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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》

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【第215話】

 
前書き
短いっす

何処かで五千字もない作品はダメだとかの記述を見たけど

めちゃくちゃ長くなると途中の確認が携帯だと大変

という言い訳しつつ、可能な限りは五千字近く書くように頑張ります 

 
――更衣室――


 雨に濡れた髪をタオルで拭き、着替えを終えると整備室から持ってきた道具一式を手に持つ。

 調整しようと思ったが、村雲を実際動かしてみると弄る部分が特に見当たらないため、只の荷物になったという。

 ……上級生と模擬戦、初めてだったが流石に強かったな。

 結局一矢報いる事すら出来ずに一蹴されてしまった。

 軽くため息をつくと、俺は更衣室を出るのだが――。


「ヒルトくん、お疲れ様」

「……楯無さん。 お疲れ様です」


 更衣室を出て正面に、壁に凭れて待っていたのは楯無さんだった。

 着替えを終え、制服を着て待っててくれたようだ。


「うふふ、そんなに硬くならないで? お姉さんには気軽に……ね?」

「……うーん、可能な限り善処します」


 そう伝えると、困ったような笑顔になる楯無さんは、直ぐに口を開いた。


「ヒルトくん、この後一緒に食事しない?」


 屈託のない笑顔で誘うその表情は、不覚にも可愛いと思ってしまった。

 ……でも、昼は理央と食べるって約束したからなぁ。


「すみません楯無さん。 さっきクラスの子と一緒に食べるって約束したので……」


 そう言って頭を下げると、楯無さんは――。


「あら、そうなの? ……残念ねぇ、お姉さん……一人寂しく昼食ね」


 そんな感じに寂しげな声色で言ってきた。

 流石に俺も申し訳無い気持ちでいっぱいになり――。


「う……す、すみません……」


 そう一言謝ると、楯無さんは首を横にふるふると振る。


「ううん、まあ突然誘ったお姉さんも悪いからね。 ……じゃあ今日もまた生徒会室で昼食かな~……。 ――そうだ、ヒルトくん。 一つ聞いても良いかしら?」

「……? 内容によりますけど構いませんよ?」


 変な内容だったら答えないが、まあそんな事は多分無いだろう……。


「ふふっ、変な話じゃないけど……唐突だから変に感じるかもね? ……んと、ヒルトくんって妹さんと仲が良いよね? ……何か、秘訣とかあるのかしら……?」


 そう眉を下げながら妹との仲の良さを聞いてくる楯無さんは、何だか藁にもすがりたい様な雰囲気を醸し出していた。


「……うーん、美冬との仲の良さの秘訣か……。 ――あるのかな? 俺自身、あいつの事は好きだから嫌いにならないが……。 美冬自身がどう思ってるかは聞かないからなぁ……。 ……でも、可能な限りは色々話をして、時には兄妹喧嘩してって感じだから」

「……そっかぁ。 うふふ、何だかそうやって兄妹で話が出来て、喧嘩も出来るって羨ましいわね……」


 一通り聞いた楯無さんは、どこか昔を思い出すかのように目を細めていた。

 ……何かあるのだろうか?


「……うふふ、ヒルトくん。 変な話ごめんね?」


 茶目っ気たっぷりに舌を出し、笑顔になる楯無さんに面を食らいつつも――。


「ううん、構わないですよ。 ……機会があったらうちの妹にも聞いてみると良いですよ。 ……何か、ボロくそに言われそうな気がしないでもないですが」


 若干苦笑気味に伝えると、笑顔のままの楯無さんが――。


「そうね。 機会があったら貴方の妹さんにも話を窺うわね♪ ……じゃあヒルトくん、今日はありがとう♪ 今度こそ二学期にね~♪」


 そう言って手を振り、通路の向こう側へと消えていく楯無さんを見送る。


「……楯無さん、妹いるのかな?」


 そう一人呟くと共に思い出すのは整備室にいた更識簪さん。

 ……名字も同じだし、やっぱり姉妹なんだろうか……?

 まあ聞いてみないとわからないが……。

 ふと通路に備わった時計を見ると、そろそろ昼時のいい時間だった。

 二人の関係も気になるが、腹が減っては何もできないからな。

 携帯を取り出し、さっき交換したばかりの理央に電話をかける。

 コール音が一回鳴ると、直ぐに繋がった――何気に取るのが速いな。


『も、もしもし……』

「おっす。 さっき言った通り昼食食べに行かないか?」

『お、ぉぅ……。 じ、じゃあ寮の食堂前で待ってるからな……』

「はいはーい。 じゃあ食堂前でな」


 そう言って通話を切ると、携帯をポケットに入れて足早に食堂へと向かった。

 ……何気に理央がいつもと違ってしおらしいのが気になったが――そんなこともあるだろうとあまり気にせずに考えるのを止めた。

 アリーナを出ると雨は止み、辺り一帯に夏の日差しが降り注いでいた。


「……湿気にこの暑さは最悪だな」


 じめじめした湿気と夏の暑さで滅入りそうになりながら、濡れた舗装路を駆け足で寮の食堂へと向かった。

 
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