えば、目と鼻と口がついてるかな、なんて」
「……フフッ」
俺の言葉に僅かに微笑を溢すセラ――と、シャルとラウラの二人組が食堂へ姿を現した、俺の姿を見つけるとシャルは直ぐにはにかんだのだが、俺が他の子と居ると分かると二人して不機嫌そうな表情へと変化していった。
「……ヒルト、どうかしたの?」
「ん? ……ぃや、殺気が凄くてな」
「……?」
言ってる意味がわからないと言った表情のセラ――そして、朝食を受け取ったシャル、ラウラの両名がプレッシャーを放ちながらやって来た。
「おはようヒルト♪ 隣、もちろん良・い・よ・ね?」
「嫁よ、異論は認めん。 私も隣へ座るぞ」
俺の返事を待たずに、二人は俺の両サイドへと座った――そして、正面に座っているセラが見えない所で俺の腕を指でつねる二人、痛みが走って僅かに涙目になりそうになるが、何とか堪えた。
何気無く訪れた修羅場(?)に、異様な空気を感じる俺、背中に微妙に伝う冷や汗も感じるなか、隣のシャルがニコニコ笑顔で俺へと振り向く。
「ねぇヒルト、彼女は?」
「あ、えと……。 此方は――」
そう言って紹介しようとする前に、セラが口を開いて自己紹介を始めた。
「三組のセラ・アーカニアン。 剣道部所属、最近ヒルトと知り合った。 ――よろしく、シャルロット・デュノア、ラウラ・ボーデヴィッヒ」
淡々とした口調でそう告げる彼女、顔色は全く変わらずに朝食のサラダを食べていた。
「む、私の事を知ってるのか?」
そうラウラがセラに告げると、静かに瞼を閉じた。
「えぇ。 ――代表候補生は有名だもの、特に専用機を持ってる子はね。 いつか、貴女達の機体の整備がしてみたいものよ」
「え? ――アーカニアンさんって、整備科志望なんだ?」
セラの言葉にシャルが食い付く、ラウラも少し気になったのか閉じていた瞼を開いてセラへと視線を移した。
「……本来はパイロット志望よ。 でも、機体が467機しかない現状で私に割り当てられる可能性ってとても低いの。 専用機じゃない量産タイプでもね、現状どの国家の量産タイプのISは基本パイロット複数人での使い回し運用が主だけど、私はそうじゃなく大会とかキャノンボール何かで活躍したいから。 ――でも、それが難しいって分かったから、整備の道に進むことにしたの」
淡々とした口調だが、何処か専用機を持つ俺達に対して羨ましそうな視線を向けていた――努力すれば全員が機体をもらえる訳じゃない、だからこそ早目の転身を考えたのだろう。
「……アーカニアンはそれで良いのか?」
ラウラが短くそう聞くと、こくんと力強く頷き――。
「えぇ。 ……整備自体は楽しい。 どんな子も、弄れば喜んでくれるから。 ――ごちそうさま。 ヒルト、またね」
そう言って食べ終えたセラは立ち上がると、食器を片付けて食堂を後にした。
「……ヒルト、彼女との関係はどうなのだ?」
「え?」
ラウラが真っ直ぐと俺を見据える、尋常じゃないプレッシャーを放ちながら――因みにシャルも気になってるのか、同じ様に俺を見てきた。
「さっきもセラが言ってたが、最近知り合ったんだよ」
「そぅ、なんだ? ……またライバル増えちゃうのかな……」
俺の言葉を聞いて神妙な面持ちになるシャル、ラウラは涼しい顔はしてるのだが――。
「ヒルト、あまり私にヤキモチを妬かせるな。 ……不安になるだろぅ」
言ってから僅かに瞳を潤ませるラウラ、だがそれを俺に悟られない為か直ぐ様瞼を閉じ、朝食を摂り始めた。
……まあ俺が曖昧な態度をとってる上に、関係だけは進んでいくのが一番いけないんだよなぁ――そう思っていると、何やら駆けてくる足音が聞こえてきた。
「僕のハニーはここにいるのかぃ?」
……唖然とする食堂に居た生徒一同と職員、何故唖然としたのか、先ずはそう言ってやって来たのが【男】だ、しかも数日前に見たお金持ち風のお坊っちゃん。
