刻命館VS帝國華撃団 帝都妖異譚
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第二部
第一章
脱出 その顛末
前書き
本作は35HR様の自作ゲーム・プリンセスティアーズのサイトに掲載させて頂いていたもののマルチポストであります。
第一部終了時からキングクリムゾンします
第一部の地の文での蟲の生体等は、全てレニが解説したことにしてください、でないと会議シーンでダレる。
大帝国劇場の地下、メカ各種の整備区画、秘密地下入り口から帝国華撃団専用の輸送車が滑り込んだ。
帰還を果たしたのはさくら、椿、放心状態の紅蘭、気絶・拘束状態でカンナに担がれたマリア・・・・だけであった。
椿が運転手にねぎらいの言葉をかけ、輸送車は所定の駐車位置に向かった。
椿の通信により、既にこの区画の人払いは済んでいる。
出迎えた副司令のかえではまず椿に紅蘭を医療室に連れて行くよう指示すると、残るメンバーを付近の小会議室に集めた。
「状況報告をお願いする」彼女たちを待っていたのはいつもの無表情のレニであった。
「オイ!」「ちょっとレニ!」紅蘭の惨状を目の当たりにしたさくら、古くからの友人でもあるマリアの痴態を見させられたカンナは声を荒げる。
それをかえでが制止する「二人共落ち着いて、とりあえず状況を整理しないと何も対策ができないわ」
医療室から戻ってきた椿が席についた所でかえでが口を開く、
「では、このメンバーでとりあえず状況整理を行うわ」あえて「会議」とは言わないのである。
「これだけでか?」カンナが疑問を挟む、「ええ、とりあえずは最低限の人数で」
当然である、霊力を持つ華撃団を妊娠させ、魔物を殖やそう等という衝撃的な敵の存在は刺激が強すぎる。そして内容的にアイリスなど顛末を伝えること自体憚られる。ちなみにすみれと織姫はそれぞれ社交会に出席中であり、これもまた各界に顔を繋ぐという歌劇団・華撃団両面の重要な任務である。すみれは会が自宅近く、織姫は会場がイタリア大使館の為、それぞれ自宅と大使館に泊まる予定である。
・・・かえでは二人が居てもこの「状況整理」に入れるつもりはなかったのだが。
レニが口を開く「了解した、投入された戦力は順にマリア・さくら・紅蘭、後方支援に椿。損害はマリアがまず奇棲虫の中間宿主とされ、蟲に操られる形で紅蘭を妊娠させ、結果奇棲虫の最終態を出産。
戦果はこれもマリアによって館の主とされる女性を妊娠させ、妊娠によりおそらく胎内から魔力等を吸収された為館の崩壊、主は行方不明。
その後、椿による救援要請でカンナが輸送車で到着、マリアを腹部への一撃で昏倒させ要請通り持参した手錠により拘束、全員の帰還に至る」
全員それぞれに複雑な表情で肯定の意思を示す。
「でも、、結局囚われていた人たちは一人も助けられなかったし、、、多分吊り天井で、、、」
泣き出さんばかりにさくらは顔を覆う。
その時である「うう・・・ううん」マリアが意識を回復しかけたのである、マリアの右側に座っていたカンナは慌ててマリアの右腕をねじり上げ、
反対側の椿は医療室からマリアが大柄であるのと奇棲虫の理性を失わせる強い力に備え1ダースも持ち出してきた鎮静剤をマリアの左腕に注射した。
「ここは?・・・・いえ、私はとんでもないことをしてしまった、もう歌劇団には・・・・」
その瞬間、カンナがマリアの頬をひっぱたいた。
「おい、マリア、バカ言ってんじゃねえ、勝手に足抜けなんてこのアタイが許さねえからな、そういうことは紅蘭に謝ってヤツらを完全にぶっ潰してから言え!!」
カンナの剣幕に部屋は静まり返るが、黙って思考を続けていたレニが発言を求める
「いいかな?」かえでがこれを許可する、そもそも年少者であるレニをあえてこのような刺激の強すぎる場に入れたのは、その博識に期待してのことなのだ。
「ええ、お願い」「わかった、まず救出すべき人たちの命だが、これは恐らく生きていると思われる」
「楽観的過ぎねえか、館の跡には何も無かったんだぞ」マリアの右手首を掴みながらカンナが疑問を口にする。「いや『跡に全く何も無い』というのが生存の要素となる んだ、実は魔力・呪術の類で『人間を跡形もなく消す』場合、生きている人間よりも実は死体のほうが難しいとされているんだ。
生きていて魂があるからこそ呪術が効くが、死んでしまえばそれは只の肉の塊にすぎない、よって呪術はネクロマンサーの類は別として、人の魂に対して干渉するものである為、死体を瞬時に消すなど不可能ではないが余計に難しい」
「じゃあ、囚われていた人はどうなったの?」囚われた人たちは吊り天井で潰されたと考え、館の崩壊を間接的に止めらず、責任を感じているさくらは悲しげな表情で質問する「そもそも件の館は、以前に報告であったとされる場所に行っても何もなかったり、別な場所にスケッチ・写真からみて同一と思われる館が存在している、よって別の拠点に突入前から移送されていたか、館の主によって崩壊の際には別の拠点に転送されるトラップと同じ理論のし掛けがなされていたと思われる」
「結局戦果とかなんもなしか」カンナが呟く、「いや、館の主を一時的にでも無力化したのは大きい。その間にこちらが攻略案を導き出し、相手が力が回復する前にこれを捕捉殲滅する」
「その辺の作戦案はレニに任せるとして、、紅蘭も医者に見てもらいながら皆で、まあ励ますとしてさ・・・・」
歯切れ悪くカンナは続ける、「マリアはどうすんだよ。」
かえでとレニを除いた全員が顔を赤らめた。
「先にも述べたがマリアが寄生されているのは中間体であり仮のもの、寿命は宿主にもよるが約一週間とされる、そして肝心の射精方法だが」赤面モノの事を平然とレニは続ける、「一般的には口腔粘膜での刺激による射精が有効とされる、そして絶対にしてはいけないのは男性が一般的に行っているような手淫の類だ、中間体にはその刺激が粘膜によるものかそうでないかは簡単に判別されてしまう。もし無理に手淫で性欲を解消としようとすれば、中間体はそれに対し麻薬様物質を分泌し宿主の理性を失わせようとし、最悪の場合宿主は廃人となる」
「そんな・・・・マリアさん館の中で手でしてましたよ」マリアが廃人に、と聞いてショックを受けたさくらがバカ正直に暴露した「ちょ・・・さくら」
顔を赤らめながら鎮静剤と自分の精神力で辛うじて理性を保っているマリアが抗議の声を上げる。
「何回?」レニは平然と答える、「えっと・・・一回だけです」
「一回だけなら深刻な状況は起こらない、一般的にも寄生虫が宿主を無闇に害するのは得策ではない」
「よし、分かった!!」カンナが皆を励ますように机を両手でバンと叩きながらいつもの元気な声を上げる、「要はアタイが口ですりゃいいんだろ?アタイの肺活量なめんなよ、全部アタイが吸い出して一週間どころか3日でカラッポにしてやる!!」
「だからこんな辛気臭え集まりは終わりだ終わり!!」
後書き
この章まで35HR様のサイトに掲載させて頂いていたのですが、次章からは先述のサイトより離れ、「暁」のみへの投稿となります
もうちょっとすると、自己満の海軍ネタ(史実人物登場)が入りますが、どうでも良い方はその辺り斜め読みでお願いします
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