「多分な。 ――というか、いい加減ハニーって誰なんだよ。 此方は朝忙しいってのに案内までさせやがって……」
遅れてやって来たのは親父だ、その姿を見てホッとする職員と生徒、見知らぬ男の不法侵入かと思っていたらしい――というか、普通はそうとしか思えないが。
「何を言ってるんだぃ、警備員。 お金持ちであるこの僕の案内役を任される何て事は、大変に名誉な事なのだぞ☆」
「へぃへぃ、ソレハソレハアリガトウゴザイマス」
明らかに感謝もしていない棒読みの台詞、だがそれを気にする事なく前髪をかきあげ、何処かキザなポーズをとり始めた。
「……あの男の子、誰なんだろう?」
「お金持ちって言ってたけど、どれぐらいなのかなぁ……。 この学園、案外お金持ちの子多いもん」
「それよりも、今時ハニーって……ププッ」
一部から漏れでる笑い声、それと同時にやはりこの学園で男子が現れるのは珍しいのか注目の的になっていた。
「ふふん、どうやら僕はレディ達のハートを鷲掴みにしているようだね☆ ……あぁ、何て罪作りな僕なんだ、ハニーが居なければ――いや、ハニーが居ても愛人に――」
何やらカッコつけたり突然ぶつぶつと独り言を言い始める――頭でもぶつけたのだろうか。
「……変わった男の子だね、ヒルト?」
「……あぁ、てか親父が頭抱えてるのが可哀想に思えてくるな」
「……あんな教官の姿、初めて見る……」
ラウラには軽いカルチャーショックだったらしく、喘ぐように口をパクパクさせていた。
それはそうと、彼は目当ての人物である【ハニー】を探すためわざわざテーブル一つ一つ周り始める――親父も渋々それに付き従い、後ろから追従する形に――仮に何か、彼が変な事をしても直ぐに取り抑える為だろう。
そして、いよいよ俺達のテーブルへとやって来た。
――と、彼は俯いていたシャルとラウラを見て開口一番。
「こんな所に可憐な花達が咲いているね。 君達、名前は?」
「へ?」
「…………」
いきなりの言葉に、シャルはすっとんきょうな声が漏れ出て、ラウラは目付き鋭く彼を睨み付けている。
その眼光の鋭さにたじろぎ、前髪をかきあげながら――。
「こ、ここには居ないみたいだね。 ……全く、僕のハニーは一体何処に隠れているんだろうね、警備員?」
「ハニーハニートイワレテモ、オレニハダレダカワカラナイ」
ヤル気なく、まるで台本を棒読みするかのような台詞を口にする親父に俺やシャルは苦笑いを溢す――と、ここで彼が俺に気付いて何度か瞬きをする。
「……可笑しいな、ここは男子禁制の女性の園、IS学園だとパパから訊いていたんだが、何で男の君がいるんだい?」
まるで意味がわからないと言わんばかりに俺を見、そう告げる――と、さっきまでの棒読みは何処へ、親父が――。
「君はニュースを見ないのか? 彼ともう一人の男子は男でも【IS】に乗れるから入学出来たんだぞ?」
「な、なんと!? 警備員! ハニー探しはまた後だ! 今すぐ僕をISのある所へ連れて行きたまへ! ――というか、行くッ!!」
「はあ?」
親父の返事も待たず、脱兎の如く食堂を後にした金髪坊っちゃんの彼――てか、個人行動は下手すると拘束されかねない気がする。
「……三人とも、悪いな邪魔して。 とりあえずあのバカを拘束しねぇと……」
言いながら駆け足で彼を追いかけ始めた親父――まるで嵐の様に出来事が過ぎ去ったのでポカンとしたままの子達が無数に居る中――。
「皆様、おはようございます、そしてごきげんよう♪」
セシリアがそんな挨拶をしながら食堂へとやって来た――そこでポカンとしていた一同は我に返ったのか、一様に「おはよー」と返事を返したのだった。
後書き
次回はもう少しまともな話を――
てか更新を早くしたい( ´艸`)
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